※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

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296話 やつの面影

 死柄木弔が、緑谷出久を移植された個性『サーチ』で確認し、OFAも持っていると『何故か』理解して接敵する為にその方角へ向かう最中……鬱陶しいヒーローの連携をいかにするかとエンデヴァーに追われながら考えていた。

 

「えーっと……ああ、あった」

 

 答えは出た、見つけたと地面に着地して削りながら止まり空へ飛んだ。砂埃を抜けて青空に飛んだ死柄木を目で追うエンデヴァーが、何をする気かと身構える。

 

「さっきの、空気を押し出す+電波……」

 

 移植された数多の個性を掛け合わせて、さらなる能力に昇華する……その手のひらの穴から展開された空気の膜に電波がまといつき、死柄木はそれをエンデヴァーに向けた。

 

「悪いねナンバーワン……あんたは今じゃあない……」

 

 遠くより追走するエンデヴァーへ放つ、空気の衝撃波。その衝撃波と共に電波が乗せられ放たれる、それは死柄木を中心とした広範囲に伝播して、蛇腔市の作戦に参加した全てのヒーロー達に用意されたインカムを破壊した!

 

 ブラックアウトした通信、異音に緑谷はインカムを外して投げ捨て舌打ちする。

 

「おい、クソヴィラン……。今のは!」

「…………」

 

 伝播した空気からか、はたまた近づいて来たからか知らない、爆豪が尋ねて来たが緑谷は黙ったまま飛び続ける。

 

 忘れない……あれは、確かに神野で会った……今は獄中に居るはずのAFOと同じ殺気と気配だった。それと同等の重圧を感じた瞬間ーー砂埃が舞い上がった!

 

 来た、そこに居る!!

 

 緑谷も、爆豪も、そして通形も迎撃体勢を取る。そして現れた姿を目視した瞬間ーー身体が三人とも凍りついた。

 

 白い髪の毛、赤いマントは……目銃(ガンガン)ヒーロー・エクスレスのマントだとヒーローオタクな緑谷はすぐにわかった。

 

「頭の中で響くんだ……手に入れろって……」

 

 身体が砕け散る死のイメージ……あの時は、神野の時は動けた筈だった。今は何故硬直していると、緑谷は怖気を押さえつけながらなんとか動こうとするも動けない。

 

「欠片とは言え、OFAだ……寄越せ、緑谷出久」

 

 動け、動いてくれと体に力を込める。せめてかっちゃんとミリオ先輩だけでも引き離すと、砕け散るイメージの体を繋ぎ合わせて必死に体を動かそうとした最中。

 

「何しとるかぁ!馬鹿弟子ぃ!!」

「はごぉ!?」

 

 右脇腹を蹴り抜かれながら、緑谷は等速直線運動で吹っ飛びながら、その声の主に声を上げた。

 

「し、師匠!」

「通信でOFAと聞いて、嫌な予感がしたよ!お前ら戦うつもりだったか!あれと!!」

 

 右手に爆豪、左手に通形を引きながら緑谷を蹴りで吹き飛ばしながら全員救出して見せたのは、緑谷出久の徒手空拳の師匠であり、かつてのオールマイトを鍛えた男、グラントリノであった。

 

「死柄木の崩壊は触れ合うもの全てを消す!降り注ぐ瓦礫に触れただけで死ぬ!いくらお前ら三人でもどうにかなる相手じゃねぇ!!」

 

 触れた人間や物を壊す……それがここまで広範囲になったのかと、この崩壊による大災害が死柄木によるものと改めて理解して緑谷は戦慄した。それでも、緑谷はグラントリノに言い放つ。

 

「し、しかし……他にヒーローが……というか師匠酷いですよ!めちゃくちゃ痛いじゃないですか!」

「我慢せぇ!頑丈さは俊典くらいあろうが!!」

 

 左右に爆豪と通形を、そして緑谷は蹴り抜いたたまま片足ジェットで距離を離すという器用な逃げ方をする師匠に文句を言うが我慢しろと切り返された。何よりエンデヴァー以外の姿も無し、加勢しないといけないだろうと態度を見せる緑谷に、グラントリノは言った。

 

「ヒーローはまだ、死んじゃいねぇ!!」

 

 否!舐めるな馬鹿弟子!!貴様が来る必要なぞ無いとばかりにグラントリノは続けた。

 

「あれは、残った全員で討つ!」

 

 高速で切り替わる景色の中、緑谷は見た。宙に浮かぶ死柄木に向かう、ドラゴンの姿になったリューキュウが、死柄木をさらに上空へ吹き飛ばしたのを。

 

 そして……明らかに触られたのに身体が砕けないと言う事はつまり……前線に行った相澤先生が、イレイザーヘッドが生きて抹消を使っていると言う事!

