※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

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48話 僕のプルスウルトラ

『な……にぃぃーー!?』

 

 出鼻をくじかれた異常事態!轟焦凍の身体が!まるで何かに引っ張られたかのように緑谷の元へ向かっていく!途中、足がついて前のめりになるも、なんとか着地した轟の眼前には……拳!

 

「っっーー!?」

 

 緑谷渾身の右アッパーを、寸前で身体を傾け避けた轟、耳元で聞いた風切り音がその威力を物語る!

 

「おぉおっ!!」

 

 気合いと共に次は左のフックが放たれ、頭頂部ギリギリを掠った!

 

「シャアっ!」

 

 攻撃は止まない!そのまま右の膝頭が眼前に来て、両手でそれを遮った。弾かれる両手、後ろに逸れる肉体に、轟はそのまま転がって後転して受け身を取り、距離を稼ぐ!

 

『先制をとったのは、なんと緑谷ぁぁーー!まるで見えないロープを引っ張ったように轟を引き寄せて三発をおみまいしたぁーーー!』

 

 観客の予想を見事に裏切った展開に興奮の地団駄と熱狂に会場が揺れる。その中で轟は先程自らに起こった現象に面くらい、緑谷を見つめるしかできなかった。

 

『今のはまさか……こいつ!?』

 

 緑谷の個性は『脊髄ぶっこ抜き』頭部から頸部に触れ、鷲掴みすれば脊髄を抜き去り即死させる。しかし……故に、遠距離戦においては完全な不利となる個性である。それを裏切る、今先程の『背骨を引っ張られた感覚』に、轟は戦慄した。

 

 

 

『こいつ、いよいよどこからでも脊髄抜きをできるようになったのか!?』と。

 

 

 

 しかし、それは無いと即座に焦燥を落ち着かせ、間合いを取り構える緑谷を見て予想する。恐らく……個性がさらに進化したのか、もしくは……元々できていたが気づけなかったかではと。

 

 

 

「そもそも……脊髄という限定的な部位、というのに疑問があったんだ、俺は」

 

「と言うと……つまり?」

 

 この数秒に起こった、緑谷が新たに見せた個性の片鱗、それは何かを語るのは常闇だった。飯田はその疑問を尋ね、爆豪以外の皆が耳を傾ける。

 

「あいつが個性を自覚した理由を聞いた事があるか?」

 

「えっと……焼き魚を頭から綺麗に骨を抜き去ったのがって」

 

「あ!見せてもらった俺!まじに綺麗に抜けんだよ、漫画の魚の骨みたいに!」

 

 彼の個性の発端、それは魚の骨という中々に面白い始まり、麗日は聞いた事があると言い、上鳴に至っては見せてもらった事があると言う。

 

「成功体験というのは、失敗よりも根深く刻み込まれる、医者に見せて他に実例が無いとなれば……そう判断せざるを得ない……そして、個性をそうだと言われた子どもというのは、大人みたいに割り切ったり考え直したりは難しい……ましてや幼少の時となれば尚更、自分にはそれしかできないと思い込んでしまう」

 

 幼少期の成功から診断結果の告知、それによる個性への可能性を封じる言葉が、今日この日まで彼をこう考えさせた『脊髄を抜くしかできない、どうしようもない個性』だと。

 

「だが、お前達は疑問に思わなかったか?緑谷の……鎖で引きつける技の異様さに」

 

 そこで常闇は一例を出す、緑谷が好き好んで使う、鎖で相手を引き寄せる技『Get Over Here』が凄まじく異様ではなかったかと。それに気づいたのは、瀬呂、砂藤、障子の3名だった。

 

「……あ!?確かに!!あれ、どんな体重差があっても必ず一回引いただけで近くまで引き寄せられてた!」

 

「そうだ!!俺もだ!!」

 

「俺もだ……」

 

 緑谷の鍛え方は異常だ、体重差を無視する馬鹿力の仕業だと思っていた。だがそれでも、100kg超えの重量級となる砂藤相手ならば、何回も引かなければならないのに、たった一回で手元まで寄せられたと。

 

「仮説だが……あいつは元々できるんだ、引っ張る……引っこ抜くという個性で……ゲームから着想し練習して体得したが故に……鎖がなければできないと、その鎖があるからこそ成立すると刻み込んでしまった……」

 

「それが今……いや、恐らく少し前から変わって来て……ここで使う為温めておいたのか!」

 

 常闇の仮説を聞いた飯田は興奮気味にステージへ目線を向け直す!そして麗日は思い出したーー。入学試験の時、あの仮想敵のロボットから助けてくれた時ーー。

 

 

 

『こっちに……来い(Get Over Here)!』

 

 

 

 あの時、届かない筈の手が引っ張られた感触があった事に。そうか……あの時からキミはと、轟を見下ろす緑谷に胸を高鳴らせる。

 

「ま、待て!じゃあなにか、緑谷は遠距離を潰す個性を手に入れたっつー事か?!つまりこれってさぁ!!」

 

「彼の、緑谷さんの手にしたPlus Ultraですわ!」

 

「おいおいおいおい!?じゃあ、そんなのさぁ!?無敵じゃんあいつ!!」

 

「ああ、緑谷と轟の個性の差が……一気に縮まった!!」

 

「もう……人殺しだけの個性じゃ無い!!」

 

 遂に、遂に!彼が一つの歩みを踏み出したのだと、クラスメイトは歓喜した。その歓喜を、伝えるかの様に、緑谷は轟に言い放った!

 

「行くよ轟くん……キミに……僕の全力をぶつけて勝つ!!」

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