※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

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321話 その仮面の理由……

『根津校長、お願いします』

『緑谷出久捜索の為、我々の出動許可を』

 

 緑谷出久が、セントラル病院から消えて数日後……雄英高校一年A組一同は、再び校長室に来ていた。

 

 ただ一人、この混沌とした日本で戦い続けるクラスメイトを連れ戻す為に。校長室のソファには、オールマイトも座していた。思い悩む横顔を浮かべて、彼ら、彼女らはついに来てしまったかと、顔を向けずに下を向いている。

 

『外は危険だ、キミ達学生を危険な目には合わせられない……ヒーロー達に任せーー』

『緑谷くんも、学生です……彼だけが今、1人戦っているのをおかしいと思わないんですか、オールマイト』

 

 オールマイトが止める言葉を吐いても、飯田がそれを突っぱねた。その危険な場所で、彼はただ一人戦っているではないかと。

 

『先生達から話を聞いて、緑谷くんが学校を出た理由も分かりました』

『AFO因子がある為、敵の親玉と同じ力がある為、避難所になる雄英には居れない事も……』

『けど、だからと言って……それだけの事で友だちを見捨てる事は出来ません』

 

 敵と同じ力に目覚め、避難民の安心の為、ただ1人出ていった。そしてプロヒーロー達も彼の足取りを掴めない……ならばもう、自分達が連れ戻すしかないと、A組の眼差しはもう言葉で止める事ができない強さが見て取れた。

 

『彼にどんな個性が宿っていようが……緑谷出久くんはA組の一員で友だちです、友人が茨の道を歩んでいると知りながら、明日を笑う事は出来ません』

 

 委員長、飯田の進言に、オールマイトは黙った。静寂を破ったのは……根津校長であった。

 

『いいよ、行っておやり……許可を出すから』

『根津校長……』

 

 根津校長が、許可を出した。簡単に、呆気なく……それに対してオールマイトは強く反論する気迫は無く、ただ心配だと声色も弱かった。

 

『プロヒーロー達も彼と接触できて逃げられた……多分、緑谷くんに今必要なのは……キミ達友だちの呼びかける声だと思う……それに、合格通知を出した以上彼も雄英高校の生徒……私たちが守るべき生徒さ』

 

 彼は言い切った、どんな力であろうと、理由があろうと、彼は雄英高校に合格して学ぶ生徒であると。だから、守るべき1人なのだと。

 

『彼の思いも汲んで、プロヒーローに任せる形にしたけど、もっと早く踏み切るべきだったね……それに……オールマイト?キミの残り火は多分、彼をもう一度引き戻す為にあるんじゃあないかな?』

『残り火?』

『…………』

 

 オールマイトは、少しだけ沈黙した。あの時、もう一度会えた彼は弁当だけを持って消えた。あの時自分は……できたのだ、無理矢理に彼を連れ帰る事が。

 

 だがしなかった、出来たはずなのに。心の中で、微かにオールマイトは怯えたのだ、緑谷出久の中にある、かつての敵の姿に。

 

 初めて……逃げた。

 

 彼がつけたフルフェイスヘルム越し、確かに見えた泣きそうな顔を見ておきながら。オールマイトはゆっくり立ち上がって、ポケットからデバイスを取り、飯田に渡した。

 

『イーヴルマジンから、緑谷少年のデバイスのGPSを特定できるようにしてもらっている……私も行こう、キミ達と共に、彼を迎えに行こう』

 

 そう言って、オールマイトは水蒸気を上げて体が包み込まれた。

 

 

 

「ヒ、ヒーロー!?」

「体が元に戻った!」

「うぁあ!!に、逃げろぉ!!」

 

 緑谷出久は思い出す。自分が何をしていたのか……。

 

 ひたすらに、ひたすらに戦い続け……確かまたヴィランに会って、そいつは人を操る個性で、避難民を操ってけしかけてきて。判断が遅れた、手を出せない操られた一般人に押さえつけられた。

 

 それで……何でかっちゃんが……A組の皆がここに居るのかなと、ぼやける視界と思考で考えた。

 

「皆……何で、ここに……」

「心配だからだよ」

 

 何故の問いには力強く単純な理由が、麗日より言い放たれる。しっかりと、麗日は彼の顔を見た。

 

 なんて弱々しくなっているんだろう、いつもの澄んだ優しい顔は消え、疲弊して……彼は傍のヘルメットを被りそれを隠すようにしてから立ち上がる。

 

「僕は大丈夫だよ、だから……心配しないで……離れて」

 

 痛々しくて見てられない、所々が砕けた装甲のヒーロースーツが軋んでいる。その姿に拍手が響き渡った。

 

「そいつぁ良かった!流石オールマイトを継ぐ男だぜ!」

 

 爆豪が煽り散らすようにケタケタ笑って拍手して、そのまま緑谷に言い放った。

 

「んで?テメェは今、泣いてんだろうが?ああ?」

 

 泣いてるくせに、辛いくせに、強がるなよと言う爆豪……。緑谷のヒーロースーツ『シン』のヘルムの瞳が……弱々しく赤く明滅する、さながら今にも朽ちゆく命のように。

 

「笑う為に……」

 

 その明滅が、やがて強くなっていく。

 

「安心してもらう為に……!」

 

 滲み出す紫色の闘気、クラスメイトが見てきた力の奔流、それがプレッシャーとなってA組達を阻もうとする。

 

 それでも!誰一人として下がりはしない!

 

「行かなきゃ……だから!そこを……退けぇ!!」

 

 コートの袖から飛び出したアームブレードが煌めく!!腕部と脚部から飛び出たバーニアが火を吹き、グローブから生えた黒き爪が痛々しく蠢く!

 

 そして……その力に耐えきれなくなったのか、ヘルムの右目部分が砕け散り、今にも泣きそうな眼差しが曝け出された!

 

「どかしてみろよ!!仮面ライダー気取りがぁ!!」

「キミが変わらないのは知っているーーやるぞ諸君!!」

「うん!!」

 

 神野市ーーかつて、オールマイトがAFOを打ち倒した広場で、A組は緑谷出久を連れ戻す為に対峙した。

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