※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

412 / 697
301話 7th Morphing

No.5 化け物(ヒーロー)

 

 貫かれた師匠を見て、緑谷は絶叫をあげた。ぐったりと死柄木の掲げる右腕は血に染まり、死柄木が腕を引き抜けばその足元に力無くグラントリノは倒れ伏す。

 

 信じられない光景だった、呆気なく、何の前触れも無しに……自分を鍛えてくれた師匠が、オールマイトを鍛え上げた伝説のヒーローが……簡単に命を散らす。

 

 さしものエンデヴァーや、イレイザーヘッドとプロヒーロー達もその光景は信じられぬと唖然とするしかなかった。それ程までの力か死柄木弔、倒れ伏すグラントリノを見下ろして、それから緑谷を見て死柄木は笑った。

 

「おいおい、酷い顔だなヒーロー……何て顔だ、笑おうぜ?ほら、こうやって……」

 

 見せつけるように、煽るように、右手のグラントリノを貫いた手に付着した血で、死柄木は自らの口元に線を引いて見せる。血化粧による笑顔に、緑谷はそれだけで怒りの琴線が全て切れた。

 

「貴様ぁぁあああああ!!」

「ああ!いい顔だなぁヒーロー!!最高な怒り顔だぁ……ならさぁ、こうしたらもっと、その面歪むかなぁ!!」

 

 足元のグラントリノの頭部に右足を乗せ、踏みつけるそぶりを見せて更に死柄木は煽った。もうこれだけで罠と分かる、わざと煽っていると。

 

「待てイズク!!行くなぁ!!」

「戻れイズク!!」

 

 狙われてるのはお前だ!行くんじゃない!!爆豪が普段のクソヴィラン呼びを忘れるくらいには、緑谷の怒りは焚き付けられていた。凄まじい速度で踏み込んだ緑谷が、死柄木の顔目掛け拳を振り上げる!

 

 それに追いすがり爆豪が、そしてエンデヴァーが止めに向かう!

 

 それが狙いだったとも知らずに。

 

 死柄木はポケットを弄り、赤い小さな注射器の様な容器を左手に握りしめて、向かって来た緑谷の一撃を回避した。

 

 そしてーー追いすがり止めに来た爆豪も、エンデヴァーも無視して、その横を掻い潜る。

 

 この土壇場で、三人を無視して掻い潜った先には……イレイザーヘッド!!しまったと、振り返って気付いた時には通してしまった事実に緑谷は、自らが招いた事態に唖然とした。

 

「ここは通さない!!」

 

 しかし、その失態をカバーするとばかりに、通形が死柄木を阻む!

 

「ああ、お前?もういいよ?」

「な!?」

 

 阻んで、それで、ただ手を振るって退かされた。通形ミリオは確かに強い、実力ならはやがてNo.1ヒーローに至る存在だ。しかし彼にも弱点はある……。

 

 透過という個性の絡め手で戦う彼ではどうしようもない、フィジカルは常人の域を出ない。

 

 だから本当に、振り払われた通形はそのまま死柄木を通してしまった!

 

「ぬぅあぁあああ!!」

 

 しかし、まだヒーローは居る!リューキュウがここで意識を取り戻し、その変異した竜の手で死柄木を握りしめる様に阻んだ!!

 

「ぐぅう!?」

 

 だが、そのリューキュウの手のひらを貫通する死柄木弔の腕!!リューキュウは両手で掴み上げて死柄木を逃すまいと阻んだ。

 

「死柄木ぃいいいい!!」

 

 そしてついに!!緑谷出久が死柄木弔に追いつき、その頭部と頸部を鷲掴みにした!!

 

「よくも師匠を!!絶対に許すものか!!その脊髄、ぶっこ抜いてやるぅうううううう!!」

 

 このまま脊髄ぶっこ抜いて終わらせてやると!その両手に力が入る!!死柄木の首の皮膚が、筋繊維が!ミチミチと音を立てて千切れていく!しかし、同時に阻むかの様に超回復で繋ぎ合わせようと治癒を始めていく!!

 

「俺は……誰も……許さない……」

「吐かせぇええ!!」

 

 師を失った怒りと悲しみから、緑谷出久は周りが見えていなかった。ただこいつだは殺してやると、ヒーローの領分すら忘れて脊髄をぶっこ抜くことに執着した。

 

 だから、今さっき横を抜かれたのに……相澤先生が危機に瀕したのも忘れて。そして今も、ただ死柄木を殺すしか頭に無かった。嗚呼、だからこそ……そこにまで気付かなかったのだ。

 

「!?こいつ、消失弾を!!」

「え!?」

 

 リューキュウの声でやっと気付く、死柄木弔の狙いに。

 

 普段の緑谷出久が冷静だったら、どこかで気付けたはずだ。血化粧の煽り、ポケットを弄った瞬間、そして一度阻まれながら何故ここまで無理矢理に死柄木が突貫して来たのか?

 

 最初からそうだったじゃないか、緑谷出久。相澤先生、イレイザーヘッドこそ、この戦いの要、それは自分の中のOFAの欠片を奪われるよりも重要だと、自分で言った筈なのに。

 

 気づけた筈だ、緑谷出久。

 

 だがもう遅い、ヒーローの領分を、本質を忘れた男へ天罰が降る!

 

 リューキュウの手を貫き、オールマイト並みの超パワーを有した死柄木の指から弾かれた、個性消失弾。目で追えない、引き寄せれない、阻めないそれは……イレイザーヘッドの右足に命中してしまった。

 

「せんせぇぇえーーーーー!!」

 

 緑谷出久の叫びが再びあがる、しかしイレイザーヘッドは……相澤消太という男は合理的な男。個性消失弾は死穢八斎會の時に知っていた、リューキュウがそう叫んだから死柄木が放つのも理解していた。

 

 それならばと、薬品が回る前に!イレイザーヘッドは右足に小刀を振り下ろし、切り落として薬が回るのを防いだのだ!死柄木弔の崩壊は、埋め込まれた個性に対処するには、自分しかいないから!

