※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

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scene23 さらば愛しき悪の英雄よ……?

 世界ヒーロー協会本部では、リアルタイムで映された映像に職員も、長官も、そしてオールマイトも愕然としていた……。唐突に映し出された、恐らくヒューマライズ本拠地の映像、そしてしっかり放映されてしまった一部始終。

 

 一人のヒーローが、ヒューマライズの指導者、フレクト・ターンを追い詰め、心臓を抜き取り潰し、殺害したという映像……何があったのかと理解ができなかった。

 

「ひ、ヒューマライズ、総裁……フレクト・ターンの死亡を確認、再始動したトリガーボムのタイマー、停止!」

「長官!世界中の設置されたトリガーボムの停止報告が上がってます……つまり……」

「終わったのか……」

 

 職員たちに、世界中のヒーローチームからトリガーボム無力化、停止、回収の連絡が入る。ヒューマライズによる世界同時爆破テロは、見事阻止する事が出来た。

 

 ただ……一人の少年が、殺人という咎を背負う事によって……。

 

 オールマイトは、歯を食いしばり願う様に手を握って声を絞り出した。

 

「緑谷少年……すまない……すまない……!!」

 

 教え子に、殺人という咎を背負わせてしまったという事実をオールマイトは悔いた。されど、彼がフレクトを殺さなければ世界が終わっていた。彼はその尊厳と理性を犠牲にして、世界を救ってくれたのだと、ヒーロー協会長官は震えて唸るオールマイトの肩を叩いて言う。

 

「彼の功績と判断に、我々は敬意と感謝を示したい……絶対、彼を悪者にはさせないよオールマイト」

 

 世界を救ったヒーローを、決して悪者にはさせない。映像の先で倒れ伏す緑谷出久に、長官は敬礼でもって応えると、職員たちも総出で起立し、映像の緑谷出久に敬礼した。

 

 

 

「……ズク、おい!目を開けろ!イズク!!」

 

 声を聞いて、緑谷は暗闇の帳をゆっくり開いた。ぼやけた視界で、必死に呼びかけるロディが、上半身を起こして揺らし、緑谷の意識が覚醒した。

 

「ロディ……爆弾は……」

「止まったよ、差し込んだのに、また動き出して……焦ったよ、けど……お前が止めてくれたのか?イズク」

 

 血を流しすぎて意識は虚ながら、ロディは泣きそうになりながら緑谷に声をかけた。そして、最早人の形でない、絶望の表情のフレクト・ターンの亡骸を見て、緑谷は自嘲した。

 

「ロディ……僕……は……」

「喋んな、すぐ助けがくる!安静にーー」

「ロディ……僕も、キミと、同じなんだ……」

 

 死の間際を感じ取ったからか、緑谷はロディに全てを語りたくなった。センチな、ありきたりな気持ちだが、今際の際は誰もこうなのかもしれないと思いながら語る。

 

「殺すしかできない個性なのに……ヒーローなんて夢見て、馬鹿にされたから……周りを傷つけた……資格も無いのに、夢見てた馬鹿なんだ……」

 

 個性によりいじめられて、やり返して沢山傷つけてきた、そのくせ分不相応な夢を抱いてしまった。その話の結末が今、ここなんだとロディに語る。

 

「何を……言ってんだよぉ、お前は……救ったじゃねぇか、世界も、俺も!親父の仇を、お前が……」

 

 ロディは遂に泣きながら言う、不相応なわけあるか、お前は世界と俺を救ったヒーローじゃないかと。

 

「ロディ……ヒーローは、真のヒーローは……悪も……引き上げて、手を取って救う……だから、僕は……」

 

 だが、緑谷はフレクトの亡骸を見て言う。本当のヒーローは、悪すらも助け出すのがヒーローだと。フレクトの個性被害の悲しみを理解できてしまって、それでも救ってくれる、手を取ってくれる人も居なかった、本当のヒーローなら、その手を引っ張り助けてあげれただろうが、自分は殺して終わらせるしかできなかったと。

 

「言うんじゃ無い、言うな!!俺が言ってやる!!イズク!!お前はヒーローだ!!誰が何と言っても、お前はヒーローだって!!俺を助けてくれたヒーローだって言ってやる!!だから、だから!!死ぬなぁ、ヒーローォ!!」

 

 血濡れた手を握り、死ぬなと、お前はヒーローだとロディの声に、緑谷は多幸感を感じた。ああ……最高だな、僕は……最後に、ヒーローになれたのかと、止まらない血と下がる体温を感じて、緑谷は目を閉じていく。

 

「ありがとう……ロディ……ありが……と……」

「おい、おいイズク!!返事しろ!!おい!!」

 

 くったりと、力なくロディの握った緑谷の手が、床に落ちて……がくりと身体を支える力がなくなり、ロディは理解した。

 

 緑谷出久は……イーヴル・ヒーローイズクは……死んだのだと。

 

 

「イズクゥウウウウウウウーーー!!」

 

 

 涙を流しながら、少年は慟哭した。しかし、そのヒーローは彼の呼び掛けに……。

 

「なに?」

「は?」

 

 応えた。目を開けて、顔見上げ、そして不機嫌な表情で彼は言う。

 

「あのさ、傷に響くから叫ばないでよ……安静にしてるから救助隊来たら起こして」

「…………」

「じゃ、寝るから」

 

 そう言い残し、緑谷は寝息を立て始め、ロディは床に緑谷を寝かせて一度息を吸って落ち着き……。

 

「俺の涙を返しやがれ!この!クソヒーロー!!」

「あいたーーー!?」

 

 ロディは、この旅路の鬱憤全てを乗せて、思いっきり緑谷の顔面を踏みつけたのであった。

 

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