※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

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340話 エンデヴァーはそんな事せん!!と思いたい……

 仮設要塞トロイア周辺、転送できなかったヴィラン達に対しての対応を取るヒーロー達を束ねるファットガムが、通信に歓喜の声をあげた。

 

「よっしゃぁ!轟と緑谷がやったでぇ!!」

 

 轟が荼毘を倒し、緑谷が奥渡島を制圧という報せに、青山優雅は良かったとファットガムに頷く。

 

「成る程……この相性を見るに先刻の檻は、主要戦力の分断をーー」

 

 目の前に高々と生い茂る、奇妙な紫色の巨大な花、その花弁に座す同じ紫色のフードを被ったヴィランが話そうとした瞬間!

 

「ネビルレーザーァアアアーーッッ」

「ぬおぁああぉ!?」

「うぉおお!?」

 

 即座に青山は腰を突き出し、この花を生い茂らせる元凶たるヴィラン『KUNIEDA』向けて容赦無いアンブッシュを仕掛け、KUNIEDAは体をのけぞらせ回避し、ファットガムも唐突な攻撃に驚いた。

 

「い、今私が喋っていたでしょう!!裏切りだけでなく奇襲とは!?イソップのコウモリここに極まれりだなぁ青山優雅氏ーー」

「ネビルレーザー!!ネビルレーザー!!もっぱつレーザーーー!!」

「ちょっ!?ま、待ちなさい!!待て!!本当マジやめろお前ぇ!!」

 

 KUNIEDAの発言すら許さないと、さっきまでAFOに対して漏らしたとは思えない果敢な攻めに、ファットガムが閉口し、KUNIEDAも繕う事すら出来ず必死にレーザーを掻い潜る。

 

「ど、どないしたんや青山くん!?打って変わって何があったんや!!」

 

 流石に何があったのか?と言うファットガムの質問に、青山はネビルレーザーを照射しながら答えた。

 

「この手の広範囲制圧が可能なヴィランには、攻撃の手を緩めたらダメって教わったんです、緑谷くんに!!兎も角攻撃の手を緩めず!撃て、断て、切れって彼が見てた昔のヒーローも言ってたから!!」

 

 臆病から乱発しているわけではなかった、むしろ理由ある波状攻撃に、ファットガムも確かにと頷くしかなかった。

 

「成る程なぁ、話しとる暇あったら攻めて攻めて攻め続けろか!!確かに言う通りやぁ!!」

「せ、せめて話くらい聞け貴様らぁ!!」

「あほ吐かせぇ!!そんな暇あるかい!!話なら牢にぶち込んでから、いくらでも聞いたるわぁ!!」

 

 ファットガムも青山に続き、攻めの一手でリズムを崩されたKUNIEDAに向かう。ヴィランの語りなんざさせるかと、青山とファットの波状攻撃がKUNIEDAを徹底的に追い詰めにかかった。

 

 

ーーセントラル病院前ーー

 

 ギガントマキア収容施設同様、AFOの手下黒霧を収容しているこの病院にも、ヴィラン達の波は押し寄せていた。

 

 だが、他の地点と明らかに様子が違った。向かってくるヴィラン達は……皆『異形の個性』の者達であった。

 

 そして……数が多い、超常解放戦線の残党どころか、さらに増えた数がセントラル病院までの道にごった返していた。

 

 彼らは、異形個性により迫害された者達。この超常解放の波に同調し加わった異形達であった。

 

 それを阻む為、この場所での戦いを志願したのは口田、そして障子であった。口田は鳥をアニマルボイスにて会話で操作して異形達を阻んで行く中、白煙の最中現れた幾つもの刃物を束ねた棍棒じみた大剣を前に目を見開く!

 

 振り下ろされた瞬間、障子が口田を抱えて飛び、その範囲から逃れた。

 

 剣を振るった相手は……明らかに以前遭遇した『スピナー』とは、掛け離れた者であった。巨大化して皮膚が張り裂けそうなほど膨張した筋肉。

 

 そう、スピナーが、この大群を率いていた。

 

「ショートォ!荼毘確保ぉ!!イズク、トガヒミコ確保ぉお!!」

「「!!」」

 

 同じく、セントラル病院の防衛班に割り振られたプレゼント・マイクのよく通る声から報せを聞いて、障子はそうかと頷いた。

 

「……残酷なしがらみに、あいつは真正面から立ち向かった……そして成し得た……荼毘を、兄を止めた!」

「うん!」

 

 緑谷はアクシデントから立て直し、そして轟は家庭の残酷なしがらみを前に、屈する事なく立ち向かい勝ったと聞いて二人は安堵と高揚に背中を押された。

 

「荼毘……だ毘、ガ……負けタ……トガも?」

 

 だが、それを聞いたスピナーが、聞いて戦意を失うという事は無く……歯を剥き出し涎を垂らし、正気が定ってないのが二人には見て取れた。

 

「アりえねえ……こレは情ホウ戦ダァああ!うソだぁ!!そうに、違いねぇ!!」

 

 時として、情報を塞ぐというのはいい扇動になる。

 

 この戦いでAFOは、スピナーにいくつか個性を与え、そして解放の代弁者の神輿として、戦力として強化した。異形である彼だからこそできる、かつて虐げられた異形達が、彼こそが代弁者と続き、その恨みと怨嗟の濁流は、そう易々と止まらないだろう。

 

 束ねる兵士を突き動かす一騎当千の武将、我に続けと異形の束ねた大剣を掲げてスピナーは追従する異形達に命じた。

 

