※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

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scene13 解決法は心配しなくていい模様

 景色が切り替わる……息を切らすジュリオと、何やら慌てている男。そして、美女が悔しそうに、あり得ないと呟いた。

 

「そんな……私の個性から逃れるなんて……」

 

 どうやら夢から覚めたらしい、倒れたクラスメイトや引き込まれた人々も立ち上がり意識を取り戻し起き上がっている。

 

「ジュリオ……?」

 

 その中で、ピンクのドレスの少女アンナが、ジュリオを見て呟いた。

 

「お嬢様……」

「ジュリオ!!」

 

 笑顔になって、走って階段を降りるアンナ……それに対してジュリオの行動は再会の抱擁なんてラブストーリーとはいかずーージュリオは右腕の義手銃をアンナに向けるのだった。

 

「ちょっと……ジュリオさん!」

 

 マジかこいつと目を見開く緑谷、巻き込まれた人々も、A組も何故とばかりにジュリオを見た。しかし、アンナは一度悲しげな顔をしてから、覚悟を決めたように目を閉じて……ジュリオも歯を食いしばりながら、アンナを見つめていた。

 

 そしてーー銃声が鳴り響いた。

 

 アンナは訪れるはずの痛み、熱、死を感じなかった。目を開けてみれば……ジュリオの義手銃を緑谷が、左手で上に押して逸らしていた。

 

「何故……何故ぇ!!」

 

 苦しそうで、悲壮な声と表情で緑谷に叫びを上げるジュリオに、緑谷は言い放つ。

 

「そんな顔するくらいなら……撃つのなんかやめろよ!馬鹿野郎!!」

 

 互いにそんな顔するくらいなら撃つなと、事情も知らない男からの叫びにジュリオは苛立った。その時ーー。

 

「きゃあああああ!?」

 

 アンナの悲鳴が響き渡った、アンナと洗脳の個性の美女が浮かされ、また高い場所に現れたバルコニーに赤鼻の老人が、手を掲げている。

 

 浮かせていたのはあいつかと、緑谷は引き寄せで追おうとしたがーー。

 

「どけ!!」

「おっ!?」

 

 激昂したジュリオに押されて体勢を崩し、ジュリオが義手銃を連射し、何かを落としたのを見た。アンナはそのままバルコニーの窓から連れ去られて、そして消えてしまった。

 

 拳を握りしめ、銃を下ろしたジュリオは、緑谷の方を睨みつけてその襟首を掴みながら叫ぶ。

 

「何故だ!何故邪魔をした!?ヒーロー気取りの偽善者がぁ!!何も分かってねぇ癖して!勝手に首突っ込みやがって!!最後の……最後のチャンスかもしれーー」

 

 全てを言い切る前に、緑谷はジュリオの襟首を掴む手を振り解き、足を払って体勢を崩しーー。

 

「おぶぅ!?」

 

 思い切り腹に一発叩き込んで。

 

「べ!ばはぁ!?」

 

 往復ビンタでジュリオを張り倒し、地面にキスさせた。そして逆に襟首を掴み引き上げて、睨み返す。

 

「何も知らないよ、知らねぇよ、けど……そんな辛そうな顔して嫌なら!殺したく無いから!助けたいんだろうが!!あの子を!!」

 

 知らないがどうした、助けたいから、殺したく無いからそんな顔をするんだろうがと言われたジュリオは、一度表情を悲しそうにしたが即座に立ち上がって緑谷を右拳で思い切り殴り抜いた。

 

 緑谷はたたらを踏んだが崩れ落ちず、それを見てジュリオは思い切り叫び放つ。

 

「助けてぇよ!!ああ助けたいに決まってる!!!でも……もうダメだ……殺すしか……ねぇんだよ……」

 

 彼女を、アンナを助けたい、だがもう無理だとジュリオは言う。彼女を救うにはもう、死しかないのだと項垂れるジュリオに、口から流れた血を拭いながら緑谷は尋ねた。

 

「詳しく話して、何故殺さなきゃいけない?」

 

 いよいよもって、その理由を言えと緑谷は尋ねた。

 

「……それが、あの子の願いだからだ」

 

 ジュリオは少し頭が冷えたのか、諦めたのか、ポツポツと語り出した。

 

 

『お願いジュリオ、もしもの時は……私が私で居られる内に……殺して』

 

 それが、アンナの従者ジュリオが頼まれた、主人最後の頼みであった。

 

 時として、個性はその本人すら蝕む事がある。体質に合わない、個性を抑える体質に生まれなかった……また、個性があまりに強すぎたからと様々だ。

 

 アンナ・シェルビーノの個性がそうだった。

 

『過剰変容』

 

 触れた相手に『変容性個性因子』を送り込み、対象者の個性を一定期間強化し変容する、常時発動型の個性だった。

 

 だが、ここで厄介なのは『全員に使える』と言うわけではない。アンナの個性因子に適合しなければ、苦しみ悶えるしかない。それでここに連れられた避難民と、A組は倒れていたのである。

 

 彼女はその個性により、館に閉じこもっていた。誰にも触れられない、触れたら傷つける、そんな個性故に友人もいない。

 

 だが……個性因子を一定量放出しなければアンナの中で変異し、発作を起こして暴走を起こす。

 

 そこで、雇われたのがジュリオだった。孤児だったジュリオが、雇われた理由もまた『個性』だった。

 

『因子相殺』

 

 右手で触れた者の個性因子を、自身の因子で相殺し消し去る。そうしてジュリオは、アンナの発作を抑え命を繋いでいた。

 

