【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
「パウロとサイモンはゴリーニの名に傷を付けた……その意味がわかっているねデボラ?」
「……もちろんです、ダークマイト」
アンナを洗脳し、そして巻き込んだ避難民にアンナの適合者を調べて選別していたデボラは、ワインを嗜むダークマイトに詰められていた。
危うくアンナを失い、あまつさえ被検体の避難民はヒーローが助けてしまった失態。先のパウロとサイモンが既に責任を取りこの場に居ない事実から、次はどうなるか?キミが女性だろうが平等に責任は取ってもらうと理解したデボラは、沈んだ眼差しで了解した。
分かったならいいと、ワインを注いだグラスを揺らして飲みながらダークマイトは、先代が自分に向けて言い放った言葉を思い出していた。
『私が次を託した者達は、ヒーローは!お前のすぐそばに居るぞ!』
一線を退いた身でありながら、気迫は決して変わらない。映像越しでも気圧された……だが、彼は理想を追い求める力を失ったただの人間に過ぎないのだ。
「若人よ、旧態に縋ることなかれ、何に支えるべきか?次は誰なのか……今日ここで先代の死と共に理解するといい!」
邪悪な笑みを浮かべながら、ダークマイトはいよいよ次の一手を打つとばかりにそう言い放った。
「要塞が進路を変更しました!!」
A組及び避難民が要塞に吸収され、現在手出しができず手付かずだった外部。雄英高校本拠地にてセメントスが要塞の侵攻ルートが変わったと通達し、オールマイトは体を乗り出して尋ねる。
「どこへ向かっている!?」
「待ってください、すぐ割り出します」
それを側で聞いていた久が、端末を操作して要塞の侵攻ルートを即座に割り出して画面に映した瞬間、一気に緊張が高まった。
「このまま行ったら……雄英高校本部にぶつかる!!」
「狙いは雄英……」
「我々ヒーローを灰塵にするつもりか!?」
傍で待機していたホークス、ベスト・ジーニストも進路に愕然とした。
「雄英の防衛システムは、対死柄木戦の切り札!今!失うわけにはいかないよ!!」
根津校長もいよいよこの事態の急変に、雄英の防衛線を敷く為に声を上げた。
「分かっています、ヒーローを招集し、要塞に対し防衛線を敷く」
言わずとも分かると、入って来たのはエンデヴァーであった。さらにミルコ、エッジショット、リューキュウとビルボードチャート上位に残ったヒーローが参じたのであった。
「……エンデヴァー、ヒーローではありませんが、私も協力させて欲しい」
「む?」
そうして雄英防衛線がエンデヴァー指揮下の下敷かれようとする中、オールマイトの横に立っていた緑谷久が、戦列に加わりたいと言い出した。
「久さん待ってくれ、貴方は確かに協力者だ、しかしここはヒーローに……」
「息子が中に居るんだ、ヒーローだなんだという前に私はあの子の父親だ、止めても行くぞ私は……」
厄介な一般人かと、この本拠地のモニタールームに居る知らない男の進言にエンデヴァーは少し鬱陶しくなったが、オールマイトが彼の名前を呼んだことで気付いた。
そして……思い出したのである。
「たしか……居酒屋で個性暴走した?」
「!!」
それを聞いた久は驚いて目を見開いた、もう十数年前……若きエンデヴァーは緑谷久を助けたヒーローだった。覚えてないと思った、それが覚えていたとはと顔を伏せて久は言う。
「息子が、出久がお世話になっています」
「あ、いや、こちらこそ……焦凍の背中を押してくれたと」
「いえ、私はただ一芸を教えただけで、焦凍くんの才能です」
急を要する最中ながら、ヒーロー達は驚愕した。あのエンデヴァーが週末の父兄みたいに頭を下げて挨拶をした!?と。
「無理を承知とは分かっています、どうか戦列に加えてはいただけませんか?」
一般人を巻き込むなど、まずヒーローとしては待ったがかかる行為だ。しかし……今は辞めていったヒーロー達も多い中、戦力が欲しいのも事実である……何より、エンデヴァーは気になっていた。
