【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
A組の誰もが知っている……彼が一度決めたら止まる事は無いと。たった一年少しの関わりだろうと、彼がどんな人間か皆よく知っているからーー!
「聞いたぜ!オールマイトからOFAを奪ったってよぉ!!人から盗んじゃダメってせんせーに教わらなかったか、クソヒーロー!!」
爆豪の怒号に緑谷は、ヘルムの口元を開いてから言った。
「皆、ありがとう」
緑谷の口から放たれた紫色の煙が、A組に降りかかる!
「全員目と口閉じろぉ!!」
知っているのか、はたまた見た目から有毒と予見してか、緑谷の『毒霧』に爆豪が声を上げて皆に指示して地面に手をかざす!
「爆風地雷!!」
地面を爆破して、その爆風で毒霧をかき消す爆豪。その一瞬をついて緑谷は空へと飛翔していた。
「話もしねーでトンズラか!なんでもかんでもやりゃできるよーになると、周りがモブに見えちまうなぁ!?」
見上げた先にいる緑谷に吐き捨てる爆豪、そのまま逃げようとした矢先、緑谷の身体に何十羽もの鳩達が纏わりつく!
「戻ってきて大丈夫だって!!緑谷くん!校長先生が戻っておいでって!ね!?だから逃げないで!!」
口田くんが動物会話で指示したのか、緑谷は手足をばたつかせ、鳩をできるだけ傷つけないように振り払おうとした。動物からも本能的に嫌われ、林間合宿では熊まで殺した、緑谷からすればむしろ嫌われていると思った。恥ずかしがり屋な彼がそうまで声を大きくしてと、それでも緑谷は鳩の包囲から脱出する!
「……ごめん」
引き寄せて、空を舞う緑谷。しかしその身体を白いテープが捕縛する!!
「鎖使うのやめたのか!?かっこ良かったのにもったいねぇ!!いつもの掛け声はどこ行った緑谷ぁ!!」
瀬呂くんのテープが行かせないと、まぁ話そうぜと気楽に声をかけてくる。彼は個性、自分は武器だが捕縛の共通点があった、誰とでも打ち解ける彼の在り方に心が安らいだ、冗談を言い合える友だちでクラスメイトは初めてだった。
「くぁああ!!」
断ち切るように、テープをアームブレードで切る。そこに待ち構えていたのは、小さな拡声器に伸びるイヤホンジャック!
「ハートビートウォール!!」
大量音が響き渡る前に、緑谷は範囲からビルへ向かって自らを引き寄せ逃げた。
「はっや!?……緑谷ぁ!文化祭の時さぁ、無理くりボーカルにギターに、色々何もかもやらせちゃってさ!けど、あんためちゃくちゃ楽しそうで……違う!?」
耳郎さんが大きな声で呼びかける、初めての文化祭だった。ボーカルというお互い主役を張る同士、恥ずかしかったし楽しかった、今までこんな行事参加もできなかったから、準備からずっと、疲れなんて忘れるくらいに。
「尾空旋舞!!」
飛び立つルートを先回りしたらしい、尾白の尻尾が緑谷をがっしり巻き上げて拘束する!
「体育祭の時!お前は俺が心操に操られたのを心配してくれたよな!指まで折って!!そこまで心配してくれた事、俺は忘れない!!お前だけがボロボロになって戦うなんて見過ごせない!」
尾白くんが真剣に、止めようとしてくれている。互いに徒手空拳を武器とする同士、お互い刺激になった。自分が強くなれた一因の彼の声に揺らぎそうになる。
「僕が居ると……皆が危険なんだ……!」
それでも緑谷は思い出す、片目と片足を失った相澤先生、自分を庇って大怪我を負った爆豪……そして、死んだグラントリノを!もう誰も失いたく無いと、奪わせないと尾白の尻尾を力づくで押しのけ引き剥がす!
「押せ!ダークシャドウ!!」
「がっ!?」
逃がすものかと、引き剥がした矢先に現れた常闇のダークシャドウが、緑谷を横っ腹から抑え込み廃ビルに叩き込み、拘束する!
それを見ながら砂藤が、落下する耳郎と尾白を受け止めながら信号機に着地した。
「あいつ強くなりすぎ……」
「意思もね」
どれだけ強くなったのだ彼はと感想を漏らす耳郎に尾白、砂埃舞う廃ビルへ向けて砂藤が叫んだ!
