【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
さて……此度の『超常解放戦線鎮圧作戦』の、ヒーロー側の行動内容と作戦を纏めよう。
まず、この作戦は二箇所で同時に行われる。一箇所目、群訝山荘と呼ばれる超常解放戦線本拠地。そして二箇所目、蛇腔市にある『蛇腔病院』及蛇腔市内全域。
群訝山荘側には、エッジショット率いるヒーロー達が、本日の解放戦線集会に奇襲をかけて鎮圧、逮捕にかかる。後衛のヒーロー、インターン生は、落ち延びたヴィランをさらに逃がさない為の後詰めと言ったところか……。
ただし、雄英高校一年A組から上鳴と常闇の2名、B組からは骨抜と小森は、その広範囲の個性から前線に抜擢、初動での面制圧攻撃を担当する事になった。
そして蛇腔病院……こちらにはエンデヴァー率いるヒーローチームが向かう。そもそも、ここに何があるのか?と言われれば、この病院にはとんでもない物が隠されていた。
脳無の製造基地かつ、研究所だという。
そして、その蛇腔病院の医院長『殻木球大』が、脳無を作り出した医師であり研究者であった。彼は個性に根差した地域医療を掲げ、表向きは優しき名医として活躍。そしてきまぐれのような慈善事業を全国で行っていた。
児童養護施設、個人病院と様々な事業を行う人格者……だったが、その本当の理由は、個性研究と、足のつかない脳無の材料たる人間、研究材料の確保だった。
全ては、タルタロス獄中に居るAFOの為に……彼はAFOの信奉者であり、懐刀であった。つまり……AFOの後継たる、死柄木の協力者……と言っても過言ではない。
エンデヴァー班のヒーローは、その殻木球大の確保が仕事となる。その際、脳無との戦闘も考えられる為、後衛のヒーローとインターン生は避難誘導が仕事となった。
避難誘導だけど思うだろう、しかし黎明以降最大戦力を有したヴィラン組織の鎮圧作戦だ、これでインターン生に死人が出れば大問題なのも分かる。仮免の出来る事を、今できる事を最大限にやる……緑谷はミリオの隣で合図を待つのだが……。
「……!?」
ふと、周囲のヒーロー達の中に……血濡れになったヒーロー達が数人見えた。
まただ、まるでこれから死ぬみたいに、血濡れたヒーロースーツで佇む姿と、普通の姿がフラッシュバックする。
「イズク、大丈夫かい?何かあった?」
「い、いや……何も……」
ミリオに話しかけられて、何でもないと返す緑谷。ミッドナイト先生もそうだったが、これは一体と、背後のヒーロー達も確認する。
やはり……と、緑谷は再認識した。ヒーローの中で、血濡れになった姿が重なる者が居た。そしてはっとなって、クラスメイト達を見た……爆豪も、轟も、口田も障子も、麗日も蛙吹も……血濡れ姿は無い。ミリオ先輩もだ。
バーニンも、サー・ナイトアイも……タカカズも重ならない。
……もしかして遂に……PTSDになったか自分は!?と、ヒューマライズ事件の精神への負担がここに来たかと緑谷は唖然とする。
話題を変えよう、気を紛らわそうと、緑谷はミリオに尋ねた。
「そう言えば……蛇腔病院ってここから見えましたっけ……」
「ああ、あれだね?あの山の麓の大きい建物、そう言えば、たまに大きな病院の立地ってああいった山を切り出したとこにあったりするよね、何でだろうね?」
「あ、あれですか、言われてみれば確か……に……」
その病院を指し示してくれたミリオの指を追って、目を向けた。その遥か先の蛇腔病院……いや、その周囲の山林含めた場所が……まるで臓腑を撒き散らしたように赤く染まっていて、緑谷は唖然とした。
何だ、あれ……そんな言葉が出そうになって、緑谷は飲み込んだ。だから一度目を擦って、そして見直して……消えたと思ったらまた赤く染まり出した。
これ終わったら精神科行こうか、疲れてるんだ、そうしよう。異様な光景を振り払う為顔を振る最中ーー。
「前線が動いた!!」
「総員、出立!!」
バーニンが前線のエンデヴァー班が動いたと言うや、サー・ナイトアイの号令に、ヒーローもインターン生も動きだした!
「区画ごとに分かれて住民の避難!いいね!」
「交通班は俺について来い!交通規制と退路の確保に向かう!」
救助に向かう者はバーニンとナイトアイと共に、その経路を確保する者はタカカズと共に、それぞれ分かれて蛇腔市へ向かうヒーロー達。緑谷も避難誘導の為、他のインターン生と共に飛び出した。
『気をつけろ、九代目……』
「!?」
緑谷はいよいよ幻聴まで聞こえだしたかと歯噛みした……が、そう言えばと思い出す。
幻聴の原因が……自分の中に『居る』事を。
『五代目に続き、私の個性も変異している……攻撃的とは言ったが成る程……こうなるか』
走りながら、思い出すB組との対抗戦。黒爪……歴代OFAの個性が発現し、さらにAFO因子により変異して暴走した時の事を。
『兎も角、あの血肉の景色の範囲には決して近づくな……待っているのは……死だ』
「何だってーー!?」
うちに宿る、何代目かは知らない継承者の警告に思わず、叫んで立ち止まってしまった緑谷。
「緑谷ちゃん、何かあった?」
立ち止まってしまった緑谷に、追いついた蛙吹がどうかしたのかと尋ねる。
「あ、いや……何でもない」
「なら急ぎましょう、止まる暇は無いはずよ」
厳しくも正しい蛙吹の言葉に、緑谷は止まった足を動かす。血肉の景色に踏み込めば死ぬ……継承者の台詞に緑谷は、ならばと考えてしまう。
ならば、それに染まった人間は?ここに居るヒーローの何人か……それに、群訝の方に居るミッドナイト先生は?
心臓が締め付けられ、まさかと嫌な汗が体から滲んだ。緑谷は、考えるのはよせと、少しは楽観視も必要だと自らに言い聞かせながら避難誘導に向かった。