【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
「ヴィランだ!逃げろ!」
「早く中に避難を!!」
避難所周辺に居た避難民達の声が上がる、ギンジは扉を閉めたのを見て、これだとばかりに避難所の扉に触腕を叩きつけて叩き壊す!
「撃て!撃てぇ!!」
避難所の避難民達も無抵抗ではない、サポートアイテムの捕縛銃をギンジに掃射するが、構わず避難民へと彼は突っ込んだ。
「無駄な足掻きをぉおお!」
「うわぁあ!?」
触腕で振り払い、落としたサポートアイテムの銃を、腹の口で吸い込んで噛み砕けば、爆破して避難所に火の手があがった。
「こりゃちょうどいい、もう一人か二人人質を取りゃあーー」
悲鳴をあげて下がる避難民達を見て、つれている少女の他に人質を取れば、ヒーローも手出しできまいとギンジは触腕を伸ばしたーーだが!
「Get Over Here(やらせるかヴィラン)!!」
「うがぁぉ!?」
ギンジの右肩に、背後から何かが貫通してその切先を血に濡らし光らせた。
振り返ったそこには、イーヴルヒーロー・イズク!緑谷出久が右袖から鎖苦無を投げ放って突き刺していたのだ!
「Come ひーー!?」
そこからさらに引き寄せと腕力で外へ連れ出そうとしたが、あまりの力の差に鎖がビィイン!と張ってしまった。明らかにパワーがおかしい、自身の引き寄せのイメージが、不可能と上塗りされてしまう程、ギンジというヴィランは異様な膂力を有していると見て、緑谷は叫んだ!
「今のうちに……逃げて!!早く!!」
避難民の退避の為に、足止めへ切り替え綱引きのように拮抗する。しかしギンジは、緑谷への恐怖とここで終わってたまるかと執念の叫びを上げた。
「このクソガキがぁあああああ!!」
そして、緑谷はその光景に目を見開いた。叫びを上げたヴィラン、ギンジの銀髪が逆立ち、さらに触腕が肩から生えて来たのだ。もしかして、障子くんと同じ多節腕なのかと、筋肉の膨張もさらに強まり、ついに緑谷の身体が浮いた。
「がぁああああ!」
「うぉあぁああ!?」
避難所の建物の入り口へ叩きつけられ、外に放り出された緑谷。鎖苦無は外れ宙を舞い、それを引き寄せて緑谷は受け身を取り着地する。
火災が起きる避難所、そして先程も見た花が、何故かいつの間にとばかりに地面に生い茂っている。人質の少女を小脇に抱えたギンジが、得意げに笑みを浮かべ避難所から出て来たのを見て、緑谷は改めて構えた。
「手加減は無理そうだなーー」
さっき言われたばかりながら、もうまた一つ病床が増えそうだと拳を握った瞬間ーー。
銃声が響き渡った。
「銃弾!?」
「何だぁ!?」
発射方向に目を向ける二人、緑谷は少し離れた高架道路から狙撃する人影を見つけ、せれはまた連続でギンジだけを狙って撃ち込まれた。
「追っ手か!?ぬぁあ!!」
人質に当たるぞと思った緑谷、その銃弾の一つがギンジの少女を抱える腕を撃ち抜いて、少女は地面に落ちた。
「しまっーー」
ギンジが人質を落としたのを見るや、その人影はバイクに跨り瓦礫の上すら構わず乗り越えてこちらに向かう。緑谷はその姿を見て思い出す、その人物は昼方ヴィランを確保した際こちらを見ていた人物だったと。
赤い髪に眼帯の執事服の男が、オートパイロットにしたか両手を離しバイクに立ち右手を前にすると、その右手は変形して銃へと変わった。
「ーー!!」
気が付いた人質の少女は、バイクに乗って現れた執事服の男を見て一度驚いたが、まるで覚悟を決めたように祈りながら目を瞑った。
「まさか……?!」
あの男の狙いは、この少女かと気づいた緑谷だったが、その瞬間には義手型銃から発砲音が聞こえ、少女に向かって行った。
「カムヒーー」
こちらに引き寄せて彼女を助けなければと手をかざす緑谷、間に合わせると声を上げた……瞬間。
銃弾が止まった。
いや、止まってない。何やらドーム状の光が彼女を包み、そして銃弾はゆっくり、ゆっくり動いていた。何があった、どうしてこうなっている?その疑問を解決するように声が掛かる。
「危ないところでしたねぇ、お嬢さん?」
反対側のバイクに跨った執事と反対側の方角より、暗がりから一人の男が姿を現す。いかにもヨーロッパで居そうな、悪い雰囲気にスーツも着こなすマフィアじみたくすんだ銀髪オールバックの男がそこに居た。
「てめぇはぁ!!」
「おっと」
