※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

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302話 与えられた物と、借りた物

「通形先輩が帰ってこない……それどころか緑谷くんに爆豪くん、轟くんとも繋がらない……一体どうしたというのだ!?」

 

 同刻、蛇腔避難区域は後詰のヒーローによる避難民の移送で護送車が出発しては戻って来てを繰り返していた。忘れ物だと飛び出した緑谷に爆豪、引率だとついて行った通形が戻らず、さらに着いて行った轟まで戻らない事態に飯田は心配していた。しかも通信が繋がらないのは何故だとインカムの反応が無い事に、傍で老人の様子を見ていた蛙吹が答えた。

 

「恐らく、何らかの個性で一定の範囲が音信不通にされたようね……」

「やっぱ、私たちも追いかけていくべきじゃ……」

 

 敵の個性か、何か災害があって通信妨害されたと見ていいだろう。他に参加したヒーローたちの通信も同じ様な状態らしい、そして通形先輩含め戻らない緑谷達が心配になった麗日は、私たちも行くべきではないかと飯田に進言した。

 

「ちょっと何……このニュース!?」

「どうなってんだよ……、この国!!」

 

 その最中に、飯田達の近くで若い男性が何やらスマホを見て驚いていた。今現在通信が絶たれているが、民間の情報なら入るのかと飯田が近づいて尋ねる。

 

「聞かせてください!」

「あ、ああ!」

 

 飯田に尋ねられた男性は、即座に動画をワイドにしてから聞き取りやすい様に音量まで上げてくれた。そこで飯田達はようやく知る事になるーー。

 

『該当地域にお住まいの方は直ちに避難してください!繰り返します、現在超大型のヴィランが、和歌山県群訝山から、京都府蛇腔市まで真っ直ぐ北上しておりますーー予想進路は……』

 

 群訝山……つまり、もう片方のヒーローチームが、インターン組がいる場所である。その場所からヴィランがまっすぐ、蛇腔市まで向かって来ている……それはつまり、作戦失敗を意味していた。

 

 

 

 八百万達、エッジショット班インターン組は……ただ断崖からギガントマキアの進んだ跡を見ていた。

 

 ミッドナイトによる眠り香、用意した麻酔薬、それらで眠らせにかかったギガントマキアは……眠る事無く進み続けている。

 

「障子、ヒーロー達は?」

「遠すぎる、確認できない……」

 

 瀬呂は障子にヒーロー達がどうなったか確かめる様頼むが、障子の複製腕を伸ばした先に作り上げた目でも、ヒーロー達の被害を認知する事はできないくらいに離れていた。

 

 あの後、進み始めたギガントマキアの侵攻から、インターン生のみが遠くへと移動させられた。それができたのは、八百万がヒーローインターンで師事したヒーロー、マジェスティックの個性によってだった。

 

 マジェスティックはインターン生に個性を使い、被害を出さない様に退避させたのだ。『マホウ』という、輪状エネルギーを作り出し物体を持ち上げる個性で……。

 

『キミ達の決断と行動は!間違いなく正しかった!!これから何が起きようとも、それだけは確かさ!!』

 

 八百万の目に、耳に、しっかり映って聞こえてしまったマジェスティックの最後。彼に飛ばされて安全圏に運ばれてから、その場所で土煙が上がった。

 

「なんて事……」

 

 土を握り締めながら八百万は言葉を絞り出す。あれだけ準備をして、そして足を止める事ができて、ミッドナイトも間に合った……それでも理不尽にあのヴィランは、もう追いつけない場所へ行ってしまった。

 

「ミッドナイト先生の眠り香が、効かなかったなんて……」

「これから、どうしたらいいノコ……」

 

 インターン組に漂う無力感、頼れるヒーロー達の安否も分からない。大型ヴィランは取り逃してしまった、このまま立ち尽くす他無いのかとなる中で、声を上げた者が居た。

 

「助けよう……」

「え?」

「おいら達でヒーロー達を助けよう、安否確認して……動けるヒーローが居たら手伝って貰って……まずは動こう、立ち尽くしてたらいけねぇよ……」

 

 峰田がそう言った、ヴィランが去ってしまった今追いつくのが無理ならば、まずは戦ったヒーロー達の安否と救助からだと。そこからは、動けるヒーロー達にも手伝って貰って……兎に角動こうと峰田はもぎもぎを引っこ抜いて崖に付けて降り始めた。

 

「……だな、このまま立ち尽くすのは駄目だ、とりあえず動いてプロヒーローを助けよう」

「現状の、私たちでやれる事からやろう、ヒーローとして」

 

