【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
何故だ……緑谷出久は呆然として佇む。何故オールマイトが、あの時と同じ姿で、明らかに10秒という限界時間を超えて、筋骨隆々の姿で自分の前に立っているのかと、緑谷は驚くしかなかった。
「そんな……何で……」
言葉を胸中で止められず、口に出してしまうほどの衝撃に、かつての英雄は答えた。
「忘れたか緑谷少年?OFAには、残火という現象がある事を……」
その一言で、ああと納得してしまった。
譲渡して次代へ託されてきたオールマイトの個性『ワン・フォー・オール』は、次代へ受け継がれた後も、先代から即座に消えない。まるでやがて消えゆく残り火のように、徐々に徐々に力を失っていくのだ。
でも、それだけじゃオールマイトがこうして姿を顕現できる理由にはならないだろうと、それを察したようにオールマイトは答えた。
「キミがOFAを奪った事により、残り火だけとなった私の身体は……まるで重りを外したかのように軽くなった………変身時間が伸びた理由はそれだろうな、今の私にとってOFAという個性自体が重りや枷となっていたらしい」
ああそうか、今更になって気付かされたし、思い出す。そもそもOFA自体がオールマイト含め8人の個性を蓄えてきた強大な個性!それを留める器が強固でなければ爆散すると先代達も言っていた事を!
だから、神野で自分がオールマイトと融合して9人分になった時に、神野が消し飛ぶ強大な個性となったから、先代達の意思が危機回避の為に別れたのだったと。
いまでこそ、緑谷出久の身体はその9人分に耐えれる肉体まで変異したが、それでも抜き取らなければ負担が身体にのしかかるくらいには強大な個性がOFA!
それが外されたオールマイトは今!限りがあれどかつての力を存分に振るえるような状態になっているのだ!!その時間が伸びるほどにOFAは、オールマイトの身体の枷になっていたのだ!!
「この残り火もやがて消えるさ、だが……この力を私はキミのために使う!来い!緑谷少年!!一人で行くというならば、残り火の私を踏み越えなければ不可能だ!!」
火を移して、最早消えゆく自分を越えることすら出来なければ、一人で行くなど不可能だとオールマイトが拳を握りしめ言い放つ。そのセリフに対して、緑谷出久は……。
「分かったよオールマイト……これは儀式だ、貴方を倒して……僕は!更に向こうへ行く!!」
割れたヘルムが明滅しながらも、ヒーロースーツが軋みながらも、緑谷出久は宣言と共に構えたのを見てーーA組一同が距離を取った。
かつて、AFOを打ち倒した神野の広場で。
オールマイトと、AFOの力に目覚めた男が。
拳を交える事になった。
緑谷のヘルムを伝う雨が、顎から落ちて、地面に落ちた瞬間。二人の姿が消えて衝撃波が起こった!!
「うわぁあ!!」
「きゃああ!?」
衝撃波にA組の何人かが悲鳴をあげて、その風に目を覆う!
気付けば、緑谷とオールマイトの拳がぶつかり合う様子が見えた。
「嘘だろおい!?」
「オールマイトの拳をまともに!」
瀬呂と切島が、オールマイトの拳を拳で受け止めた緑谷に驚いたが、爆豪は驚かなかった。当たり前だ、今の緑谷はオールマイトの力をそのまま受け継いでいる。いや、緑谷が奪ってしまったから緑谷自身の一人分が上乗せされている!十分有り得る話だ!
「っしゃあ!!」
「応っ!!」
そのまま始まった!!真正面からの殴り合い!!互いに拳で拳を相殺してその身体に触れさせない速さと正確さ比べの中で、オールマイトが言い放つ!
「嫌に馬鹿正直な拳じゃあないか緑谷少年!!キミの打ち込み方は!フェイントを交えたテクニカルなものだった筈!!余裕がないんじゃあないかぁ!?」
「吐かせぇ!!」
こんな力任せな徒手空拳がキミだったかよと、余裕を見せるオールマイトに緑谷が苛立ち、売り言葉に買い言葉とオールマイトの一撃を受け流す!
「ぬおっ!?」
「せりゃああ!!」
前のめりにグラついたオールマイトの側頭部へ!放たれた緑谷の回し蹴りがめり込む!!当てた!!あのオールマイトにとA組が唖然とするもーー。
「首はしっかり鍛えてるぜ!!脳みそ揺らす程じゃあないなぁ!!」
いや、明らかに揺れるし意識は途切れたろと、それほどの威力があった回し蹴りを!オールマイトはぐいんと力押しで押しのけてにっこり笑うと拳を握りしめ!
「テキサス……スマッシュ!!」
「が!?」
お返しの一撃を、緑谷の腹部にお見舞いして、緑谷は勢いよく吹き飛んだ!二転、三転と転がりながらも立ち上がり勢いが殺せず地面のコンクリが抉れながら緑谷は苛立ちに歯を食いしばった。
「オールマイト……手を抜いたなぁ!?」
今の一撃でオールマイトなら終わった筈、それなのに自分が立てている事に緑谷は手を抜いたと怒った。しかしーーオールマイトは言い返す。
「手を抜いたんじゃあない、力を抜いたのさ、インパクトの瞬間にね?じゃないと大怪我するだろ緑谷少年?」
「それを、手を抜いているというんだ!!」
足に力を込めて、発動する三代目の個性『寸勁』で一気にオールマイトの元へ戻る緑谷!さらに、アームブレードと黒爪を光らせたのを見てオールマイトは胸元で腕をクロスさせ足に力を込める!!
