【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
「痛ってぇなぁ、おいナンバーワン……手ぇ逆だっけ?後出しで悪いんだけどさぁ……」
相澤消太こと、イレイザーヘッドは目の前の光景に歯を食いしばるしかなかった。左足を負傷して立てない為、同じく前線組のロックロックとマニュアルに肩を支えられ、マニュアルからドライアイによって閉じてしまう目を水分で潤してもらいながら、目を閉じず抹消で死柄木を見続け個性使用を妨害した。
それでも、死柄木は改造されたが故の膂力で持ってエンデヴァーとリューキュウを空中で撃墜し、その体を踏みつけ右手を上げるスタンディングを煽る様に見せつけたのだ。
「どけぇ!!」
体を踏みつける死柄木に炎を放ち退かせるエンデヴァー、そして改めて周囲に現れた脳無達を確認して言葉が漏れた。
「なぜ脳無が……」
こちらに呼び寄せたバーニン含めた後衛の、空を飛べて死柄木の崩壊に巻き込まれないヒーロー達が脳無達に阻まれてしまっていた。対死柄木への戦力が分散されているなか、わざわざ死柄木はエンデヴァーに理由を答えたのだった。
「崩壊を操れる様になったんだ、脳無のカプセルに波及しないよう調整してみたけど、全部は無理だった……」
簡単な話だ、個性が強くなっただけでは無い、操作性もある程度は獲得できたからできた芸当だと。あの神野の黒い脳無達が次々と、ヒーロー達を阻む様にエンデヴァーはギリリと奥歯を噛み締める。
その遠方で、プレゼント・マイクに確保された殻木球大は、この光景に笑いながら言い放った。
「流石友の弟子じゃ!ハイエンドを生かしてくれていたぁ!」
「ハイエンド!?」
脳無にも個体差がある、特段今現れた黒い脳無はプロヒーローですら手を焼いた個体だ。かつてエンデヴァーが九州で討伐した様な脳無が次々とヒーローと接敵して追い詰めていた。
「電波によって誘導電流を発生させたんじゃ賢くなっとる!ただ、彼らはテスト段階には至っておらん、自立思考はできん……しかし!その力は上位以上!差し詰めニアハイエンドと言ったところかのう!」
それを呼び寄せたのは死柄木弔、崩壊を操り病院地下の脳無カプセルに波及を防ぎ、先程ヒーロー達のインカムを破壊した電波で電流を起こして起動させたのだろうと、ただイタズラに破壊するだけから考える様になった事を殻木は褒めたのだった。
「いかん!二体イレイザーに向かいよる!?お前らは隠れていろ!!」
脳無出現により戦況が劣勢に傾く、戦闘の要である死柄木討伐の生命線、イレイザーヘッドこと相澤先生に脳無が向かったのを見て、グラントリノは緑谷達三人に隠れていろと釘を刺した。
だがしかしだ、緑谷出久の頭には先程の言葉が反響してならない。
『最悪を考えろ、馬鹿弟子』
最悪……それは何だ?果たしてそれは、欠片のOFAを奪われる事か?
違う、最悪は……最悪はと思い立った瞬間ーー緑谷はグラントリノの後を追った。
「ジェットバーン!!」
芸の無いと、吹き出す炎を自前の脚力だけで跳躍して回避した死柄木は、宙から呟く。まだ個性が使えない、使えないという事は……イレイザーヘッドが見ているというのは簡単に分かる。
「見てるって事は、見られてる事も考慮しなくちゃな?」
宙から探す、そして見つける、ヒーロー達に支えられこちらを見つめるイレイザーヘッドを見つけた死柄木は着地と同時に一気にイレイザーヘッドへ突貫した!
「邪魔だ!イレイザーヘッド!!」
「死柄木ぃいい!!」
近づく死柄木に、肩を支えていたロックロックが阻むために立ち向かう!その刹那、死柄木から目を離さず腰に携えた短刀を掴み、イレイザーヘッドこと相澤は抜き放ちながら心中で叫んだ。
死んでたまるかと。
俺がやられたら、抹消が無くなれば、死柄木を止めれる個性が無くなる。歯止めが効かなくなる。
死ぬわけにはいかない、死の間際に見る走馬灯が降りかかる。受け持った生徒達の姿が、そして自分を生かして繋いでくれたヒーロー達のためにも。
一年A組を卒業させ、全員をヒーローとして送り出すまで死ねるかと相澤は叫んだ。
「邪魔はお前だぁあああ!!死柄木ぃいいい!!」
ロックロックを通り過ぎ、その手が相澤に向かう、グラントリノも阻む事ができないスピードで!
だが、その手は止まった。
ぐぐん!!と、まるで背後から何かに引っ張られて止まった様な挙動を死柄木は見せた。そしてーー。
「Get!!Over!!Here!!(こっちに来い!死柄木ぃい!!)」
「おお?」
死柄木が引き寄せられる!相澤から引き離されるように!そしてーー!
「せえりゃああああ!!」
「ごぉおぐっ!?」
そこに居た、緑谷出久の左のボディアッパーが、まるで思い出したか!僕が居た事を!!と、刻み込む様に死柄木の胸板に叩きつけられた!
