【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
前章① 迫る決戦の日
青山優雅の内通者バレ、そしてダークマイトの襲来……。スター・アンド・ストライプとビリー・Hの時間を削るような事態に見舞われながらも、雄英高校ヒーロー科の者達は、プロヒーローと共にダツゴクやヴィランの鎮圧……そして死柄木弔、AFO、ヴィラン連合残党の捜索を行なっていた。
しかし……ヒーローが減ったのもあるが人海戦術による捜索は進展が無く、今夜も雄英ヒーロー科一同は寮に帰還した。
「つ、疲れた……」
「捜索範囲が広すぎるぜ……」
寮に帰還するや否や、上鳴はうつ伏せに倒れ、切島は背伸びをしたり肩を回しながら呟く。行儀悪いなんて言えないくらいに、そうしてしまいたいと分かってしまう程に、A組の面々は皆疲れに唸っていた。
「こうもヒーローが減っているとは、深刻だよ……」
「……だな」
かつてはヒーロー飽和状態なんて言われてたのに、今はヒーローが足りない。その分の皺寄せで一人一人の捜索範囲が広がっている。尾白と砂藤がその現状の深刻さを身を持って呟く。
「速やかに就寝しよう、俺たちの強みは若さだ、一挙手一投足全て力に繋がる」
「強くなれって言われたしな……」
「皆!歯磨きは忘れずにな!!」
プロヒーローには無い若さでそれを補うためにさっさと寝て体力を回復しようと飯田が皆に言う、爆豪もさっさと明日に備えるためと装備を外し始めていた。寝る前の歯磨きを忘れずにと忠告した飯田に、峰田は疲れながらも緑谷に近寄りながら言う。
「ちょっとくらい猥談する時間欲しいよな……」
こんな時に?いや、こんな時だからこそ気を抜く時間も少しは欲しいと言う峰田。同意を求められた緑谷は……しばらく返答に時間が掛かったがーー。
「……黒ギャル淫魔メイドっていいよね」
「あ、だめだ!休もう!風呂入ってさっさと寝よう緑谷!!」
緑谷が突拍子もない性癖を吐き散らしたので相当疲れているとみて、峰田は前言撤回して風呂場に向かった。
そして……緑谷ははっとして、今自分何か口走ったのかと思い出せず、ふと視界に入った芦戸と……麗日に目が向いた。早くお風呂に入って寝たいねと話し合う二人、麗日の背中を見て緑谷は、帰って来た時のことを思い出す。
彼女が、僕をこの寮へ引き寄せてくれた、あの主張が無ければ自分は、ここに居れなかった、そのお礼がまだできてなかったことを思い出す。
「麗日さーー」
その礼を言おうとした矢先、寮の扉が勢いよく開いて、ある男が現れた!
「私が!毎日のように来たぁ!!」
「どはぁあ!?」
哀れ、扉の前で倒れていた上鳴は吹き飛ばされ、そこにはオールマイトと、塚内、その身体におぶられた根津校長が立っていた。
「元気っすね……」
「逆にな!」
耳郎がもう夜も遅いのに元気なオールマイトに呆れるが、深夜テンションかもしれない心配な元気の出方をしていた。
「塚内さんに校長まで?」
確かに毎日のようにオールマイトは生徒の様子見に訪ねて来ていたが、今日は塚内さんに根津校長まで来ていたので、何事かとなる砂藤。察したのは八百万で、険しい顔でオールマイトに尋ねた。
「青山さんの件でしょうか……」
八百万の質問に対して、塚内は人差し指を立てた。ここから先、万が一もあるから声を小さくと言う事だろう。まだリビングに居たA組に、オールマイトが訪ねて来た理由を説明する。
「さらにその先だ、現在……限られた者にのみ、概要を伝えている……第二次決戦の最終プラン、その協議を行う」
いよいよ持って、決戦が迫って来た事をオールマイトより告げられた。A組一同がオールマイトの言葉に眼差しを強め、最終決戦への作戦が報されるのだった。
雄英高校バリア外壁、それを見上げながらエンデヴァーは佇んでいた。此度のヒーローの信頼を失った元凶であり、それ故に彼は中に入る事を良しとしなかった。
焦凍に夏雄、冬美に冷は中に居る。自分の家族だからと迫害を受けていないか心配する権利も自分には無い……今はただ、No.1として、この災禍を招いた一人として責任を果たすためにと、雄英バリアから離れる事にした。
「こんばんは、エンデヴァーさん」
その背中に、声がかかり呼び止められた。振り返って居た男に目が見開かれた。
「お前は……」
「またこれから、パトロールですか?」
細身の身体ながら高い背丈、くしゃくしゃの緑髪の男……緑谷久。インターンで鍛えた緑谷出久の父であり、焦凍が憧れに名指しし……先のダークマイトの一件でその力を見せた男から呼び止められて、エンデヴァーは立ち止まった。
「何か用か?」
「用というわけではないのですが……」
呼び止めるなら用があるのかとぶっきらぼうに言うエンデヴァーに、恐縮する久が、ポケットから缶コーヒーを取り出して見せつけ言う。
「休みがてら、少しお話しませんか?」
缶コーヒーを見せて、その1杯分くらい休んでもバチは当たらないとでも言いたげな久。
以前ならこの様な誘いは突っぱねていたエンデヴァーだった。だが息子の焦凍が出会い、敬愛する人物として名前を出し、更には新たな技を掴むまでに至った男となればと興味が湧いた。
そして何より……エンデヴァー本人、休みたかったのもあるのかもしれない。
「……その1杯だけだぞ」
「ありがとう、エンデヴァー」
エンデヴァーは、その小さなブラックコーヒーの缶を受け取り、近場のベンチに二人は並んで座るのだった。