息子の焦凍が敬愛する、そんな父親たる姿を持つ一般人である緑谷の父親は、如何なる者かと。
「オールマイト、インカムと防弾スーツを渡してやってくれ」
「エンデヴァー?」
「今は一人でも、協力者が欲しい」
ヒーロー飽和社会から一転した戦力も少ない今、一人でも協力者は必要だと、エンデヴァーは久の同行を許したのであった。
公園広場にて、A組は避難民達の救助活動にあたっていた。巻き込まれたこともあってか、避難所の物資も取り込まれていたためそれらを集めて配り、怪我をした者達の応急処置と、ヒーローとして今やるべき事をと動き出す。
「皆さん!安心してください!脱出経路は我々が必ず見つけます!」
「取り込まれた避難所から食糧!かき集めて来たぜ!!」
「怪我をしている方々はこちらへ!」
安心して欲しい、必ず助けると避難民達へ声をかけて希望を繋いでいく。緑谷も水を配り、食糧を渡す最中、宙に映像が浮かび上がる。
「あいつ……!」
ダークマイトが見下すような眼差しでこちらを覗き込むように映り、そして話し始めた。
『ふっふっふっ、救助活動に精がでてるねぇ!』
そんなダークマイトが得意げになりながら人差し指を立てて語り始めた。
『一つ問おう!新時代を作るためには何が必要だと思うかね?』
来たる新たな時代に必要な物は何か?問いかけたダークマイトだったが即座に答えた。
『そう……破壊だ!過去の栄光、しがらみ!旧態依然たる姿勢!それらを全て駆逐し!!新たなる秩序を構築するのだ!!もちろんその中には、オールマイトの母校である雄英高校も入っている!!」
「何だって!?」
長ったらしい演説を簡潔に言えば、自身という新たな象徴の為に雄英高校を、オールマイトの築き上げた過去を破壊するとダークマイトは宣言したのだった。
「まさに!スクラップ&ビルド!!負の遺産を一掃し新たな伝説が始まる!!この俺の伝説がな!!フハハハハハ!!」
ホワイトアウトした演出と共に映像は消えた。いよいよ象徴云々関係なくヴィランじみた破壊行動を自己弁護し始めたダークマイトに、爆豪が叫んだ!
「んな事させっかぁ!!委員長ズ!要救助者を連れて脱出経路を探せ!!」
「わかりましたわ!」
「分かった!」
陣頭指揮を即座に始めた爆豪に、飯田と八百万が即座に動いた。
「芦戸!砂藤!溶解液とバカ力は脱出に使える!委員長に付け!切島!上鳴!障子!妨害が来たら排除だ!!」
委員長組に割り振り、民間人避難メンバーを組んだ爆豪、リーダー気質だけではない現場の即断力の高さがやはり彼はヒーローなのだと頼りになるのがこの場で分かる。
「轟、常闇、出久は俺について来い!!パチモン野郎を……ぶっ潰す!!」
即座に爆破で飛んだ爆豪が、ついて来いと先行した。轟は氷を生み出し道を作り出し、常闇はダークシャドウを纏い翼を作り飛び立つ。
「行こう!」
緑谷も空を描く天井を引き寄せて跳躍して、ダークマイト討伐に動き出す。
「雄英を守り」
「この要塞を……止める!」
轟も常闇も、爆豪に追従する。その飛び立つ姿をジュリオは見上げ、髪を纏めながら立ち上がった。
迫り来るダークマイトの要塞、それを迎え撃つように山林地帯の通信電波塔に立つは、この超人社会崩壊後もヒーローとして残った者達。
シンリンカムイ、セメントス、リューキュウ、Mt.レディ……そしてエンデヴァーと、その下でサイドキックとして活躍する、バーニン含めた炎のサイドキッカー達が、要塞侵攻の足止めにかかる!
「あれがダークマイトの要塞……」
「実際に見ると馬鹿でか……」
「巨大化しても止めるの無理すぎ……」
改めて実物を見ればでかい、ギガントマキアなぞはるかに超えた巨大な要塞が迫る様に、ヒーロー達は感想を漏らす。
「狼狽えるな!俺が道を作る!!」
それを聞いた現No.1ヒーローエンデヴァーが先陣を切る!!ヘルフレイムにより飛翔して要塞の前に陣取ったエンデヴァーは、一気に攻勢へ打って出た!
「プロミネンス!バーーーーン!!」
最初から最大出力!プロミネンスバーンを叩き込むエンデヴァー!その極炎の一撃が要塞に叩き込まれる!!
