【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
出立ちに声もオールマイトに似ていながら、その雰囲気は全くの逆……緑谷出久の身体が感じている。
こいつは『根っからの悪』だと理解してしまうくらい、醸し出す雰囲気がオールマイトと正反対だった。
「い、いや!離して!!」
そうしてオールマイトに似た男に目を向けていると、ギンジに人質にされて救出されたはずの少女が嫌がって銀髪の男から離れようとしたが、すぐに何やら力を失って大人しくなった。
「怖い思いをさせてしまったようだね?アンナ……」
「たすけてくださって、ありがとうございます、おじさま」
「二度と俺から離れてはいけないよ?」
オールマイトに似た男と、少女の会話を聞き取る緑谷。しかし今、彼女……アンナという名前らしいが、態度が一気に変わったが何かしたのか?そう見ていると、銀髪の男に抱えられたアンナは、男と一緒に浮遊しながら船へ向かう。
船で見下ろす、小さな赤鼻の老人が手を動かすのを見て、奴の個性かと見ているとーー鎖が強く引っ張られエンジン音が鳴り響いた。
「危な!?待て!!」
危うく引きずられかけたがしっかり踏ん張って赤髪執事が行く事を緑谷は許さなかった。
「離してください!」
「ダメに決まってるだろ!日本の往来で実弾の銃ぶっ放す輩を野放しにできると思う!?」
「これが最後の機会かもしれないんです!!」
「最後の機会……?」
話が見えないが、緑谷の頭の中でピースが繋がっていく。オールマイトに似た男が少女の名前を呼んで、それでこの眼帯執事は少女に躊躇なく銃弾を叩き込もうとした……つまりこいつはと緑谷の腕に力が入る。
「もしかして……どこぞの殺し屋か!?あの少女はターゲットか何かか!?」
「……言っても分からないでしょうね、ヒーロー気取りのガキ様には!」
「ああそう!兎に角離すわけには……」
どうみても少女がターゲットの殺し屋にしか結びつかないと緑谷がこのまま拘束しようとした……が!ここで背後から喧しい音を聞いて振り返って緑谷は絶句した。
ギンジが逃げていたのだ、マンションや立体駐車場をものともせずにぶつかって崩していきながら逃げていた!
「くそっ!人命優先!!」
この殺し屋は後だと、鎖を腕から引き離すと緑谷は崩落している瓦礫へと跳びながら、その瓦礫を引き寄せて避難民に当たらないようにあちこち軌道を変えていく!
「早く逃げて!!」
「崩れさせっかよぉ!!」
ギンジによって真っ二つに割れたマンションには瀬呂がテープで崩落を防ぎ、麗日は瓦礫に触れて無重力で浮かせ、尾白は既に落ちてしまった瓦礫を鍛えた尻尾で砕いていく!
「ああ畜生!待てぇ!!」
瓦礫を避難民から遠ざけてから、砂埃の中見えたギンジの背中を緑谷は追った。
「くそっ!あの女さえいればーー」
「ヘイヘイ!どこへ行くつもりかな?」
追った矢先、船にいたオールマイトに似た男が、街灯の上でしゃがんで先回りをしていた。そして煽るようにそう言いながら降り立ち、ギンジの前に立ちはだかる。
「適合者にしてやったというのに逃亡とはーー」
「うるぅあああああーーー!!」
ギンジが逃げるために、オールマイトに似た男へ触腕を生やし襲いかかる!対してオールマイト似の男は余裕の笑みで拳を握りしめ、親指以外にはめた金の指輪を煌めかせながら言い放つ。
「おじさんちょっと、怒っちゃうよお!!」
拳から放たれた輝きと共に、巨大な拳のエネルギーが発生してギンジの触腕を打ち崩していく!そしてギンジはそのエネルギー弾に叩きのめされて、追って来た緑谷向けて吹っ飛んできた!
緑谷は、その勢いがこのまま避けたら背後にいる避難民からクラスメイトのチームにも衝撃と余波が来て危ないと判断した。
「おらぁああああああーー!!」
「へご!!」
紫色の稲妻が迸る、オールマイトより奪い、そして預かった『ワン・フォー・オール』の超パワーを込めたボレーシュートのような蹴りで、ギンジの背中を蹴って軌道を切り替え、誰もいない道路方面へと蹴り抜き、クラスメイトや避難民への二次被害を防ぎ事なきを得た。
それでも、ギンジの背骨は蹴った感触からして明らかに真っ二つになった感触があったが……単純骨折で済んだ事にしておこうと緑谷は自身に言い聞かせた。
「オッホー!ブラーボ!ナイスキックじゃないか少年!!ヒーローサッカーのいいフォワードになれるよ!!」
緑谷の蹴りを見たオールマイト似の男はその姿に拍手をしながら緑谷へと近づいて来た。そして、んん?と顔を覗き込んでくる。
「おや、その顔、ヒーロースーツ……まさかキミは……」
「あの、申し訳ないですが、貴方は一体ーー」
対して緑谷も、このオールマイト似の男は一体誰なのかと尋ねようとしたが、それよりも早くその男は緑谷の右手を両手で掴んだ。
「イズク・ミドリヤじゃあないか!世界を救った殺人鬼ヒーロー(エロエ・アサッシーノ)!!会えるなんて光栄だ!!」
「うわぁあ!?」
そのまま無理矢理握手するオールマイト似の男はそれはもういい笑顔だった、オールマイト似ながら絶対そんな顔の笑顔じゃないくらい違う笑顔で、力強い握手をされた後に男はスーツの懐からスマホを取り出して緑谷と肩を組み横に並んだ。
「ほらほら横に並んで、世紀の瞬間だぞ!象徴を引き継ぐ俺とその右腕、いやサイドキックの初顔合わせだ!!」
「ちょっと、あの?は?象徴?引き継ぐ?」
構わず笑いながらシャッターボタンをタップしてツーショットを撮影するオールマイト似の男に緑谷はたじろいだ。その中で、引っかかる単語を彼が言い放った、象徴を引き継ぐと……一体どう言う意味だと尋ねるように呟けば、その声の雰囲気から理解したか男は答えた。
「オールマイトさ、うーんいい写真……さて、じゃあせっかくだから未来のサイドキックたるキミにも分かるように、説明しようじゃないか」
勝手にサイドキック扱いされながら、オールマイト似の男は見てなよと、降りてくる趣味悪いクルーザーへ近づき、振り返って右手に取り出した金貨を緑谷に見せつけ親指で弾いて、キャッチせずに足元へ落とした。
するとどうだ、紫色の光を放ちながら……金貨がコンクリートの円柱を作り上げオールマイト似の男を乗せて伸びていく。そこにはマイクスタンドがあり、さながら今より俺が演説を始めるとでも言うかのようだ。
さらに、男が金貨をばら撒けば、地面からテレビ局にあるようなカメラが、電柱にあたればスポットライトが、空中に舞う物はカメラ付きのドローンとなり、それが男とその背後の空飛ぶクルーザーに乗る者達へ向けられる。
その映像は、日本全国のあらゆる媒体をジャックして彼の姿を生放送する。誰もが、突然現れたオールマイトに目を向けて、何事かとなる。
「ハロー、エブリワン?俺は……新しきオールマイト、次代の象徴となる男だ!!」
そして彼は傲慢不遜にも宣言したのである、俺こそが新しきオールマイトであり、次代の象徴となる男であると。