※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

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342話 戦線崩壊

 誤算も誤算だった、淀まないどころかこの男、むしろ更に強くなっているではないかと、マスクを砕かれかけたAFOは苛立つ。

 

 そんな精神性だったかエンデヴァー、何が貴様をそう変えた?沸る怒りをあるがままにぶつけるのがお前だった筈、それが静かに……しかし確かに、ギラギラと大きく怒りを高めているのが分かる。

 

「今更アンガーマネージメントでも出来るようになったのかい、エンデヴァー?」

「そう思ってもらって……構わん!」

 

 拳を構え直すエンデヴァー、その様を見て……AFOはゾクリと肝が冷えた。

 

 重なったのだ、あの男に、憎きオールマイトに!超人(オールマイト)を越えようと歪んだはずの男が!決して辿り着けない取るに足らない常人が!今更になってオールマイトと同じ気配を滲み出したのだ!!

 

 構えたその数瞬ーー。

 

「はぁ!?」

 

 エンデヴァーが、明らかに自身の出せないあり得ない速度で間合いを詰めて来た!その背中には、ホークスの豪翼が数枚、彼を押し込んで加速していた!

 

「遅いんっすよ!気付くのが!!」

 

 連携が、サポートが、ここに来て形を作り出す!!

 

「ぬぁあああ!!」

「おうぅうう!?」

 

 炎熱の拳が叩き込まれ、間合いが離れた。AFOはここで初めてーー。

 

「ちぃい!!」

「ーー離れた!?」

 

 さらに、間合いを取ろうと離れにかかった。目に見えて、追い詰めたと分かる行動にホークスが追いつこうと飛翔する!しかしーー。

 

「仕切り直そうじゃないか、エンデヴァー、ホークス」

「まずいーー!?」

 

 空中に現れた『泥』に、AFOが入ろうとする!これがあった、エンデヴァーの一撃が間合いを遠ざけすぎた!逃げに徹されて仕切り直しは不味いと追い縋るホークス!

 

「ハートビートサラウンド!!」

「ぬ!?」

 

 その泥ワープを、阻む者が居た。間一髪の最悪を阻んだのは、エンデヴァーやホークスより上空で滞空していたーー。

 

「ちょっ、まっ、ツクヨミ!あんま揺れないで!?ウチ飛ぶのあんま慣れてないから!結構必死だから!」

「堪えろイヤホン=ジャック!あとあれだ、あまり尻を動かさないで、ドギマギする!!」

「馬鹿じゃん!?」

「ツクヨミ!?と、A組の!!」

 

 耳郎響香と常闇踏陰!!この戦いにおいて、さらに停滞した際の追加サポートに配置された二人が、ナイスアシストでAFOの逃走を封じてみせたのだ!!そしてーー!!

 

「バニシングぅう!!フィストォオオ!!」

「ぐーーくぅう!?」

 

 この隙に迫ったエンデヴァーが、間合いを詰めて再度殴りかかる!

 

 エンデヴァーの至近戦闘、ホークスのサポートと奇襲攻撃、逃げればツクヨミとイヤホン=ジャックが阻む連携が、上手くはまりつつあった!

 

「羽虫がぁ……」

 

 だが、AFOにとって好都合であった、綻びを、隙を、突破口を見つけたのだから。口では苛立ちを吐きながら笑みに染まる。サポートのサポート、距離も遠い、安心しているんじゃないかと。

 

「なら、簡単なところから落とすとしようかぁ?」

「「!!」」

 

 弱い者虐め?人でなし?美学が無い?ここは戦場、悪と正義が殺し合う戦争の只中で、死ぬ覚悟くらいはできてここに居るのだろう?雄英の生徒よ。

 

 AFOの腕が巨大化し、化け物の頭を幾つも作り、エンデヴァーとホークスを無視して狙うは耳郎と常闇!数は戦力、まずは集中出来るように減らそうじゃないかという妥当な手段!

 

「ーーー!?」

 

 対面して、初めて叩きつけられた恐怖と威圧感、迫る怪物の口に耳郎は硬直しーー飛んで回避もできない筈が、何かに身体を押し上げられ常闇の背中から離脱して避け切った。

 

「イヤホン=ジャック!!」

『ジロウ!ダイジョウブカ!?』

 

 背中に、体に、ホークスの数少ない剛翼が張り付いて耳郎を飛ばして動かしたのだ。そして再び常闇の背中に着地し、常闇とダークシャドウから心配の声をかけられる。

 

「うん……」

「仮面が狙いだ!音で割れれば勝てる!」

 

 降り立った耳郎は、反応すら遅れる叩きつけられたAFOの恐怖に冷や汗を流した。十分な距離があった、覚悟も固めて来た、それでも反応すら遅れる恐怖を叩きつけられ、常闇のマントを握り締めてしまう。

 

