※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

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306話 活動限界

 蛇腔市上空で、眩い閃光が発生した。そしてその光から……互いに弾かれたように、死柄木弔と緑谷出久が別々の方向に吹き飛び、落下していく。

 

『まずい、まずい、まずい!なんて事だ!!こんな事態が!?』

 

 死柄木弔の中のAFOは焦っていた、自分の目的を達成するため、今まで綿密に積み上げ、数多の道を用意して来た、たとえ牢獄に本体がいようが死柄木を介して、AFOを与え意識の共有ができたこの場で、まさかのアクシデント!

 

『崩壊が……弔の個性が!傷つけられた!!それだけじゃない!!あの失敗作……私と同じ力を!?いや……私以上の個性に目覚めただのと!!』

 

 感覚で分かってしまった、今……死柄木弔の個性因子に傷が付けられ、個性が思うように使えなくなった!!それどころか、あの緑谷出久が、失敗作が!!『たどり着いてしまった』という事実!!

 

『なんて事だ、純粋培養に育て上げた弔、私とドクターが目指した完成形……それとは違う"もう一つ"に緑谷出久が!あろう事か死柄木より先に辿り着くだなんて!!』

 

 これ程の焦りは人生で三度目だ!オールマイトとの戦い、それより前の『あの男』との対峙、それ程までのイレギュラーだとAFOは落下しながら心中で吐き散らす!

 

『逃げなければ!幸い、弔の意識は無い!肉体の権限は私にある!マキアも来ている!!合流さえ、合流さえすれば!!』

 

 AFOは、自らの脊髄から黒鋲を発現させ、蜘蛛の足のようにして着地した。

 

『体が動かない……上下が分からない……まるで、高熱で平衡感覚をなくしたようだ……』

 

 一方緑谷も、意識は朦朧として、そのまま地面に頭から落下しようとしていた。何かを手に握った感覚はあるが、今落ちているのか上昇しているのかすら分からない、個性が使えない……地面が近づいているのか、空が遠ざかっているのか……何もできないと落下する緑谷。

 

「うおっとぉおおーー!?」

 

 そんな緑谷を確保したのは、通形ミリオだった。しっかりお姫様抱っこで抱えて緑谷の落下死を阻止して、そのままゆっくり地面に下ろした。

 

「イズク!大丈夫かい、返事できるかい!?」

「ミリオ……せんぱ……い……かっちゃん……は……」

「焦凍くんが確保した!まだ生きている!!個性は奪われなかったかい!?」

 

 ひとまず、最悪は起こらなかったらしい。そして個性を奪われてないか通形に尋ねられた緑谷は、はっと思い出す。死柄木はどこだと身体を捩り、揺れる景色の中……見つける!死柄木を!!

 

「ミリオ……先輩……死柄木を……今なら、倒せる……」

「何だって!?」

「死柄木の……個性因子を……傷つけ……たから……崩壊は……弱まって……」

 

 うつ伏せになりながら、両手で自らの体を支え立ちあがろうとして、緑谷の証言に通形は少し疑問が浮かんだ。死柄木の個性を傷つけた?どうやって?まさか個性破壊弾を死柄木がまだ持っていて奪って、使ったのかと、通形が考えれる緑谷の言葉からあり得る事象はこれだけしかなかった。

 

「分かった、後は任せて、無理に立つなイズーー」

 

 通形は後輩の話を信じた、こんな状況で彼がそんな嘘を吐くわけが無いと。だから立ちあがろうとする緑谷を止めようとした矢先ーー。

 

「ぶはぁーー……」

 

 通形の横で、鮮血が音を立てて散乱した。立ち上がった緑谷、その瞼から、耳から、鼻から、口から……血がだくだくと流れて、足をヨタつかせ……そして……通形ミリオの目の前で緑谷出久は前のめりに倒れ、血の海に沈んだ。

 

「イズク!!」

 

 緑谷出久は、入学して間もなく『脊髄ぶっこ抜き』から派生した『引き寄せ』を使うと、その反動でよく血を流していた、鼻からだけじゃなく、多用すれば目から、耳からも……個性使用の反動がそれだった。

 

 そして鍛え上げ、今では手足のようにあらゆる物を引き寄せ、反動も無くなったかのように見えた。だが違った……あくまで、限界値が上がっただけ……この土壇場で、緑谷出久は個性使用限界が来てしまったのだった。

 

「イズク、しっかりしろ!イズク!!」

 

 すぐさま体を仰向けにしてもう一度応答を取る、目に血が入って見えないのか、耳すらも聞こえなくなったのか……緑谷は譫言のように呟く。

 

「とおがた……せんぱ……い……いって……はやく……しがら……き……を……」

 

 僕の事を構うな、今なら死柄木を倒せる、だから気にせず行けという言葉に、通形ミリオは選択を強いられた。今の状況で、緑谷を放っておいたら死ぬかもしれない……だが、死柄木は倒せる。けど、後輩が死の淵に立たされている!

 

 通形ミリオ、ヒーロー名『ルミリオン』

 

 全て(ALL)を救えなくても百万(ミリオン)を救えるようなヒーローになる。そう願って名付けたヒーロー名だ。全ては救えない、だが今なら……死柄木を倒して全てを救えるかもしれない、緑谷出久という命を代償に!!

 

「イズク……キミも、僕にとって100万の一人だ!!許してくれ!!」

 

 だができない、目の前の後輩を救えなくて、何がヒーローかよ!?ヒーローは、傷つき、助けを求める人を救ってこそがヒーロー!!通形は緑谷を抱え、戦闘区域から離脱した。死柄木弔を倒すよりも、緑谷出久を助ける為に。

 

 そこから先、何が起きたのか……緑谷出久が全てを知るのは、病院のベッドの上であった。

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