※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

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第六期 超常解放戦線決戦編
プロローグ キミはあまりに早く走りすぎた


緑谷出久が雄英高校に入学して、一年が経とうとしていた。

 

 一度は腐り、諦めかけたヒーローになる夢。オールマイトと出会って引き上げられて改めて目指し、そして入試を突破して得た入学。

 

 クラスメイトとの出会いと、ヴィラン連合襲撃での個性暴露、雄英体育祭での轟との死闘に、職場体験での師匠たるグラントリノとの特訓と、ヒーロー殺しステインとの生死をかけた一瞬の戦い。

 

 爆豪と組んで、オールマイトへ完全勝利を果たした期末試験。

 

 I・アイランドで久々に父親と出会い、知らぬ間に決まっていたフィアンセ、メリッサとの会合、そして起こったテロ事件。

 

 血を流して頑張った林間合宿は、またヴィラン連合に襲撃され、攫われた爆豪を助けに、ヴィジランテに扮してオールマイトと共にAFOと対峙した神野……。

 

 そして仮免試験。爆豪との禊の決闘……ヒーローインターンで出会った最高の先輩、通形ミリオと共に立ち向かった死穢八斎會、オーバーホールとの戦い。

 

 準備から終わるまで楽しかった文化祭、アクシデントもあったが成長を感じれたクラス対抗戦。

 

 離れ小島、那歩島でのヒーロー活動と、ヴィランとの戦い。

 

 さらにヒーローとして研鑽を積んだ、エンデヴァー事務所のインターン。そして……世界規模の危機を止めた、オセオンのヒューマライズ事件。

 

 たった一年で、色々あったと……緑谷出久は雄英高校屋上で、周辺の景色を眺めながら緑谷出久は思い返していた。

 

 雄英高校の屋上、立ち入り禁止の場所であり、そこへ出るための扉は今……固く閉ざされている。しかし、今の緑谷なら個性を使えば楽々と外から登って来れるわけで、緑谷はヒューマライズ事件以来、暇があればここで一人景色を見るようになっていた。

 

 学校も、先生も、ヒューマライズ事件での自分を庇ってくれた。A組の全員にも、辛いと吐いて理解をしてくれた。

 

 本当に恵まれている、恵まれすぎている程に。だからこそ……苛まれるのかもしれない。

 

 お前は、過去にあれだけの事をしておいて、ヒーローになれる気でいるのか?人を殺しておきながら、のうのうとまだ普通であろうとするのか?振り払っても現れるモヤモヤを、ここに来て景色を見たら少しは晴れたから、日課のようになっていた。

 

 昼休みに金網を掴みながら、呆けて景色を見て、チャイムが鳴れば授業へ向かう。放課後の間の少しの時間も緑谷は度々ここへ登っていた。

 

「不良生徒はっけーん、何してるの緑谷くん?」

 

 その立ち入り禁止の閉め切られたドアを開き、声がかかった。振り返ればミッドナイトが、相変わらずのヒーロースーツと笑顔で立っていた。

 

「ミッドナイトせんせーー」

「二人だから睡って呼びなさい」

「……睡さん」

「よろしい、学生らしく黄昏てたの?」

 

 ヒーロー名でなく本名呼びを許したミッドナイト、いや香山睡は金網から景色を見る緑谷に、青春してるのかと尋ねて緑谷は力なく笑った。

 

「まぁ……そんなところです」

「いいわねぇ、思い悩んで青臭くて好きよ……それにしても、屋上に来る生徒はいつの時代も現れるのねぇ」

「そうなんですか?」

「私はあそこの貯水タンクで景色を見てたし、イレイザーにマイク……はここを溜まり場にしてたのよ、伝統って感じがするわぁ」

 

 この雄英の屋上は、かつて雄英で学んだヒーロー達が溜まり場やお気に入りの場所にしていたらしい。立ち入り禁止なのに、もしかして先生達も、目溢しして見てないふりでもしてるのかなと思い馳せる緑谷に、香山は尋ねる。

 

「やっぱりまだ、引きずってるわよね……」

 

 らしくない、しおらしい笑顔になった香山の言葉に、緑谷は頷く事も、返事をする事も出来なかった。

 虚勢が分かる黙秘、強がろうと滲み出してしまって、その癖分かってほしい、察してほしいと浅ましさすらも緑谷自身が自覚し、嫌悪したくなる反応をしてしまい、しまったと顔を見せないために香山から顔を逸らした。

 

「ふふ、分かるわ……強がろうとしたでしょ、それでさらにあからさまに当たり散らしたようになって……キミは優しいから嫌悪した……違う?」

「うわぁ……全部言い当てられた……」

「大人としての経験が違うわよ、何年ヒーローやってると思うの?」

 

 決して敵わない経験値、積み重ねてきた人生の差異が緑谷を見抜き、手玉に取る。やっぱり敵わないな、プロと訓練一年目の学生はと痛感する。

 

「けど……緑谷くんは、色々早く経験しすぎたわね……余りにも過剰なくらいに……」

 

 香山は緑谷の左頬に右手を添えて、優しく撫でた。

 

 思い出してしまう。仮免を受かってその後、誘われて身体を重ねた事を……忘れる事はできないから、顔を振ったりして振り払ったりしたがやはりあの時は鮮明に、脳にこびりついてしまって離れない。

 

「甘えたくなった?」

「え、あ、それは……あの……流石に、えーっと……」

「キミってやっぱり溜め込むタイプよねぇ……若い子って大概、一度味わったら何度も翌日も、毎日って感じなのに珍しい」

 

 香山はそう言ってから、顔を耳元に寄せながら緑谷に囁いた。

 

「外出届を出しておくわね……」

 

 その囁きにくらつかない男性っているのだろうか。そして……まだ振り切れず甘えたかったのは事実であった緑谷は、手を振り屋上から立ち去る香山……いや、ミッドナイト先生の背を見て立ち尽くしたのだった。




次回、二度目のミッセンとのエッチ回
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