※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

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scene10 ダークマイトにしょうゆ

「ふぅ……すっきりした」

 

 緑谷出久は死屍累々の惨状を前に背伸びしながらそうコメントした。個性が使えなかったのが何とも違和感で、やっと解放されたと気持ちよく息を吐く。

 

「いやはや助かりましたよ、執事さーー」

 

 というわけで、協力したお礼を執事に言おうと振り返ったら、腕の銃が緑谷に向けられていた。が、しかし……死の気配が無かった。撃つ気は無いらしいがどうしたのかと思った刹那、背後から色濃い死の気配に振り返り直ると同時に執事は銃口を、斜め上に向け発砲した。

 

 跳弾の金属音が聞こえた、いつの間にか……海を描いた壁にバルコニーが飛び出ており、偽オールマイトが悠々と見下ろしていたのだ。

 

「また会ったねイズク・ミドリヤ」

「偽オールマイト……!」

「ノン!ダークマイトと呼びたまえ、ヒーロー名は大事だろ?」

 

 気安く名前を呼ばれ、そしてついにこの偽オールマイトは、自らをダークマイトと名乗り始めた。見下ろしながらダークマイトは緑谷に対して話し始める。

 

「小耳に挟んだし映像も見たが……恐ろしく無慈悲でなんと素晴らしい個性じゃないか!やがてこの日本を平定する象徴となる俺の傍へ立つに相応しい……どうだい?俺のサイドキックとしてゴリーニファミリーの幹部にならないか?」

 

 唐突なるヴィランからのスカウト……死柄木からもこっちに来いと言われたのを思い出す。しかし緑谷は舌打ちをしてダークマイトに言い放った。

 

「断る、僕はヴィランにはつかない、今大変な日本でいきなり現れて、考え無しに人を巻き込むようなヴィランのサイドキックなんて、誰がなるか!」

「周りの亡骸を作っておいてよく言うよ……さて」

 

 つれないなと肩をすくめ嘲るダークマイトは、金貨を痙攣するパウロの近くに落とした。すると、まるで脳無にも似通った異形の怪物が現れ、そしてパウロの両腕をがっしり掴み、空中に浮き上がりダークマイトの眼前に掲げられた。

 

「パウロ、パウロー?だめだこりゃ、生きてはいるが虫の息……ああ!何と無様な……ゴリーニの名を汚す虫ケラが!」

 

 返事もしない虫の息な部下を労る事なく、虫ケラと吐き捨てるダークマイト。緑谷は内心でこれほど気色悪いと感じたのは初めてだった、憧れであり自分を引き上げてくれた恩人の顔で、決して言わない言葉を吐く事に嫌悪と吐き気が湧き上がってならなかった。

 

「オールマイトは引退までのヒーロー人生で一度の敗北もなかったのに貴様は……!しかしだ、相手はやがて俺のサイドキックとなる男……負けてもまぁ慈悲を与えるべきか……」

「ならないから!」

 

 勝手にサイドキック候補にするなと緑谷は抗議するが効かない、顎に手を当てながらこの部下へのペナルティを考えたダークマイトは、にやりと笑う。

 

 そして、パウロの足元、砂浜の地面に穴が開くと、異様な機械音が響き出して緑谷と執事は目を見開いた。

 

 それは、所謂粉砕機と呼ばれる機構……時には肉を、時には鉄すら無慈悲に粉々にしてしまう恐ろしい人類の発明品!

 

「生まれ変わって必ず俺の元へおいで?」

「おい!待て!!」

 

 親指を下に向け、怪物がパウロの腕を離して、落下する。手をかざして引き寄せようとした緑谷だが間に合わず、パウロはその肉体を粉砕されて鮮血を撒き散らした。

 

 執事は手で見ないように目元を隠したが、緑谷はその返り血や肉片を浴びて呆然として……消えていく粉砕機を見つめながら言った。

 

「本当にやった……部下だろうが!ここまでする!?」

 

 冷酷なる処刑に、配下の一人だろうがと叫ぶ緑谷は、いよいよ苛立ちからダークマイトに指差して言い放つ。

 

「降りてこい!!ここでお前を叩きのめして、全て終わらせてやる!!」

 

 それを聞いたダークマイトは、ニヤリと笑ってバルコニーの手すりから飛び降り、金貨をばら撒いた。そして、岩礁と砂浜の部屋は金貨からの波紋が広がり光を帯びていき、変化していく。

 

 床も、壁も、全てが作り替えられた。足元の砂浜は磨かれた床に変化して、周囲には巨大な日本の武者鎧がいくつも飾られ、篝火まで灯されている。さらによく見たら陣旗まで掲げられそこには『天下無敵』だの『堕悪魔威斗』だの、間違ったジャパニーズ感マシマシの道場へと作り替えられたのだった!

 

 そして……ダークマイトが降り立った先には、戦国絵図の襖が現れて姿を見せないように遮っていた。

 

「よかろう!一分だ!!イズク・ミドリヤ……一分で貴様に象徴となる俺の力を刻み込み、敵わないとわからせてやろうじゃないか!!」

 

 誰が鳴らしているのか、拍子木が鳴ると共に、襖が一枚、二枚と開き、最後の三枚目の先には……赤い袴と白い胴着に身を包んだダークマイトが背を向けて立ち、振り返って、こちらに来いと手招きした。

 

「お前の全てを否定し、屈服させてやろう!」

 

 そう言い放った瞬間襖が消え去り、ダークマイトと緑谷を囲うように八角形の木製の囲いが二人を閉じ込めた!!

 

「やれるものなら……やってみろぉ!!」

 

 佇むダークマイトに向け、緑谷は一気に走り出した。向かってくる緑谷に、ダークマイトは掬い上げるような、下投げのような動きで右腕を振り上げれば、金色の波が緑谷向けて床を疾走する!

 

 それを横に避けて距離を詰めた緑谷に今度は左の拳を振り抜き、黄金の拳が飛んでくるのをスライディングで回避して立ち上がり、緑谷は天井を引き寄せながら、右の回し蹴りをダークマイトに叩き込む!

 

「いい蹴りだ、だがぁ!!」

「なにっ!?」

 

 瞬間、緑谷は絶句した!

 

 ダークマイトは緑谷の右間の回し蹴りを受け流して身体を入れ替え、木の囲いに向けて無駄なく投げ飛ばしたのである!

 

 投げ飛ばされた緑谷は身体を錐揉み回転して体勢を立て直して着地し、胴着姿のダークマイトと向かい合う。

 

 緑谷は今の技はと戦慄した、かつて自身の戦い方を更に洗練してくれた、亡くなった師であるグラントリノ、その下で開花した『ヒーローアーツ』の一つ、失われた古流柔術に合気道をベースとした型『フルイドスタイル』にそっくりだった!

 

「俺は象徴を継ぐ男だぞ?それに見合うための力は付けるに決まっている……その為に俺は、かつて日本(ジャッポーネ)にあったという、超常によって失われた武術を修行し、体得しているのだよ、イズク・ミドリヤ!」

 

 滲み出す燻んだ金色の闘気の何と重い事か……そこまで努力しながら、オールマイトに憧れ目指した終着点がこの有様かと、緑谷は紫色の闘気を滲み出しながら拳を握り構えるのだった。

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