※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

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337話 失敗作と半端者

 

ーー10年前の瀬古杜岳……あの日父を待ち続けて燃えた俺はーー

 

「浸りすぎだぁあああああ!!」

「へ!?おごぉおお!?」

「「「えぇえぇえぇーー!?」」」

「轟くん!?」

 

 これからあの時、何故帰らなかったのかを語ろうとした荼毘に、焦凍は突如踏み込んで思い切り荼毘の顔面に殴りかかったのだった。突如の暴挙に炎のサイドキッカー達、そして飯田は唖然とし、荼毘は焦凍の拳を受けて吹き飛び二転三転して地面を舐めさせられたのだった。

 

「お、お前焦凍ぉコラぁ……自分から尋ねてきた癖に、人の話は最後まで聞きましょうって習わなかったのかぁ……!?」

 

 ヒーローらしからぬ不意打ちにちょっとドン引きだぞお兄ちゃんはと、立ち上がりながら荼毘は弟を嗜めるくらいには平静に引き戻された。対する焦凍はさっきまで話を聞く態度だったのが一転して、気が変わったとばかりに荼毘へ言い放つ。

 

「習ったさ、けどなぁ……話聞いてたらもうオニマーさんや飯田が喉を火傷して呼吸困難に陥りそうだからキャンセルだ!!俺ですら焼けてんだ!!待ってたらお前に誰も彼も焼かれて死ぬ!!」

 

 轟焦凍、まさかの自分で尋ねときながらの回想キャンセルという暴挙を敢行!理由も聞いている間に自分は兎も角、サイドキックや同じくこの場に移動した飯田が焼け死ぬという、まぁ全うと言えば全うな理由だった。

 

「どうせ焼けてから2〜3年で起きて!それで帰って来たけど俺がクソ親父に虐待じみた特訓受けたの覗いて!!ああもう変わってねぇなぁどうしようもねぇなぁ、俺のことなんて忘れてるわ、あのクソ親父も家族もって思って出て行ったとかだろう!!」

 

 そして轟は、目覚めてからだいたいこんな感じで一度帰って来たんだろうと、想像した大体の経緯を言い放った。数行で自身の過去を簡単に纏められた荼毘は、お前ふざけんなマジでと言い返した。

 

「テメェ!!俺の怒りの10年間を数行に纏めてんじゃあねぇよ!?その傲慢さはお父さん譲りだなぁ焦凍!!」

「よく分かってるじゃねぇか!同じ親から生まれたからなぁ!どうしても似てしまうかもしれねぇなぁ!!」

 

 因縁のぶつかり合いから、兄弟喧嘩までランクダウンした様相に、サイドキック達はどう反応したらいいか分からなかった。

 

「まぁいい……どのみちお前は焼き殺す、その後お父さんの床に焼死体をサイドキック含めて並べてからお父さんも焼き尽くしてやるよぉ!」

 

 最早言葉は要らない、荼毘の炎がさらに勢いと熱を増していき、正常な皮膚すら焼き焦がして行く。全身が焼け落ちてなお火力を上昇させるその様は、自壊すらも気にしない自殺行為!

 

 その熱は、先程までぶら下がっていたオールマイトの像すら溶かす!それに対して、轟は胸の前で、指を組み集中を始めた。

 

「お父さん(あれ)の大切な物、全て焼き尽くす!!それが俺の、生まれた証だぁ!!」

 

 全てを燃やして灰に帰す死の蒼炎を前に、轟焦凍の胸板、心臓に位置する場所から紅と青の十字の炎が煌めき燃え盛った。

 

「させねぇっつってんだろうが!馬鹿兄貴!!」

 

 互いに、父の技をその体で体現し、そして二人はぶつかり合った。

 

 

『赫灼熱拳』

 

 エンデヴァーの必殺技であり、独自に練り上げた奥技。自身の熱を極限まで高め、溜める状態でありそれを放出する物。

 

 若きエンデヴァーが到達した火の極地。力を求め、これを修めた時……エンデヴァーは自身の限界を知る。

 

 そして火は……陽炎を生じ、見据えた景色を歪ませた!!

 

「父親不在で相手がお前ってのも冷静になりゃあいい薪だ!!」

「お前は……俺が止める!!」

「勘違いすんな、俺はお前にもしっかり思う事があるんだ!!」

 

 先手を取ったのは荼毘だった、互いに赫灼熱拳を習得している二人。焦凍はエンデヴァーに叩き込まれ、やがて久との出会いを得てその一端に辿り着いた。片や荼毘は、父の活躍を動画で見て見よう見まねながら習得した!

 

 見て習っただけ、その皮膚が焼けて感覚や痛みを鈍化させたが故に、躊躇いなく一気に限界突破の熱上昇を可能とした。

 

 見よう見まねの放出特化の『赫灼熱拳』が!焦凍とエンデヴァーのサイドキック、そしてこの場所に送られたヒーローヴィラン構わず襲いかかる!!

 

「赫灼熱拳!!ヘル・スパイダァアーーー!!」

 

 エンデヴァーの必殺技!!その炎が凝縮された糸が!全てを焼き切る容赦ない斬撃の技!!

 

「こ、これは!エンデヴァーの技!?」

「にしては、太い!!大雑把すぎる!!」

 

 触れれば焼き切る炎のワイヤー!しかしそれにヒーロー達が驚く中、それを回避した飯田は冷静に、エンデヴァー本来の技と違い太く歪だと分析する!

 

「行けるか!?焦凍くん!!」

「はい!行きます!!」

 

 焦凍の準備の為に、キドウ、オニマー、バーニンはヘルスパイダーを止める壁となった!準備が整ったと合図した矢先、荼毘は即座に、目で追えないスピードで焦凍の後ろに回り込む!

