※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

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310話 ヴィランの末路

「君たち仮にもヒーロー科のエリートだよねぇ?だったら勝てないのが見てわからないかな?頭悪いのかなぁ?」

 

 嘲りと挑発を含んだ言葉をマスクを被った詰襟のヴィラン、マスタードが筋繊維を露出し、マスクを付けたヴィランの肩でふんぞり返って言う。

 

 真堂も、学徒動員の形でヒーローとして出動している以上『ダツゴク』の情報はしっかり共有していた。だから知っている、この目の前に居るヴィラン達は、自分達学生では対応できないと!ならばやるべきことはとチームアップしている中瓶に指示を出す!

 

「畳!ジョーク先生に応援要請!及び市民の避難を!」

「揺くんは!?」

 

 中瓶が即座に動いたのを見て、腰元のホルスターから短刀を抜いて逆手持ちにしながら真堂は言う。

 

「ぶっ倒す……!」

 

 真堂は宣告した、倒すと。しかしそれは中瓶を逃し、避難と連絡の時間を稼ぐため、自分にヴィランへの敵意を向けるために出た言葉だった。それを聞いたマスタードは、ガスマスクでこそ隠れはしているが、声色からして明らかに馬鹿にしたように言い返す。

 

「戦力差も見てわからないあたり、僕より頭悪いよねあんた?本当にヒーロー?いや、学徒動員してるんだっけ?まあいいや……やれ!マスキュラー」 

「お お おぉおおおあぁああああぁああ!!」

 

 自我無き化け物が雄叫びを上げる、筋繊維を張り巡らせ肥大化して飛び上がり、真堂へ殴りかかり、それを回避した彼の立っていたコンクリートの地面が凹み、クレーターを作り上げる威力!当たれば無事では済まないと見て分かってしまう!

 

「兎も角引きつけないと……畳、頼んだーー」

 

 回避して降り立った瞬間だった、真堂はふと鼻から微かな、異臭を感じ取って即座に口を塞いだ。

 

「あ?今さら気付いた?」

 

 遅いなと、勝ち誇るマスタード。真堂はダツゴクの情報からまさかと口を塞ぎ、息を止めながら冷や汗をかいた。そして気付く、走り出した中瓶が少し先で倒れ、痙攣している事に。

 

「な、に……これ……」

 

 チームアップの相手であり彼女が倒れ伏す様に、名前を叫びたくなったが止まった。その様子を見てマスタードは煽る。

 

「あれあれぇ?見た感じ彼女とかじゃない?名前呼んであげないとぉ、無理かぁ?無理だよねぇ?すでに僕の毒ガスが振り撒かれてるからさぁ!」

 

 マスタードは既に、自らの発した毒ガスを撒いていたのである!しかし、彼が発するガスはその毒々しい色が目視できる筈だったが、色も全く見えなくなっていた!少し声を出して吸ってしまった真堂も、それにより身体が痺れながら力が抜けて膝をついてしまった。

 

『体に力が入らない、筋弛緩する神経ガスか!?』

 

 無色のガスに晒されて動けなくなった真堂、マズイ、やられると力を入れようとしても体がよろついて上手く立てなかった。

 

「いいね最高だぁ、脱色?こんな使い方なんて最強だ……お高く止まってるヒーローの奴らなんてもう僕に勝てない!あー、気持ちいいなぁ!!」

 

 マスキュラーに乗りながら、マスタードは歓喜と悦に打ち震え叫びながら、ゆっくりと真堂の前を横切った。その行き先は、彼女でありチームアップした中瓶の元だった。

 

「う……あ……」

 

 中瓶は涎を垂らし意識を朦朧とした状態で、マスキュラーに片足を掴まれ吊り上げの状態で抱えられた。

 

「おー……顔もいいじゃん、ヒーロー科行く女の子って美人だよねぇ?トクベツって感じ」

「な、なにを……」

 

 こいつ、何をする気だと嫌な予感がしてならない真堂……そしてその予感は的中する。

 

「剥け、マスキュラー」

「や、やめろぉ!!」

 

 マスタードの命令に、マスキュラーは中瓶のヒーロースーツを破き脱がせた。脱がされた事は理解したのだろう、下着を晒され必死に抵抗したつもりか、体は揺らすしかできない彼女は、必死に助けを求めるが、それもおぼつかない。

 

「や……たす……けへ……ようく……」

「やめろぉ!!彼女じゃなくて僕をやれぇ!!」

 

 その反応に、ヴィランというのはやはり恍惚を感じてしまう。マスタードはそれはもう真堂の反応に喜び叫ぶ。

 

「いいねぇその顔にありきたりな台詞!追い詰められたヒーローって感じで胸が空くよ!エリートなヒーローの奴らが僕に対して何もできず大切な物を失う!あぁ、あぁたまらない!なぁキミ、彼女の裸体見た事ある!?ほら見ようよ一緒にさぁ!!」