 青山は、緑谷は、あんな恐ろしい相手に晒され続けて来たのかと、二人の立場を理解してしまった。

 

 ーーけど、だからって、怯えてばかりは駄目だ。耳郎は恐怖を必死で飲み込み、次はホークスの手を煩わせないと、しっかり内股に力を込めて常闇から振り落とされないように気を保つ。

 

「震えてるぞぉ?可哀想に……学生気分の延長で……来てしまったんだねぇ!!」

 

 左腕が質量保存の法則を無視し肥大する!その巨大な腕からの光が、耳郎と常闇に向けられーー。

 

「やらせん!!」

「ツクヨミ!!」

 

 エンデヴァーが死なせないと向かった、ホークスもまた、同じように学生を死なせてなるかとAFOへ向かいーー。

 

「だよなぁ?そうするよなぁ!!先行きある若者は死なせられないよなぁ、ヒーロー!!」

「がぁあ!?」

「うぁあ!!」

 

 先程の仕返しとばかりに、巨大な化け物から黒い釘を不規則に伸ばし、エンデヴァーとホークスに襲いかかった。

 

 

「エンデヴァー、ホークス、依然AFOと戦闘継続!」

「蛇腔ギガントマキア拘束地点も拮抗してます!」

「セントラル病院前のヴィラン勢力、勢いが増しています!」

 

 司令部の情報が次々と更新されていく、神野の荼毘、奥渡島のトガヒミコ以降は方々の戦線は硬直状態に陥っていた。初動がヒーローに傾いていた分、数の多いヴィラン達が方々で押し上げているのが分かる。

 

 画面を見つめ、オールマイトは生徒たちの、ヒーローの安否を願う。その最中、動きが突如起こった!

 

「た、多古場競技場の通信が切れました!?反応消失!!応答ありません!!」

「何!?」

「何だって!?」

 

 塚内とオールマイトが、その連絡に驚愕した。一体何があった、さっきまで随時報告された戦況連絡が、多古場競技場だけ途切れたらしい。突如の事、この戦場には連合のメンバー『トゥワイス』が転送され、雄英から『13号』そしてナイスガイヒーロー『タカカズ』が、その無限増殖する個性に対応していた。

 

 信号途絶、司令部に悪寒が走る中、画面に緊急通信の表示が浮かんだ。

 

『こちらタカカズ、司令部応答願う……』

「タカカズから通信です!」

「タカカズか!?塚内だ、何があった!!こちらからの信号が消えたぞ!!」

 

 担当のヒーロー、タカカズからの非常通信が即座に来た。塚内がその通信に対応し、何があったのか現状報告を促した。

 

『……多古場競技場の戦線は崩壊した』

「えーー」

『ヒーロー、ヴィラン、共に逃走を開始……多古場競技場は、最早戦いの体すらなさない場所となった、避難所が近くに無いのが救いか……現在、退避したヒーローを集合させて戦列を組み直している』

 

 戦線崩壊……つまり敗北した?となったが、タカカズの台詞に疑問があった。『ヒーロー、ヴィラン共に逃走』という言葉、つまりはどちらも戦うどころでは無くなった……アクシデントが発生したのかと塚内は通信を続けた。

 

「一体、何があったタカカズ?」

「待ってくれ、映像を繋げる……それと、死穢八斎會事件に関与した警察関係者が居れば、そちらで説明をしてくれ、繋げるぞ?」

 

 そうして、通信途絶の画面に映された映像に、塚内とオールマイトは目を見開いた。

 

 多古場競技場のオープンスタジアムを、どこか高所より撮影しているらしい、そのオープンスタジアムを埋め尽くすように、膨張したピンク色の肉塊が鎮座していたのだ。

 

「な、何だこれは……」

「肉塊?いや、本当に何なんだ!?」

 

 多古場競技場に鎮座する、名も分からぬ物体に、オールマイトも塚内も驚くしかない、死穢八斎會事件とこの巨塊に何の関係がとなる中、通信のタカカズが説明する。

 

「あれは、死穢八斎會の若頭……治崎廻の成れの果てだ」

「は、え!?」

 

 自身も関わっていた一人だが、黒霧の件もあり深く聞いてはいなかったが、映像に映る肉塊が元々人間だなどと理解を超えた話に塚内はさらに驚かされた。

 

「個性ブーストの薬品過剰摂取により、個性暴走を起こし、組員を飲み込んだ肉塊……それをAFOは回収していたんだろう、タルタロスから……通称、レギオン・オーバーホール……多分そっちの記録では“因子怪獣"で記録があると思う」

 

 それはかつて、緑谷出久と通形ミリオによって討伐された、死穢八斎會事件の主犯であり、若頭……治崎廻。ヴィラン名『オーバーホール』の成れの果て。

 

 因子怪獣『レギオン・オーバーホール』が、新たなヴィラン達を、おそらくヒーローも巻き込み再臨したのであった。

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