※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

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334話 ヒーローから情け容赦を無くすとこうなる

 それを見た対死柄木戦メンバー達は、この光景をいかに説明したらいいのか分からなかった。理解の範疇を超えた事象、個性は物間がコピーした『抹消』にて封じられている筈。

 

「な、何だこりゃぁあああ!!」

 

 叫びながら、爆豪は迫る指の束の触腕……いや!もはや柱となったそれを爆破で自らの推進として離れ、ベストジーニストも繊維によって足場から離れて範囲から外れり。雄英校舎の一部を巻き込み破壊するその有り様に、一同は絶句した。

 

 電磁バリアによって囲われた雄英、天空の棺が埋め尽くされそうな指の柱達に、エッジショットは自らの個性『紙肢(しし)』により薄く伸ばして回避しながら、ちゃんと抹消は機能しているのかとまず物間を呼んだ。

 

「ファントム・シーフ!!」

「見てます!!ちゃんと抹消は、発動している!!」

「個性じゃないのか!?」

 

 抹消は発動している、発動してなければ、あの指の柱に触れた瞬間全て崩壊しているのが必定!つまりこれは、個性ではないと突きつけられる!

 

「これは成長、ただの肉体……髪が伸びる事と同じ、爪が伸びる事と同じ、深化していく"個性"に身体を対応させるべく、人が獲得した新たな"カタチ"」

 

 死柄木が語る、これは個性にあらずと。

 

 ある時現れた『個性』に対して、人はその個性に耐えうるようにと肉体は変わっていく。強い火に焼かれぬ耐火性の肌、自身の毒に対応する抗体、成長していき強くなる個性に肉体も追いつくように、対応できるように進化していくと。

 

「超人社会の行き着く先、殻木の提唱した“特異点"……蓋をし、来るべき未来に目を背けて来たお前達には……分からないさ!」

 

 即ちこれが『個性特異点』!!超人社会の行き着く成れの果て、限界!!やがて世界すら破壊する個性の臨界点だと死柄木は叫ぶ!

 

「スペア!!」

 

 弾き飛ばされたミルコの呼び掛けに呼応し、地面が飛び出せばそこに現れたのは予備の義手、義足が納められたケース!落下地点をどこかで確認しているらしい即座に新しい義手と義足を取り付けミルコは跳ね飛ぶ!

 

「ダイナマァ!チーム組んでまで戦ってんだ!しっかりしろ!」

 

 さっきの返答が遅いと爆豪に文句を言うミルコに、爆豪はヒーロー名を短縮されたので言い返す。

 

「大・爆・殺・神ダイナマイトと呼べ!!テメェこそまっすぐ突っ込んでんじゃねぇ!!」

 

 そもそもまっすぐ突っ込む事事態危ういだろうがとダメ出しする爆豪に、ミルコは立ち上がり青筋浮かべて言い返す。

 

「あぁん?いいなテメェ、生意気だな!!」

「おぉん?なんだやんのか!ウサギ野郎!!」

「集中しろ!!」

「「あぁ!?」」

「返事はシュア!!」

 

 今喧嘩してる場合かとベストジーニストが2人に割って入った。

 

 

 

「先生!!僕はちゃんとやってますよ!?決して僕の落ち度ではない!!」

「分かってる!!』

 

 突如死柄木から現れた個性を逸脱した変異に、自分はちゃんと抹消を行使していると叫ぶ物間。相澤はちゃんと分かっていると物間をフォローはしたが、こんな状況でやはり緑谷がよそに引き込まれたのが痛いと歯を食いしばる。

 

 緑谷、今どこに居る!?焦る相澤に別館から出て来たマンダレイから声が上がった。

 

「イレイザー!緑谷から通信が!」

「何やってんだよぉ!A組ぃ!!」

 

 ようやく通信が来たのかと苛立ちを吐き散らす物間、相澤は即座にインカムを操作して緑谷と繋いだ。

 

「どこに居る、緑谷!」

『ごめんなさい!トガヒミコに……ーーぉくと島です!』

「奥渡島だと……!?」

 

 ノイズがあったが、奥渡島……トガヒミコを分断したチームの方に居ると通信で聞こえた。よりにもよって、本土から離れた離島である。

 

「ワープで緑谷くんを連れ戻さなきゃ!」

「いや、ダメだ!!」

 

 天喰が物間のコピーしたワープで緑谷を即時ここに転送すればと言うが、それはできないとエッジショットは止める。

 

 その会話を相澤は離れて聞こえはしなかったが、それを考えたがエッジショット同様無理だと理解する。

 

 死柄木の生やした無数の手、仮にそれが全て崩壊を使えるとしたら?物間が今、抹消を解いてからワープで緑谷を連れ戻し、再度抹消発動に必要なのは10秒は掛かる。

 

 つまり、抹消を解いた瞬間ーー『詰み』となる。ならば……!

 

「緑谷、悪いが自力で戻って来てくれ、それまで死柄木は俺たちが押さえ込む!」

 

 自力で、この天空の棺まで来てもらうしかない!それを聞いたマンダレイは、個性テレパスでベストジーニストに、緑谷を自力で来させる時間稼ぎをと伝えた。

 

「OFAが居なくとも!我々で勝ってやろうじゃないか!!」

「おう!」

「あぁ!」

「シュア……オウ!」

 

 時間稼ぎだなんて言わせない、緑谷出久が居なかろうと我々で死柄木に勝つと、ベストジーニストの号令に皆が声を上げた。

 

 

 

 奥渡島

 

 太平洋沖合、約200kmに位置するこの島は、遠浅の海が美しい水平線を描くリゾート開発された南の島である。

 

 島の目玉である『奥渡水族館』は、国内外から人気の観光施設であり、ギャングオルカが館長を務めている。

 

