【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
さて……AFOをいかにして引き摺り出す事ができたのか?この日のこの場面に至るまでに、ヒーロー側が準備した事とは何か?
数日前に戻ろう。
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「まず前提として……プロヒーロー達が懸命にAFOの捜索を行なっているが、奴が見つかる可能性は、限りなく低い」
数日前、オールマイトと塚内、根津校長が訪ねて来た夜の事である。オールマイトがまず、この人海戦術による捜索でAFOが見つかる事は無いだろうと断じた。
「爆豪もそれっぽい事言ってたけど……」
「改めて皆まで言われるとなぁ……」
少しは希望が欲しいと上鳴と砂藤が、オールマイトの言葉に意気消沈する。
「……無駄って事すか?」
今やっていることは無意味なのか、峰田が思わずそう口に出してしまうが、そこに塚内が声を上げた。
「逆だ、イレイザーの作戦に繋がる」
「!!」
無駄ではない、むしろこの状況だからこそ、キミたちA組の担任の相澤、イレイザー・ヘッドが立案した作戦が生きると塚内が答えた。
「狡猾な臆病者を引き摺り出す為には……心をゆっくり解きほぐす必要があるんだ……」
オールマイトがさながら肩揉みのようなジェスチャーをして皆に言う。
「必死で探してるけど見つからない、ざけんなよ死ねカスっつーポーズか?」
「違うよ、貴様の臓腑とミンチ肉でソーセージ作ってやるのジェスチャーだよ」
「おいコラそこ二人、物騒すぎる」
そのジェスチャーを、爆豪と緑谷が凄まじい捉え方をしたので瀬呂が釘を刺した。
「サーチは生きてる前提で進める……AFOは、我々の動向を逐一把握している筈だ、緑谷くん帰還からのこの流れを焦燥と疲弊に見せたい……我々が悪手を取り続けている、思惑通り……と、気持ちよくさせ……イレイザーが発案した、内通者である青山を利用しAFOを任意の場所に誘き出す……その成功率を上げる」
簡単な流れを塚内が説明する中、青山の名前が出たことにA組一同が気付き、緑谷が塚内に尋ねた。
「という事は……青山くんも共に戦うという事で?」
「うむ!!」
代わりに頷いたオールマイトを見て、皆がそれぞれ歓喜に安堵を声や息としてあげた。緑谷と共に現場に居た葉隠は良かったと泣き声で麗日に抱きつくほどだ。緑谷も、天井を見上げて、まだ踏みとどまってくれたのかと嬉しくなった。
「あの、ですが……青山さんのお父様は……失敗したら殺される、嘘をついても殺されると、そうおっしゃってました……」
それに待ったをかけたのが八百万であった、強力を取り付けたのはいいが、AFOに嘘を吐けば見破られると彼の父親が言っていた事に言及する。
「嘘の判別方法が判然としない以上、まだ、青山さん達への危険が残っているのでは?」
青山優雅はこちらで戦ってくれる、しかし青山夫妻の安全や、嘘の報告をAFOに気取られずに伝える方法はあるのか?八百万の質問に、オールマイトは頷いた。
「それもクリアだ、夫妻の話によると……AFOへの連絡は音声通話のみで、文面でのやり取りはゼロ、他にもたくさんいるであろうお仲間の言葉を全て精査してから動いているとは思えない……声を聞いて即時に嘘だと判別できるシステムがあるはず」
オールマイトは語る、音声通話でのみやり取りをしているAFOだが、仲間からの連絡に全て思考し、判断して動いているのではないと。音声から嘘を即断できる個性を有し、即時行動に移しているのが分かると。
「では、その音声に嘘も何も無ければ、奴は安心して現れる!だから……相澤くんのアイデア通り!"彼"が活きる!!」
ならば、その音声から嘘も敵意も感じさせない真実を吐かせればいい!それが出来るのは……彼しかいないとオールマイトは寮の入り口に振り返りながら呼び出した。
「カッモーン!!」
そして、ドアが開き現れた人物に、A組があっ!と反応した。黒い忍び装束のようなヒーロースーツを纏い……師である相澤先生、いや、イレイザー・ヘッドより受け継いだ捕縛布をマフラーのように纏い、口元のマスクでありサポートアイテム『ペルソナコード』を身につけた……紫髪の少年!
