【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
「ミッドナイト先生!爆豪と轟と八百万のコンボで捕らえたっス!」
緑谷を止める為A組が動く中、どうしても相性から捕縛が無理となった切島、葉隠、青山は、緑谷を追い詰めたヴィランを確保していた。同じく来ていたミッドナイトは、氷塊から出てきたヴィランを見て頷く。
「こいつはディクテイターね、ダツゴクの一人だわ……こっちは私に任せて貴方達も緑谷君のとこに行ってあげなさい」
ダツゴクの確保は私がやっておくと、ミッドナイトは3人にクラスメイトとして緑谷の元へ行くように伝えた。
「あざっス、あんな風に動いたら何もできねぇけど、ああでも、チクショウ、俺も言いたい事が山ほどあるんだ!」
「私も!」
「ウィ!僕もさ!!」
3人の背中を見送りながら、ミッドナイトは一息ついた。その彼女に、声をかける者がいた。
「よかったのかい、アンタも行っていいんだぜ?ミッドナイト?」
「タカカズ……」
声をかけたのはナイスガイヒーロー、タカカズ。彼もまた緑谷出久と縁を結んだヒーローの一人である、そんな彼から言われてミッドナイトは苦笑した。
「私は先生ってだけよ、担任でもないわ……今はあの子達の方が必要よ」
「そうかい……まぁ落ち着いたら抱きしめてやんなよ、その方がいいだろ」
ああこの男は、まるでやり手の女みたいにその辺りを察する能力があるからとミッドナイトは腕を組んでそっぽを向いた。タカカズはそんなミッドナイトに缶コーヒーを出すと、ミッドナイトはそれを受け取る。
「緑谷くん、いい男だよな……アンタみたいないい女まで惑わすんだから罪深い、俺のラブコールにも応えてほしいぜ」
「ええ、本当……青い筈なのに時折大人びて、だから……心配になるのよ」
カチャリとプルタブを開けて、苦い液体を流し込む。本当なら抱きしめてあげたいくらいだけど、それはまた今度にしよう……今彼に必要な事は、無理矢理にでも引き上げてくれる強引さで、優しい抱擁じゃないと、雨空を見上げながらミッドナイトは結末を待った。
「緑谷!今の状態がAFOの狙いかもしれねェだろ!その隙に雄英を狙ってくるかもしれねェ!!」
氷壁に阻まれ蠢く緑谷に、轟が言い放った。そうやって傷だらけにして何もできなくするのがAFOの狙いかもしれないだろうと、それも聞かず氷から這い出ようと緑谷は動き続ける!
「そんなナリになるまで駆け回って!見つかんねェなら次善策も頭に入れろ!大切な雄英を守りてぇってんなら!離れず側にいるって選択肢をもあるだろ!!俺たちも……一緒に戦わせろ!!」
一緒に戦う、それができたら……それが出来ないから!そうしたら、皆が傷つくから離れた!
「無理だよ……これは……OFAとAFOの戦いで!AFOから産まれた僕の戦いだ……!僕がやらなきゃ!僕が……責任を果たさなきゃ!!いけないんだぁ!!」
ついに氷壁を破壊して緑谷が飛び出したのを見て、轟は舌打ちした。
「麗日くん!」
それを見た飯田が、麗日に指示を出して彼女が飛び出し、同時に蛙吹も動いた。
「緑谷ちゃん!」
長く伸ばした舌で、巻きつけて捕縛しようとしたが敵わず、緑谷が空を舞うーーが!何かが足を引っ張り、身体が沈み出した。
足に付着した球体は、もぎもぎ!それが連なった先に峰田がしがみついて登って近づいてくる!!
「忘れたのかよ緑谷ぁ!!あぁ!?お前が化け物だって!?ふざけんなぁ!オイラ言ったよな!?緑谷は化け物じゃないって!オイラ達より少し強いだけの人間で!友だちだって!忘れんじゃあねえよ緑谷ぁあ!!」
峰田くんの声に心が痛む、目の前で惨劇を見ても、対抗戦の後わざわざ訪ねて元気づけてくれたのは彼だった。時折ライン超えするけど、それでも彼との学生生活は毎日楽しかった。
だけどーー!!
「ごめん、峰田くん!」
バーニアの火でもぎもぎを焼き切り、峰田をビルの屋上へ落としつつ、引き寄せで着地させてから、緑谷は自らを空へ引き寄せる!ここから、彼らから離れて一人で行くために!!
「行かせて……たまるかぁ!!イズクくん!!」
絶対に行かせない、その身体全てで阻もうとする彼女ーー。
麗日さんの眼差しが射抜く、出会いは試験の時だった。潰されそうになって、必死になって助けた。それから自分の個性の可能性が広がった、ヒーローとして始まりをくれた女性……この子も好意を向けてくれて、そして勿体無いほど素敵な子だった。
だからこそ、巻き込みたくないとその横を通り抜けた。
「みんなぁ!!」
それでも!絶対逃すものかとA組は食い下がる!!轟の氷が発射台を作り!八百万が線路と発車用の荷台を作り上げ、そこに轟と爆豪が乗る!
「溶解度0.1%!保護皮膜用アシッドマン!!」
「行け!轟!!」
射出してそのスピードの摩擦熱から保護するための保護皮膜ジェルを芦戸が作り上げて前面に展開し、砂藤、障子、口田が勢いつけて押した!