 

 生きていた!あの死柄木の崩壊からヒーロー達は生きていた!!その事実に安堵しながら、緑谷はそのまま蹴られた勢いで転がって着地した。

「ここいらでいいか」

 

 死柄木から距離を離したグラントリノが、瓦礫の上に着地して爆豪と通形を下ろした。

 

「すいませんグラントリノ……助かりました……」

「サーのとこの小僧じゃな?お前も無鉄砲な事を……」

 

 この二人は兎も角、先輩のお前まで来るのは無鉄砲だとグラントリノが叱責し、通形は謝った。

 

「爺さん、もっと離れた方がいいだろう」

 

 爆豪はこんな場所でいいのかと、離れるならもっと離れるべきではと進言した。ふと、立ち上がった緑谷は、そう言えば師匠は爆豪を知らないのではと、こんな状況ながらその様な事が浮かんだ。

 

「えっと、師匠……彼は」

「爆豪じゃろ、俊典から話は聞いとる」

 

 オールマイトを伝に知っていたらしい、そして爆豪の進言に対してグラントリノは答えを返した。

 

「ここいらが限度じゃ、奴の移動速度が想像以上に速い、追える者は限られる……通信が封じられた以上、離れすぎは返って奴を自由にさせる!」

 

 あまりに離れすぎれば、OFAのカケラを狙いにまた緑谷を追う。今この場に前線で生き延びたヒーローが集まっているが、もし離れたらそれを死柄木が追いかけて逆に留められるヒーローを引き離してしまう。だからこそ、この場にお前を、お前達を留まらせたのだとグラントリノは言った。

 

「一旦留まらせ、人々から引き離し、イレイザーの視界に入れた!既に十分な成果じゃ……俺はイレイザーの足になりに戻る!」

「師匠……僕たちに隠れていろと?」

「奴は、AFOの個性を移植されたらしい、DJヒーローが言っとった」

 

 DJヒーロー?あ、プレゼント・マイク先生の事かと、正式には『ボイスヒーロー』が二つ名だったので一瞬誰か分からなくなった緑谷だったが、それはさておき死柄木にAFOの個性が宿ったと言う情報に、成る程と理解した。

 

 それで、あの気配を感じたのか。死柄木弔からAFOの気配を……崩壊にAFO……他にどれだけ個性を持っているのか、脳無もそうだが那歩島で対峙したヴィラン、ナインは9つまでだったが、緑谷はエンデヴァーとリューキュウと空中戦を繰り広げる死柄木を見上げる。

 

「欠片とは言え、万が一OFAが奪われでもしたら……最悪を考えろ、馬鹿弟子」

 

 そのAFOと同じ存在になった死柄木弔が、さらにOFAの欠片を手にしたらもう手がつけられないのは分かるだろうとグラントリノは、師として弟子の緑谷を諭した。そして、心配するなとばかりに口端が吊り上がり言い放つ。

 

「なぁに、敵は一人……これを討てねば!何のためのヒーロー飽和時代か!!」

 

 今や敵は死柄木弔ただ一人、バーニンが率いる後衛ヒーロー部隊も合流する以上数では有利!これだけのヒーロー達が集結して勝たねば意味はないと快活な声を響かせたグラントリノーー。

 

 しかし……緑谷も、爆豪も、通形も、そしてグラントリノも聞いた。

 

 さながら獣の咆哮に四人はその方角に首を向け……あ!と全員愕然として口が開くほど驚いた。

 

「あれって……!?」

「な、何故……」

「何で……無事なんだ!?」

 

 それは黒い肌に、剥き出しの脳みそ。姿形はそれぞれ違う……巨人や、狼……はたまた四つ足の異形に翼を生やした個体まで様々……。

 

『脳無』

 

 ヴィラン連合の生物兵器が、何故かこの場に現れたのである。

 

「研究施設は、全て崩壊した筈!何故ここに脳無が居るんじゃあ!?」

 

 グラントリノも、何故だと流石に声を上げた。

 

 死柄木が研究施設を破壊したならば、それに巻き込まれてなければならない、あの蛇腔病院地下の脳無研究所も崩壊で粉々になり、脳無も砕けた筈が、何故ここに現れたのだと。

 

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