 その島が今、第二次決戦の戦場の一つと化していた。

 

「ぎゃああああ!!」

 

 戦場と化してーー

 

「ぎぇあああ!?」

「ひぃい!た、助けーー」

 

 戦場とーー

 

「死に腐れぇえええ!!」

「あごがぁああ!!」

 

 訂正する。

 

 緑谷出久によって、一方的な殺戮の舞台となっていた。

 

「ひぃいい!!こんなん聞いてねぇって!!」

「脳無もダツゴクもやられたぁ!!」

「に、逃げろォオオ殺されるぅう!!」

「た、助けてくれぇええ!!」

「逃すかぁああああああああ!!1人残らずサメの餌だぁああああ!!」

「「「「ぎゃああああああああ!!?ヒーローの台詞じゃねぇえええ!!!」」」」

 

 ヴィラン達の助けを求める悲鳴と、断末魔に対し、瞳を赤く光らせて、1人、また1人と脊髄をぶっこ抜き、内臓を引き摺り出し、骨を砕いて殲滅していく緑谷。

 

 遠浅の綺麗な海岸が、まるでB級サメ映画の化け物人喰いサメが襲って来たように、ヴィラン達の脊髄を抜かれた首無しの亡骸と、誰がどの肉体か分からないまま投げ捨てられた生首付き脊髄や、内臓に埋もれていく。

 

 それならまだマシだ……膝が逆に曲がって叫ぶ者、腕の関節がいくつか増えてる者、股から血を流して嘆く者、吐血して腹を押さえ呻く者……恐らく治療してもまともな生活は無理な怪我を何人かは負わされていた。

 

 ヴィラン達が、ヒーローを許すなと襲いかかって来たヴィラン達が、逃げ場のない島で必死に逃げようとしていた。

 

 さらに……二体のハイエンド脳無は、脳髄ごと脊髄をぶっこ抜かれ機能停止。ダツゴクであり、雄英一年の林間合宿で爆豪らが交戦したヴィラン、ムーンフィッシュは……顎を砕かれ首が曲がっちゃいけない角度に曲がり、血の泡を吐いて砂浜に痙攣して倒れていた。

 

「の、脳無とダツゴク含めたヴィランを、たった1人でここまで!?」

「逃げているヴィラン達を確保しろ!!1人残らず拘束するんだ!!いや本当、あの子の手にかかる前に!!」

「武器を捨てて降伏したらああならないから!降伏してくださーい!!」

 

 ギャングオルカのサイドキック達は、一気に戦場が覆った様を見て、敗走したヴィランを追いかける。配置されたギャングオルカはと言うと……浅瀬が真っ赤に染まっている様に、この後掃除大変だなぁとなるのだった。

 

「イズクくん!通信聞いて!!ストップストップ!!」

「え!?」

「あえ、おええ……」

 

 不運にも捕まってしまった、最早顔面の形を失ったヴィランの襟首を持つ緑谷に、通信入ってるよと麗日が声をかけた。

 

「ごめん!聞いてなかった!!なんて言ってた!?」

「自力で戻って来なさいって!!熱くなりすぎよ緑谷ちゃん!!」

「自力で!?て事はワープ使えないくらい追い込まれてるの!?」

 

 聞いてなかったという緑谷に、蛙吹が代わりに聞いてくれた内容を知り、それマジで言ってる!?200km離れた本島まで!?冗談だよなと驚く緑谷だったが、それだけ本来自分が当たる筈の死柄木側のチームが追い込まれているのかと理解した。

 

「分かった、もう奥渡島のケリはついたしさっさとーー」

 

 この場所はもういいだろうと、言われた通りに天空の棺まで自力で行く事を決め、七代目の個性バーニアを展開しようとした刹那ーー。

 

 風切り音を聞いて、緑谷は背後に腕を振り抜いた!

 

「行かないでダーリン!!愛してるの!!だから、だから私を1人にしないで!!」

「ちぃいい!!隠れてたのか!?」

 

 一体どこから現れたんだと、自身の姿から本来の姿になったトガヒミコの振り下ろす二本のナイフを、アームブレード『脳無殺し』で緑谷は弾き、2人は相対する。

 

 殺意が篭ってないのか、死の気配が現れない、しかしその斬撃は明らかにこちらの頸部を狙っていた。何よりもう他のヴィランの亡骸くらいしかない場所だったのに、気配すら感じないという存在を感を消す技術に、緑谷は冷や汗をかいた。

 

『危険を危険と、認識させぬ程の……こんな人間が存在し……今日まで生きてこられたとは……』

 

 その特異な技術、あり方に、緑谷の内に居るOFA四代目継承者……死の気配の本来の個性『危機探知』を有する四ノ森避影は驚愕した。

 

「……前から思ったけど、僕たちどこかで会った?忘れてたら謝るけど、キミと付き合った覚えもないよ?」

 

 緑谷も、せいぜい今日含め二度しか会ってないトガに、前に会ったかと尋ねつつ、もし忘れていたなら謝らせて欲しいと律儀に尋ねて、トガは頬を赤く染めながら笑って答える。

 

「違うのです、私の……一目惚れなのです!写真で、映像で……血に染まるイズクくんを見て私は胸がキュンとなったのです!」

 

 一目惚れとは、こんな馬鹿げた個性の人間に一目惚れしてくれる女性が居たとは驚きだと思いつつ……麗日さんや八百万さん、ミッドナイト先生にメリッサは交流あって好意を向けてくれたから違うよなと考え直した。

 

「だからぁ、イズクくん……私の……恋人になって!!」

 

 そして唐突に、敵である彼女から愛の告白を受けた緑谷は、しばらく硬直して……。

 

「……ごめんなさい!」

 

 律儀に頭を下げて、お断りするのだった。

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