死柄木の胸骨が!肋骨が!一撃で粉砕される鍛えた緑谷出久の渾身の一撃に、死柄木が血を吐いた。
「緑谷!?」
「馬鹿弟子!なぜ!?」
「今の最悪は!先生を失う事です!!師匠!!」
何故来た馬鹿弟子、その問いに即座に返答する緑谷。今の最悪はOFAを奪われる事じゃないと、相澤先生が討たれ、死柄木の個性を自由にさせてしまう事が一番の最悪!だからここに来たと緑谷は叫んだ。
脳無出現でプロヒーロー達が集まらない、戦力が分散し、さらに相澤先生が負けて、死柄木に崩壊を使われたら、ここに居るヒーロー達も巻き添えで死ぬのが見える!
「最悪は……ずっと、ずっと!ここまで僕たちを守ってきてくれた!先生を失う事です!!」
思い浮かぶ、入学初日の体力テストで声をかけて激励をくれた事。USJでヴィランを退治した翌日、辞めようとした所を引き止めてくれた事……死穢八斎會事件で支えてくれた事、相澤消太は緑谷出久にとって、担任の先生に留まらず、この恐ろしい個性でも厳しくも温かく背中を支えてくれた恩師であった。
それを、それを壊すなら死柄木弔!貴様を絶対に俺は許さんと、めり込んだ左拳とは逆の右拳を握りしめ思い切り顔面へ叩き込んだ!
「やれぇ!かっちゃん!!」
「今度はこっちの番だぁ!!」
宙を舞う死柄木に、空から手のひらを弾けさせながら降下する爆豪が死柄木向けて手をかざす!
「APマシンガン!!」
APショットの機関銃が掃射され、死柄木の体を穿つ!しかし、緑谷に砕かれた胸骨から肋骨、さらに先程顔面の一撃により砕かれた鼻骨を修復しながら死柄木は、爆風を腕一本で振り払った。
「花火でもしてんのか?」
そのまま爆豪に向かおうとした死柄木に、再び後ろから引っ張られる感覚が襲う!
「行かせるか!!」
「あぁ?何だお前……何やってんだ?」
死柄木弔は知らない!緑谷出久の個性『脊髄ぶっこ抜き』が、その根底にある本来の『引き寄せ』を顕現させ、体を引っ張っている事に!しかしーー。
「成る程な……ほらよ!」
「なぁあ!?」
死柄木は思い切り前に進んだ、力任せな進行に、緑谷は逆に引っ張られ空を舞う!引き寄せの個性は、概念系であるが、力の作用も自らにフィードバックする!力負けをすれば逆に引っ張られのだ!!
「ごめん、もうキミに興味ないんだわ」
近づく死柄木に、爆豪へかけられた煽りの台詞。しかしーー。
「パァウワァアアアア!!」
「ぬぅあ!?」
真下から突如現れた通形により、死柄木は顎をかち上げらた!さらにーー!
「ぬぅあああああああーー!!」
怒りの熱拳が宙舞う死柄木に叩き込まれ、死柄木が思い切り吹き飛ばされた!エンデヴァーもまた追いついたのであった!
「エンデヴァー!」
「焦凍は!?」
「三人だけです!来てません!!」
吹き飛ばされた死柄木は、そのまま立って地面に線を引きながら止まる。あと一手で阻まれるなと考えながら、並び立つ五人を見ながらいかに攻略するかと考えた。
「足任せたぞ!」
「ああ、絶対こっちに近づけさせんなよ?」
ひとまず要のイレイザーヘッドから遠ざける事はできた、グラントリノはロックロックにイレイザーヘッドの足代わりを頼みながら、死柄木を見て言った。
「身体能力が人並み外れとる……」
「オールマイト並のパワーとタフネスだ……」
「オールマイト並……」
「個性抹消してこれは、凄まじいんだよねぇ……」
ここまで死柄木と継戦したエンデヴァーが評する死柄木の膂力に、それでさっき引き負けて空に飛ばされたかと緑谷は奥歯を噛み締めた。
「目を閉じない限りはその力だけです……なるべく長く保たせます……」
ロックロックとマニュアルに抱えられ、さらにマニュアルの水を操る個性で目に水分を与えられる相澤を見て緑谷は、今になって相澤先生が左足を負傷しているのに気付く、足代わりとはそう言う意味かと。
なら余計に、相澤先生への道を阻む必要があるなと、緑谷は拳に力を込めそして紫色の闘気を滲み出させた。
「イズク、爆豪、それと……」
「ルミリオンです、エンデヴァー」
「分かった、来てしまったものはしょうがない……何故かはいま問わぬ……」
現在の戦力を確認し終え、なぜ来たかの叱責はしないと伝えるエンデヴァーに、死柄木が歯を見せる笑みで突貫してくる!
「イレイザーをサポートしろ!爆豪、ルミリオン!イズクを守れ!!」
エンデヴァーの指示を聞いた緑谷達は、死柄木を迎え撃つため構えた。