「もっとだ!もっと燃え上がれぇぇーーー!!」
さらに追撃!プロミネンスバーン二連!熱籠りも考えない連発が要塞の一部を打ち砕く!
「おお!やったぞ!!」
山道に待機していた、まだこの時代にヒーローとしてスーツを着た者の1人がエンデヴァーの一撃に歓喜した。
「ああ!見ろ!!」
しかし、また別のヒーローが指差した先で、エンデヴァーが破壊した部分は瞬時に再生してしまった。
「再生しただと!?」
「やはり一筋縄ではいかないか……ホークスくん!」
エンデヴァーが驚愕した、上空にヘリコプターから戦況を見ていたオールマイトも、そう簡単にはいかないかと歯を食い縛る。ならばまずはと、オールマイトが指示を出したのがホークスだった。
インカムから声を聞いたホークスが、双眼鏡を下ろして上空からその声に返答した。
「分かってますよオールマイトさん、とっておきを派遣しておきました」
二の手としてのとっておきはすでに派遣した。その最中、また違うビルの屋上にて、立っていたのはーー。
「燃料充填、精製完了……うえっ……」
酒の瓶を、幾つも空にした傍で緑谷久が、要塞を見やりインカムの通信ボタンを押した。
「オールマイトさん、ホークスさん、エンデヴァーさん……照射します!!」
それだけを言った久は……恐らく人生初めての行動に出ていた。あれだけの巨大要塞、止めるには自身の『最大火力』をぶつけるしかない、わざわざ集めてもらった白いラベルのアルコール度数96度の酒を使った、最高品質燃料によって放つ、最大火力の火炎放射……。
かつて、酒の席でアルハラで飲まされ、上司を、店を焼いてしまった酒による最大火力……息子がまだあの中で戦っているならば、やらねばならぬと、燃料に久は火をつける感覚をイメージ!
背骨のラインに現れる、背鰭のような炎が青く燃え盛り、久は思い切り背中を反ってコンクリートを踏み締めた!!
「壊蹂熱線!!王ノ咆哮!!(ゴジラバースト)ォオオオーーー!!」
街中に響き渡る、甲高い照射音に、ヒーロー達が、ホークスやオールマイト、そしてエンデヴァーすらも目を見開いた!
青い炎が、一条の白い熱線となりダークマイトの要塞の右側に直撃!!無音が数秒、その後遅れて来た爆音と衝撃波が、ヒーロー達の身体を叩く!
「何だぁ!?今のビーム!!」
「ここまで一瞬、すごい熱が届いたけど……」
山道に待機していたヒーロー達が熱と衝撃波に唖然とした。
「うわぁ……マジぃ?」
「要塞の左側が……」
「抉れて消えた……」
その熱線が……ダークマイト要塞左側に巨大な穴を開け、背後の空の雲が抉れたように消し飛んでいたのを見て、ホークスは驚くしかなかった。鉄塔に立っていたベストジーニストにリューキュウも、同じ事しか言えない……明らかにエンデヴァーを超えた熱量をぶっ放した一般人らしからぬ個性に驚くしかなかった。
「かは……かは……つ、次の発射まで、時間をください」
『いや十分だ……要塞の動きが、緩まった!』
ビルの上で前のめりに倒れ、口から煙を出し咳き込む久が、第二射まで時間をくれと通信を送る。それに応えたエンデヴァーが、もういいと、お前は十分やったと伝える。
「……市井にこんな者がまだ居たとは……侮れん」
要塞の動きを緩める一撃、自身が子どもたちに理想を押し付け狭まっていた視界を、見ていなかった事実を突きつける一撃を見て、今更遅いと感じながらエンデヴァーは自身を省みるのだった。
・壊蹂熱線『王ノ咆哮(ゴジラバースト)』
緑谷久の最大必殺技。
スピリタスを限界まで飲み(瓶5本)燃料をフルチャージして放てる放射熱線。久の本来放つ蒼炎は一条の白き光となり、あらゆる物質を蒸発させる。
緑谷久の吐き出す炎の温度は、飲んだアルコール飲料の度数によって変わる為、スピリタス以外ではこの必殺技は出せない。そして連写も不可能でリチャージや二発目を放つ冷却も必要である。
イメージはこんな感じ
https://youtu.be/Vi6fs-ItKu8?si=RcETBcl575iqGx_5