「膨冷熱波ぁあ!!」
氷結からの炎で空気を膨張させ爆破する轟の技で、スピードが加速する!離れる緑谷を追うために!!射出された轟達に触れ、無重力を麗日が展開して落下を防ぎ緑谷へ追い縋る!!
「責任だと……!!」
轟が呟く中、爆豪もまたその爆破のための汗を輝かせ、そしてーー。
「爆速ターボ……クラスタぁあああーーーー!!」
更に向こうへ、連鎖爆破の加速で緑谷に追いつく!超加速の中爆豪は思う、お前に色々言わなきゃいけない事がある、本当はこのまま自分が捕まえて言いたい事がある!けど、今は!このスピードに唯一耐えれるこいつの後だと!アシッドマンを押した!
「頼んだぞ!委員長!!」
アシッドマンの保護皮膜の中から現れた飯田が、ついに緑谷を追い抜いてその手を掴んだ!
「緑谷……くん!キミは、いつだって俺の先を行く!だから!キミに!挑戦するんだぁ!!」
二度と離さないと、ガッチリ手を掴む飯田に、緑谷は言い放つ。
「離せ!!飯田くん!!離せって!!」
「離さない!どこへでも駆けつけーー迷子の手を引くのがインゲニウムだ!キミが繋いでくれた!あの日の保須で!キミが助けてくれなかったら終わっていたんだーー余計なお世話が!ヒーローの本質だ!!緑谷くん!!」
飯田にとって、緑谷は凶行を引き止めてくれた恩人だった。兄がステインに狩られ、職場体験を私怨に利用した挙句返り討ちに遭い殺されかけた……そこに緑谷が数奇な縁で駆けつけたーーそのおかげで、自分は助かって愚かしい行いを顧みる事ができたのだ。
そんな飯田君の叫びに魂が揺らぐ、真面目で実直な堅物委員長、だからこそ信頼できた。何より緑谷は忘れない……試験の後に心配してくれた事、点を渡したいと、ヒーローになるべきだと言ってくれた事を。
「解除!!」
無重力が解かれ、落下していく。飯田は緑谷を抱えて、落下していくがどこに着地したものかと落下地点を探しているとーー。
「オーライ!オーライ!!」
「切島くーー」
切島が現れて、二人を受け止めた!硬化してコンクリートを削りながらそれでも落下した二人をしっかり受け止めてーー止まった。
「緑谷!エリちゃんの時に!助けられなかった時は後悔して吐くくらい優しいお前が!俺みたいに硬くもなれないのに一人傷付けばいいとか思ってんじゃあねぇよ!!」
切島くんの一喝が、殻にヒビを入れた。
「もうお前一人が……傷も返り血も浴びる必要無い、俺たちも一緒に行くから、な?」
硬派一心の男を貫く、その裏で恐怖と戦い虚勢を塗り替える勇気を持った彼は、決して倒れない守れるヒーローになっている。僕なんかよりも、よっぽど彼はヒーローだった。
ようやく止まった緑谷の元に、A組達が集まった。もう一人で行かせはしないから、絶対離さないと、緑谷の下に集まる。
「緑谷……緑谷が居ないA組なんて嫌だよ、一緒に居よう、また皆で授業受けよう……?」
芦戸さんの頼みに、膝を折りそうになる。明るくて元気な彼女は、ただ居るだけでやる気が満ち溢れてくる。切島くんが憧れたのがわかる、ヒーローになるべき女性だと。
皆が、自分を止めに、ここまで来た。
けれどーー。
「お、おい!!」
振り払え、緑谷出久、この眩しい日々に、眩しい景色を守るために……その身を焼き焦がし朽ちるまで戦うのがーーあの悪から産まれた男の責任だから。
切島の腕を払い、皆に背を向けて、緑谷出久はそれでも立ち止まらなかった。
「止まれねぇか、イズク……」
かっちゃんからの、最後通告……それに対して緑谷は言い放つ。
「ありがとう……けど、止まるわけにはいかない……」
「……そうか」
爆豪は目を閉じて、そして他のクラスメイトを下がるように手を挙げた。もう仕方ない、勝手にしろという意味かと、緑谷が思った最中ーー。
「だったら強硬手段だ、通ってみろや、クソヒーロー」
爆豪の言葉と共に、足音を耳が捉えた。
「少年ーーキミをヒーローの道に引き込んだのは、私だ」
まさかと、そんな馬鹿なと緑谷は驚くしかなかった。
「キミにヒーローの在り方を教えたのも私だ」
雨の中を、歩いてくるその人影、頼りない姿のその男はーーかつて『平和の象徴』と呼ばれた英雄。
「そんなキミが、屍山血河に沈みゆく姿を私は放って置けないーー!」
ブカブカのヒーロースーツが、煙と共に張り裂けそうになるほど膨らみ、その雄大なシルエットを作り上げる!!
「キミをもう一度!引き戻す為に!!」
通れるなら通ってみろ!その道を行くならば、かつての過去を否定して超えて見せろと!!緑谷出久の前に!!伝説のヒーローが立ちはだかった!!
「私が、来た!!」
オールマイトが……緑谷出久の前に、かつての姿で現れたのだった!!