「ちゃっす!」
雄英高校一年C組『普通科』の生徒であり、ヒーロー科編入を目指していた少年、心操人使がA組の前に現れたのであった!
心操人使!個性は『洗脳』!
自身の声に受け答えした相手を洗脳する事ができる!ただし、強い衝撃を受ければ解除される!!
ヒーローを目指す意思はあったが、この個性故にヒーロー科試験は落ち、普通科からの編入を願って努力を続けて来た少年が、遂に!ヒーロー科に合流したのだった!
「心操ぉお!!」
「コスカッケェーー!!」
峰田がその名を叫び、切島がヒーロースーツがめちゃくちゃかっこいいとその姿に歓喜した。彼が作戦の要となると、相澤先生は確かに青山が内通者とバレた時に話はしていた。
「相澤先生から作戦の内容を聞いた時、驚いたわ……だって、対抗戦の時は……」
蛙吹は語る、そもそもの話……心操の洗脳は『喋らせること』『頭を使わせる命令』は通らないと、A組B組対抗戦で組んだ上鳴、蛙吹、口田、切島には語っていた。
「そこまで複雑な命令はできないって、そう言ってた筈よ?」
蛙吹から対抗戦の時の個性の弱点を言われた心操は、頭を掻きながら語り出す。
「参っちゃうよな……四月になったら、ヒーロー科に編入して、皆と競い合ってくと思ってた……その為に個性伸ばし訓練続けて来たのに、まさか進級止め置きなんてさ」
本当ならば、この四月からヒーロー科に編入して共に競い合う筈が、この現状で進級止め置きになって合流が先延ばしになったのだ。そして今、この戦いの為に心操は合流する事になったと苦笑した。
「個性伸ばし……じゃあ、本当に!」
「ああ、いけるぜ……!俺が青山と両親に喋らせれば、そこに俺の意思も彼らの感情も介入しない……!」
「「「「すっげぇえええ!!」」」」
思わぬ参戦、思わぬ強力な味方の合流にA組が湧き立った。
「ただ……その分発動条件が厳しくなるけど……」
「すげぇや!!」
「サンキュー心操!」
「A組入るの!?B組入るの!?」
「Aにしろ!A!!」
「ヒーロー名は!?」
皆がもみくちゃわちゃわちゃし始め、明るさとノリについていけないと固まって困る心操、これでいける!やれるぞと士気が上がる。
「心操くんの個性が伸びたのは、相澤くんが鍛えてくれたおかげさ、ちなみに!心操くんには仮免許はまだ無いが、非常事態という事で目良委員長代理から特別に許可を得た!!」
相澤先生すげぇ!そして公安も柔軟な対応ありがたい!今まで先行き真っ暗だったAFOとの戦いに光明が差した……が、待ったをかけた者が一人。
「しかし……問題はここからでは?」
常闇踏陰が手を挙げて尋ねた。
「ヴィラン達を誘き寄せて一網打尽に?可能だと?数が減ったとは言え……その場に大量のヒーローが待ち伏せていれば、それこそバレてしまう」
仮にAFOを、ヴィラン達を誘き寄せれたとして、ヒーロー達が待ち伏せしたらバレるだろう。その辺りはどうする気なんだと、イケイケな雰囲気が硬直する。
それを聞いた矢先、緑谷が顎に手を当て、そして挙手してオールマイトと塚内、校長に進言した。
「僕がまず必ず囮になりますよね……目良委員長代理から殺人許可証を発行して貰えるなら1時間はヴィラン達に対抗できますが」
「「「そんな物あるわけないだろう(でしょう)」」」
「おい、AFO因子の影響出てんぞ」
「おっと危ない」
こうなりゃ情け容赦無く、大量殺戮を視野に入れて、1時間継戦してヒーロー来るまで時間稼ぐかという緑谷に、そんな大バッシング確定な事やらせてたまるかと3人が叱責した。爆豪もドン引きしてAFO因子が悪さしとるぞと横腹に肘打ちした。
