【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
そもそもの話……何故、オールマイトが世界各国へヒーローの派遣要請を出したのかには理由がある。
時間をオールマイトが緑谷達に最終決戦が近いと告げたすぐに戻す。彼はステインから渡された情報、その解析を警察に頼んでおり、警察署まで出頭していた。
「3日って……そんな、死柄木が復活というか、完成するまでたったそれだけ!?」
「ああ、玉川……ステインが渡して来た、タルタロスが襲撃されて崩壊するまでの記録、その中に死柄木とAFOの会話、いや性格には電波系の個性による波長も記録されていてな……」
オールマイトの知古であり交流がある警察官、塚内直正は定時パトロールを終えた猫の異形の機動隊員玉川にそう説明した。
ステインがオールマイトに渡したのは、まずラブレターじみた文章。そして短刀に括り付けられた記録媒体だった。
死柄木がタルタロスを襲撃して、電波系の個性による電気系統の破壊。それがまず、AFOが幽閉された地下500mから僅差あれど同時に行われ、それから収監されたヴィラン達は脱獄した。
この同時に近い、示し合わせたかの様な個性発動によるタルタロスの電気系統、警備システムの破壊だが、なぜこんなタイミングよく行えたかには『個性の意思』と『電波個性を使った通信』を使ったとほぼ確実だと分かった。
個性には意志が宿る……オールマイト自身も過去、OFAの歴代意思と会合した。それだけじゃなく実例が近くに居た。
緑谷出久である。
緑谷はかつて『AFO因子』を打ち込まれ、最近ではあるが夢の中でAFOと会合したり、何よりOFAの歴代継承者と会合も果たした。
そして……緑谷が気を失っていた間セントラル病院で看病していたオールマイトは、近くに居た事によりその意思と再び見えたのだと。オカルト的な話だが、実際双子生まれの兄弟が言葉を交わさずとも意思疎通できる、という実例もある。
オールマイトは、緑谷が蛇腔で死柄木と接敵した際に顔を掴まれOFAの欠片を抜き取られそうになり、その精神世界で死柄木がAFOに乗っ取られかけた事を知った。
「殻木球大の証言から、死柄木はAFOが乗り移る為の器だと言っていた……その殻木が完成に二ヶ月かかるというのもブラフ……電波の波形を解析した結果……38日で完成させると会話していたらしい」
「セントラルの、脳無研究チームも二ヶ月と言っていたのに……じゃあ……」
判明する前はAFOの懐刀、殻木球大の証言とセントラル病院の脳無研究チームから照らし合わせた二ヶ月と思われた、死柄木弔という器の完成は……それすらもブラフで実際は38日で完成すると電波波形は読み取った。
玉川は瞳孔が開き切り、驚愕が見て取れてしまう。しかし事実だとオールマイトは告げた。
「器としての死柄木弔の完成は、あと3日しか無い……私はこれから国連に各国ヒーローの派遣要請を出す……あまりにも時間が足りなさすぎる……」
死柄木弔の完成まで3日……それまで出来ることは何でもやると、オールマイトは国連へ連絡を急いだ。
以上が、アメリカよりスター、そしてビリーの二人のヒーローが独断出動に至った流れである。
ーー某所洞窟ーー
「まさか、死柄木の個性を砕かれるとは……ここに来て数マス戻された気分だ」
洞窟の中で、壊された玉座の様な椅子に足を組み、台詞こそ邪魔されたが楽しそうにAFOは呟いた。傍には殻木が作り出したハイエンドが数体鎮座し、静止している。
荷物である木箱の椅子に座りながら、ヴィラン連合の一人スピナー、そしてトゥワイスはAFOの呟きを聞いていた。
「まぁしかし、ダツゴクが暴れた事により警察もヒーローもこちらの捜索に全力を割けない、かくれんぼはこちらの勝ち、としておこうか」
結果的にはプラスとしようかと、AFOのつぶやきに、スピナーが声を上げた。
「国外に逃げるべきじゃなかったのか?」
「それな!態々こんな洞穴で隠れる理由を教えてくれよ死柄木の先生よぉ!」
そもそも国外逃亡したら安全だったのではと、スピナーの言葉にトゥワイスも続いた。何故こんな場所で隠れて待つのかと、二人にAFOは指を出して答える。