 だが、アンナも成長する。個性は、成長と共にさらに強くなるのもまた常……やがてジュリオの個性でも、止められ無くなる日が来るかもしれないと、雇い主たるアンナの父も心配していた。

 

 ジュリオは必ず抑えてみせると、忠を尽くすと頑張って来た。

 

 だが……どこからか漏れたアンナの個性を知ったダークマイト率いるゴリーニファミリーが、シェルビーノ家を襲撃し……アンナの父も使用人達も殺され、アンナは連れ去られた。

 

 たった一人生き残ったジュリオは、右目と左足……そして。

 

 個性を使う、右手を失ってしまったのだった。

 

「もう、個性は使えねぇ……助けたくても、出来ねぇんだよ」

 

 項垂れながら階段に座るジュリオを、緑谷は見下ろした。

 

「彼女の個性が暴走したら、対象者の因子は無限に変容し続け……誰にも止められなくなる、だから俺は……その前に」

 

 先程落とした、角が焼け、プレートに大切に保管された笑顔のアンナの写真を見ながら、ジュリオはそう言うのであった。

 

 緑谷はそれを聞いて……返したのは舌打ちだった。

 

「さっき、敵の個性で幻影見たけどさ、殺せないくらいに未練たらたらじゃないか、笑って、楽しくて……あんな思い出持ったまま殺せるわけないだろ、ジュリオさん」

 

 覗いてしまって申し訳ないが、見てしまったあの楽しそうな思い出を抱えて、アンナさんを殺せるわけがないと緑谷は指摘した。

 

「……笑い方なんて忘れたよ、あの日からな」

 

 だがジュリオは、もはや過去で忘れたと返した。

 

 しばらくーー静寂が場を支配する中、緑谷は言い放った。

 

「だったら、僕が笑わせてやる」

「……は?」

 

 緑谷の出て来た言葉に、苛立ちと諦観の籠った相槌をジュリオが絞り出した。だが、緑谷は続けた。

 

「ジュリオさんも、アンナさんも救う、そうしてダークマイトも、ゴリーニファミリーも鏖殺して、脊髄付き生首を二人の元に並べてやる!こうして悪は去ったのだと最後に書いて!めでたしめでたしのハッピーエンドの万々歳にして!最後にエンドマーク押してやる!」

 

 こいつは話を聞いてなかったのかと、苛立って立ちあがりながらジュリオは、緑谷に掴み掛かろうとした。

 

「どうやってーー」

 

 そんな文句や苛立ちを、ぶつける気にさせない程の気迫と眼差しをジュリオは見た。

 

「ヒーローは、泣いてる人を笑顔にして、不可能を可能にする、雄英でそれを習って来た……恩師の言葉を借りて、貴方に言う……」

 

 緑谷は、呆けるジュリオの左手を力強く掴んで両手で力強く握って言い放つ。

 

「もう大丈夫、僕が来た」

 

 その横で、アンナの写真を拾った麗日が、ジュリオにそれを手渡しながら言う。

 

「アンナさんを助けよう」

 

 話を聞いた、それでもまだ何とかなるかもしれないと麗日はジュリオを諭した。

 

「全ての事情を知ったわけではありませんが、それでも俺は、アンナさんという女性を助けるべきだと思います」

「その子、まだ暴走してないんでしょ?」

 

 起き上がった飯田と耳郎も、意識を取り戻した避難民の容態を確認しながら、助けるべきだとジュリオを、促した。

 

「個性を抑える方法ならいくつかありますわ」

「一時的だけど、個性を消す方法もあるわ」

「解決法があるかもしんねーし!」

 

 順次避難民の治療を始めた八百万、蛙吹、瀬呂も、個性の抑え方や一時的な消し方もあるから心配しなくていいと元気つけた。

 

「まずはあの子を助けよーぜ!」

「それからの事はそれからの事!」

「うんうん!

 

 暴走だの何だの、それは後回しにしてまずは助けようと峰田、上鳴、葉隠が前向きになろうと発破をかけた。

 

「可能性が少しでもあるならーー」

「諦めるにはまだ早い!」

「俺も、そう思う」

 

 助かる方法があるかもしれない、まだ諦めるには早いと、轟、障子、尾白が叱咤した。

 

 麗日は写真の向きを変えてジュリオに渡し、ジュリオは受け取りながら、まだ諦めなくていいのか、助けられるのかと震えながら笑顔のアンナの写真を見た。

 

「まぁ最悪、解決法が無かったら僕が個性因子をぶっこ抜いて因子破壊してやる……最終手段でお勧めしないけど」

「……え?」

「うん?」

 

 緑谷が、ジュリオに最後の手段はあると伝えて、ジュリオはしばらく黙って呆けてから呟いた。

 

 

 そしてーーこの場に居たA組全員が、今更気付いて声を上げた。

 

「「「「「「……あ!!」」」」」」

 

 解決法、発見セリ。

 

 そして、緑谷出久本人も、その声にハッとして自覚したり

 

「あぁーー!!そうだった!!僕、個性ぶっこ抜けるじゃーー」

 

 自覚して全てを言い切る前に、公園の建物の壁が爆破して、全員がそちらに向いた。一体何事だと、爆破した壁から出て来た男が声を上げる。

 

「オールマイトのパチモン倒すってんなら、手ぇ貸してやる!!」

 

 出て来たのは爆豪、そして同じチームの切島、芦戸、常闇、砂藤、口田であった。余程激戦だったらしい、遅れての到着だった。

 

 これにより、雄英高校1年A組は全員合流したのだった。

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