※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

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前章⑦ 父として、デザイナーとして

「日本がこんな事になっているなんてニュースが流れてな、渡航制限されて……だから国防長官に話をつけて米軍に送って貰った……ありがとう、美味しい紅茶だね」

「い、いえ……お口にあってよかったですわ」

「で、基地に降ろされてた彼を僕がついでに送ってあげたわけさ」

 

 テーブルに座り、八百万が紅茶を出してそれを頂きながら、父、緑谷久は如何にしてここまで来れたのか、渡航制限中の日本へどう渡って来たのかを語る、その経緯を聞いたA組面々の反応は様々だ。

 

 特筆して、やはり出て来てしまう言葉はーー。

 

「なぁ緑谷ぁ……国防長官って出て来たぞ?緑谷の父ちゃんってマジで何者なんだよ?」

「えっと……一応スターのコスチュームを作ったデザイナー?」

「デザイナーの口から国防長官の四文字は出ないと思うよ緑谷ぁ……」

 

 峰田と上鳴から、マジで緑谷の父ちゃん何者なんだよと尋ねられたが、答えは一つ。

 

 緑谷久は、一介のデザイナーである。

 

 彼はそれこそ死柄木と戦ってくれたアメリカNo.1ヒーローであるスターアンドストライプのヒーロースーツをデザインした男でもあった。はっきり言えば、アメリカヒーロースーツ界隈で名を知らない人間は居ない。

 

 今でこそ、I・アイランドに居る世界的個性研究家でありサポートアイテム開発者、オールマイトのアメリカ時代のサイドキック、デイヴィット・シールドの開発チームのデザイン担当として迎えられてはいる。

 

 確かにVIP様とやらかもしれないが、それでも一介のデザイナーが、米軍に話を通してアメリカの戦闘機を動かしてまで息子の安否を確認しに来たという荒唐無稽な話には、A組面々も驚くしかなかった。

 

 オールマイトも同じである、彼にここまでの縁故があったのかと驚いた。

 

「さて出久……話は変わるが、シンを壊したみたいだな?」

 

 八百万から紅茶をいただいた久は、出久に早速尋ねた。ヒーロースーツ『シン』を壊したなと、もう知っているような口ぶりに出久は頭を下げた。

 

「ごめん父さん……せっかくのプレゼント、壊して」

 

 あのデイヴィットの技術に、父がデザインしてくれたヒーロースーツを壊してしまった。申し訳ない気持ちだった、そして……それに止めを刺したオールマイト本人は、冷や汗ダラダラであった。絶対怒られる、身構えた出久だったが……。

 

「いや、いい……データも取れたし次を作るときの参考にするとデイヴも言ってた」

 

 実子の謝罪を聞いた久から出て来た言葉は、なんとも端的ながら気にしてないという素振りだった。仮にもあの世界的発明家デイヴが作ったヒーロースーツ、それを壊したのにと緑谷は顔を上げ呆然とした。

 

「出久……俺が日本へ飛んで来た理由は様々だ、それこそ出久や引子が心配なのが一番、同時に……ある物を渡しにここへ来た」

「ある物?」

 

 父がここまでして、日本へ帰って来た理由……大本はそれこそ妻子の心配だが、その他にもあると言い、呆ける出久に久は側に置いていたアタッシュケースを持ち上げ、出久に渡した。

 

「シンがデイヴの作ったヒーロースーツなら……これは俺がシンより送られて来たデータを元に縫い上げたヒーロースーツだ」

「!!」

 

 シンを失い、被服控除のヒーロースーツをズタズタにされていた出久へ、これを使えとばかりに差し出されたのは……新たなヒーロースーツだった。

 

 それはシンのアーマーとは違う、緑谷久がその手で自ら縫い上げたスーツと聞いて、出久はゆっくりとアタッシュケースを開く。

 