 

 ヘルスパイダーはあくまで囮!焦凍という本命に接近する為、サポート組を足止めするための布石!

 

「一つ聞きてぇんだが焦凍……お前一体どんなツラしてぇ!!」

 

 そして、先程の奇襲も込めた一撃とばかりに、焦凍の顔面を荼毘は殴り抜いた!

 

「怯える市民と一緒に雄英に篭っていられたんだぁ!?エンデヴァーの息子!荼毘の兄弟!!」

 

 コンクリートの地面に跡をつけながら、焦凍は吹き飛ばされたが起きあがろうとする。しかし!荼毘は即座に追いついて、乱雑に倒れる焦凍に蒼炎を纏った拳を乱雑に叩き込んだ!

 

「厄災の煮凝りみてぇなテメェがぁ!!そういう厚かましさだよ焦凍ぉおおおおおおあああ!!」

 

 エンデヴァーの息子で俺の弟の癖して、お父さんは雄英バリアに入らなかったのにお前は怯える市民と何食わぬ顔で避難所に篭ってぬくぬくと、申し訳ないなら、自省の気持ちがあるならそんな事できねぇよなと荼毘は吐き散らし拳を次々叩き込んだ!

 

「焦凍くん……!」

「火力だけならエンデヴァー以上か!?けど、あんなので動き続けたらーー!」

 

 サポートを任されたのに、熱で近づく事すらできないと、バーニン達は荼毘の熱に遮られ殴り続けられる焦凍の元に割って入る事すら許されなかった。

 

「最高の環境とぉ!最適な身体がありやがる癖に!他に縋った!!全てを持って生まれた癖にそうあろうとしなかったぁ!!」

「ぐぁあ!?」

「誰も言ってくれねぇならぁ……俺が言ってやろぅかぁ!!!」

 

 防ぎ、そらし、ダメージを減らすように身を捩る焦凍だったが、いよいよ持って腕が弾かれ身体がガラ空きになり、蒼炎を叩き込まれた衝撃で宙に浮かび上がる!

 

「ふらふら中途半端な人形がぁ!!!テメェはぁ!!何者にもなれねぇよぉ!!」

 

 荼毘の怒りを乗せた拳に蒼炎が纏い、その拳が、焦凍の胸板に叩き込まれた!!

 

「ジェットォオオ!!ヴァアァアアアアン!!」

 

 父の技、赫灼熱拳ジェットバーン。叩き込まれた焦凍は、蒼炎に焼かれながら高層ビルに叩きつけられた。

 

 怨嗟とは、怒りとは、ここまで人を強くするのか……ガラス片が落下するビルの土煙を見上げるしかないバーニン達エンデヴァーのサイドキック。

 

 手ごたえはあった、あっけねぇと土煙を見ていた荼毘だったがーー。

 

「あん?」

 

 熱が、引いていた……右手に目を向けると……。

 

「熱が……中和されている!?」

 

 蒼炎を吹き出していた手が、冷やされて火を出すのが止まっていた。

 

「そうだ、言うとおりだよ……遠回りして、迷ってばかりの半端者……それが俺だ」

 

 ビルの窓枠が、窓ガラスが、焦凍の叩きつけられた凹みを中心に凍りついていく。土煙の中から、紅と蒼の輝きがまだ煌めいていた。

 

「親父の事しか見えてねぇと思ったよ……しっかり俺の事も、見ててくれてよかった……!」

 

 右手に揺蕩う蒼の炎は、荼毘と違う涼やかさすら感じる火を見せながら荼毘に言う。

 

「他に縋ったのも事実だ……この技は、ヒーローでもない人が、俺の背を押してくれて、歩み寄って見つける事ができた技!お前を、止めるための技!!」

 

 父の否定、家族の崩壊、そんな中で出会った……ヒーローでないのに身をもって子どもを助ける為にと戦ったあの人。話を聞いてくれて、違う個性でも糧になるならと押してくれたあの人が居たから!

 

 例え憎んでいても、その身に受け継がれた個性は抱えて生きて、決して否定はできないとその姿で体現した友人が居たから!

 

 この技に自分は至る事ができたと焦凍は叫ぶ!

 

「半端な弟から、言ってやる!親父はイカレてた!家は駄目だった!!それでも!人を焼いたのはお前の選択だ!!」

 

 決して否定しない、そのとおりだ、だから受け入れる。だからって……それを家族に向けず他人に当たり散らして燃やしたのはお前の罪だと焦凍は叫び、ビルから荼毘の元へ飛び立った!

 

「これ以上!!関係ねえ人たちの命を奪うなぁあぁあ!!」

 

 飛び立った焦凍の両手から吹き出す白き炎!それを荼毘が迎え撃つや、焦凍の振るう腕から放たれた炎が、荼毘に叩きつけられた!!

 

「赫灼熱拳!燐!!」

「ぐごぁあああ!?」

 

 白き炎が荼毘を薙ぐ!しかし燃えない!!それどころか纏う蒼炎を一気に沈火させ、一気にその焦げついた肉体を炎から露出させた!

 

 凍み氷る衝撃波の様な、その必殺技の名前は!!

 

「冷炎白刃!!」

「うごぁあ!がぁああ!!」

 

「ぶつけるなら、全部家族(俺たち)にぶつけろ!!そうすりゃ少しは!頭ぁ冷えるだろぉ!!」

 

 その一撃に、荼毘は吹き飛び、しかし即座に熱をあげて両手から蒼炎をバーニアの様に噴かし受け身を取った。

 

 決着は、近い。

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