※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

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グロ注意


scene22 悪の英雄(イーヴル・ヒーロー)

「止まったの……トリガーボム?」

 

 オセオン市街、発見したトリガーボムの光が薄らぐのを見た現地ヒーローチームのクレア・ボヤンスは、抵抗するヒューマライズを取り押さえながら呟いた。

 

 先程世界ヒーロー協会本部から、轟焦凍含めたインターン組が解除キーを入手したと連絡が入り、そこからトリガーボムを見つけ、そして団員に阻まれた。

 

 光を失った事で、爆発は止まったのかと安心したクレアだったがーー。

 

「気を抜くな!まだ何があるか分からん!!回収して無力化するまで手を緩めるな!!」

「は、はい!!」

 

 エンデヴァーの檄が飛んだ!まだ停止したと言う連絡が無い!ならば回収して無力化まで決して気を抜くなと、まだ抵抗するヒューマライズの団員との戦闘は続いた。

 

 

 

 映像を見上げ、確かにトリガーボムは止まったと緑谷は安堵して、仰向けに倒れるフレクトに言い放つ。

 

「終わりだフレクト・ターン、僕たちの勝ちだ、大人しく降参しろ」

 

 月並みな台詞だが、これが妥当だろうと、フレクトに声をかけた緑谷。タイマーは残り1分間近で止まっている……終わったんだと安堵する緑谷。

 

 しかしーーフレクトはむくりと起き上がるや、立ち上がって言い放った。

 

「まだだ、まだ私の救済は!終わってない!!」

 

 服を脱ぎ捨て上半身の裸体を晒したフレクト・ターン。その姿に緑谷は目を見開く、フレクトはその胸板に、何やら大きなコアらしきものが埋め込まんでいた。

 

 そのコアが、妖しく赤く光る。そしてアナウンスが施設内に響き渡った。

 

『トリガーボム強制起動、カウントダウン再開します』

「なーー!?」

 

 トリガーボムのタイマーが再起動したのだ、カウントダウンが再発動し、映像のメインシステムで慌てるロディと、また光を取り戻したトリガーボムに世界のヒーローが慌てる姿が映し出される!

 

「私は救済を成す!この命に変えてもだ!こんな時の為にシステムを強制起動する機構を、私の心臓に埋め込んでおいたのだ!!」

 

 エディの解除キーを知っていたのか、はたまたそれを見越していたのかは知らない。しかしフレクトは、なんとトリガーボムの再起動装置を切り札として心臓に埋め込んでいたのである!

 

「止めるには私の心臓を止めて殺すしか無い!そしてヒーローは殺しはしない、ヴィランであろうと!貴様は私を殺せるか!?救うヒーローが殺しを行えるか!?最初からすでに勝敗は決まっていたのだよ!!」

 

 そして……フレクト・ターンは言い放つ。世界を救う為に、自分を殺せるかと自らの命を盾に、ヒーローとしての尊厳を踏み躙らなければ止める事はできないと勝ち誇る。

 

「この映像は世界中のあらゆる場所に配信される!例え貴様が私を殺して世界を救おうと、ヒーローとしてはもう終わりだ!さぁ、どうする!ヒーロー!!」

 

 自分を殺せば世界が救える。

 

 しかし、ヒーローとしての明日は終わる。

 

 ヒーローは、悪を倒すが殺さない、それはこのヒーロー社会において、当たり前で、余程の事がなければヒーローは『殺し』はしない。

 

 それは、ヒーローが人々に『安寧』と『平和』をもたらす存在だから。殺しを行えば、力を振りかざすヴィランと変わらないのだ。故に……ヒーローの殺しは『禁忌』とされている。

 

 オールマイトですらも、ある一人を除きそれを実行しなかった。

 

 だが、フレクト・ターンは間違いを起こした。

 

「これで世界は救済されごぼぉはぁああ!?」

 

 勝ち誇るフレクトの右頬に、拳がめり込み顎骨から顎関節までが砕けた。そのまま錐揉み回転して叩きつけられたフレクトは、先程の戦いでは無かった更なる激痛に唖然とする。

 

「そうだねフレクト・ターン……ヒーローに殺しは御法度……ヒーローはヴィランを退治しても、殺しは決してしない……」

「な、え、へぇえ!?」

 

 紫色の瞳を赤く変色させ、身体から紫色の闘気を滲み出して歩み寄るその姿に、フレクトは戦慄した。まさか、こいつ本気で、自分を殺しにきている!?ヒーローなのに、タブーを易々踏み越えようとしているのかと、唖然とした。

 

「けどさ、例外はあるんだよ……教えてやる……イーヴル・ヒーローイズクは、悪を抱き正義を成す男……」

「ひ……ひぃい!?」

「世界を救う為に返り血を浴びるなら、喜んで被る、例え後ろ指を差され、世間の風評に晒されようと……!それで世界が救われるなら!!僕は喜んでその身を捧げる!!」

 

 お前は脅す相手を間違えたんだと、緑谷はフレクトに指をさして言い放った。

 

「覚悟しろフレクト・ターン!僕は貴様を殺し、世界を救う!!貴様をここで終わらせる!!」

 

 その死刑宣告と共に!緑谷出久……いや!

