【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
緑谷とジュリオの目の前に広がる悲惨な景色……麗日含めた自身のチーム、そして轟チームも花びらを周りに散らしながら倒れていて、恐らくは巻き込まれた人たちも同じように倒れていた。
「み、みんな……!お茶子さん!?お茶子さん!!」
倒れていた麗日に駆け寄り、名前を呼ぶ。しかし全く応答が無くて戦慄して、口元に手を当てて首元に触れてから脈を取れば、とりあえず自立呼吸と脈はあったと安堵する。気絶で良かったというべきか……それでも、避難民や仲間たちまでもれなく倒れているのは一体とこの惨状の原因は何かと原因を探す。
「お嬢様の個性が適合せず、フィードバックを受けたのでしょう」
ジュリオはこうなった理由が分かるらしい、それは自らが仕えるお嬢様の個性が原因だろうと言った。
「お嬢様って、ジュリオが言うあの金髪のアンナさん?」
「ええ、アンナ・シェルヴィーノ様です……」
ジュリオが幾度と殺そうとした、ダークマイトが攫ったお嬢様がそうかと言い、確かに最初ギンジから助けようとして触ったら、一気に身体が異常をきたしたなと思い出す。
「アンナさんの個性って?」
「それはーー」
一体彼女の個性は何なのかと、緑谷はジュリオに尋ね、ジュリオは答えようとした。
「ぐわぁあああああ!!」
だが、その答えは絶叫にかき消され、緑谷はその絶叫の元へジュリオと共に行けば、尾白が崩れ落ちる姿を目撃したのだった。
「尾白くん!?」
「お嬢様!!」
そこに立っていたのは、緑谷が助けようとしたピンクのドレスの令嬢……金髪が半分まで黒く染まって変わりつつある彼女、アンナが虚な目で尾白を見下ろしていた。
「あら、新しい被験体かしら?」
その横で、黒いドレスの妖しい美女がそう二人に言った。
「被験体?」
「お嬢様の個性に適合する人間を増やして、私兵にする……」
被験体、その意味はと緑谷の疑問は即座にジュリオに解消された。
「そう、象徴となるダークマイトのしもべになれる……この子達のように……」
美女の背後には、たった数人だが虚目な避難民が傅くように立って待機していた。だが、どうしてこの避難民達も、アンナも反抗しないのかと緑谷は違和感を覚えた。
「適合しなかった者達も、有意義に使ってあげる……私の個性でね?」
「お嬢様に洗脳をかけたのは貴方でしたか」
ジュリオの右義手が、銃に変形して美女に向けられる。成る程それでと、緑谷はダークマイトが現れた時に、最初抵抗していたアンナを思い出した。
「洗脳じゃないわぁ?アンナは楽しい夢を見ているの、私の個性は普通一人にしかかけられないけど、この子の個性に適合したおかげで複数の人間に夢を見せられるようになった……」
美女はアンナの髪や頬に愛おしげに触りながら言うと、緑谷とジュリオに向けて言い放つ。
「だからね?貴方達にも見せてあげる、おいでなさい?私の世界にーー!」
「なっ!?」
「しまった!瞳術ーー」
美女の瞳が輝いて、緑谷出久は意識を失った。
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『えー皆さん!私が来た!オールマイトです!!』
『え?』
緑谷出久は……何やら記者会見会場に座っていた、その壇上で……かつての雄大な姿のオールマイトが、ヒーロースーツで何やら話をしていた。
左右を見れば……右にはルミリオンこと通形ミリオ先輩、サー・ナイトアイが。そして左には爆豪、轟が同じようにヒーロースーツで静かに座っていた。
『この度私は、ヒーローチーム結成にあたり!彼らを招集しました!日本を代表する、チームマイト・ジャパン!!私は彼らと共に、この日本の平和、ひいては世界の危機に立ち向かうベストメンバーとして彼らとチームアップします!』
そんな……まさか、嘘だろと緑谷はカメラのフラッシュに呆然とする。オールマイトと共に、チームアップして共に戦い平和を守る……描いていた夢がここにはあるのだ。ミリオ先輩とかっちゃん、轟くん、サー・ナイトアイ、そしてオールマイトのチームに自分が並ぶ……決してあり得ない景色がそこにあった。
『ではまず!私の一番弟子にして!私にはできない新たな正義を成すヒーロー!イーヴル・ヒーローイズクより一言頂きましょう!』
壇上から降りたオールマイトが、いつもの輝く笑顔でマイクを差し出して、左右のミリオ先輩や爆豪にも和かに促されて緑谷は立ち上がりーー。
『えっと、イズクです……まるで夢みたいでーー』