「お前ぇ、くそ、畳ぃ……!」

 

 叫んだが為に神経ガスが身体に回り前のめりに倒れる真堂。最早見上げるしかできず、マスタードに命じられたマスキュラーが、ヒーロースーツを破られ下着姿を晒した中瓶の下着に手をかけ、見せつけるように引っ張っていく。

 

 ピリリと、生地が裂けていくなかで真堂は歯を食いしばり涙を流した。なんでザマだ、戦いは慣れている?あんなに言ったのに何もできず、彼女すら守れず恥辱を晒されようとしている。

 

「ああ安心しなよ、ひとしきり楽しんで撮影したら逃してやるからさ、感謝しなよヒー」

 

 最早何もできずされるがままの中、それは突如起こった。

 

 聞こえたのは衝撃音と、宙を舞うマスタードと中瓶、遅れて廃ビルが破砕して、倒壊していく様が真堂の視界の端で確認できた。

 

「イーヴルマジン、確保」

『了解です、マスター』

 

 聞こえた声は二つ、宙を舞う中瓶を優しく抱き留めたのは……人間ではなかった。真堂が見たのはロボットだった、2m強はあろう巨人が中瓶を抱えて、真堂の前に降り立った。

 

『大丈夫ですか?』

「あ、ああ……」

 

 ロボットから聞こえた、渋くて落ち着く成人男性の声に、真堂は返事をした。その傍に着地した、アーマースーツの男がそのロボットの持ち主らしい、ロボットへ命じる。

 

「イーヴルマジン、二人を安全な場所へ、それと周囲に人がいたら有毒ガスのことを伝えて、外に出ないように伝えて」

『了解しましたマスター、失礼致します』

「おおっ!?」

 

 ロボットの傍に抱えられて、真堂はそのまま移動を始めたロボットに中瓶諸共運ばれていく。遠くなる背中を見て真堂は、くぐもった声だったが何処かで聞いたようなと思い出そうとしたが、それよりも神経ガスが回ってきて意識が途切れた。

 

 

 イーヴルマジンを見送り、マスキュラーの肩から地面に落下して立ち上がるマスタードの方へと顔を向けて、マスタードは苛立ちながら吐き捨てた。

 

「痛ったぁ……どこのヒーローだよお前、よくも邪魔しやがったな!ああ!?」

 

 マスタードが何やらスマホを操作するや、遥か先に吹き飛ばし、瓦礫に埋もれたマスキュラーが飛び出して、即座にその人外の筋力で飛び跳ねて、マスタードの背後に着地した。

 

「やれマスキュラー!!殺せぇ!!」

「おおぁあああぉあああぉあああ!!」

 

 有無も言わさず、操られるがままのマスキュラーが白目を剥きながら、アーマーのヒーローへ突貫する。そのアーマーのヒーローは、両手の指を広げるやしっかり地面を踏み締めて、マスキュラーと正面から組み合った!!

 

「ぬぅうん!!」

「なぁあ!?」

 

 止まった、マスキュラーが!!明らかに筋力も質量も違う、肉弾の大砲と化した、さらにマスタードが背中に背負わせた脳のリミッターを外し意識を奪い狂戦士とする催眠ガスにより強化されタガを外されたマスキュラーの突進を、そのヒーローらしき男は止めたのである。

 

「ワン・フォー・オール……100%!!」

 

 そのヒーローは、掛け声と共にマスキュラーを弾き飛ばし、ガラ空きになった胴体にまず思い切り一撃を放つ!

 

 それだけではない!!マスタードは信じられない物を見た!!殴り抜かれ、吹き飛んだマスキュラーに追いついたヒーローはさらに追いついて背面から一撃を叩き込み、また違う方向へ吹き飛んだマスキュラーに追いつき一撃を入れていく!

 

 やがて聞こえるのは音だけ!吹き飛んだマスキュラーは一箇所に!殴られながら追いつかれまるでその場に止まったようにすら見える程!吹き飛ぶ感覚が狭まっていく!!

 

「真・暴虐煉撃!!(シン・バイオレントラッシュ)!!」

「あぁああああああーーー!!」

 

 真上に吹き飛ぶマスキュラーは、マスクもタンクも破壊されて、筋繊維は弾け飛び最早人間の形を失いながら、ずしゃりとアスファルトの地面へ落下した。

 

「ああ、ああああ!!」

 

 マスタードは、着地したヒーローがこちらを向きゆっくり歩み寄るのを見て、警官から脱獄時に奪ったオート拳銃を向けて半狂乱となりながら引き金を引いた。

 

「来るな!来るなぁああ!!」

 

 一発、二発、三発、発砲音と共に放たれた弾丸はそれて、擦り、命中したが弾く防弾仕様である事をマスタードに教え、やがてヒーローは手をかざす。

 

「Come here」

「ああ!?」

 

 オート拳銃が引き寄せられて、ヒーローの手に渡る。そしてマスタードに信じられない事態が襲った。何と、躊躇いなくヒーローは……奪ったオート拳銃の引き金を引き!マスタードの左膝を撃ち抜いたのである!!