「緑谷!聞いてくれ!お前は特別な力持ってっけど、気持ちは俺らも同じだ!さっき口田の言った学校の方の話もさ!!聞いてくれ!でなきゃ、もうエリちゃんにりんご飴作る時食紅貸してやんねー!」
砂藤くんが力強く叫んでいる、お菓子つくりも料理も得意で、彼のお菓子の味を一人戦う中で忘れた事は無い。クリスマスの時だって互いに手伝って楽しかった……だけど。
「いいよ……エリちゃんだって……僕じゃなくていい……ミリオ先輩やキミがいるから……!」
そこに僕は居なくていい、緑谷は言い切る。ミリオ先輩だって、砂藤君だって居るから……居なくてもいいとダークシャドウを引き剥がそうとしてーー何か違うものが更に緑谷を強く柱に括り付け、割れたヘルムへ更に被せに来た。
ぐらんと眠気が来た、眠らせる装置なんて、それが作れるのはーー。
「初めは一同貴方についていくつもりでした、今はオールマイト達の協力のもと、個性を行使してます、緑谷さんの安全を確保するという任務で……」
八百万さんの諭す声……何故、こんな化け物の自分に好意を向けてくれたのか分からないくらいの美少女……女性には敵意しか向けられなかった自分にも笑顔を向けてくれて、勿体ないくらいな素敵な女性……。
「もうーー構わなくていいからーー!僕から、離れてよ!!」
だからこそ!巻き込みたく無い!!安らぎも愛も!!捨てて行かなきゃ!!全て捨てなきゃ!!あの人と同じにはなれないから!!力づくで装置と拘束を引き剥がしにかかる緑谷の首に、また何かが巻き付く!
「やなこった!!」
上鳴君の声がしたーー。
「緑谷!お前が色々抱えてんのは分かったけどさ!だからって俺らがお前を嫌うなんて事は無いぜ!?趣味も違うけど、女の子の話にも乗ってくるお前は友だちだ!!だから無理くりにでもやらせてもらう!!」
おちゃらけて、真面目には見えない……けどヒーローになるという意思の強さと明るさは、見てるだけで自分も大丈夫と思えてくる。そんなキミが、僕を友だちと呼んでくれるのかと胸が締め付けられた。
さらに、上鳴ごと緑谷を何かが巻き付いて締め付ける。
「絶縁テープを巻いてある、八百万産のな……緑谷、体育祭で言ってた事覚えてるか?轟に、抱えてきた個性で生きていくしかないと……」
障子くんの声が響き渡る、寡黙で大人びた異形のクラスメイト……個性でお互い抱えてるから、仲良くなれたのかもしれない。話は少なくても、分かり合えていたと思う。
「ここは暗くていいーーダークシャドウ」
『あいよ!』
更にダメ押しと現れたダークシャドウと常闇が、緑谷を閉じ込めた。『ラグナロク"胎"』ダークシャドウによって標的を閉じ込める必殺技ーー。
「ーーダークシャドウの攻撃力を、防に利用する、お前のアイデアだったな同胞よ」
常闇くんが思い出を語る、お互い闇の個性なんて厨二病じみた、僕の事を魂の片割れなんて呼んでくる友人。本当にそう思えるくらい、組めば負けないって思えるくらい思えた同胞だった。
「お前にとって俺たちは、庇護対象でしかないのか!?」
「とりあえず風呂入ろ!?な!?緑谷、風呂行こ!!」
今はとりあえず休もうぜ、さっぱりしたら考えも変わると上鳴が、守られるだけの存在でしかないのかと障子が叫ぶ!
「うぁぉああああああーーー!!」
それすらも、緑谷はOFAの馬鹿力で振り切って、廃ビルから飛び出した!!
「ラグナロクをこじ開けるとは!!」
空を飛びながら、緑谷は仮面の下で呻く、分かっている、止めようとしている事が、心配している事が!
だって……この辺りから全く『死の気配』が見えないから!攻撃全部が、自分をただ行かせないためにと行なっている事が!
「だから、離れてよ……頼むから!僕は、大丈夫だからぁ!!」
これでもう、邪魔する者はいないと思った矢先ーー巨大な氷壁が突如現れて緑谷はそれに追突した。
『穿天氷壁』
轟焦凍の必殺技……その氷壁の頂で、轟は緑谷を見下ろした。
「なんだよその面、責任が涙をゆるさねぇか?その責任ーー俺たちにも分けてくれよ」
ガクリと、頭からぶつかり意識を落としかけ首が傾く緑谷。それを見て、近くのマンションの壁に張り付いた蛙吹が、緑谷に声をかける。
「行かせないわ、もうオロオロ泣いたりしない……大切だから、どんなに傷ついても辛くても、涙を隠して挫けない私のお友達ーー貴方が特撮のヒーローの様になるなら……」
それでもまだ、氷壁の中で蠢く緑谷に蛙吹が言った。
「A組(私たち)、一人で架空(そっち)へは行かせない」
絶対、一人で行かせない、必ず引き戻すと、蛙吹は緑谷に言い放った。