「うーん、前提が違う……このかくれんぼで隠れ通すのが短期目標……OFAを手中に収めるのが、中期目標だ」
「最終じゃねぇのか?」
それを聞いたスピナーは、待ったと声を上げる。OFAを手に入れるのが最終じゃないのかと、これに対してAFOはゆっくりと言い聞かせる様に語り出す。
「僕はなが〜い人生設計を立ててるんだ、そして今、その人生設計において最大の壁にして最大のチャンスが来ている!」
「勿体ぶるんじゃあねぇよ!その最大のチャンスってなんだ、死柄木の先生!?」
逸るトゥワイスの話も聞かず、陶酔気味にAFOの語りは続いた。
「僕には世界中にたくさんが友人居てね?日本ではオールマイトが組織犯罪を撲滅させたが、海外じゃそう言うわけでもないんだ、彼らに暴れて貰えば必然的に各国は"自"と"他"を計りにかける事になる」
今現在こうして海外のヒーロー派遣が遅れ、捜索に力が入らない理由は自分と知古の海外ヴィランとの繋がりかららしい。日本の今の混沌に、海外からの介入を防ぐためでもあるとAFOは語る。
「で、その壁とチャンスって?」
「スターアンドストライプ……最強の女だ!ヒーローの本場自由の国トップに君臨するヒーロー!彼女は小細工を意に介さない……!」
スピナーですら、その名前は知っていた。アメリカ最強の女が、まさか日本へ来るのかと冷や汗を垂らす中AFOは嬉々として拳を握りしめた。
「ギャンブルだぜぇ、あれに介入されたら面倒なんてものじゃないが……彼女の"個性"を取れたら!あとは消化試合だ!」
その為に、死柄木を向かわせたのかと洞窟内には居ない彼が向かった先はそこかと、スピナーは唾を飲んだ。
「さて、伊口くん、そして分倍河原くん?燈矢くんたちと違い僕の警護に献身してくれていたけど、キミ達もそろそろ動く時だ」
話はここまでに、AFOはスピナー、そしてトゥワイスにそれぞれ指差して、警護ではなくそろそろ目標の為に動く時間だと彼らに指示をした。
「スピナー、紡ぐものよ、そしてトゥワイス、再び立つものよ、この先キミ達が死柄木弔の戦いを支えるんだ……忙しくなるぞ?それぞれ君たちのやるべき事を僕が教えようじゃないか」
決戦の日は近い、二人がこれから死柄木を支える者として、やるべき事を与えようと、AFOは笑って立ち上がった。
某所沿岸沿い、道路ーー
車を運転するベスト・ジーニストの横で、ホークスは媒体に映る日本地図、そして太平洋上の反応を見ながら言った。エンデヴァーもチームとして同行して飛翔しながら、海の向こうからの来客を待つ。
「間も無く領空に入るそうですーーお出迎えしたら、すぐ対策を講じましょう」
スターアンドストライプ、さらにビリー・Hのアメリカチャート入りヒーロー二人が、独断先行で日本に与する……それを聞いたホークスは安堵より心配の方が勝った。
「てか、滅茶苦茶心強いんですけど……スターさんにビリーさん、大丈夫かな?今後……」
諸々すっ飛ばした出動、これは領空侵犯と同じである。はっきり言ってヒーロー免許剥奪どころじゃないようなとホークスは冷や汗が滲んでしまうくらいには危ない事を二人はやっていた。
「彼女や彼のそういうところに助けられる……私はかねてより、お二人とゴールドラッシュ時代のお宝ヴィンテージデニムについて話したいと思っていた」
相変わらずのベスト・ジーニストだったが、そんな会話を打ち切るように警報が鳴り、通信が入る。
『こちら塚内!エンデヴァー、ホークス!聞こえるか!?今連絡が、航路上着陸予定地約50キロ!!奴が姿を現した!!』
警察の塚内からの通信にエンデヴァーが彼方空を見やる、やはり現れたかと望むその先でーー今、本場アメリカチャート入りのヒーロー達と、最強のヴィランの戦いが幕を開けようとしていた!!
「あぁん!?お客さん!?」
「出迎えが過ぎるねぇ……自由な奴!」
ステルス機の上から、スターとビリーの二人の前に現れた、黒き怪物の上に立つスーツを着て赤いぼろ布のマントを羽織る白髪の青年……。
「お前が、AFOってヴィランかい?」
スターが問いかけ、それに対して死柄木弔は答えた。
「さぁ?俺って……何なんだろう?」
自分が誰だかわからない、俺は誰なんだと死柄木は、二人に尋ね返した。