 全てが見知った、自身の本来のヒーロースーツと同じ。しかしこれは、父である久が自ら縫い上げて仕上げた代物と聞いて、出久はケースを閉じて胸に抱いて、父に感謝した。

 

「ありがとう父さん……これで戦える」

 

 これがあれば怖い物なんて無い、最高の贈り物だと言う出久に、久は笑った。

 

「よろしい……オールマイト、あなたにもデイヴとメリッサから預かった物がある、それを後で渡す……キミ達もサイズが窮屈だったり、間に合いそうに無いならば、私がヒーロースーツを直すから言ってくれ」

「久さんが!?」

 

 それだけではない、この日本の状況下でヒーロースーツの補修すらままならない。ならば自分が、君たちのスーツを直すと久は協力を買って出たのだ。

 

「人手が足りないのも知っている、その為に俺は日本へ帰って来た……これから短い間だけど俺も戦列に加わる、ヒーロースーツの手直しや修理ならいつでも言ってほしい」

 

 万全なる準備のため、緑谷久もまた後方支援として協力する為にこの雄英に参じたと、A組の生徒へ言い放った。

 

 役者が揃い始めている……決戦の日はすぐそこだ緑谷は早速、新たなヒーロースーツに着替える為部屋に戻るのだった。

 

「ところで……引子も雄英に避難しているのか?」

 

 そして、緑谷が一度離れたところで、全員がゾクリと背筋を凍らせた。

 

 あ、やべぇと。出久のお母さんが現在どうなっているか、全員その場に居合わせたし知っている。その空気の変わりようが滲んでしまって、久は目を見開いた。

 

「まさか……引子に何かあったのか!?」

「久さん、落ち着いて下さい!私から全て話しますから!」

 

 実情を話すのも教師の勤め、オールマイトは血を吐きながら、緑谷引子の身に起きた事を説明したーー。

 

 そして……納得したような顔だったが、目は笑ってなかったし、酒も飲んで無いのに口から青い火が漏れていたので、凄まじい怒りを抱いたのは確かであると、全員が確信するのだった。




ヒーロースーツ【ビギニング】

ヒーロースーツ『シン』を壊し、服飾控除スーツも蛇腔の死柄木戦でボロボロになった緑谷出久のために、父の緑谷久が用意した新たなヒーロースーツ。

 イーヴルヒーローイズクは、何者か?

 それは、夜に紛れ悪を討つ狩人(ヒーロー)である。

 そんな彼にはやはり、夜闇の漆黒と浴びる返り血の真紅がよく似合う。ヴィランがその姿を目にすれば、それだけで恐怖心が這い上がって来るだろう。

 そんな恐怖の象徴へ贈る、緑谷久渾身の一作である。

 イメージとしては、最初のヒーロースーツがブラッドボーンの狩人なら、こちらは時計塔のマリアである。


・狩人の帽子
活真くんに渡した帽子の代わりに、新たに作り直した帽子。オーダーメイド品かつ、頭部を守るプロテクターもしっかり組み込まれている。


・イーヴルコート
防火防弾防刃、絶縁もそのままに、よりタイトかつ荘厳なデザインとなっている。所々あしらわれたデザインやレリーフはヒーロースーツであると同時に芸術品とも言えるだろう。

・イーヴルマント
コートに仕込まれていた滑空翼はマントとして新たに作られた。やはりヒーローにはマントは欠かせないと、父である久の意向が現れている。


・脳無殺し(イーヴルガントレット)
新たなイーヴルガントレットに備えられた、不揃いなノコギリ刃のアームブレード。今までは『切れ味』に進めていた方向を、対死柄木、脳無の超再生対策に『細胞や筋繊維を破壊する』事に特化したノコギリ刃に変えられている。これで削り斬られたら、常人なら助かっても決して消えない傷跡が刻まれるだろう。

・イーヴルブーツ
レガースから一新、動きやすさ重視のブーツに切り替えた。しかしつま先や踵の隠し刃は健在。

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