 

『悪の英雄(イーヴル・ヒーロー)』イズクは、遂に本気を出した!!

 

「うぁああ!?く、来るな!来るなぁあああ!!」

 

 せっかくの脅迫は意味をなさず、恐慌状態に陥ってフレクトは緑谷から逃げる為、反射で地面を弾いて逃げようとした!しかし!!

 

「Get over here!!(だったらテメェがこっちに来い!!)」

「ぬぃいいい!?」

 

 ぐぃい!とフレクトの脊髄に力が加わり、緑谷の元へ引き寄せられる!!そして!!

 

「ッシャラアアア!!」

「がべぱぁああ!?」

 

 右のアッパーカットが命中!!下顎骨が砕け、更に口内の歯も余波で砕け散り、白い欠片が血と共に吐き出されてフレクトは宙を舞う!

 

「Come here!!(逃げるんじゃねぇ!!)」

「いぎひぃいい!!」

 

 打ち上げられたフレクトを、イズクは更に引き寄せながら、天井に足裏が向くほど抱えられた足を振り下ろし、かかと落としを脳天に叩きつけた!その勢いでバウンドし、白目を剥くフレクトへ、更に腹部へのアッパーカット!裏拳で滞空時間を延長し、背中を向け頭から落下するフレクトの背中へ飛び蹴りを放つ!

 

「イーヴルエアコンビネイション!!」

「あがあはぁああ!!」

 

 フレクトの背骨に沿って取り付けられたサポートアイテムが、ひしゃげ、そして外れながらフレクトは転がっていく。

 

「Finish him!!」

 

 そして!遂にトドメを宣告したイズクが走り出したのを見て、フレクトは立ち上がって恐怖から手を前に出した!

 

「ひぃいいい!?く、来るなぁあああ!!」

「!?」

 

 そして、その言葉通り、イズクは阻まれた。

 

 この、死を前にした恐怖から、フレクト・ターンはなんと土壇場で、個性が更に一段階上がった。さながら防壁のように、青い可視化された壁が、イズクを押して阻む……そして、反射の個性から青かった肌が肌色になっていた。

 

 そう、フレクトはこの場面でなんと……個性を克服してしまった。自らの反射の力場を操作して、身体ではなく壁として操作して阻む。彼は……病を克服したのであった。

 

「ぬぁああああああああああ!!」

 

 だが、その更に向こうへ!出久の指が反射の壁に入り込み、ギチギチと引き千切り破るように穴を開けていく!そして、ガラスが割れたような音と共に、フレクト・ターンの反射防壁は砕かれた!!

 

 フレクトは恐怖の最高潮にまで追い詰められる最中、最後に見たのは……暴の雨であった。

 

「バイオレントォオオオオ!!ラァァアアアアアアッシュ!!」

 

 フレクトの肉体に叩き込まれる無慈悲な暴力の雨が、肉をたたき筋繊維を潰し、内臓を破裂させ骨を砕いていく!!

 

 最早、人間という形すら無くなりかけた、フレクト。その胸板のコアに緑谷は右拳を振りかぶりーー思い切り振り抜いた。

 

 コアが割れて、その拳は胸板を貫き貫通して背面に出るや、ある物を掴んでいた。

 

 それこそ、フレクト・ターンの心臓!心臓をそのまま引き抜き、血管を引きちぎった緑谷は、胎動するそれを……握りつぶした。

 

 散乱する血液と、崩れ落ちるフレクト・ターン。再起動したタイマーは……0秒を切ってコンマ2秒前で停止して、緑谷は呟いた。

 

「……フェイタリティ……」

 

 潰した心臓を床に投げ捨てて、緑谷は返り血を浴びた顔を拭い……息を荒げながら、天井を見上げる。

 

 これで……本当に終わった。ヒューマライズの計画も、そして……自らのヒーロー人生も。

 

 けど、悔いは無い……この返り血を浴びたのが、自分だけで良かったと、緑谷は一筋の血涙を流しながら瞼を閉じて、疲労と安堵からぶり返した痛みに、意識を手放した。

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