※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

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308話 ヴィランが恐れる男が居た

「ちょっと、ねぇ……これ何?」

「何なんだよ、これ……」

 

 雄英高校の寮に戻ったA組は、談話室に置かれた手紙を見て驚いていた。戻ったとはいえ、爆豪や轟といった大怪我した面々以外ではあるが、その1通の手紙の、少ない文章に全員納得が行くわけもなく、ただ皆でそれを読み返すしかできなかった。

 

 

『AFOから生まれた化け物として、責任を取るため雄英から出ていきます、さようなら』

 

緑谷出久

 

 

 

「AFOから産まれたって、何だよ!なぁ!緑谷が病院から消えて、何があったってんだよ!」

「分からねぇよ!ただ帰って来たらこれが1通だけ談話室に置かれてたんだ!」

 

 峰田が広げられた手紙を指差し、最初に見つけたらしい切島が俺も理解ができないんだと弁明する。

 

「昨日病院から緑谷さんが居なくなったと聞いて……それで手紙だけが置かれていたと」

「AFOから産まれたって……一体どういう事なんだ、緑谷くん……」

 

 八百万に飯田も、たった二行の別れの手紙を見て、それだけを残し消えた緑谷はどこへ行ったのかと心配した。麗日は、その手紙を取り、涙ぐみながら呟く。

 

「たった二行って、なんなん……イズクくんのばかやろぉ……」

 

 もっと言うこと、書くこと、あってもいいだろうがと絞り出す。A組の軽傷、無傷の面々が集まる最中、寮の正面玄関がゆっくりと開いた。

 

「A組の子達、ちょっといいかしら?」

「ミッドナイト先生!」

 

 現れたのはミッドナイトだった、彼女もまた軽傷で済んだらしい。ギガントマキアの通過の最中、運良く大事は免れたらしく、既に教員としてこの非常事態に戦線復帰したようだ。

 

「オールマイトと校長先生が……貴方達に緑谷くんの事を話したいそうよ」

「何か、知ってるんですか?」

「当事者よ、二人は」

 

 緑谷出久が消えた理由、それを話すと伝えられ、A組の面々はすぐに雄英高校校舎へ向かった。

 

 

「集まったね……キミ達」

 

 爆豪と轟を除いたA組全員が、校長室に集まった。椅子に座した校長のら傍には、オールマイトだけでなく、なんとかつてのサイドキック、サー・ナイトアイが、さらに3年の通形ミリオまでも集まっていた。

 

「校長先生、オールマイト……お話ください、緑谷くんはどこに行ったんですか、何故僕たちの前から消えたんですか?」

 

 飯田が代表して、早速校長とオールマイトに問いかけた。これに対して校長は、肩を落としながら、淡々と彼らに伝えた。

 

「緑谷くんは、雄英から出ていった……今の現状に責任を感じてね、さて……どこから話したものか」

「校長、まず私から話します……」

 

 緑谷出久は出ていった、この今の日本の現状に責任を感じてと、何故一学生がそんなと理解ができない話に、まず自分から話すべきだとオールマイトは前に出た。

 

「緑谷少年は……キミ達に隠し事をしていた、けど責めないで欲しい……この隠し事はあまりにも残酷で、話す事も、タイミングも、私や校長も決めあぐねていた事なんだ」

「隠し事って……なんなんすか?」

 

 緑谷出久がA組に隠していた事、しかしそれは本当に打ち明けるのは難しい話で、ここまで隠していた事には校長、自分にも責任があり、彼を責めないでくれと前置きした。一体何を隠していたんだと上鳴が尋ね、オールマイトは一度校長に目を向けて、校長は頷いたのを見て彼らに言い放った。

 

「緑谷少年の身体にはね……AFOの因子が流れていたんだ」

「え……」

「は?」

「ええっ……!?」

 

 唐突な事実の発露に、A組はざわついた。緑谷出久の身体には、AFOの因子が宿っていた。あまりにも理解の範疇を超えた話に、冗談かと思う者も居た中で、サーが一歩出て彼らの前に一枚の新聞記事を提示した。

 

「キミ達は、昔にこんな事件があった事を覚えているか?」

 

 その提示された新聞記事をA組の面々が目を通して、ああそういえばと皆が思い出した。その事件の名称はーー。

 

 

『全世界個性暴走乳幼児死亡事件』である。

 

「聞いた事ある、と言うかモロ俺たちが四、五歳の時の話だよな」

「うちの近所でも、高熱出して亡くなった子が居たよ……」

「痛ましい事件だった……幼稚園が閉鎖とかなったの覚えてるよ」

 

 切島もこの時の事を覚えていた、確かにあったと。耳郎も近所の同い年の子が亡くなったと言い、口田も通った幼稚園が一時閉鎖したと思い出した。

 

「校長、オールマイト……これと緑谷くんに、何の関係が……」

 

 この事件と緑谷出久の関係は一体と、飯田が尋ねて、オールマイトがそれに答えた。

 

「まだ君たちが幼少期だったこの頃は、日本各地どころか、世界でもAFOの勢力は広がっていてね……AFOは自分の勢力下の医者に、実験を頼んでいたんだ……自分の因子に耐えうる子どもを探そうとね、当時のワクチン注射、定期診察に紛れ込ませる形で、医師へ自身の因子ウイルスを乳幼児に投与させていたんだ」

「え……じゃあ……」

「この事件はAFOが起こした、そして……緑谷少年は、この日本でただ一人……この事件で生き残った子どもだったらしい」

 

 そんな事が、A組の面々は驚愕した。あの時の乳幼児の大量死はパンデミックか通説となり、個性終末論が出て来た程の事態の正体はAFOの仕業……そこから緑谷出久はただ一人生き残った少年だったと。

