【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
「今何と申した?ベロス……』
『1人、殺されました……イズク・ミドリヤに、私は片目を奪われました……!』
ヒューマライズ本部地下、通信を受けたフレクト・ターンは頭から左目に包帯を巻きつけたベロスの映像から、流石に何事かと目を見開いて尋ね、その報告に閉口した。
聞けば同伴した傭兵が殺され、更にベロスは左目を失明させられたのだという。
「……私はヴィランの指名手配をしたのだろうか?こやつはハイスクールの見習いヒーローと聞いたが……」
自分が手を回してオセオンで指名手配したのは『日本の学生の仮免ヒーロー』だったはず。ヒーローは……ヴィランを殺さない筈ではと思ったが……まさか自分は『ヴィラン』を指名手配したのかと呟き、首を傾げたくなった。
『教祖フレクト、次は必ず仕留めます!!だから戦力をこちらに!!』
「ベロス、そなたの仕事はケースの回収ーー』
『教祖!!』
フレクトは、その通信から滲みだしかねない怒気に気圧されて、目を閉じて頷く。
「分かった、こちらのヘリと団員を向かわせよう、必ずやケースを奪還するのだ」
『はっ、人類の救済の為に、必ずやイズク・ミドリヤの首を!!』
「待てベロス?ベロス??」
通信が切れた、目的が切り替わっている、フレクトはため息を吐きながら呟いた。
「やはり度し難いな重病人は……計画を終えた後の世界では、さらなる選別も考えるべきか……」
ヒーローもヴィランも、やはり重病者はどうしようも無いと思うのであった。
緑谷とロディが事件に巻き込まれて、一つ夜が明ける。肌寒い空気に風邪をひきそうだと思いながら緑谷は起き上がり、ふとロディがいない事に気付く。ジュラルミンケースは置かれたまま……どこかに行ったかと目を擦る最中、エンジン音が聞こえて緑谷は一気に目を覚醒させ飛び上がった。
まさかヴィランが嗅ぎつけたかと、洞穴から飛び出した緑谷に、声がかかった。
「あ、悪い、起こしちまったか?」
ボロいサビがあちらこちらにある、青のトラックからロディが出てきた。
「ロディ……どこから盗んできたの?」
緑谷は呆れながら荷物を持ってロディに尋ね、悪戯な笑みで緑谷に答えを返した。
「盗んだんじゃない、代金後払いで買ってきた、借用書はヒーロー協会名義」
それを聞いた緑谷は、成る程と納得して頷いた。
「そっか、ならいいよ、物は言いようだけど」
「イーヴルヒーロー様は話が早くて助かるぜ、まぁセスナがあれば、クレイドまでひとっ飛びなんだけどなぁ……」
ボロボロのトラックの扉を叩きながら、ロディは口を吐いて、緑谷はその台詞に驚いた。
「へぇ、飛行機の運転なんてできるんだ?航空学校に行ってたの?」
「真に受けんなよ、さ、行こうぜ……このままクレイドまで逃避行だ」
促されるままに助手席に乗る緑谷と、運転席に乗るロディ……エンジンを吹き鳴らし、クレイドまでの旅路が始まった。
「ほんと、街から離れたらいい景色だなぁ……バイクに乗ってツーリングしたいよ」
「バイク乗れんのか?免許持ってんだな」
終われてなければツーリングしたくなるなと呟く緑谷。バイクの免許持ってるのかとロディの質問に、緑谷はそうだと答えた。
「うん、持ってる……バイクもね、いいバイク……ヒーローモービルなんだよこれが」
「けっ、ボンボンヒーローめ……まぁでも、追われてなけりゃそうしたい景色だよなぁ」
恵まれた奴めと悪態を吐くロディだが、気持ちはわかると綺麗な田舎道を行きながら同意をした。
「キミ、この国の人間だろ?」
「あの街しかしらねぇよ、バーモント生まれがニューヨークの摩天楼の景色を知ってるとでも?」
「それもそっか……僕も日本全ての景色を知らないや、地元の観光名所も……」
道は長い、他愛もない話をする時間はいくらでもあるのだ。
「イズクの住んでる場所って……」
「日本の静岡、ウナギが美味しいよ」
「おいおい、ウナギってイギリスのゼリーで固めた……」
「それと一緒にしないでよ、蒲焼きを乗せた鰻重は最高なんだから……まぁ僕はカツ丼が好きなんだけど」
「カツドン?」
「カツレツを卵と出汁……まぁ、日本式のスープで合わせながら煮て、それをご飯に載せた食べ物」
飯の話をすれば腹が減るので、ガソリンスタンドで顔を隠しながら食料と燃料を調達する。菓子パンを齧りながら、変わらない道を走り続けた。
「で、ズボンズリ下げられて、全国にち◯こ晒してしまったんだよね」
「だぁあーーはっはっはっはっ!!マジかよ!!」
笑い話でもしてくれと言われた緑谷は、全国にち◯こ晒した話があると言うと、ロディは爆笑した、下ネタは万国共通らしい。
「二日後の職場体験指名で、そっち系を公表したヒーローからインターンが来た時は戦慄したよ」
「恐怖体験だなそりゃ!」
「それで、僕の敬愛する先輩ヒーロー、ルミリオンって言うんだけど、個性が透過でさ……」
「え、え?ま、まさか?」
「先輩も去年の体育祭で、全国にち◯こ晒してたんだよね」
「あーーはっはっはっはっは!!」
愉快な逃避行は、まだまだ続く様だった。