 

「あぁあぎゃあ!!痛い!!ええ!?待て!!待てっておい!!」

 

 ヒーローがヴィランに拳銃を撃つ!?そんな事あるのかとパニックになり手を出して止まるように叫ぶが次は右膝を構わずヒーローは撃ち抜いた!!

 

「いいひぎぃいいぁああ!!や、やめて!!ごめんなさい!!すいません!!やめーー」

 

 オート拳銃を投げ捨てたヒーローは、そのままマスタードの首を右手で鷲掴みにして持ち上げ、さらに左手でガスマスクを無理やり剥がして顔を晒した。

 

「な、何だよお前……ヒーローが、ヒーローがこんな事していいのかよぉ!!問題になるぞ!!ああ!?またヒーローの信頼なくなるぞ!!」

 

 無機質なアーマーのヘルム越しの人物に叫ぶマスタード。だが、返ってきた台詞は、あまりに無慈悲だった。

 

「これだけ悪事働いて、死にかけたら命乞いか……恥を知れヴィラン……悪事を働いた時点で、お前がどんな末路を迎えるかもう決まっている」

「が、ご……ま、待って、やだ、助け……」

「Finish Him!!」

 

 命乞い虚しく、マスタードはそのまま空中に放り投げられた。そして落下する間際!ヒーローの手刀が、マスタードの延髄目掛け振り下ろされた!!

 

「必殺……!!」

「へげぇ!?」

 

 延髄に手刀が叩き込まれ、うつ伏せに倒れたマスタード……そして、身体に起きた変化を理解して、一気に身体が冷たくなった。

 

「人中斬首刑……!!」

 

 マスタードは……起きあがろうと手足を動かそうとしたが、全く手足が動かず……それどころか首から下の感覚が消えていく事に気づいた。

 

「な、何したぁ、何したんだお前ぇ!?僕の手が、足が動かないぃ!!身を捩ないぃ!!」

 

 手も足も動かない!体を捩ることすら!撃たれた両膝すら痛みを感じないと叫ぶマスタードに、ヒーローは言う。

 

「延髄を傷つけた、喜べヴィラン……お前は二度と首から下を動かせない……全身不随だ」

「は、はぁあ!?」

 

 その四文字を聞いて、マスタードは必死に体を動かそうとして……ピクリと反応しない。そして理解する、本当に自由を奪われた、本当に二度と体は動かせないと事実を突きつけられたのだ。

 

「な、なんで、こんな……酷い、僕が、僕がここまでされるような事したかよぉ!?なぁ!?」

「したから、そうなった……自覚すらないなんてね……」

 

 アーマーのヒーローはそのまま背を向け、ホルスターから拳銃らしきサポートアイテムを取り出し空に向けて引き金を引く。放たれた弾頭が煙と眩い光を放ち空に向かって、それを見送ってからヒーローは、マスタードへ宣告した。

 

「お前はそこで、朽ちていけ……」

「ま、待てぇ!待てよぉ!!」

 

 そのまま立ち去るヒーローにマスタードは呼び止めるが、構わずゆっくり立ち去っていく。やがて姿が消えて、涙を流しながら必死に叫んだ。

 

「だれかぁ、助けてぇ、助けてくださぃい……身体が、動かないんですぅ……お願いします、だれかぁ、だれかぁああああああ!!」

 

 マスタードが泣き叫び続け、警官に回収されたのはそれから数時間後であった。マスタードはダツゴクとして再収監され、そして生命維持装置と、延命処置により生きながらえ、そして生き地獄を味わい……ようやく死ねたのは20年後だったと言う。

 

 そして、マスキュラーも同じようにダツゴクとして再収監されたが、マスタードのガスにより自我を失い、そのダメージにより数ヶ月後に脳死して、息を引き取った。




設定解説

個性 脱色
色がある物から、色を取り除き無色透明にする。マスタードが脱獄時にAFOからもらった個性。これにより自らの毒ガスを無色透明にして散布した状態を分からないようにした。

OFA100% 真・暴虐煉撃(シン・バイオレントラッシュ)
緑谷出久の必殺技、バイオレントラッシュの完成系。殴り抜いた相手を追いかけまた殴り抜くを繰り返して、暴力の檻に閉じ込め全方位から攻撃を叩き込む。OFAありだからこそできる技である。

人中斬首刑
緑谷出久の必殺技。敵の延髄に手刀を叩き込み、その際に直で延髄に触れて傷つけ敵を全身不随にする禁じ手。体はそのまま、首を切り落とされたかのような正しく必殺技である。
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