【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
「止まれ!止まれぇえ重病人がぁああ!?」
「神聖なる地を汚すなぁあ!!」
轟の氷の上に乗り、共に移動する緑谷は行く手を遮るヒューマライズ信徒達の構えるマシンガンと、飛び交う弾丸の雨を前に手をかざした。
「フレンドリーファイアにご注意を」
近場の数人が、唐突にマシンガンの銃口を緑谷達から同じ信徒へ自身の意思に関わらず力尽くで向けられ、共に撃ち合う形にされて絶叫した。
「うぁああ!?」
「ば、馬鹿どこ向けていぎゃあ!!」
「あぁあ!!」
身体中に弾丸を互いに叩き込まれる信徒達。フレンドリーファイアにより命を落としたかもしれないが仕方ない、ちゃんと狙わないのが悪いのだと、信徒の側を緑谷と轟が滑走して最奥を目指す。
「次の角を左!」
「ああ、分かった!」
緑谷のナビゲート通りに角を曲がる轟、そのまま直進していくと、壁面が動いて赤い光線が2人を襲った。
「ちぃい!?」
「うぉああ!?」
氷壁で光線を遮り防いだが、緑谷はそのまま投げ出されて前方へ転がり落ちた。防衛装置のレーザー兵器かと、轟は左手の指から高熱の火を繰り出し、レーザー兵器を切り裂き破壊する!
「轟くん!」
「先に行け!時間がねぇ!!」
今は一秒も無駄にできない、早く行けと追いかけて来たヒューマライズ信徒を前に轟が言い放つ。その言葉に迷う暇なしと、緑谷は自らを地面に引き寄せ、一気に先へ弾丸の様に飛んだ。
しばらくして、緑谷は背後から爆音が響き、振動を感じた。恐らく轟が膨冷熱波を放ったに違いない。ロディにより運ばれて、爆豪によって正面を突破し、そして轟によって先への道を繋がれた緑谷は、必ずトリガーボムを止めると意志を固めて先へと向かう!
「ここから先へ通すなぁ!」
「撃て、撃てぇええ!!」
最奥へ向かうルートともなれば、抵抗も激しくなっていく。マシンガンの雨の中、緑谷は先程奪い脇に挟んでいた一丁、そして肩に提げていたもう一丁、計二丁のマシンガンを両手に持ち、スライディングで弾丸の壁を回避しながら即座に身体を起こして、引き金を引きながら滑り込み、信徒達へ発砲した。
「ぎゃあ!?」
「ぐぁああ!」
「ぬぁああ!!」
薬莢が飛び交い、弾丸を受けた信徒達がその衝撃に身体を跳ねさせる。左右共に撃ち尽くした緑谷はそのまま両手のマシンガンを捨て去り、スライディングから立ち上がりつつ撃ち抜いた信徒が落としたマシンガンを蹴り上げてキャッチし、残りの信徒向け発砲した。
「いぎゃああ!?」
「うぉあぉああ!!」
早く、早く!さらに信徒の壁を超えて走り、いよいよ頭の中に叩き込んだマップから、ここだと最奥に緑谷は辿り着く。最後に待っていた4人の信徒が、マシンガンを一斉掃射したが……。
「邪魔だぁあああ!!」
壁から天井へ、直線で跳ね回った緑谷が4人ともマシンガンの弾丸を叩き込み、そのままドアに向けて飛び蹴りを放ち、ドアを蹴破った。
着地と共に、開け放たれた先へ出た緑谷はマシンガンを投げ捨ててその空間を見回した。
ドーム型の空間、周囲の彼は本棚らしい何冊も書物が敷き詰められ、奥の左右対称のサーキュラー階段の先には、ヒューマライズのマークが掲げられていた。宗教施設の聖堂を思わせる荘厳さが確かに感じ、その中心には金色の赤子の像が鎮座していた。
ここがヒューマライズ本部の最奥だと、緑谷は理解する。ならば、その先に見える扉が、トリガーボム制御装置へ向かう扉かと緑谷が走り出した。
瞬間、柱の一部が開き、緑谷向けと赤いレーザーが照射された。それを身体を捻り回避して、緑谷は立ち止まった。
「失せよ、お前の様な重病者が立ち入っていい場所ではない……」
尊大な口ぶりで言い放ち、階段に現れた男を緑谷は見上げて、こいつがと緑谷は男を睨みつけた。
