【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
鏡の前で、その姿を確認する。自分で作り上げた始まりのヒーロースーツから、新たなる機能を被服控除を利用して作り直して来た、緑谷出久のヒーロースーツ。
死柄木との戦いでズタボロにされ、一度離れて纏った『シン』も砕かれた。そして……約束とばかりに、父から贈られたヒーロースーツを纏い、緑谷は部屋から出て外に向かう。
この一週間あるか分からない猶予を最大限に使い、さらに力を底上げする。その為には慣れなければならないと、緑谷は『ワン・フォー・オール』の因子血晶を胸板に突き刺し、取り込んでから外に出る玄関のドアを開いた。
既に皆、訓練の為に出ていて緑谷が出て来たのを見て、まず声をかけたのが麗日だった。
「うん、やっぱり出久くんはそっちがええね」
シンの時より、やはりそちらがしっくりくる。最初の頃は相澤先生から『ヒーローらしいスーツに再申請しろ』と言われた。だが、やっぱりこの姿でないとイーヴルヒーロー・イズクではないと、ヒーロー名と姿が遂に合致したように覚えた。
「その姿……ようやくA組総大将が帰って来たな!」
「そうだよなぁ、緑谷のヒーロースーツはこうじゃねぇと!」
「よりデザインが洗練されているな、同胞よ……」
「緑谷ちゃんはこっちがいいわね、やっぱり」
「まぁ相変わらず……ヒーローに見えないけどさ」
あのアーマーではない、本来の緑谷の姿とヒーロースーツに皆が口々にやっぱりそっちのが緑谷らしいと安心し、まさにこれが緑谷だと言う。
皆が、こうして全員ここに居て話ができている。本当に自分は、雄英に帰って来れたんだと緑谷はしみじみ思いつつ……キッと目に輝きを取り戻して皆に言った。
「必ず皆で、死柄木とAFOを倒そう!」
「「「「応っ!!」」」」
月並みでありきたりな総大将の掛け声と共に、決戦に向けての個性伸ばし訓練は始まった。
とは言ってもやる事は決まっている、より個性を強く、長時間使えるようにひたすら個性を使い続ける地道なトレーニングだ。
より大量かつ広範囲の動物と会話する為に声を張り上げ鳩と対話する口田。
組み手形式で戦う瀬呂と常闇。
切島の硬質化した肉体を拳で、尻尾で、増やした腕で殴りまくる砂藤、尾白、障子。
バッテリーを創造する八百万に、上鳴が電気を流し込み避難民への電力を賄いついでに鍛え上げ。
もぎもぎをちぎっては投げまくる峰田に、それを酸で溶かし、音波で押し返す芦戸に耳郎。
麗日と蛙吹は特にコンビネーションを磨く為に浮かせた岩に舌を巻き込み叩きつけ、それを飯田は掻い潜るように走り続ける。
そしてーー。
「しゃあっ!」
「おらぁ!!」
緑谷出久と爆豪勝己は、互いに組み手で研鑽を重ねる。空中に飛び上がった2人の拳と爆破が交差する。そのまま互いに距離を離した瞬間緑谷は右手を伸ばして叫んだ。
「黒爪ぇ!!」
「ちぃい!!おらぁあ!」
指先が弾け現れる黒爪が爆豪を全方位から襲いかかるが、全てをAPショットで漏れなく撃ち落とし、緑谷へ迎撃を放つ!それをバーニアで空中旋回して詰めに行った緑谷だったが……。
「!?これはーー!!」
「かかった!!」
爆豪に近づいた最中、体や周囲に煌めく水分を見て、まさかとなった瞬間にはーー爆風に巻き込まれていた。爆風が収まり、黒い煙が線を引いて落下して行き地面に転がり、爆豪も着地する。
「危なかった……スーツに助けられた……」
地面に落下した緑谷はゆっくり立ち上がり、マントを翻した。このマントがなければ黒焦げだったと、懐からサングラスを取り出して緑谷はそれをかけながら爆豪に言い放つ。
「けど、防いだよかっちゃん!」
「いや防げてねぇ、髪の毛アフロになっとる、つーかなんでアフロが黄色になってんだよ」
危うかったが防いだぞと言ったが、防げていなかった。緑谷の髪の毛は爆破でアフロヘアになっていた、何故か黒じゃなくて黄色のアフロにもなっており、爆豪は冷たい淡々とした口調で一応義務的にツッコミを入れた。
「でたぁ!!緑谷七変化!!久しぶりだぁ!!」
「ドードドだ!ミドドード・ドードドが出たぞぉ!!」
「ところでカツパッチ、今の技は一体」
「ああ、今のは俺の新境地、クラスターだ」
ドードドこと緑谷は、そのまま爆豪に先程の技を尋ねたが、構わず解説を続けられてツッコミもなかったので、緑谷はサングラスと黄色のアフロを外して真面目に聞く事にした。スルーによるボケ殺しほど悲しい事は無かった。
「エンデヴァーんところで学んだ、溜めて放つ……そいつを一発だけじゃなく、汗の玉にして同時多発させる……それが新境地クラスター……これから俺の技は全て底上げさせる……身体温めんのに時間喰うがな?」
「成る程……冬服の理由はそれか」
「暑くて体力削られっからどっち取るかだ」
知らない間に、そんな技をと爆豪の成長ぶりに緑谷は感心した。そうして驚く横で、ふと冷気を感じた緑谷は、近場で轟が何やら集中しているのを見かけた。
可視化された冷気と炎が、胸の中心から溢れ出していた。それによって周囲に微かだが氷の結晶ができては消えてと……まるでそれは。
「……スペースゴジラ?」
「掴みかけてんだが……どうも上手くいかねぇな……こほっ」
彼もまた新境地が見えたらしい、後一歩が掴めないと咳き込み止めれば、結晶が砕け散っていく。
皆、強くなってるんだなと、緑谷は離れた少しの期間で自分以上に進歩していたクラスメイトに驚かされるのだった。