ギンジがイズクに目もくれず男の方に走り出したが、そのドームが拡大してギンジもとりこむと、彼もまたスピードが止まったように遅くなる。
この個性……時間を捻じ曲げている?空間内は動きを遅延させる個性かと、自分は範囲外で立ったまま人質とギンジの様子から個性を理解する緑谷。
それに構わず、赤髪の執事が二発三発と人質の少女に向けて発砲した。その銃弾もドームの中に入れば遅くなっていく。それでもリロードして赤髪眼帯執事は連射するので緑谷は流石に待てと鎖苦無をを義手銃へ投げて巻き付けて阻んだ。
「ストップ!やめろ!!」
こちらを一瞥した執事が、目元をキツく細めると左手からさらにもう一丁リボルバーを取り出したのを見て、こちらも右腰のホルスターから、父より送られた新たなサポートアイテムである中折れ式銃『ヴィラン・ハント』を突きつけた。
そしてしばらく互いに様子見するように静かになると、ふと緑谷はこの男から『死の気配』が漂ってこないことに気付いた。
そうして二人が睨み合っている内に、オールバックの男は人質の少女をお姫様抱っこで抱えてゆっくり歩き出し、ドームの範囲からギンジが外れた。
「あうっ!?あぁあああ!!」
そしてギンジが飛び出したが為に、赤髪執事の銃弾全部が命中してしまって声を上げたのだった。
「うわぁ……痛そう……」
代わりに全部当たっちゃってると死んでないかと少し心配して倒れたギンジを見たが、立とうとしているので心配ないようだ。
「イズクくん!!」
「状況は!!」
ここで、同じチームのクラスメイトが護送車で合流して状況確認の為に緑谷へ尋ねた。
「……ちょっと色々あってまとめたい!」
あまりに色々ありすぎて何が何だか分からんと、まとめようとした最中ーー。
「!?み、みんな!!あれ!!」
葉隠の声に何かあったのかと、彼女の方に向いて、その指が空を差していたので目をそちらに向けた。
ビルやマンション立ち並ぶこの地域の空に、なんとも目に悪いカラーリングで光るクルーザー船が空を飛んでいた。そう、よく洋画で金持ちドラ息子キャラが船上でドラッグセックスパーティ開いて、サメに食われそうな趣味の悪いクルーザー船だった。
「船が、空飛んどる!」
麗日はその異様な光景に驚いた、チームを組む耳郎、葉隠、尾白、瀬呂も反応は同じだったのだが……。
「ガレオン船じゃないのか、趣味悪いなぁ」
「緑谷!?そっちか!?普通船が空飛ぶ方に疑問持たない!?」
「いや、船は……空飛ぶでしょ?」
「飛ばんよ!?イズクくん!!」
飛ぶんだけどなぁ、ゴーカ◯ガレ◯ンは。飛んでる船はフィクションで見たことあるのでまぁ驚かなかった緑谷、そしてその船は船体をゆっくり回転させながら、人質だった少女を抱えるオールバックを迎えるように降り立つ。
見れば、何人か乗っているのが見て取れた。女性が一人、他は男達だが特筆してヨーロッパのマフィアじみたスーツでキメている。
「ふっふっふっふっふ……はっはっはっはっはっはっ!」
そして……その趣味の悪いクルーザーの一番高い場所から、白いスーツにマントを羽織り、顔を怪我したかのような固定具のマスクをつけた男が、笑いながら現れた。
「……なんだろう、声がめちゃくちゃ似ている……」
緑谷も、チームメイト達も現れた白スーツの男を見上げ。いつも聞いているひとの声と全く同じ声がその男から聞こえたので、緑谷はそう呟く。
「もう大丈夫だよ、アンナ……何故って?」
その白いスーツの男が、少女に語りかけながら、固定具のマスクのベルトを外していく……それが顔から離れた瞬間、見知った金髪の前髪が伸びて、凶悪な笑みで叫んだ。
「俺が来たぁ!!」
そこには確かに居た、今は自分たちの教師であり、かつて長年にわたり『平和の象徴』として日本で、世界で活躍していたNo.1ヒーローが!
オールマイトが、そこに立っていたのだ!!
「「「「オールマイトぉ!?」」」」
麗日達は、何故オールマイトがと本気で驚く中……緑谷は黙ってそのオールマイトではない、似通った男を見上げながら冷や汗を垂らした。
違う、明らかに違う!目元も、笑顔も!なにより雰囲気が違う!それなのにーー!
「この死の気配……何だこいつは!?」
このオールマイトの偽物から放たれる死の気配の色濃さと強さが、緑谷に警鐘を鳴らす!まるでそう、考えたくも無いが……『オールマイトが悪に染まったら』なんてifの姿すら考えてしまう現れたら男の強さに、緑谷はかつての爆豪と挑んだ期末試験のオールマイト戦を思い出したのだった。