【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
「負けるって、押してるように見えるけど……」
緑谷が負ける、相澤の手当てを行っていたマニュアルが爆豪から出て来た敗北の道筋が見えた理由を尋ねた。
「よく見ろ!死柄木の野郎、攻撃を受けつつも捻ってダメージを流してんだ、傷もさっきより消えてる……イズクは対人相手なら徒手で負けねぇが、俺や轟やエンデヴァーみたいな大技は持ってねぇんだ!!」
緑谷出久は確かに強い、対人戦闘における徒手空拳ならば最早、プロでも肉薄できるヒーローが居るかも分からない。だがしかし……あの様な超回復や再生に追いつく高威力の個性を有してはいないのだ。だから、こうして繋ぎ止めるまでしかできない。倒し切るほどの一撃を、必殺技を、緑谷出久は持っていないのだ。
「そうなると消耗戦だ、今あいつは……身体能力を底上げできる切り札も切ってあれだ、それを使っても死柄木の再生に追いついてねぇ!あと数十秒で、個性使えなくなって、奪われて粉々になって終わりだ!!」
そして訪れる終わりは、緑谷出久が死柄木に個性を奪われ死ぬという幕引きになる。そんな事はさせるかと、爆豪は轟の方に向いて言い放つ。
「轟、俺に掴まれ!」
「何をする気だ!?」
「うるせぇ!エンデヴァー、上昇する熱は俺が肩代わりする!轟はエンデヴァーをギリギリまで冷やし続けろ!!」
爆豪の立てた策を、エンデヴァーは即座に理解した。
「俺の最高火力をもって……一撃で仕留めろという事か……!!まかせろ!!」
エンデヴァーは立ち上がって、爆豪の背中に回り肩に手を回した。そしてエンデヴァーの手に轟が右手に触れて、エンデヴァーに冷気を流し込み冷やしはじめた。
「そんな、子どもに……」
相澤の救護にあたっていたロック・ロックも、これ以上インターン生をさらに使うのかと言いかけた。
「先生達を頼みます!」
だが、轟から頼まれてその先は言えなくなった。何を今更と、今の状況で、死柄木を止めれる力を持ったヒーローは、それこそプロの自分達以外でインターン生しか居ない。
そして……ロック・ロックはすでに認めている。彼らをヒーローと認めている!
「……ああ、任せろ!」
託すしかない、彼らに。その返事と共に爆豪は手のひらを起爆して飛翔する。戦い続ける緑谷の元へ!
「緑谷が死柄木を殴り飛ばしたところを狙う!俺が出たら二人はすぐに離れろ!!巻き込まれるぞ!!」
最後に二人へ忠告だけして、エンデヴァーも集中する。
近づいて来る緑谷の姿に、爆豪は歯を食いしばった。ああ、本当にお前はどうして、そんな個性で、姿まで化け物になって……ヒーローを目指して、そして本当になろうとしているんだ。そこまでしてお前はなりたかったのかと言いたかったが……自分もそうだからと歯を食い縛る。
「イーヴルストラァアアアイク!!」
「ご……がぁあ……」
思い切り腹を蹴り抜く飛び蹴り、離れていく死柄木。それをさらに引き寄せようと手をかざした瞬間ーー。
「あーー」
変身が解けた……個性が使えない、鎧が砕け散り自身の姿を晒す緑谷。
「いまだぁ!!」
そのタイミングで、爆豪はエンデヴァーを投げ飛ばし、エンデヴァーは蹴り抜かれた死柄木を身体で受け止め羽交締めにした。
「エンデヴァー!?」
「テメェ!?」
「離れろぉ!!」
自由落下していく緑谷にそう言うや、エンデヴァーは一気に自身の体の炎を解放して叫んだ!
「プルス・ウルトラ!!プロミネンスバァアアーーーーンッッ!!」
九州で脳無、ハイエンドを焼き尽くした獄炎の奔流が衝撃波すら放ち空で燃え上がり死柄木すらを焼き尽くしにかかった!
「ぬぁあぁああああーーーああ!?あぁああああああああああーーーー!!」
生きたままその身を焼かれ、再生しても追いつかないその痛みは想像を絶する。さながら断末魔の様に上がる死柄木の叫びが、蛇腔中に響き渡る。
薄れゆく死柄木の意識、もうここからの逆転の術なぞ無い、その白む景色の中から、黒い奔流が現れた幻影を死柄木は見た。
『身体を貸してごらん?』
その声を聞いて、死柄木の意識はまるでテレビの電源の様に落ちたのだった。
「「エンデヴァー!!」」
信じられない物を見た、爆豪も轟も、その光景を信じられるかと否定したくて叫んだ。炎が消え去り、血を吐き、エンデヴァーが落下しながら呟いた。
「何故……死なん……!!」
最早骨まで炭化した死柄木だったかすらも分からない肉体、その背中から飛び出た黒く、赤いラインの入った針が、エンデヴァーを貫いたのだ。
忘れるはずが無い……あの針は、あの黒い針は……!!
AFOが使っていた『黒鋲』!!
それが背中から飛び出して、目も瞼も口も焼けこげた顔で、落下する緑谷を見て、死柄木は言った。
「お、と……うとぉ……」
その言葉と共に、死柄木の指から黒鋲が飛び出す!空に浮いたまま、変身による反動で個性を封じられようが、緑谷はそれを迎え撃つ気でいて……。
「一人で……勝とうとしてんじゃ……ねぇ……」
だから……突然体が弾かれた感覚に驚き、そして……目の前で自分の代わりに貫かれた爆豪を目にして、叫んだ?
「かっ……ちゃん……?かっちゃあぁあああーーーーん!!」
なんていう事だ緑谷出久よ、師であるグラントリノを失い、その怒りの果てに先生である相澤を傷つけられて……そして最後には、また幼馴染の爆豪勝己に庇われてしまう……。
そんなザマで、ヒーローを名乗れるのかと、緑谷出久の心に亀裂が入った最中、聞いた。
「今日の戦いで……無駄な血が多く流れた……」
その声の主に振り返った。既に再生が始まったか、白い髪の毛がたなびいている。
「無駄……?」
死柄木弔、お前が言ったのか?その言葉を確かにお前が言ったのかと、緑谷の身体から紫色の稲妻が迸る。
「無駄な血が流れたが……今のが最も無駄だった……」
再び言われた緑谷出久は、更にキレた。そして……変身後インターバルが必要なはずの個性が再び発現し、死柄木を自らに引き寄せず、己を死柄木に引き寄せた!
それを待っていたとばかりに黒鋲が放たれるが、緑谷は避けなかった。怒りのままに拳で、蹴りで、黒鋲を打ち砕き、唖然とする死柄木の前へ一気に間合いを詰める!
「取り消せぇ!!貴様ぁああああああ!!」
振りかぶった拳を叩きつける間際、緑谷は見た。死柄木の顔面が割れて、まるで元からそこに居たとばかりに、ニヤつく顔を。
そして後悔すらさせないと、緑谷の顔面を死柄木の右手が鷲掴みにした。
「緑谷ぁああああああああ!!」
エンデヴァーと爆豪を回収した轟は、緑谷が死柄木に捕まってしまった光景に叫んだ。
「やっと触れた……貰うよ?ワン・フォーおご!?」
死柄木の勝ちを確信した呟きは、自らの頭部を鷲掴む手により阻まれた。
「その前に!僕がぶっこ抜いてやらぁあああああ!」
最後の悪あがきだった、一度阻まれた脊髄ぶっこ抜き、それでも最後まで足掻いてやると力を込める緑谷。
その瞬間ーー突然世界が暗く染まった。