【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
高速道路を走る一台の車、そこにはベストジーニストが運転し、ホークスは助手席で電話をかけ、後部座席を陣取るようにエンデヴァーが座っていた。
「わかりました……では……」
「進展無し……か……」
ホークスがスマホを切ったのを確認し、ベストジーニスとが語りかければ、頷いた。
「エッジショット側も、連合や解放戦線の情報は無し、こちらで確保したダツゴクもAFOや死柄木の情報を持つ物は居ませんでした……緑谷くんが確保した方に至っては、聞ける状態の者が少ないですし……」
「緑谷くんが持つ、オールマイトの個性OFA……それを狙っていつAFOの息のかかったダツゴクやヴィランが彼を狙いに来るか分からない……奴らより先に見つけないと……」
現在のエンデヴァー以下、プロヒーローの目的は『緑谷出久との合流、確保』となっていた。
蛇腔での戦いから明らかになってしまった、オールマイトの秘密であり個性『ワン・フォー・オール』は、現在まだ意思あるプロヒーロー達にオールマイトによって情報共有された。
だが、その個性OFAは……緑谷出久がオールマイトから奪い去ってしまった。そして彼が考えている事は……正しく危険な事だ。
『自身を餌として死柄木弔、AFOを探し出す』
それも、彼はたった一人で全てを背負う気でそんな馬鹿げた行動に出てしまった。
「プレゼント・マイク経由で話を聞いて、殻木球大から聞きました、緑谷くんは遺棄された実験体と……AFOが自らの限界となった肉体を新しくするための依代を作るための実験……その凍結された実験の生き残りだと」
「自身の因子を打ち込んで耐えた子どもを使う……悍ましい事だ、世界中の子どもがそれで死んだ、そして死柄木弔という依代を拾ったから凍結した……か……」
そして……死柄木弔をなぜあんな風に改造したのかも、AFOの懐刀であり脳無の製造者殻木球大から吐かせた。いや、既に手遅れだと奴は嬉々として語ったらしい。
死柄木弔は、AFOの新たな肉体のために作り上げた『依代』だという。いかにしてその意思や力を移すかは知らないが、オールマイトに敗北し、生命維持装置が無ければ生きれない肉体となった彼は、自分の後継を探していた。
後継とは、意志を継ぐものでは無く……ただ自分がさらに生き延び目的を達成するための新しい肉体としての後継。
それが、死柄木弔だった。
死柄木弔の肉体を改造し、今現在のAFOの個性が耐えうる新たな肉体を作り上げるのが、殻木球大の目的だった。『脳無』とは、その実験の果てに生み出された物であり、やがて依代として作り上げる完成形の『雛形』とも言える。
そして……その数ある実験の中、殻木球大は二つの作成方法に至った。
一つは自身の全ての研究、技術によって依代を作り上げる方法。
もう一つが……。
『自然成長を待つ方法』
二つ目の作成方法には、まずAFO因子に耐えうる者が必要だった。だが、それを探し当てる前にAFOが後継として育てたいと『志村転狐』こと、死柄木弔を拾って来て、彼を依代にすると決めた。
理由は単純、嫌がらせの為。OFAの七代目後継者『志村菜奈』の孫が、ヴィランとなってオールマイトの前に現れるなんて愉快だと。AFOにとってオールマイトはそれだけの執着があった。
これにより、二つ目の作成方法は凍結。死柄木弔を改造して依代にする事へ専念する事になった。
その凍結し、破棄された実験から、成功例が生まれたなど知らず。
それが……緑谷出久。
AFO因子に適応し、やがて依代になる運命を知らず、彼はヒーローを目指して雄英高校に入り……死柄木弔と対峙するという奇妙な運命の出会いを果たしていたのだ。
『人工』と『野生』の脳無の完成形……。
死柄木弔は『マスターピース計画』として作られ。
緑谷出久は『ワイルドピース計画』として現れた。
「あの子……色々抱えすぎでしょう……」
「だからこうなってしまった……緑谷は、俺たちプロヒーローすらも振り切って、一人責任を取ろうとしている」
「ダメージジーンズと呼べぬ程、ボロボロになってしまうな……」
緑谷出久はそれら全てを知らない、だがそれでも、一人戦うために全てを振り切ろうとしている。だからこそ、探し出して止めねばなるまいと、車は高速道路を走った。緑谷出久が通信を行った場所へ。
建物の屋上を飛び跳ねて渡り、緑谷出久は死地に降り立つ。色濃い血と、死の匂いの領域……に彼は踏み込んだ。
このビル街に……何かが居る。脳無か、はたまたダツゴクか……これ程色の濃い死の気配があるのかと、一歩歩いた。
ーーその瞬間、背後からより強い死の気配を感じて緑谷は左へ飛んだ。ヘルムの右側を何かが掠め、金属音が鳴り響く!やがてそれは対面の建物に当たり、めり込んだのが見えた。
『アーマーを纏った少年……お前が緑谷出久だな?』
「!?」
それは……弾丸だった。その弾丸から、まるで通信機の様に声が響く。女性の声、ダークブルーとピンクの繊維が螺旋に交わった弾丸から聞こえた。
緑谷出久の、ヒーロースーツの下の身体が一気に冷たくなった。それ程の戦慄!!
『お前を連れて行く……大人しくすれば手足は残してやる』
その台詞が脅しではない、虚勢じゃ無いと理解する。まさか……あの人が、いや、あり得ない話では無いと緑谷は背後を振り向いた。
『動いたな?』
雨降る暗闇の街に、乾いた発砲音が響き渡った。
それと同時に緑谷は、ビルから飛び降りて弾丸を避けて、窓から中に入り身を隠す!
間違いない……なんて事だ……緑谷は緊張感からまるでフルマラソンを走り切った程の呼吸を始めた。
「まさか……対峙する事になるとは……貴方までAFOに与するとは!遠距離戦最強の元ヒーロー……レディ・ナガン……!!」
かつてのヒーローが、ヴィランとして自分の前に現れた事に、信じられないと緑谷はその名前を呟いた。