【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
ダークマイトは先程賜った名前に嬉しそうにしながら、ゆっくり受話器を置いて玉座に座った。傍には姫君の様に、目から力を失ったアンナが椅子に座っている。
宙に次々映し出される、取り込まれた雄英の学生、オールマイトの言う意志を託した子ども達が方々から自身目指し突入する様を眺めながら彼は口を開く。
「このキッズの中に、オールマイトが次代を託したヒーローが居る……楽しみじゃないか……」
彼らはヒーローの卵、そして敬愛するオールマイトが育てた弟子達になる。そんな彼ら彼女らを迎え、そして次代のオールマイトである自分に屈服させ、配下とする……なんと愉快なとダークマイトは悦な顔を見せた。
「あの男……お嬢さんの命を狙った賊ですが?」
画面の一つを指差すは、くすんだ銀髪の男でアンナを助けた男。彼は眼帯執事がバイクと共に巻き込まれてこの戦艦に取り込まれていたのを映像で見つけたらしい、拡大した映像に、黒いドレスの女がふと気づく。
「見覚えがある顔ねぇ……」
どこかで見た様な、そんな事を口にした所、赤紫色の肌に鳥の様な異形の男がダークマイトに進言した。
「ボス、あの男の始末は私が……」
あの執事は俺が掃除すると言う彼に、ダークマイトは必要ないと手を振りながら言う。
「いいよいいよそう言うの……あれ小物だよ?」
「適合者に逃亡された失態を、取り返させてください」
先の適合者によってアンナを攫われた、その失態を取り戻したいと健気な言葉に、ダークマイトは足を組みながら指差して言う。
「仕方ないな……次はないぞ?パウロ」
異形の部下、パウロにならば行くといいさと寛大な許しをダークマイトは出したのだった。
「それと、これからはボスでは無く、ダークマイトと呼ぶ様に」
「はっ……」
パウロは返事と共に、アンナの元に歩いて跪く。そして右手を取ると、その甲に口付けを落とせば、パウロの目は妖しく輝いてスーツの胸元に添えられたバラが満開に花ひらいた。
そして……アンナの銀髪が、頭頂部からまるで地毛が黒髪で伸びて見え始めた様に黒く侵食し始めた。そして他の仲間達もアンナの手の甲にキスを落とし、胸元の薔薇を開かせて行った。
「さぁ始めようじゃないか……この俺が象徴となる!ダークマイト伝説の幕開けだ!!」
その宣言と共に、要塞は動き出した。
「巨大要塞が移動を開始!!」
「北西地区の避難所も襲われました!!」
巨大要塞が動きだした、それだけではない。また建物を取り込み、避難所の人々が光に飲まれ始めている。
「避難所の人たちも要塞に取り込まれたのか……」
「あの男……被験体などと言っていたが……何をするつもりだ」
先の通信で被験体と言う言葉が出てきたが、ダークマイトは一体何をする気なのかと、ホークスもオールマイトも、今はただ動向を探るしか無い。
そして……緑谷達も避難民を探す為にジャングルを歩いていたのだが……。
「ブベ!?」
「イズクくん!?」
突如、ジャングルの行手を壁に阻まれて、緑谷は無様な声をあげてうつ伏せにずり落ちた。
「か、壁?」
「騙し絵か……」
奥まで続いていると錯覚する程のトリックアートの壁、つまり行き止まりに緑谷は激突したらしい。
「ここが行き止まりみたいだね……」
行き止まりにいきついてしまったが、さてどうすると耳郎が呟く。
「見て見て!ここに蓋がある!!」
と、ここで葉隠がマンホールを見つけ身体を動かしながら指差した。あのヴィラン。相変わらずオールマイトが大好きらしい、デザインにオールマイトが彫り込まれたマンホールを、緑谷は引き寄せて持ち上げゆっくりずらした。
「暗くて何も見えない……」
人が一人余裕で入り込める穴が奥に続いているが、暗くて先が見えなかった。
「でも他に出口っぽいのもねぇし……」
「調べるしか無いね……」