「そもそも、この作戦でヒーロー達は、AFOでも探知できない場所に待機してもらうからね、そして、即座に来れるようにできる手筈は整えている」
「その為に……もう一人のキーマンが重要となる」
心操と同じく、もう一人のキーマンがこの作戦には存在し、彼が即時ヒーロー招集を可能とすると、オールマイトと塚内が語った。
ーーセントラル病院、ある隔離された部屋にて、ガラスの向こうで拘束椅子に捕縛された、頭部を黒きモヤで包まれた人物を、スタッフ数人と、3人の人物が見つめていた。
捕縛された人物は『黒霧』
かつて、死柄木弔の世話役として隣に立っていたヴィランである。
遡る事数ヶ月、死穢八斎會事件において本来参加する筈だったグラントリノが、ヴィラン連合の動向から警察と共に別の地点に向かい捕縛していたのだ。
ーー彼は、イレイザー・ヘッドと、プレゼント・マイクの同級生であった。
本名は『白雲朧』
雄英高校でヒーロー科として仲が良かった3人だったが、彼はインターン中に相澤の目の前で命を落とした。
その彼が、黒霧として……殻木球大により死体をすり替えられ、特殊な脳無として改造されていたのである。
その黒霧を見つめる、イレイザー・ヘッドこと、相澤。一年B組担任のブラド・キング……そして。
「オールマイト達からの要請だ……」
「最も肝心な役だぜ……いけるか……ファントムシーフ」
物間寧人……B組のリーダー的存在。個性はコピー……彼ならば、黒霧の個性『ワープホール』をコピーして使うことができる、遠方に待機しているヒーロー達を、即座にAFOとヴィランの下に送る事ができる。
物間は真顔から、ため息を一つ吐いて相澤へ尋ねた。
「数日でこの人の個性をコピーして使えるようになれって……本気で言ってます?」
コピーはできても、使いこなせるかは別の話。しかもタイムリミットは数日だ、冗談キツいですよと相澤に言う物間に、相澤は申し訳なさそうに呟く。
「悪いな、俺の声は届かなかった……」
本当ならば……自分とマイクの呼びかけで、意識を取り戻して欲しかった。
「それに……こいつが黒霧か白雲か、まだ分からない……片目を失って、抹消もほぼ使い物にならない……次の戦いで、俺は何もできない……」
友を引き戻せず、右足を失い、挙句に個性は片目となり使い物にならない……生徒に頼らざるを得ないと言う事実を噛み締める相澤に、物間は伏目になりながら右手で首を押さえて言う。
「蛇腔では、イレイザー・ヘッドが居なければ全滅していたと聞きました……昔から言われましたよ、その個性じゃスーパーヒーローになれないって」
物間の個性は、他人頼りの個性……人の個性を模倣して扱う。強そうで汎用性もあるように見えるが、自分一人では何もできないことの裏返しであった。
「脇役の個性……だって……」
だから、怪盗(シーフ)とヒーロー名に付けた、人から個性を盗んで使うコソ泥である自嘲を込めて。そう語る物間の肩に、ブラドは腕を回して言う。
「物間……この作戦は、誰が欠けても成り立たない……脇役なんて居ない」
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ブラド・キング先生は言った。
これまでも
これからも
お前が主役だ!!
眼前に現れたヴィラン達、そして自らがコピーしたワープゲートから!潜ってくるヒーロー達!この戦いの主役として、物間は高らかに笑い叫ぶ!
「はぁーーはははは!!フィィクサァアアアァーーー!!」