【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
「見ろ、あのバスだ……あのバスに乗れば国境方面に行ける……」
さて、オセオンの隣国クレイドへの逃亡を決めた緑谷と運び屋の少年は、とりあえず服を買って変装し警察を撒きつつ、路地裏から出発間近のバスを二人で見つけた。現地の交通事情をそこまで知らない緑谷からしたら、その案内はありがたいものだった。
「後ろにしがみつきゃタダだ」
「何言ってるのさ……」
自分達は逃げる身、後ろにしがみついて人目を避けようと言う悪い笑顔の少年に、緑谷は否定する。こんな事になってまさか車内に入って金払うのかと呆れる少年だったが……。
「屋根の上に乗ろう、しがみついて何時間も耐えれる握力があるの?」
「あ、いや……例えなんだが……お前ノリノリだな」
否定したのは無賃乗車ではなく、乗る場所であった。しがみつき続ける握力があるのか、屋根の上に乗るのが妥当だろうというマジレスであった。無賃乗車は仕方なしの考えがヒーローを名乗る緑谷から出て来て少年は驚いた。ほら行くよと、走り出すバスに追従する緑谷に、少年もついて行き二人してバスの屋根へと登った。
「ほい無賃乗車、お仲間だねぇ?ヒーロー?」
少年は憎たらしい笑みで緑谷を揶揄ってきたので……緑谷はバスの上で立ち上がると、少年を蹴飛ばしてバスから落とした。そして少年の足を引き寄せで吊し上げにし、地面と頭がスレスレのところでキープしながら言う。
「次の駅に着く頃には跡形も無くなって血の線ができると思うんだけどーー?」
「うわぁあああごめんなさいごめんなさい!!ちょっと揶揄っただけですぅううう!!」
揶揄う相手は選べ、それだけ忠告してから緑谷は少年を引き上げた。
「ち、畜生……ヴィランにやられる前にお前に殺される……」
「そうか、死にたくなければ……いや、いい……僕もちょっと苛立ってた、ごめん」
引き上げられて悪態を吐く少年に、緑谷はなら大人しくしてろ……と言いかけたが、やめて謝った。苛立ってた、昔の荒れたさ自分が出て来ているなと自省しながら、スマホのバッテリーを入れ、電源を付ける。
「おい、追跡されるんだろ?」
「すぐに抜く、とりあえず仲間に連絡を……クレイドに向かうって……暗号にしとかないと……えーっと……」
もしかしたら、ヒーローにも内通者が居るかもしれない。そして爆豪は自分のメッセージなんて見ないだろうと、緑谷は轟に対しメッセージを送る。
「轟くんには悪いけど、かっちゃんにしか多分分からない暗号で……」
メッセージを打ち込み送信して、緑谷は即座にバッテリーを抜いた。
オセオン、ヒーロー待機ホテル。
轟焦凍は緑谷の殺人事件に関しての裏を探るため、ネットを調べていた。父エンデヴァーは警察に、事件の証拠提示を求めに行ったが……恐らく成果は出ないと思っていた。あまりにも早すぎる対応に、事件に関係する記事が無い。
ただ、『緑谷出久がオセオン警察の警官を殺した』としか出なかったのだ。恐らくオセオン警察内に、ヒューマライズ関係者が居て緑谷は何かに触れたのでは?と、キーボードを叩いて記事を漁る。
「焦凍くん!」
何か手がかりをと探す最中、焦凍を呼んだのはオセオン現地の女性ヒーローでチームの一人クレア・ボヤンスだった。
「知り合いの探偵から、調査結果が出たわ」
「どうでした!?」
「キミが見たと言う個性攻撃を受けた車……調べたら乗っていたのは、ヒューマライズの団員だったそうよ」
ヒューマライズの名前が出て来て、疑念が確信へと変わる。やはり緑谷は、ヒューマライズ絡みの件に巻き込まれたと。
「その団員は?」
「意識不明の重体で病院の集中治療室に居るわ、警察の護衛付きでね?」
「話は聞けねぇか……」
話を聞こうとしたが、それは無理みたいだった。しかし、クレアはさらに話を続ける。
「もう一つ、事故現場近くに……盗まれた宝石がぶち撒けられていたそうよ」
「!!」
その話と共にクレアのスマホから写真を見せられ、轟は緑谷との通話を思い出す。合同の協力者は宝石を持ってなかった、取り違えたと自供していたと。本当にそんなやらかしをしていたのが目の前で事実と突きつけられると同時に、轟のスマホが鳴った。
「緑谷からのメールです……」
「何て?」
何かのメッセージが緑谷から送られて来たと、轟は開いて文面をクレアと見た……。
しかしーー。
「なんだこりゃ……」
「カタカナ?文字化け……じゃないわよね?」
そのメッセージは、二人には理解できない文面で、こう記されていた。
ブサブバダダサ
セギゾグボンババン
ギヂゴゾ
ゾグゾ
「暗号……なのかしら?部族の言語?」
「分からねぇ、ヒントくらい記しとけよ緑谷……」
意味のわからないカタカナのメッセージに、眉間に皺が寄る轟。しかしそこに、また一人現れた。
「ったく、あのクソヴィラン方々に迷惑かけやがって……」
緑谷への悪態を吐きながら入って来たのは爆豪だった。轟は、爆豪は分かるかもしれないと、入って来た爆豪にも尋ねてみる事にした。
「爆豪、緑谷からメッセージが来たんだが……」
「ああん?一体何のメッセージだ?」
「暗号みたいで……爆豪は分かるか?」
轟がスマホの画面を爆豪に見せる……そして1秒後、眉間に皺が寄り……2秒後に目尻が吊り上がり……3秒間際になって爆豪は叫んだ。
「あのクソヴィラン!!いや、クソグロンギ気取り!!メッセージくらいリントの言葉で打てや!!」
グロンギ?リント?怒声を上げる爆豪にクレアと轟は驚くが、理解した上での罵声かと轟は尋ねる。
「分かるのか!?」
「クレイドだ!クソヴィランはクレイド国境に向かってる!!行くぞ半分野郎!!」
そして分かったらしく、爆豪は隣国クレイドに緑谷は向かったと断定して、部屋から出ていった。
「え、エンデヴァーにも伝えとくわね……」
「お願いします……しかし、一体何なんだこの暗号……」
爆豪が看破したこの暗号は一体と、とりあえず緑谷を追う中で尋ねてみるかと、クレアにエンデヴァーへの連絡を任せ、轟は爆豪の後を追った。