【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
「イズクくん、イズクくん!起きてイズクくん!!」
「んぅう……」
声が聞こえた、その声に促され緑谷は瞼を上げた。心配そうな顔をしていた麗日が、目を開けた緑谷を見て安堵の表情に切り替わる。起き上がった緑谷は、瀬呂と葉隠もこちらを心配しているのを見て、何があったのか思い出した。
偽物のオールマイトが現れて、何か金貨を使って光が出てきて、それに飲み込まれたのだ。
「大丈夫か、大将」
「……うん、怪我はない……けどここは、何故ジャングルに?」
先程飲み込まれてから、何か異常が体に起きてないかを確かめて、特に異常は無しと確認した。そして市街地に居た筈が、辺りを見回せば木々が生い茂るジャングルの中にいる事に首を傾げる緑谷に、瀬呂が両手を上げてやれやれと言った顔で言う。
「わっかんね」
「気がついたらここに居たの」
葉隠も気が付けばこのジャングルの中だったと証言した。
「あの偽物……このジャングルも取り込んだのか?」
という事はだ、このジャングルも取り込んだものかと、立ち上がりつつ近場の木に触れた緑谷だったが、ガントレット越しにも違和感を感じてその木をノックして気付く。
「違う……これ作り物だ、というか……動物も昆虫もいない……」
目の前の木も、草も花も、全てが作り物の偽物であると緑谷は気付いた。そう言えばあの偽物はドローンやカメラを金貨から作り出していたなと思い返して。八百万の『創造』に似た個性をあの偽オールマイトは使うのかと断定した。
したはいいが、緑谷はその規模の大きさに絶句する。こんな広大なジャングルを人工的に作り出す偽物に……力だけなら確かにオールマイトを継ぐと嘯く実力はあるようだ。
「どお?」
「……だめだ、電波が遮断されてる」
「こっちも近くの雑音しか聞こえない」
葉隠が、木に登ってスマホの電波を探す尾白と、イヤホンジャックで周囲を索敵する耳郎に声をかけた。しかし電波は妨害され、音による索敵もできないと、収穫無しと伝えられた。
「これからどうする?大将」
木から降りた尾白が、緑谷にここから如何に動くかと尋ねれば、やる事は一つと指を立て答えた。
「まず、僕たちと一緒に巻き込まれた避難民の安否確認だね、そこから……」
「脱出だよな、よし!まずは避難民を探そう」
巻き込まれた人たちをまず助けて、脱出が最優先だと、緑谷の提案に瀬呂も応じて麗日達もそうだと頷いた。
ーーそのころ、同じく飲み込まれた爆豪達は ーー
「な、な、な……なんだここはぁああああ!!」
爆豪は理解を超えた景色に絶叫した、さっきまでロボットに文句を言ってUターンさせたが結局飲み込まれた。そして今、自分たちの目の前にある景色に理解ができないと絶句する。
「「遊園地だな」」
「わかっとるわぁ!!」
爆豪の絶叫に、切島と常闇が真面目に答え、疑問を叫びながら理解しとるわと返す爆豪。爆豪チームの目の前には、遊園地が広がっていた。観覧車にメリーゴーランド、ジェットコースターとらしい物は取り揃えている。さっきまで車道を逃げていたのに突然遊園地に移動したのだ。
「ねぇねぇ!」
「あん!?」
唐突に芦戸が声を上げたので、何か異常か、それとも手がかりを見つけたのかと爆豪がそちらに向くと。
「これ動くよ?」
「遊ぶな!!」
芦戸がメリーゴーランドに乗っていたので任務中と緊急事態だろうがと注意した。
ーーさらにこちら、轟チームーー
「あの光の中に、こんな街があるとは……」
轟チームは森から平原へ出て、街道が伸びている先に見える街を見つけた。まるでファンタジーのワンシーンから切り取った様な平原と街道、その先に見える街を見ながら飯田が呟く。
「何のために作ったのでしょう……」
「そんなの分かるわけないっしょ……」
街が作られた理由は?八百万の呟きに上鳴がわからないと苦笑する。その会話の中で、障子は多節腕から目を作り上げて索敵に入っていた。
「皆、天辺にある広場を見ろ」
