【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
「えっと……ご苦労様です」
「その、ヴィランとはいえもう少しこう、手心をというか……」
「病床も医者もパンク寸前ですから、出来るだけ軽傷で確保していただければ……」
緑谷のチームが捕まえたヴィランは、1人だけ……譫言のように懺悔をする肥満体形のヴィランだけが警察に引き渡された。後2人は病院に搬送、治療の後収監という形となるそうだ。
警察官も冷や汗を垂らしながら緑谷に対して、捕まえて来るのはありがたいですが、このまま行くと医者もベッドも足りなくなるから手加減をと緑谷に願った。
「すいません……けど脱獄して暴れるような奴らですよ?二度と立ち上がれないようしっかり心を折っとかないと出所したら再犯ーー」
あい分かったと頭を下げた緑谷、しかし顔を上げたら即座に持論を展開しましたので流石に瀬呂が待ったをかけた。
「総大将?あんた心だけじゃ無く骨も折ってるし内臓も潰してるから、しかも後遺症残る形で、物理的に立てなくしたらダメ」
「えー……」
「えーじゃないってば緑谷、うちら慣れちゃってるけどヒーロー的にアウトだから……」
「はぁい……」
今の今まで緑谷と共に雄英で学び、危機を乗り越えて来たからこそ毒されてしまったが、基本いくらヴィランとは言えそこまでやったら逆に訴えられる事案である。耳郎も流石にストップさせたが、緑谷は不満だと目を細めた。とりあえず、捕まえたヴィランの報告だなと瀬呂がインカムのボタンを押しながら通信する。
「えー、こちらA組3班、ダツゴクを3人確保……内2名は病院へ搬送、1名は警察に引き渡しました」
瀬呂からの通信から即座に返信が来た。
『イズクがまた殺りやがったな!ヒーローは不殺を忘れたかぁ?こっちは4人しっかり警察に引き渡してやったぜ!!』
嬉々として差を見せてやると返信したのは爆豪だった。数も上、ヒーローらしくしっかり確保してやったとその通信に緑谷は苦笑するしか無く、その参ったという困り顔に隣に居た麗日は少し笑った。爆豪の通信に続き、また別の通信が入って来た。
『A組2班、ダツゴク6名を確保した……緑谷、手加減は覚えような?』
「6人も!そっちそんなに居たの?怪我はーー」
轟の班の方では6名のダツゴクを確保したらしい。彼らが向かった通報では、それだけ人数が居たのかと緑谷は驚いて、怪我はないかと聞こうとしたがーー。
『ああ!?自慢かゴラァ!!』
その人数を聞いて自慢かと爆豪が割って入った。
『数を競っている訳じゃないぞ!大・爆・殺神ダイナマイトくん!!』
轟班に所属している飯田から、数ではなかろうとヒーロー名で呼ばれながら爆豪は釘を刺された。しかしまぁ酷いヒーロー名だなと、瀬呂が呟く。
「ヒーロー名長過ぎ小2過ぎ……もう普通にバクゴーで良くね?」
『良くねんだよぉ!!』
大・爆・殺神ダイナマイト……それは、一学期に散々ボツを食らった爆豪勝己のヒーロー名であった。蛇腔戦で復帰したベストジーニストに初めて名乗った名前らしい。まぁあまりに幼稚だと、大半の人間から不評ではあるがーー。
「僕はいいと思うけどなぁ、そのヒーロー名……何というか、かっちゃんって感じで」
緑谷はいいなと思っていた、これは本心である。かっこいいなと、彼らしいと賛辞を送ったがーー。
『テメーに褒められても嬉しくねぇよ、デカ◯ンヒーロービッグ・デック』
「訂正、クソ煮込んだみたいなヒーロー名だな、大・脱・糞神スカ◯ロマイト」
褒めたらこれだと緑谷は、爆豪が多分離れた場所で中指立てながら言ったのをなんとなく察して手のひら返しでヒーロー名をけなすのだった。
「はいはいやめやめ!!収集付かなくなるから!!」
さすがにここで瀬呂が仲裁に入り、緑谷はそれに免じて罵り合いをやめた。その時である、全員のデバイスに通信音が鳴り響き、アナウンスがインカムに入った。
『西地区の港にヴィランが出現との通報あり!目撃証言から"ダツゴク"喰有銀次、ヴィラン名"ギンジ"と判明!個性、暴食!腹部にある口であらゆる物を捕食する、注意して当たられたし!』
西地区の港にヴィランが出て来たらしい、緑谷はそのデータを見て……。
「腹部に口って仮面ライダーガヴのグラニュートみたいだ……」
「グラニュー糖?」