 

「そして……AFOの因子は本来の緑谷少年の個性因子を捻じ曲げてしまった、君たちの知る緑谷少年の個性、脊髄ぶっこ抜きの原因は……」

「AFOの因子によるもの!?」

「そうなるね……」

「じゃあこの手紙って……!!」

 

 同席していた通形が頷く、それが緑谷出久が雄英を出ていった理由なのかと聞いて、峰田が声を上げた。

 

「そんな!事故じゃねぇかよこんなの!!緑谷は何一つ悪くない!!AFOのやつのせいでこうなっただけで、緑谷は何も悪くないじゃねぇかよ!!」

 

 こんな貰い事故じみた事で緑谷は出ていったのかと峰田が言うが……他のクラスメイトは皆、考え込んでしまった。

 

「でもさ峰田……これ、言えないよね?自分が当事者だったら……」

「確かにな……言われて、冗談とも本気とも、判断に困る話だ」

「緑谷ちゃん……ずっと抱えて、言えなかったのね」

 

 流石にこれは、クラスメイトへ正直に告白するのは難しい内容だと芦戸は峰田を嗜めた。障子も、蛙吹も、今この場で事実を知ったから受け入れる事ができるが、知らずに緑谷に言われたらどうだったかと苦悶する話だった。

 

「緑谷くんはそれを知って、生き残ってしまった自分に責任を感じてしまい、果たそうとして雄英を去った……キミ達も習ったんじゃないかな、サバイバーズ・ギルトに彼は陥っている」

 

 校長から、今の緑谷出久の状態は極めて深刻な精神状態であると報された。この事件で生き残り、さらに脱獄した凶悪ヴィランが跋扈する日本で、その諸悪の根源AFOの実験に生き残った自分が、どうにかしなければと……それで緑谷出久は出ていったのだと校長から報されるのだった。

 

「だったら!俺たち今からでも緑谷を連れ戻しにーー」

「駄目だ」

 

 そうなったら話は早い!A組全員で、緑谷出久を連れ戻しに出ようと切島が声を上げるが、オールマイトが遮った。

 

「何故ですか!その為に僕たちを呼んだんじゃ……」

「させない為に、呼んだんだ、キミ達を……今の状況を分かっているだろう、雄英の外はダツゴクが、ヴィラン達が暴れ回っている無秩序だ……」

 

 飯田がその為に呼んだのではと声を上げたが逆だった。心配なのは分かるが、それで無謀に走らないため釘を刺す為に呼んだのだとオールマイトは警告した。

 

「現在、エンデヴァー含めたヒーロー達がチームアップを再編して、この無秩序の日本の対処に当たるようにしている……キミ達は避難所となる雄英の護衛、近辺の警護に当たってもらう事になる……緑谷出久の捜索はプロヒーローが行うから……キミ達は彼が帰って来た時の為に迎え入れるようにしてあげて欲しい」

 

 クラスメイトを助けに行けない、一人孤独と痛みを抱えた友人に声をかけてあげられない。A組はただ、緑谷出久が帰って来る事を祈るしかできない現状に、落胆するしかなかった。

 

 

 四月……イズクくんが、ヒーローアカデミアを去った。

 

 

 そしてしばらくして……関東各地で、脊髄をぶっこ抜かれたヴィラン達の亡骸が、度々見つかるというニュースが流れ始めた。

 

 

 

「ひ、ひぃいい!!やめろ!!やめてくれぇ!!」

 

 悲鳴をあげる、一人の男が居た。

 

 彼はヴィランだった、この混沌とした日本で、好きに個性を使い暴れた、ヴィランの一人だった。

 

 食料品と金を強奪して、仲間と逃げようとして、その途中を阻まれた。今やヒーローの信頼は失われて、引退するヒーローも続出する中、今日もちょろいと悪事は成功すると思っていた。

 

「選べ……このまま自首して牢屋に入るか、二度とまともな生活できなくなってからぶち込まれるか!!」

 

 現れたヒーローは、決してヒーローと呼べる姿ではなかった。血に染まったアーマーの様なスーツ、光る瞳は真紅で恐ろしく。恐らく元は黄色だったスカーフか、マントは血に染まり歪な赤色に染まっていた。

 

「わ、わかった!自首するから!!降参する!!な!?だから許してくれぇ!!」

 

 既に仲間達は、頭部を失った者、血の泡を吐く者、明らかに危ない痙攣をしている者と様々で、ヴィランの男は降参すると、首輪掴む手の力が抜けて、男は壁からずり落ちた。

 

 そのヒーローはデバイスを操作してから、腰元の銃を空に向けて引き金を引けば、パシュウ!と音を立てて光を放ち弾頭が飛んでいった、信号弾だったらしい。

 

「馬鹿がぁ!真に受けやがって!!死ねやぁあああ!!」

 

 そうして隙を見せた瞬間、男は隠し持っていた拳銃をヒーローに向けたが、その手首は即座にあらぬ方向へ曲げられた。

 

 明らかに、手首が向いてはいけない方向へ向いている。そして鈍くも強い痛みに男は絶叫した。

 

「あぁ、あぎゃああああああああ!!」

 

 そして、振り返ったヒーローは再度、ヴィランの男を鷲掴みにしてからこう言った。

 

「Finish Him」

 

 その宣告と共に、男の首が引きちぎれ、脊髄がっこ抜かれ血を撒き散らす!ヒーローはその脊髄を傍に投げ捨てて、背を向けて去っていく。

 

「お前達はそこで朽ちていけ……ヴィラン共が……」

 

 そのヒーローは、そう言い残してバイクに跨り、そして夜闇に消えていった。

 

 

 次回

 

 僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア

 

 ヴィジランテ・イズク編

 

 開幕

 

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