【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
自分の全力をぶつける、その言葉と共に再び間合いを詰めにかかる緑谷に、まずいと右手を振り抜いて氷を形成しにかかった。
「やらせない!」
「ぐぉああーー!?」
今度はその右手が、一瞬だけ引っ張り上げられ無理矢理に立たされ個性発動を邪魔される轟!右手を伸ばし頭部に向かってくるそれを、轟は左手で弾いて決して触らせない!
「そらそらそらぁああーー!」
「おぉおおおーーー!?」
拳が、蹴りが次々息つく間も無く飛んでくる!個性を使わせないと、そんな暇は与えないと波状攻撃!それでも轟もまた、虐待じみた父の訓練で、クリーンヒット一つ許さない!場外が背後に迫るのを轟は、左から抜けて回り混み、緑谷が通らねばならない道に足から氷壁を作り出し、間合いを取る時間を稼いだ。
間合いを取る時間をーー。
「どりゃああああ!!」
「!?馬鹿なーー!!」
緑谷出久は、厚さ40cmはあろう轟が作り出した氷壁を、ヒーローキックで粉砕したのだ。
破るのか、生身で!破ってしまうのか!鍛えた肉体で!!
『おいおいおい!これフィクションやCGじゃあ無いよな!?轟くん、防戦一方で攻撃させてもらえねー!!』
ヒーローキックより着地した緑谷の顔を見て、轟は背筋を凍らせた。鼻血を拭い、目を赤く血走らせ歯を見せ笑うその様はーーまるでーー!
「悪党(ヴィラン)ーー!」
「失礼だなぁ……ヒーローの卵だよ!!」
まだまだ、緑谷の攻勢は終わらない!
「愚策だ半分野郎ぉ……あのクソヴィラン相手に防御へ回るなんざ」
A組の皆が緑谷の新たな芽吹に歓喜する中、1人轟のやらかしに感想を爆豪は漏らしていた。
折角の個性を波状攻撃により潰されて、頭の中でも今は、緑谷に新しい個性の使い方されてしっちゃかめっちゃか、何もさせて貰えないのが分かる。
「死んでも構いやしねぇ、それでも向かって攻撃ぶつけて行かなけりゃ、あのクソヴィランとなんざやり合えねぇ、ましてや……半分しか力使わないなんて舐めプで戦うなんざ馬鹿馬鹿しい」
舌打ちし、歯軋りして、呆れと諦観、様々なないまぜの感情を爆豪は吐き散らす。
「テメェは宣戦布告する相手を間違えたんだ、半分野郎が」
その程度の気概で緑谷に宣戦布告した貴様を呪えと、冷ややかに爆豪はこの試合を見つめていた。
「くぅう!?」
こんなに追い詰められたのは、初めてだ、いや……こんなに何もさせて貰えないなんて!避けて、防いで、逃げて……逃げて?
轟は思い出す、開会式の前に緑谷に何を言ったのか?お前を倒すって、言ったのに、最強を決めると言ったのにーー無様の二文字が頭によぎる。
『お前は最高傑作だ』
心無いクソ親父の、クソッタレな台詞……それを見返すために、ここまで来たはずなのに!
とーーここで、いきなりーー。
『ああーーっと!?緑谷選手どうしたーー!?手を止めて棒立ちになったぞーー!?』
プレゼント・マイクの実況にてやっと轟は気付いた。緑谷出久が、攻撃の手を止めて棒立ちになっている事に。
その眼差しにあるのは……侮蔑、嘲笑、哀れみ、諦観……諸々含めてこちらを見ているのだ。
「呆れた……なんだよそれ、嘘だったの?僕と全力で戦うの……」
「何ぃ……」
「限界なんでしょ?右側、使いなよ炎……半分の力で僕と本気でやる気だったの?」
明らかな挑発、使えば勝てるだろと、それで本気だとか笑わせる。しかし、ムキになって、轟は言い放つ。
「俺は……クソ親父の力は使わない!母さんの力だけで……お前を倒して優勝するんだ!」
それを聞いた緑谷の顔が、呆れから一気に、仮面を付け替えたように怒りに染まった。
「こ…の……分からずやーーーー!!」
思い切り走って間合いを詰めた緑谷、それを迎撃せんと轟が右手を翳した刹那ーー緑谷が視界から消えた!
「なーー!?」
スライディングの要領で、そこまで肉体の柔軟まであるのかと、新体操選手の如き開脚で体勢を低くして斜め下に入り込んでいた!
「僕の必殺技……禁じ手その②!」
禁じ手!?その体勢から一体どんな攻撃がと防げぬ不意打ちに身構える間もなくーー。
ーー鐘が鳴り響いた。
いや、近くに教会があったとか、学校がチャイムを切り忘れていたとかでは無い。緑谷の右手のアッパーカットが、轟くんの股間にめり込んで、観客達……男達に同じ音を幻聴させたのだ。
ちーんって音を。
「ナッツパンチ」
「おごぉおほぉおおーーーーー!!?」
内股になり、悲痛な叫びをあげて股間を押さえ、轟は蹲った。
・ナッツパンチ
緑谷出久の必殺技シリーズ禁じ手編の一つ。敵に対し、カウンター気味にその場で股割り開脚して視界から消え去り、ナッツ……つまり金玉にアッパーカットを繰り出す。なお、これは手加減しており本来の威力で放ったならば金玉は潰す模様。
元ネタは、モータルコンバットシリーズのキャラクター『ジョニー・ケイジ』の技。