※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

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303話 憧れと妬みと過去と

 鍛え上げて来た肉体と、分たれたOFAの欠片による身体能力底上げ。そこへ更に発現した変異個性バーニアによる火力の向上……それだけ詰め込んでも、それだけ借りても、それだけ託されても……!

 

「終わらせるだっけか?終わらないなぁ、緑谷ぁ?」

「くぅう!?」

 

 届かない!死柄木弔の命に!まだ一つ届かないのだ!!攻撃を当てて骨を砕いた感触も感じた、穴を開ける熱線を当てても!死柄木弔が止まらない、再生する!!そして奥の手である脊髄ぶっこ抜きは通じなかった!

 

 ジリ貧だと分かっている、キレていたがようやく頭が冷えた中で緑谷があと思いつくのは……。

 

『変身』しかない。

 

 変身すれば、確かに死柄木まで手が届くかもしれない……不確定だが、制限時間がある……その後は個性がしばらく使えなくなる無防備状態になる!

 

 後を考えるな、やれ、残り99.9秒で!!緑谷は腰元に手を当てた。黒い得体の知れない触腕がベルトを形成していき、駆動音を響かせる!

 

「変身!」

 

 ベルトを中心に緑谷へ纏わりつく触腕!それが皮膚を、鎧を形成して化け物の姿へと作り変えた!

 

「はっ!そんなんでヒーロー名乗ってんのかよ!鏡を見た事ないのか、お前……脳無となんら変わらないぜ!」

「知るかぁああああ!!」

 

 くぐもった声と共に、黒き化け物の鎧に身を包んだ緑谷が死柄木を引き寄せ殴り抜く。その衝撃波が、爆豪達が見上げる地面までも伝わった。

 

 

「情け無い……今あそこに居るべきは……俺だろうが!!」

 

 緑谷の戦いを見上げながら、焦凍の氷で今は身体を冷やすしかないエンデヴァーは、自分の情けなさにそう呟いた。No.1プロヒーローとして、なぜ自分があそこに立ち戦っていないと、なぜ自分が見上げるしかできないのかと。

 

 インターン生のまだ一年に任せるしかないこの現状だが、今は籠った熱を冷ますしかないと焦凍の出す氷を掴み、熱を逃して機を見る他無かった。

 

 焦凍も同じだ、助けてやりたくても、今は何もできない。緑谷が引き寄せで空に死柄木を繋ぎ止め、エンデヴァーが復活する為冷やすしかできない状況に歯噛みする。

 

「頑張れ……緑谷!」

 

 持ち堪えてくれと、後少し待ってくれと、化け物の姿になって戦う緑谷に絞り出す声で轟は応援を送る。

 

 そして……。

 

「ぐくぅう……!」

 

 歯を食い縛る爆豪もまた、見上げるしかできなかった。お前は餌だと言っておきながら結局死柄木は見向きもしない、それどころかNo.1の代わりに今、最強のヴィランと対峙して渡り合っている。

 

『大丈夫、かっちゃん?』

 

 あの日、ヴィランに襲われたところを救われて、手を弾いた。その時から……いや、それよりも前からだった……。

 

 爆豪の目にはいつだって、緑谷出久の背中が見えて仕方がなかった。

 

 遠い、遠い、遥か先に緑谷出久は居た。

 

 

『ヒーローカード狩り?』

『うん、キラカードをうばってるやつらがいるんだって』

 

 小学生の頃、折寺の地元でいつもの集まりの中、自分の取り巻きからそんな事を聞いた。ヒーローチップスのレアカードが高値で売れるから、子どもたちから奪う不良が居ると。

 

『へん!そんなやつおれのばくはでけちらしてやるよ!』

『だよね、かっちゃんつよいもん!』

『おれもきたらたたかう!まけるもんか!』

 

 個性が発現した万能感、周りが皆自分のヒーローのようなかっこいい個性に憧れて、そのリーダーとして頼られる多幸感、この個性があれば誰にも負けないって思ってた。

 

『お、オールマイト持ってんじゃんこいつ!5万ゲット!!』

『やっぱ金になるよなぁ、ヒーローカード狩り!』

『また上納よろー、ガキども!!』

『か、返せ、俺のカード、返せよぉ!』

 

 中学生と小学生、個性があっても勝てやしない、力の差は歴然で……ただ倒れて泣くしかなくて。その筈なのに……。

 

『かっちゃん……取り返したよ……カード……』

『え……』

 

 夕方、自分と相手の血に塗れて、緑谷はカードを取り返して来た、今まで奪われた、売られた分まではダメだったがそれでも、緑谷はたった1人で『中学生を二度と悪さできない体にして』取り返して来たと言った。

 

 それが、あまりにも、今の情け無い自分と違ってカッコよくて、爆豪はカードを持つ手を払った。それでも緑谷は、また拾って爆豪に渡して足を引き摺りながら家に帰って行った。

 

 爆豪勝己は知っている……。

 

『緑谷出久は、どこまでもヒーローな奴』なんだと。

 

 弱きを助け、強きを挫き、その為ならば誰に後ろ指を刺され何を言われようと、助けを呼ぶ声あれば駆けつける。化け物の個性な癖に、ヴィランの個性な癖に、その根っこはヒーローそのものだ。

 

 だから妬んだ、恨んだ、馬鹿にした。オールマイトに憧れながら、その力を手にしても追いつけなくて、必死に追いかけてまた追いつかれた。

 

 それは今も変わらない……けど、そんな幼馴染の憎たらしくて……『憧れた男』は今、窮地に立たされていた。

 

「駄目だ、このままじゃ負ける……」

 

 爆豪勝己は、緑谷の戦況にそう呟いた。

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