青い肌に、白の僧衣は以下にもカルト宗教の教祖の姿……ヒューマライズの指導者、フレクト・ターンは緑谷を見下ろしながら、ゆっくり階段を降り始めながら語る。
「ここは人類を救済する神聖な場所だ」
その言葉と共に、周囲に壁が展開された。書物を守るためか、緑谷を逃さない為か……両方かと考えつつ緑谷は間合いを保つ様に歩きながらフレクトに言い放つ。
「救済?馬鹿言うな、テロで何人も殺しといて何が救済だ……その殺戮を救済と結びつける理由を教授してくれない?カルトの教祖さん?」
煽る様な緑谷の言葉も、フレクトは自らが正しいと言う意志を見せるかの様な態度で、その理由を説いた。
「純粋なる人々は……個性という病魔、その脅威に晒されている……それは時と共に混ざり、進化し、コントロールを失って人類を滅亡させる……だから、私が救済する。人類救済装置を使い、重病人を滅菌し……純粋なる無個性のみの新たな世界を作るために」
つまりは世界規模の滅菌作戦かと、緑谷は改めてフレクトの目的を理解する。トリガーボムでヒーローを駆逐し、そしてヒューマライズが次に個性保有者を滅ぼし、無個性の人々で世界をやりなおすという事だろう。
「大した目的だよ全く……そんであんたやヒューマライズは、その新世界の神か王様になるってわけ?」
「王でも神でも無い、我々は象徴となる……新たな世界の救世主としてな」
上辺だけを聞いたら、何とも心地よくて叡智を感じさせる語り方だろうか、しかしてその内容は傲慢極まりなかった。緑谷は舌打ちしてからフレクトに言い放った。
「何が救世主だ、仮に個性が病だって思うなら、抑える薬や個性を無くす治療法を探そうと医者や薬剤師にならなかったんだ?それで人を殺した時点で、お前はそこらのヴィランでテロ組織のリーダーと変わらないよ」
本当に助けたいなら、救いたいなら、それこそ個性の弊害で苦しむ人の為に医者なり薬剤師になれば済んだはずだ。それが何故個性保有者の殲滅をもって救済を掲げるのかと指摘した。
「……重病人には分からぬか、やはり私がやらねばならぬ」
その指摘に対してのフレクトの返答は"拒絶”であった。個性保有者には我らが崇高な目的は理解できぬと、会話を拒否したのだった。
「あっそ?じゃあもうこうするしかないよね……」
指摘されて止まるならカルト宗教の教祖なんかやらないよなと、緑谷は脚に力を溜める。
「貴様を倒して、トリガーボムを止めるだけだ!!」
紫色のオーラと共にほど走る紫電、即座に緑谷はフレクト・ターンへ間合いを詰めて、手始めに左のジャブを叩き込んだ。
「なにっ!?」
しかし、その左の拳はフレクトの鼻先数センチで、何かに押し返されて弾かれるや、緑谷も数歩後ろに反発力よって後退した。そのたった一撃で、緑谷は予感する……まさかフレクトの個性はと、確かめる為に再び踏み込んで今度は右のストレートを顔面目掛け放った!
「くぅうぁああ!?」
しかし!拳はフレクトに触れる事すらなく押し返される!さらに緑谷は、その右拳に込めた力をそのまま返された様に弾かれて、床を転がり、即座に立ち上がった。
ああ成る程、いよいよ出会ったかと、緑谷は歯を見せて笑った。特撮ヒーロー、コミック、ゲーム!小説!あらゆる媒体で、この手の能力は大凡最強格の位置付けにされる事が多いその個性!
「そうだ、私は生まれながらに病を患っている」
フレクトは白い僧衣を脱ぎ、下に着ていた赤い僧衣を晒しながら、周囲に何やらレンズを浮かせて床から浮き上がって緑谷に言い放った。
「決して消える事の無い、全てを反射してしまう病……私は、この病により両親からも抱きしめられず、友人とも触れ合えず、恋人とも手を握る事も叶わなかったのだ……」
『反射』
それが、ヒューマライズの創設者にして指導者、フレクト・ターンが抱える『病』にして『個性』であった。
「お互い難儀だね、僕といい勝負だ」
その個性を前に、緑谷はさてどうするかと、いかに攻略するかと窮地を笑って誤魔化しながら考えた。