特撮の敵みたいな見た目の特徴だなぁと、デバイスのヴィランを見ながら呟き、その名称を麗日が聞き間違えた。
「言ってる場合じゃないよ、ウチらが一番近いから早く行こう!」
そんな事言ってる場合じゃない、早く行かねばと耳郎がそう言って、緑谷は装甲車両の上に引き寄せで飛び乗れば、ロボが即座にアクセルを吹かす。
『俺らも行くぞ!』
『A組2班!直ちに現場へ急行する!!』
爆豪と飯田もそれを聞いてこちら側へ合流するようだ。誰が一番にと言うべきではないが、兎も角早く行ってヴィランの被害を出さないようにしなければと、走り出した装甲車の上で緑谷は仁王立ちしながら現場へ向かった。
西地区港のコンビナート地帯、その配管を一人の男が走り歩いて、堆く積まれた土砂に着地して道路へ飛び出した。
「ふははは!出し抜いてやったぜ!手に入れてやったぜぇ!!」
「うぅうう!?」
先程通報にあった、ダツゴクのギンジであった。ギンジは左手に真紅のドレスに身を包んだ金髪の少女を無理やりに引き連れて走らせていた。
「この女がいれば俺は無敵よぉ!」
「嘘つき!逃がしてくれるって言ったのに!!」
「誰も解放するとは言ってねぇだろぉ!」
少女は無理やり連れてこられたらしい、そのまま引っ張って走るギンジだったが、目の前の曲がり角から装甲車が飛び出して来て舌打ちする。
「あの車ぁ、ヒーローの!!」
もう通報が入ったか、ギンジはそのまま近くの工場へ向かい、シャッターを肩から生えた口のある触腕で噛み砕き、そしてこじ開け逃走を図った!
「ダツゴクの進路が変わったよ!」
装甲車内のリアルタイムマップにギンジの逃走ルートが映し出されており、こちらを見てルートを変えたと葉隠が言い放つ。
「まずい!この先には避難所が!!」
「わかった!僕が出る!!」
尾白がマップから避難所にギンジが向かっていると確認したのを聞いた緑谷が、装甲車の屋根から飛び立ち、そして引き寄せで自らを空に引っ張り上げて工場を上から飛び越えた。
それと同時にギンジも飛び出したのを見るや降下し、その目に捉えた。
「離して!」
「うっせぇ黙ってろ!!ヒーローが……」
逃げながら連れ去った少女の文句を唾棄して、空からこちらを確認したヒーローの姿を見てギンジは……。
「なぁああ!?イズクじゃねぇか!!やべぇ!やべぇ!!逃げろォオオ!!」
「きゃあああああ!!」
緑谷出久の姿を見た瞬間、戦慄と共に連れ去っている少女を肩に抱えてスピードを上げたのだった。そうして逃げ去ろうとする相手に、緑谷はふとその姿がおかしいと気づいた。
「情報と違う……腹の口だけじゃない?」
ギンジの姿が、データと全く違った。腹部にだけあるはずの口が、何やら両肩から触腕を生やしてそれも同じように牙生やす口となっている、そして何より人質をつれていた。
「そこのヴィラン止まりなさい!止まれ!止まれっつってんのが分からねぇのか!!脊髄ぶっこ抜くぞ!!」
「く、来るんじゃねぇええ!!」
大阪府警式三段活用にて静止を促したが、ギンジは肩の触腕で瓦礫を捕まえて、飛翔する緑谷へ投げつけた。それを回避して、叩き割り、さらに伸ばした触腕をアームブレードで切り落とし、一気に横まで近づく!!
まずは人質からだと、緑谷は肩に担がれた少女に手を伸ばした。
「こっちに!!」
緑谷が、その少女の腕に触れた瞬間ーー?
「ダメッ!!」
彼女は拒否した、なぜかと問う前に……緑谷の景色が変わった。赤い粒の光が周囲に現れて、その光は薔薇となって開花していくなんとも不可思議な景色だった。
「花……?」
その花が散った瞬間、緑谷に突然凄まじい頭痛が走った。
「あいっ!?たぁ!うあ!ごべっ?!」
その頭痛で個性制御が失われて、コンクリートの地面に落下して緑谷は受け身も取れず二転、三転してようやく身体は止まった。
まるで個性を使いすぎたフィードバックが、突然やって来た痛みだった。視界がぼやけ、嘔吐感と貧血にも似た眩みを感じながらも、緑谷は立ち上がったがやはりふらついてしまう。
「た、助け……なきゃ……」
触っただけで何故こうなる?ヴィランの方は平気だったが、一体何をされた?個性かと考えた緑谷だが、この先の避難所に向かって行ったギンジの被害を出さないために歯を食いしばり足を何度も叩いて足を踏み締めて再び空へ自分を引き上げた。