※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

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scene9 もう殺すしかなくなった

 夜風が少々肌寒い平地にて、二人はアタッシュケースを回収に来るだろう相手を待った。ロディは、となりで鼻歌を奏でるこの仮免ヒーローが何を考えているのか全く分からなかった。

 

 さっきまで逃げるぞと言って、国境だろうが二本足で踏破して、引きずって連れて行くとまで言った筈が、こちらが降参して引き渡したいと言うならそうしてみるかと、通報した事に何も言わずに一緒に待つと言うのだ。

 

 もしかして、内心では終わらせたかったのか?その真意は分からない、しかしもう取り返しはつかないと、ヘリコプターの音がだんだん近づいてきて、ロディは一度緑谷を見たが構わず手を振ってここだと示した。

 

 着陸し、プロペラがゆっくりと止まり、ライトは二人を照らしたままだ。降りてきた男の人相が逆光で分からない、ロディはジュラルミンケースを持ち、もう一度緑谷を見た。今度は目があって頷かれた、どうぞ渡してみなさいと、止めないよと気楽さが見えて舌打ちしながらロディはジュラルミンケースを投げ渡す。

 

「ケースは渡したぞ!もう俺らは関係ない、そうだよな!?」

 

 男だろうか、投げ渡されたジュラルミンを開いて観察して閉じて……ゆっくり近付いてきた。

 

「ケースの機密を知っているんだろう、渡されようが……お前達の排除は決定してる」

「そ、そんな!?俺ら何も知らねぇって!!」

 

 無慈悲な宣告だった、ロディが後退りする中視界の端に緑谷が、ロディを見てほらなと諦観のジェスチャーをしつつロディの前に立った。

 

「酷いなぁ……僕たち何も知らないし、こうしてケースを返したじゃないですか……見逃してくれないんですか?」

「人類の救済のために、いかなる些細な事だろうが赦しはしない……貴様らという機密漏洩の可能性すらもだぁ!!」

 

 ヒューマライズの男はそう吐き捨てながら、その肉体を異形へと変化させていく。赤い肌に両手は金棒に変形し、さながら日本の鬼のような姿になり肉体も巨大化した。それを見てロディは尻餅をつきながら叫んだ。

 

「知らない、何も知らないって!なぁ頼むよ……弟と妹が待ってるんだ!!」

 

 終わった、こちらには仮免ヒーローしかいない、いかに自分へ恐怖をきざみこんだとはいえ、所詮仮免のヒーロー……2人して死ぬしかないと選択を誤ったと理解したロディは頭を抱え蹲った……のだが。

 

 ボンッ!!!

 

「え?あ、な、なにーー」

 

 聞き慣れない音にロディは即座に、何があったのかと異形に変化した男を見た。そしたらーー頭部が無くなっていた。異形の首が抉られたかねじ切れたように喪失し、凄まじい勢いで血が吹き出し最早シャワーの様に血を降り注がせ、ロディもあちこち付着した。

 

「酷いじゃないですか、こうしてせっかくお返ししたのに命は差し出せなんてーー」

 

 ずずん、と首なしの亡骸が前のめりに倒れ地面が少し揺れる。その傍で、巨大な頭部の角を掴んで居たのは、仮免ヒーローの緑谷で……その頭部から伸びた脊髄まで引き抜いている事にロディは理解ができなかった。

 

「そんな事言うなら……もう殺すしか無くなったじゃないですか……」

 

 頭部を傍に投げ捨てながら緑谷が言う、そしてロディは呆けては居たが、視界の中、ヘリコプター近くで矢をつがえる姿を見て叫んだ!

 

「おい!まだ1人いる!!」

「くぅう!?」

 

 それを聞いたらしい、弓矢を構えた……恐らくオセオンの街で自分達に矢を放ったヴィランは、ロディにターゲットを切り替えてそちらに放った。

 

「ひぃい!?」

 

 言うんじゃなかったと悲鳴をあげたロディだったが、矢は刺さらなかった。その声を聞いた、緑谷が盾となり胸部に矢を受けたのである。

 

「お、お前!?何で!!」

「ね?言ったでしょ、渡そうが逃げようが殺されるって、賭けは僕の勝ちだ」

「そんな事より!矢ぁ!?刺さってるって!!」

 

 お前矢に当たってんだけど!?そんな事言う暇じゃないだろうと言うロディに、緑谷は刺さった矢を引き抜いて言い切る。

 

「この程度ケガのうちに入らない、ただ矢が刺さっただけだからさ?」

「普通はケガだよ馬鹿野郎!?」

 

 ツッコミを入れたロディに対し、弓矢のヴィラン、ベロスは冷や汗を垂らしながら3本の矢を一気に左手を変形させた弓に番えた。

 

「病に冒された化け物が!!」

 

 自分が追跡しているヒーロー、どうやら規格外の対象らしい。この場で仕留めなければ!そんな焦燥が孕んだ台詞を吐いた最中ーーベロスの左側の視界が、突然暗闇に染まった。

 

「え、あ、あーああ!?」

 

 何があったのか理解するまで数秒、痛みを実感するまでその後秒足らず、激痛に叫びを上げたのは、即座であった。

 

「返すよ、矢」

「いいぎゃぁあああああああああ!?」

 

 ベロスの左眼孔に!先程緑谷を射抜いた矢が突き刺さっていた!!お返しだと緑谷が、容赦なくベロスの左目を奪ったのである!ベロスは目を押さえてのたうちまわって叫びを上げた、そしてーー。

 

「come hereっと、さ、逃げるから捕まって」

「お、おう!!」

 

 悠々とジュラルミンケースを回収して、緑谷はロディを抱えながら空を引き寄せその場を飛び立った。

 

「くそぉ、くそぉお!!おおのぉれぇええええーーー!!」

 

 ベロスは、左目の矢を引き抜き、再び逃したと言う事実と、回収に失敗したあげく、弓矢使いとしての目を奪われたと言う屈辱に、呪詛を孕んだ叫びを上げた。

 

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