 たった一つの行動で、意識や空気は切り替わる……峰田に続けと鉄哲や拳藤も賛同して、ヒーロー達が戦っていたギガントマキアの通った後に向かう。

 

 最初に言い出した峰田は、崖から降りて走り出しながら思う。こんなの詰みだろうと、ミッドナイト先生の眠り香が効かない巨大なヴィランが止まらなかった。ヒーロー達は負けて前線がどうなったかも通信が絶たれて分からない。

 

 なら諦めるか?その言葉が過ったが、ある背中が脳裏に映って、その言葉をすぐに捨てた。

 

「緑谷なら諦めないよな……」

 

 緑谷なら、例えこんな絶望の景色でも諦めないと、兎に角峰田は走り出した。

 

 それでも、それでも突きつけられた結果は残酷だった。やはり助からなかったヒーローも居た、だけど……後少し遅かったらとなっていたヒーローも居て命を繋ぎ止めた。

 

 インターン生の救助活動は、決して無駄ではなかったのだ。

 

 

 

「そうか来とるかぁああ〜はぁはぁははははーー!」

「五月蝿い!!」

 

 一方蛇腔にて、プレゼント・マイクはヴィラン連合協力者にしてAFOの懐刀『ドクター』こと、殻木球大を警察に引き渡していた。その最中にギガントマキア侵攻の報せを聞いて、笑い始めたのだった。

 

「病院への急襲!確かに完封じゃったよ!さすがはヒーロー見事なものよ……だが、ただ一手!死柄木の目覚め!この一手で全てが覆ったあーはーはーはははははは!!」

 

 狂笑にプレゼント・マイクが青筋を浮かべながらも耐える、だが殻木は話し続けた、ヒーロー達の、ヒーロー社会の崩壊はもう免れないと分かった勝利宣言とばかりに。

 

「ギガントマキアは主のために生き、主のために死ぬ厄災!これを模し、脳無という兵が生まれた!王には兵が必要じゃろう?強き兵が!マキアが動いた以上!破滅は免れないぞ!死柄木が!ヒーロー飽和社会を、崩壊させるぅううう!!」

「おい!もう連れてけ!!」

 

 警察官から護送車に押し込まれていく殻木を睨み続けたプレゼント・マイクは、舌打ちして自分も戦線に加わる為背中を向けた。

 

「ああそういえば……元気かな、緑谷出久くんは?」

「は?」

 

 生徒の個人名が、殻木から出て来てプレゼント・マイクは足が止まった。

 

「知らん様だから教えといてやろう……お前さんらが雄英でヒーローとして育てている緑谷出久くん……あやつもワシの実験体だったんじゃよ、まぁ……実験凍結でそのまま野に離していたままじゃったが……まさかそうとも知らず雄英でヒーローを目指しておるとはのぉ!!」

「何だ、そりゃあ……」

 

 そんな話は聞いてない、知らない……そんな事実がと目を見開くプレゼント・マイクに殻木は最後に言い放つ。

 

「奴には子どもの頃に、死柄木と同じAFOの因子を射ち込んでおる、やがて奴も死柄木同様!同じ道を辿るだろうて!!あーはーはーはーははははははは!!」

 

 それを最後に、殻木球大はようやく護送車に押し込まれた。

 

 

 

 上空に、脹脛から飛び出た骨が変形したバーニアの火で対空する緑谷と、『人形操りの糸』により身体を引き上げられ、吊り上げられた死柄木が対面する。

 

 それを見上げる爆豪、轟、通形、エンデヴァーは、突如緑谷の個性から逸脱した力が現れたという事態よりも、そんな事よりと爆豪が声を上げた。

 

「待てイズク!!冷静になりやがれ!!お前が一番、そいつに近づいちゃいけねぇんだぞ!!抹消はもう、消えてんだぞ!!」

 

 相澤先生が傷を負い、抹消が封じられた今、さらに緑谷のOFAの欠片まで奪われたら終わりだ、離れなければならないと叫ぶが、緑谷は聞いてすらいなかった。

 

「まずい……イズクの野郎、ブチギレてやがる!!」

 

 その反応から、幼馴染で一番長い期間長くいた爆豪だからこそ分かる。緑谷出久がブチギレたと。

 

「仲間の忠告聞いてやれよヒーロー、まぁいい、ここで今までの借りを返して、あの世に送ってやるよ!さっきのジジイと同じようになぁ!!」

 

 それを好機と見た死柄木、さらにら怒りを煽る様な言動に、その喧嘩買ってやるよと緑谷も右手を振りかぶる。

 

「バーニア展開……チャージ!!」

「あぁん?」

 

 緑谷の右前腕が、肉が裂け骨が飛び出て変形していき、噴射口が出来上がる。その噴射口からジェットエンジンじみた起動音が鳴り響き、熱を蓄えていくのを見て死柄木は目を見開いた。

 

「模倣・赫灼熱拳……JET!バァアアーーン!!」

「なにぃ!?」

 

 ズドォオオン!!と鳴り響く大砲の様な発射音と共に緑谷の右手から放たれたのは、火柱!!しかしただの火柱では無い!!凝縮された熱線が死柄木へ放たれ、死柄木の右肩を貫通した!!