戻ってまた歩くより、ここをさらに調べたほうがいいだろう。瀬呂と耳郎の提案に、それならと麗日が声を上げる。
「なら、私とイズクくんの出番だ!」
そう言った彼女は早速指の肉球を自らに触れて言う。
「無重力!(ゼログラビティ)」
麗日お茶子の個性無重力、それを使ったのを見て緑谷めまた、自らの脊髄をロープで引き上げるイメージを頭で描く。
「人形使いの糸!(マリオネイター)」
緑谷出久の個性『脊髄ぶっこ抜き』の本来の在り方『引き寄せ』により、あらゆる物を空に引き寄せ操る人形使いの糸で、ロープ代わりにしながら先に緑谷が穴へと侵入する。
「罠があるかもしれない、お茶子さん、離れてついてきて」
「了解!」
先に緑谷、その後に麗日という順番で穴へと侵入して待つ事になった瀬呂達だが……ふと今気付いた。
「「「「あれ?今、名前で呼んでなかったか?」」」」
緑谷が麗日を名前で呼んでた様なと、聞き間違いかと皆首を傾げながら、二人の偵察報告を待った。
穴は真下に落ちていかず、彼方此方に曲がりくねっていた。排水のためにしては一度上方向に行ったりと歪な穴、それを進んでいきながら緑谷は、一体どこまで続くのかと進んだ瞬間ーー。
唐突に、人形使いの糸が無理矢理解除されたのだった。
「うわぁあああああ!?」
まずいとなった緑谷は、しっかり足を穴で踏みしめながら手も使い大の字になりながら落下を凌いだ。
「何だ!?いきなり個性が消えた!?」
『どうしたの!イズクくん!?』
背後から来ていた麗日に、緑谷はマズイと叫んだ。
「お茶子さん!それ以上だめだ!!個性が消えた!!戻って瀬呂くんにテープを出してと伝えて!!」
『分かった!!』
とりあえずこれで麗日が落ちて二次被害は無い、緑谷はいきなり個性が使えなくなったという事は、あの偽オールマイトの仲間の中に誰か相澤先生と同じ、抹消系の個性を持ったやつが居るのかと予想する。
さて……とはいえこのままずっと手足広げたままは疲れるなと、とりあえず手を外し真横に足を開くヴァンダミング開脚してつっかえにしながら顎に手を当て考える緑谷。
このまま麗日さんや瀬呂くんの救助を待つべきかと考える。が、引き返してもその時間すら惜しいなと緑谷は判断して……。
「とことん落ちてみるか……よっと……」
落ちて見ることにした。
「わーーー」
彼方此方にジェットコースター気分で穴を滑り、そして光が見えたので結構落ちたなと思いながら光から飛び出し。
「わーーー!」
飛び出した先は銀世界の雪山で、余程積もっているらしい結構な落下速度だが雪に包み込まれるも、その勢いは止まらず緑谷は雪玉になって転げ落ちーー。
「わーーー!?」
そして崖から投げ出されて綺麗な川に落下した。
雪は溶け、水の中を泳いで浅瀬に立ちあがり、緑谷はふうと息をして一言言い放つ。
「死ぬかと思った……」
真っ逆さまだったなと、下が川で良かったと思いながら川から上がって辺りを見回す緑谷。ジャングルの次は山かと、作り物ながら綺麗な景色な為目を奪われそうになるが、試しに個性を使おうとしたが反応がなかった。
「よほど広い範囲で使ってるみたいだ……早いとこ皆と合流しないと……」
そう呟きながら歩いていれば、その視界の先で見かけたバイクと、岩陰に投げ出された足が見えた。
さっき少女に向けて発砲した赤髪眼帯執事が倒れていたのだ。
「ちょっと……しゃれにならないぞ!?大丈夫ですかーー!?」
まさか巻き込まれて死んだのかと、流石に死体と会うのはごめんだと即座に走り寄った緑谷を出迎えたのは……。
「さっきは……よくも邪魔をしくさりやがりましたね、ヒーローのガキ様……」
「おい……」
銃口だった、腕を変形させた銃を突きつける執事に緑谷は手を上げて、流石に心配して声をかけたのにその仕打ちは何だと緑谷は睨みつける。
「出口はどこか教えーー」
「ジィッ!!」
「はう!?」