「カロライナ……」
「バイオレントォ!」
交差する二人、そして振り抜かれた二人の腕、互いに背後へと通り過ぎながら言い放つ!
「スマッシュ!!」
「スラッシュ!!」
クロスチョップと斬撃の応酬ーーしかし、砕け散ったのは緑谷のヒーロースーツのアームブレードと黒爪、そして胸部装甲だった。
「まだぁ!!」
「むっ!?」
それでも!!緑谷はオールマイトに手をかざして飛んだ!オールマイトは振り向いたが、見えない力に身体を固定される!!
「緑谷くんの引き寄せ!!」
「あれってーー!?」
「やめろ緑谷ぁ!!オールマイトを殺す気かぁ!!」
緑谷の個性『脊髄ぶっこ抜き』その本来の有様『引き寄せ』で、オールマイトを地面に釘付けにする!さながら鎖で雁字搦めにするように。そこから放たれる技を、A組は知っている!!
決して避ける事ができない、必殺の一撃!!空高く飛んだ緑谷が錐揉み回転を加えてその右足を突き出して、オールマイトに突貫していく!!
「イーヴルストラァアアアァアアアイク!!」
凄まじい衝撃と爆風のような風が、瓦礫を、砂埃を舞いあげてオールマイトにその一撃が叩き込まれーー。
「デェトロイトォ!スマァアァアッシュ!!」
ていない!!引き寄せの力すら、力で乗り越えて!!緑谷の蹴りを拳で相殺して!!緑谷は吹き飛び転がってうつ伏せに倒れた。
「今のは……効いたぜ!緑谷少年!!強くなったなぁ!!」
それでもオールマイトも無事ではない、明らかに筋肉の膨張が減少し、右腕は内出血と骨折から紫色に染まっている、が!立っているのはオールマイト!!
緑谷も、本気で放った衝撃からか、ヒーロースーツが砕けインナーが露出し、火花を散らしている。それでも、まだ立てると、超えてみせると、ゆっくり立ち上がる。
「来い!!緑谷少年!!私を超えるのだろう!!全力で!!」
アーマーが砕けた、技も潰された、それでも……それでも!!緑谷の左腕が照準のように伸ばされ、弓引くように右腕が引かれていく!!
「全力……全開……必殺!!」
その技も知っている、かつてヴィラン連合襲撃で死柄木を叩きのめし、轟の炎すら相殺した、彼の本来の必殺技!!
「バイオレントォォ!!ラァアアアッシュ!!」
全てを滅する暴の雨!!一撃一撃全てが人体の急所を射抜く正確無比な、彼の積み上げて来た技術の結晶!!
オールマイトは、その暴の雨に対して構えを取る!
「緑谷少年……私はね、数あるキミの技よりも……対抗戦で見せた、理性のある一撃が一番好きだった」
オールマイトは語る、どんなキミの無慈悲な必殺技よりも、目に刻まれたある一撃が心に残ったと。
「物間くんへやり返そうとして止めた寸止め……私はよく耐えたと思っている、だから!それをキミに送ろう!!」
構えたオールマイトは、緑谷の暴の雨の初撃を当たる間際に弾いて!封殺してみせた!!
「あーー」
たったそれだけで、止まってしまった。二撃目を許さないとその拳が、緑谷の眼前に迫る。
「ユナイテッド!」
眩しい光だった、鮮烈で力強い、目を覆いたくなる輝き。
「ステイツオブ!!」
そうだった、僕は……オールマイトのその輝かしい姿に憧れて、ヒーローになりたかったんだ。
「スマァアァアッシュゥウウウ!!」
ああけど、こんなに眩くはなれない。分かっていた、オールマイトはオールマイトで、誰も彼にはなれない。分かってた筈なのに……。
「馬鹿だな、僕は……」
その一撃が、緑谷の顔面に叩き込まれた。
いや……ヘルムに触れただけ、打ち抜いていない。寸止めの拳が……ヒーロースーツ『シン』の仮面にヒビを入れて、打ち砕いて緑谷の顔を曝け出した。それでも、余波の風で緑谷は身体が浮いて、背後に投げ出されーー。
A組の全員が、その身体を支えるように受け止めた。
*一応、何でオールマイトが長時間変身できたか補足。
①原作と違い、OFA譲渡無しかつそのまま保持していた。
②神野でのAFO決戦時に擬似的に緑谷へ譲渡(融合した為)
③歴代意思が、どちらか片方に戻ったら神野がクレーターになると気付き、OFAを緑谷三割、オールマイト七割に分けて爆散を回避(意思は緑谷側に避難)
④別れても現在のオールマイトに七割はきつく、逆に重りみたいになっていた(体の調子は良いが、マッスルフォームの効率が悪くなっている)
⑤緑谷に七割を奪われて残り火だけに、重りが外れて逆に効率が上がってしまった。(緑谷はワイルドピース化かつ、AFO覚醒により耐えうる肉体に変わった)
⑥とはいえ、緑谷を引き戻す為に残り火全てを燃やし尽くし、原作と同じ状態に。