 

「ぬぅうぁあぁあああ!?」

 

 さながらそれはレーザービーム!死柄木の右肩には背面の景色が映る穴が開けられた!

 

「いくら穴を開けようが!俺には超回復がーー」

 

 叫びはしたが、穴くらいすぐ塞げると宣う死柄木。しかしーーその穴が塞がれた瞬間。

 

「ぐはぁあ!?」

「!!」

 

 死柄木の肉体が『割れた』右肩の塞ぎ切った穴から亀裂が入り、さらに胸元まで皮膚が裂け筋繊維が剥き出しになる!

 

 馬鹿な、とは死柄木は口に出さなかった。何故だと即座に思考して口から言葉が出るのを堰き止めた、確かにイレイザーヘッドの抹消は消えた、超回復の個性が働いているのも実感がある。

 

 だが何故身体が悲鳴をあげた?確かに強化された肉体の超パワーで動いていたが、改造に改造を重ねたこの肉体に限界は無いはずと考え、ふと思い出して死柄木は口に出してしまった。

 

「今、何月何日だ……?」

 

 そうだ、今さっき起きて、今何ヶ月経過している?ドクターから言い渡された改造期間は確か『四ヶ月』だった。まさか……経過してないのか!?それならこの現象に合点が行くと、死柄木は緑谷を見た。

 

 緑谷の瞳が赤く光る、個性の限界か肉体の限界か、エンデヴァー達プロヒーローが死柄木を追い詰め、後少しだとその予兆を緑谷は感じ取っていた。

 

「貴様をここで、終わらせる!!」

「ちぃいい!!」

 

 攻守の逆転、回復を維持して全快したい死柄木と、殺し切ると決めた緑谷。死柄木は引き寄せで身体を浮かされてはいるが、ある程度の自由は肉体の超パワーである程度自由に動けた。だから腕を振るい横跳びに移動したのを見て、緑谷は握り拳を解き指を伸ばす!

 

「伸びろ黒爪ぇ!!」

「なっ!?」

 

 指先が破裂して放たれた鋭利な黒爪が死柄木を追い、切り刻みにかかる!まるでそれは、死柄木の先生『AFO』の使っていた『黒鋲』そのものであった。

 

「おいおい、先生の真似すんなよパクリ野郎」

 

 四方八方から襲い来る黒爪は、確かに鋭利だが頑丈では無い、向かって来た爪を殴り抜いて破砕していき、粉々に砕け散っていく。

 

「あ?」

 

 が、真正面に居た緑谷が消えたのを見て、サーチを即座に使用した瞬間ーー。

 

「もう一度ぉ!!JET!!バァアアーーン!!」

「くぁあ!?」

 

 背後に回り込んでいた!即座に身体を捻り回避する死柄木、もしも当たっていたら頭部が消し飛んでいたと、焼けた髪の匂いに舌打ちした。さらに追撃で逃さぬと緑谷の脹脛からバーニアが火を吹く!

 

「ブーストイーヴルシュートォ!!」

「がはぁあ!!」

 

 薙ぎ倒す様な回し蹴りが死柄木の側頭部に叩き込まれ、頭蓋にヒビが入る!!ここまでヒーローを追い詰め、破壊して来た死柄木弔に、最後の時が近づいて来たのであった。




模倣・赫灼熱拳 JET・バーン
・個性、バーニアにより模倣したエンデヴァーの必殺技。緑谷のバーニアにより発生した火炎はエンデヴァーや轟焦凍よりも低い、しかしその凝縮された火柱は最早レーザービームであり、貫通力や射出速度ならば2人を凌駕する。

所詮借りた力、模倣の偽物の拳、されど敵を撃ち倒すにはこれで十分である

ブーストイーヴルシュート
・バーニアの力を乗せた蹴り、元ネタはウルトラマンジード 、ソリッドバーニングスタイルの、ブーストスラッガーキック
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