というわけで、私刑執行に至った。銃口を左手で弾いて逸らし右の拳で腹部へ一撃を放ち、ズドン!と拳の跡がくっきり服に刻まれて執事の体は足が地面から浮いてくの字に曲がり息を全て吐く声をあげて膝から崩れ落ちた。
「口の聞き方に気をつけろよ赤髪眼帯の殺し屋執事!!僕が普通のそこらのお優しいヒーローと思ったら大間違いだ!!」
「こ、このガキ……!!」
「あがっ!?」
しかし、そこらのチンピラとは違うらしい、口から涎を垂らすが即座に立ち上がるや、お返しとばかりに右の機械の拳で緑谷の顔面を殴り抜きに行った。
「上等だコラァァアア!!やったんぞボケェ!!」
「あぶふ!?このクソガキがぁああ!!」
やられたら倍返しと執事のネクタイを引っ張り、頭突きを見舞えば執事は鼻から血を宙に散らすも、執事は緑谷のグラントリノの形見である血染のマントを左手で掴んで、また右手で顔面を殴り抜いた。そこからはもう容赦しないと緑谷は、足を執事にかけて地面へ押し倒して馬乗りになった。
「そもそも!荒廃した日本とは言え!改造した!!仕込み銃を!!バンバカぶっ放してる時点で!!ヴィラン案件だろうが!銃刀法!知らんのかぁ!!」
押し倒して顔面に拳を叩きつけながら日本国の法律を知らないのかと吐き散らす緑谷、しかし執事はしっかりガードを固めて即座にブリッジから身体を入れ替え、鉄槌を緑谷にお見舞いし返す!
「こちらの!事情も知らず!何を勝手に!私が!どんな思いで!あの子を撃ったか!事情も知らないガキがァ!!」
「聞いても無いのに知るかぁあああ!!事情あるなら聞いてやる!聞いてからその面ぁ凹の字にして警察に引き渡してやるから言ってみろぉぉお!!」
二転三転上下が入れ替わり拳を叩き込みあう二人。誰も止めるものが居ないこの喧嘩、最早どちらかが意識を失ってやっと終わるだろう激しさだったが……。
乾いた音と近場の作り物の岩に穴が空いたのを見て、二人の怒りは一気に引き戻された。
離れた岩陰から、スーツ姿にサングラスの如何にもなギャングらしき男3名が、マシンガンを向けてこちらに容赦なく発砲して来たのだ。
それを見た瞬間、二人は即座に離れて同じ岩の後ろに隠れマシンガンの掃射を回避した。
「何だあの人達……いきなり撃ってくるなんて……」
いきなりこちらに構わず実銃を撃ってきた事に何故と疑問を抱く緑谷。対して赤髪執事は懐からリボルバーを取り出しながら緑谷へ煽る様に言う。
「こう言う時こそ、ヒーローの出番では?」
「生憎、個性を彼方の誰かに封じられてる」
ヒーローらしく助けたいが、個性が使えないと返した緑谷。それを聞いて不機嫌になりながら、執事は言った。
「本当に使えないガキ様でーー」
「けど、サポートアイテムはある」
個性は無いが、武器はあると、緑谷は先程一悶着あった際に見せたよなとヴィラン・ハントを見せて、執事は鼻で笑った。
「左を頼みます、私は右を」
「了解……リロードしたら出るよ」
互いにまず、やる事やってからにしようかと、緑谷と執事は銃声が鳴り止んだと同時に、左右それぞれに走りだした。ヴィランハントに込めておいた、鎮圧用非殺傷ゴム弾が撃鉄を叩き発射される!
「のわぁ!?」
命中!残り2名が緑谷が姿を現し一人やられたと、二人とも銃口を緑谷へ向けて撃ち始め、それを引き付けながらヴィラン・ハントを折って空薬莢を取り出し、次弾装填しながら残りに向けたーーのだが。
「ぐわぁ!?」
「ぬわぁ!!」
背後に回り込んだらしい赤髪執事が二人を制圧した、打ち込んだ際に目視で電流が見えたから、ショック弾と言うやつかと、緑谷はヴィラン・ハントを懐にしまいながら執事に近づく。
「お見事……慣れてたりする?」
「一通り教わりました」
如何にもな返答をしながら、執事はリボルバーに弾を込め直し、うめくギャングへ銃口を向けながら言い放った。
「お嬢様……アンナ様はどこへいらっしゃる?」