 

「かっこいいぜイレイザー……とは言え流石に……」

 

 だがその一瞬、痛みだろうが体勢を崩した故だろうが、その一瞬だけでも死柄木から目を離してしまった!!その一瞬で!!

 

「ぐぅああ!!」

「うぁあああ!!」

 

リューキュウと緑谷は、死柄木の一瞬を突いた衝撃波により引き剥がされた!!

 

「ようやくクソゲーも終わりだ!!」

 

 歓喜の叫びと共に、相澤へ飛びかかる死柄木!弾かれた緑谷は焦燥から即座に手を伸ばす!

 

「Get!OverHere!!(そっちに行くなぁ!!)」

 

 死柄木へ引き寄せを行使した緑谷、その願いにも似た叫びが通じたか、確かに死柄木は止まった。たが……その指は確かに顔に触れ、その指の力だけで相澤の顔に爪傷のように顔を傷つけた!

 

 目が閉じる、まずい、その最中相澤が刹那に見たのは、吹き飛ぶ死柄木だった。

 

 強大な氷塊が、死柄木を貫いて引き離したのだ。

 

「先生!!」

 

 この窮地に……現れたのは轟焦凍だった。彼は緑谷や爆豪、通形が離れた後を追跡していたのだ。そしてこの窮地に辿り着いて参戦したのである。

 

 死柄木は思い出した、ああそう言えばと、ついて来ていたなと……だが今更1人増えたところで、イレイザーヘッドの抹消を止めた以上何も意味はないと、右手を氷塊にかざし崩壊させようとした瞬間!!

 

「うぁああああ!!」

「ごぉぶ!?」

 

 その氷塊を打ち砕き、現れた緑谷出久が死柄木の胸部を殴り抜き、吹き飛ばした。

 

 殴り抜き、吹き飛んだ死柄木。そして砂煙が舞い上がる中でゆっくり立ち上がる。歯を食いしばり、涙を流す中背後で声が聞こえた。

 

 止血を急げと、その声は相澤先生のドライアイを潤していたマニュアルの声、そして視界の端で倒れ伏した、師匠グラントリノに、爆豪と通形がそれでもと意識の有無の確認と止血を図っている。

 

 涙が止まらない、不甲斐ない、仮免のヒーローだからなんて言い訳にしたくない、これは……自分が招いた景色だと緑谷は死柄木を睨みつける。

 

「守った先に何がある……必死に先送りしても……待ってるのは破滅だけ……」

 

 勝ち誇ったように、その両手を見せつけるようにゆっくりと、死柄木は地面に下ろしながら言った。

 

「死ね」

 

 それを見た瞬間、緑谷は飛び出した。触れたら終わりだ、緑谷がすべきだった事は『人形操りの糸』なり、引き寄せで死柄木を空に浮かせる事だった。そんな判断すらできない怒りから、走り出した緑谷はまた間違いを犯した。

 

 けれど、その間違いを、間違いにしない為にと、声が緑谷の頭から聞こえた。

 

『全く、世話の焼ける馬鹿弟子じゃて』

 

 何故か聞こえた、グラントリノの、師匠の声。そしてーー。

 

『ごめんなさい、九代目……私の孫を、転狐を止めてあげて』

 

 女性の声だった。

 

 緑谷は思い出す。オールマイトが言っていた、死柄木弔は元々、オールマイトの先代OFAの継承者、志村菜奈の孫だと。その2人の声が聞こえた瞬間ーー。

 

 緑谷出久の両足の脹脛から骨が飛び出し、火を吹き一気に加速した!!

 

「死柄木弔ぁあああ!!」

「なーー!?」

 

 いかに緑谷出久が、鍛え上げ、OFAの欠片により身体能力が底上げされようと!あまりに遠すぎた間合い!決して到達できぬ、拳が届かないはずの距離を詰めて来て、死柄木弔の手は地面に触れず、顎をかちあげるように殴り抜かれ上空に殴り飛ばされた!!

 

 一瞬で切り替わる景色に死柄木は、一体何をされたのかと驚愕する。そして、落下するはずの身体が自分の意思に関係無く浮遊する中で、その眼前に現れた緑谷の足を見て歯を見せ笑った。

 

「何だよおい、それ……俺と同じ化け物みたいだなぁ?」

 

 その嘲るような問いかけに、緑谷出久は涙を流しながら返した。

 

「ああそうだ、僕は……お前を倒す為にAFO(悪)から生まれて来た!!化け物(ヒーロー)だ!!」

 

 その為にこの力が、姿を変えて現れたのだろう。

 

 それは本来『浮遊』という、OFAの七代目継承者、志村菜奈の個性!

 

 しかし!緑谷出久の中にある、AFO因子が!個性を捻じ曲げてその有様を変異させた!まるで、自分を鍛えてくれた師匠、グラントリノの個性『ジェット』の様に!

 

 因果はここに集ったとばかりに現れた、緑谷出久の新たなる個性!!

 

7th Morphing 『バーニア』

 

 緑谷出久の脹脛から飛び出した骨が変形し、火を噴きその肉体を浮かせていた。




7th Morphing

浮遊→バーニア

身体の腕や足から飛び出した骨が、バーニアに変形して空を飛び、高速移動する事ができる。また、その噴出される炎は攻撃に転用可能。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。