何か見つけたらしい障子の言葉に全員が町の天辺を見れば、スタンディングしたオールマイトの像が鎮座していた。左手を掲げたスタンディングポーズだ。
「モニュメントまでオールマイトそっくりかよ……」
あの迷惑オールマイト気取りは余程オールマイトが好きらしい、峰田は呆れながらオールマイトの像を見つめて呟いた。
「何かあるかもしれないわね……」
「ああ、行ってみよう……」
兎も角だ、出口を探すにも行動だと轟チームは先に見える街へと向かった。
ーー同刻ーー
雄英本部では光に飲み込まれたA組と避難民の安否と、現れた巨大要塞の解析に動いていた、その最中の事であるーー。
「オールマイトさん!先程放送されたあなたと瓜二つの男から、直接話がしたいと連絡が来ていますが……」
偽オールマイトが逆に通信を繋いできたらしい、セメントスからの報せにオールマイトは厳しい顔で頷く。
「わかった、出よう」
モニターの前に移動したオールマイト、そして映し出される瓜二つの男は、あの戦艦らしきモニュメントの中にいるらしい、古風なアンティークの有線電話の受話器を持ちながら映像で繋がっていることを確認し、嬉々として手を上げ挨拶した。
『いやぁー探しましたよ“先代"この記念すべき日にちゃあんと母校に居るとは……』
余裕の態度を見せる偽物に、本物のオールマイトはまず尋ねた。
「巨大物体に取り込まれた人たちは、無事なのか!」
『勿論、大切な被験体ですから』
「被験体だと……!」
偽物はオールマイトに指差しながら話を続けた。
『オールマイト、貴方に連絡を取ったのは改めて宣言する為……俺が力を失った貴方の代わりに、その意思を引き継ぎ、混乱したこの国を平定してご覧に入れましょう』
態々一礼して見ていてくれと言わんばかりの態度は、確かにオールマイトへの敬意を孕んでいた。心酔とも言うべきか、しかしオールマイトはならばと偽物に言う。
「私の意思というなら!取り込まれた人々を解放してくれ!我々に協力してくれ!!」
ヴィラン組織ではあるが、そんなに意思を注ぐというならば、まず人々の解放をするべきだとオールマイトは言う、そしてこの日本の混乱を収めたい志があるならば、一緒に戦ってくれとも手を伸ばした。
それを聞いた偽物は、笑みを崩さずオールマイトに言い放った。
『んー、解放はしません……なぜなら!彼らは貴方の意思を達成するために必要な存在だからです!』
それを聞いたオールマイトは顔を下げて声を振り絞った。
「それは私の意思などではない……お前は……!私の意思を継いでなどいない!」
そんな言葉を、そんな行動を起こすお前が私の意志を継いでいるはずが無いと、オールマイトは偽物の行動と意志を否定した。
「ただ力を誇示し、己の欲望を満たさんとす……“光"ではなく!“闇“を求めるヴィランだ!!」
それを、憧れていたのだろう本人より否定されたのは精神的ダメージはあったのか、映像の中で愕然とする偽物。が、その表情は即座に邪悪な笑みへと切り替わり彼は嬉々として叫んだ。
「ふ、ふふ!光では無く、闇!!ならば、俺はオールマイトではなく!ダークマイトと言った所か!!いいねぇ、いい響きだ!!ダークマイト!!」
この偽物、むしろ喜びだしたのである。オールマイトから否定されたが、新たな名前を賜ったとばかりに、その名を気に入り繰り返しなぞる様に名乗る偽物……ダークマイトの姿にオールマイトは怒りに身震いしながら言った。
「私の意志をこの様に捻じ曲げる者が現れるとは……だが!お前などに次を託すものかぁ!!私が次を託した者は!いや、次を託した者達は!!ヒーローは!!お前のすぐそばに居るぞ!!」
貴様には決して次を託してはいないし託しもしない、次代へ意志を託したヒーローは、ヒーロー達は!お前を倒しに向かっていると叫ぶオールマイトに、ダークマイトは余裕を見せながら言葉を返す。
『いいえ、その者達もすぐに新たな象徴に跪く……ダークマイトという新たな象徴に!そう……これからは俺の時代!世界よ、もう大丈夫!俺が来た!!ふふふふ……ご機嫌よう!!』
ダークマイトは最後にそう宣言をして、映像は途切れた。