「鹵獲サレた黒霧を奪還シロぉお!!今ォ壊す為ニぃ!死柄木ト俺達ノ為にぃ!俺達を虐げテきた全てヲ!ぶっ壊す為にぃィいい!!」

 

 異形の信徒が押し寄せる、我に続けとスピナーの巨体が地面を揺らし迫るなか、障子は構えながら呟いた。

 

「轟、お前と同じクラスになれた事を、俺は誇りに思う」

 

 裏切り者を許すなと、迫る波に障子と口田は通さないと、両足に力をこめてスピナーを迎え撃った。

 

 

 そして……神野へ話は戻る。

 

 

 ニアハイエンドもヒーロー達によって停止、ヴィランも荼毘の敗北で総崩れ、事後処理と怪我人の治療が始まっていた。

 

 ヒーロー側が勝ったとは言え……荼毘の蒼炎に敵味方問わず晒された被害は大きい、勝ちはしたが、ヒーローもヴィランも互いに予断を許さない状況であった。

 

 轟も荼毘からの攻撃の傷に、赫灼熱拳・燐……従藍冷拳、そして王ノ咆哮・零下のフィードバックにより膝を吐き息を切らして立つのも苦労なほど疲弊していた。

 

 その背中を飯田が摩り、様子を見ているなか、不意に轟は呟く。

 

「エンスト……しただろ……?ごめんな……?」

 

 飯田を見て、涙を流した矢先冷気で氷となって落ちていく。これは、ヒーローとヴィランの戦いだろうに、それだけだろうに、轟は飯田に家族の事で巻き込んでしまったと謝ったのだ。

 

「なんでキミが……謝るんだ……」

 

 飯田は肩を組み、謝る必要なんて無かろうと諭した。

 

「ところで……荼毘どうするよこれ……溶かしていいのか?」

「そもそも、生きてるのか?」

「氷ごとが安全だろうなぁ、おーい!だれか削る工具か個性使えるやつ来てー!」

 

 二人の前に、氷結晶に閉じ込められさながら氷河期のマンモスの氷付けのようになった荼毘を、キドウとオニマー含め、様々なヒーロー達が見上げて、どうしたらいいのかと運び出す方法に悩んだ。

 

 だが……まだ終わっていなかった。

 

 氷付けにされてなお、誰もが勝ったと思うこの状況でも、まだ終わっていなかった。スピナーが『あり得ない』と吐いたその通り……荼毘を凍らせた氷結晶の一部にヒビが入り始め、よく見えていなかったが……荼毘の焼け焦げた皮膚の胸板が光り輝き出していた。

 

 

 ーー群訝山荘跡地ーー

 

 もう一つの、決戦の地……エンデヴァーとホークス、そしてAFO!空中の決戦!かつての超常解放戦線アジトの跡地で、様々なヒーローとヴィランが戦う真上で、戦いの幕が開けようとしている!

 

「エンデヴァー……その顔はなんだ?慈しみか?悲しみか?」

「聞いちゃダメですらからね!エンデヴァーさん!!」

 

 本部から、焦凍が荼毘……燈矢を止めた連絡にエンデヴァーが浮かべた表情を感知し、AFOは早速煽る。聞くなよというホークスの指摘が響く中、AFOは続ける……内股で震えながら。

 

「キミは燈矢くんを見ず、己の欲望を焦凍くんに押し付けた!二人の息子の人生を狂わせたんだ……キミの選択だろ!」

 

 今更息子達の人生を狂わせた親が、そんな表情をして憐れみを向ける資格なんてないだろうと、手を開きながらAFOの弁舌は止まらない。

 

「その過ちも、どうせこうやって正当化してるんだろ?"ヒーローは、守るものが多い"って!だぁから、負けるんだぜ?No.1!!」

 

 右手を開いた全ての指先から、様々な個性を発現させてエンデヴァーをAFOが嘲笑う。

 

 挑発に乗せられてくれるな……何のために自分と、二人、少数精鋭でAFOに当たる事になったか忘れないで欲しい、冷や汗を垂らすホークス。

 

「…………若輩の」

「うん?」

「む?」

 

 ここで初めて、エンデヴァーがAFOに口を開いた。一体何を言うつもりだと、AFOもホークスも注目し、そして放たれた言葉にーー。

 

「まだプロですらない、お前が産み出して捨てた子どもに2度睾丸を潰されて全世界のSNSに晒された小悪党が、何を言ってるのやら」

 

「…………え?」

「はぁ?……」

 

 一瞬ーー静寂が場を支配した、ホークスですら呆気に取られた。まさかのエンデヴァー、挑発返し!緑谷に睾丸破壊されたAFOを弄り返してやったのである!!

 

 その刹那、火を纏ったエンデヴァーが!!AFOに思い切り距離を詰めた!

 

「ヘル!カーティン!!」

「ぬぉあぁああああ!?」

 

 その静寂が、数瞬が!エンデヴァーの先手を奪取してAFOに炎の波が叩きつけられた!

 

「何をしているホークス!!連携すると言ったのは貴様だろう呆けている場合か!?」

「す、すんませんエンデヴァーさん!!」

 

 謝って即座に追いつくホークス!打ち合わせに無いですよとまさかの挑発返しに苦笑しながら、ホークスは内心……"そんな事する人やなかったのに"と、絶対エンデヴァーがしない手段を使った事実にファンとして複雑な気分を味わったのだった。

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