一言を言おうとした瞬間ーー。
『ちがう……』
声が聞こえた。
『今、君が求める物は、それじゃあないだろ?』
記者会見会場が光に消えて、夕焼けの街並みに変わる。声がした背後を見れば、初代OFAの青年、与一が立っていた。
「ここは……」
「言うなれば、精神的幻想空間と言ったところか……」
いつの間にか与一の横に立っていた七代目継承者、志村菜奈がそう言って目線をある場所に向けてーー。
「ーー!?い、今の若い男の子は、進んでるね」
「え?」
赤面しながら苦笑する志村に、緑谷はその方向を目で追って……ビシィ!!と額に青筋が浮かんだ。
「あいつら……」
「ヴィランの個性を受けた者達の精神が、ここに集まって……あの、九代目?」
先程の女性の個性による催眠かと納得しつつ、緑谷が見たのは様々だった。箱庭じみた、演劇のセットのような場所でクラスメイト達が、夢の世界に夢中となっている。
麗日はベッドでうたた寝、耳郎は多分観客満員のステージで歌い、飯田は誰かと走っている風に足踏みして、轟は小さな幼少の姿で縁側に座ってすいかを食べている。
クラスメイトの夢のひと時。緑谷が青筋を浮かべた理由が……峰田と上鳴の空間だ。
なにしろ、二人して全裸でビーチで腰振ってたのだ。おっ立てたモザイク必至な状態に、継承者達も『うわぁ……』とドン引きであった。
緑谷は、六代目継承者の揺蕩井の説明を他所に、ここが夢ならといつの間にかRPG-7を構えていた。
「それどこから持って来たのさ!?」
五代目継承者の万縄が、どこから持ち出したんだと驚くも構わず、緑谷は怒りをぶちまけ引き金を引いた。
「スクリーンの前の!良い子の皆と!保護者様にどう説明するんだお前らはぁあああああ!!」
緑谷、怒りのロケットランチャー発射!!これにより峰田と上鳴のスペースは爆破され、黒焦げアフロになりながら姿は消え去った。
「い、意識は戻ったみたいだが催眠は続いてるさ!」
「脱出する方法を探すんだ……あと、キミの戦い方も謝罪案件だよ?」
あとはキミにまかせる、継承者達は光と消えていき、脱出方法を緑谷は探す事になった。
「探せって言ったってどこ探せば……」
ヒント無しで脱出法を見つけろとは何とシビアなと、RPG-7の発射装置を投げ捨てた緑谷は、とりあえず振り返ってみた。
そうしたらまた景色が変わっていた、何やら丘の上に、立派な館が建っていた。夢だから何でもありにしては、こんな景色見た事ないぞと、自身の記憶にない館を目の前に緑谷は気付く。
バルコニーに、二人の姿が見えた。いかにもなお嬢様と執事、笑ってお茶を待つお嬢様は執事に言う。
『ジュリオ!たまには一緒に、お茶しない?』
執事をティータイムに誘うお嬢様に対し、執事は涼やかに返答する。
『いえ、私はただの使用人ですので』
『相変わらずツレないのね』
主人と執事の関係を線引きして、それでも仲睦まじいジュリオとアンナを見て、緑谷はそうかと気付く。
あの美女の洗脳空間は、近場にいるからか、洗脳したからかは知らないが、同じ空間で微弱につながっているのかと。だから、他人の夢の内容を見れてしまうのかと理解する。
そして目の前で起こるアクシデント、アンナが苦しみだして、ティーカップを落としたのを見て、ジュリオは即座に肩を持った。アンナの金髪が頭頂部から黒くなっていく、しかしジュリオが肩を掴めば、触れた手から光を溢れさせて花が散った。
『ジュリオ……ごめんなさい……私の個性のせいで貴方に迷惑をかけて……屋敷に縛り付けて』
余程体力を持っていかれたらしい、ジュリオは膝をついていた。
『大丈夫です、これが私の仕事ですから……』
そう言う事かと、緑谷はジュリオとアンナの関係を理解した。彼女の個性による発作を抑える使用人がジュリオで、二人は主従関係だったのかと。
しかしまぁ……あれは主従なんて関係は脆い発泡スチロールじみた壁だなと、アンナの好意を向けた瞳に緑谷は腕組みした。
「が!?」
だが、唐突だった。アンナが立ち上がり、ジュリオの首を絞めに行ったのだ。それを見て緑谷は、即座に走り出して叫んだ。
「ジュリオさん!!これは幻想です!!現実じゃない、意識をしっかり持って!!」
「幻想……!?」
声が届いたのか、ジュリオは右手を見て義手じゃなくなっている事に気付いた。ならばと緑谷の声に、右手を伸ばし、更には右目の眼帯が外れて義眼が動き、本来の世界を捉えて右手の義手銃を向け、発砲した!
「あぁあ!?」
女性の悲鳴が聞こえ、緑谷の景色は先程の公園へ即座に切り替わった。