【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
「さて、どうしたものか……」
多古場競技場から離れたビルの屋上に、タカカズはインカムを繋げつつ崩壊した競技場の中心で鎮座する肉塊を見て、今後いかに動くべきかと考えた。
「こちらの方角に逃げれたヒーローは確認取れたわタカカズ……けど何人かはヴィラン達同様巻き込まれたみたい……」
「助かったぜリューキュウ、あんたが居なければ、俺達もあれの一部になっていた」
戦列の一人で、この戦場に立ったリューキュウが、竜の姿を解いた人間形態でタカカズに話しかけた。競技場から逃げ果せたヒーローは、方角は違えど即時退避で散り散りになり、同じ方角に脱出したタカカズとリューキュウ、そしてプロヒーロー達が、巨大な肉塊が蠢く様に驚愕していた。
「タカカズさん、ありゃ一体何なんですか?」
「ダツゴクやヴィランの情報にもありませんでしたが、一体……」
同じ方角に逃げ果たした雄英生、砂藤と尾白が尋ねて来た。背後には同クラスの瀬呂、そして違うクラスながら雄英生の円場も姿を確認して、タカカズはこの場に配置された学生組があの肉塊の一部に誰もなっていない事に安堵のため息が漏れた。
「あれは……そうさな、薬物乱用の成れの果てに個性暴走した、人の形を失った怪獣だ……」
「怪獣って……」
「実際そうだ、ただあの怪獣は……動きは緩慢だ、しかし触れたら取り込まれる……らしい」
タカカズは目視と、解決後の報告資料でしか『レギオン・オーバーホール』を見ていない、戦闘に関しては緑谷と通形によって討伐されたのを見ただけだ。
「兎も角……学生諸君らは方々に散開、プロヒーローと共に逃走した残党の確保だな……遠距離攻撃ができる個性のヒーロー達で、目標名レギオン・オーバーホールに攻撃をーー」
あの怪獣に、学生達を近づけたらいけない……タカカズは遠距離個性のヒーローで、距離を保ち戦うと作戦を決めた最中、インカムから連絡が入る。
『こちら13号、誰か応答願います!』
「俺だ13号、こちらタカカズ……無事でよかったぜ」
13号も逃げ果せたらしい、別の方角に逃げたかと逸れた彼女の生存を確認したタカカズだったが、彼女の通信で即座に安堵から緊張に切り替わった。
『タカカズさん!そちらから肉塊を確認してもらえますか!?何か、何かが分裂して這い出て来てるんです!!』
「なにっ!?」
タカカズは13号の通信に戦慄し、双眼鏡を持つや即座にレギオン・オーバーホールを確認した。
「こ、これは……まさか……」
13号の言葉を嘘であってくれと願ったタカカズだったが、それは否定された。肉塊の蠢きが見え、そして……人らしき何かが、落ちていく。
その肉塊は、やがて皮膚を、更には衣服を形成して……立ち上がる。
"それ"は、何者でも無かった。
だが……『何か』になろうとしていた。
顔は治崎の者もいれば、先の戦いにて倒れたヒーローや、指名手配のヴィランも居る。
胴体が戦列に居た……恐らくヒーローのスーツを着ているのに、足は異形のヴィランで、右手左手がまた別の者だ。
「肉塊が……分裂しているのか!?それが、取り込んだヒーローやヴィランを模している!?」
こぼれ落ちる肉塊全てが、模る姿は全てが不規則不揃いで、さながらつきはぎにされた化け物……それらが足取りこそゆるやかだが、着実に、ゆっくりと多古場競技場を中心に行進している。
さながらゾンビパニックでも始まったような、阿鼻叫喚の事態に、タカカズはインカムに大声で伝えた。
「戦えるヒーローは即座に現れた肉塊の化け物に対処を!決して近づくな!触れられたら命はないと考えて間合いを取って当たれ!!何か分かったら即座に報告して情報更新と共有の徹底!!今ある戦力で、あの化け物を止めるぞ!!」
悠長にしていられない、あれは緩慢だがやがて何もかもを壊しかねない、タカカズの号令の下、生き残ったヒーロー達は肉塊とその生み出した化け物に向かって、突撃を始めた。
(どこだ、ここは?)
トゥワイスこと、分倍河原仁は……死んだ。
死んだはずだった、肉塊に巻き込まれ、そこで意識が途切れたのを覚えている。呆気ない死に方だった。
ここは死後の世界かと辺りを見渡そうとしたが、そもそも身体自体が動かなかった。いや、動かそうとしても、さまざまな手足が、頭が、何もかもがどれを動かせばと、頭の中でごった返してできなかった。
(当たり前ができない、死ぬってこんな感じか……いや、死んでねぇのか?そもそも……俺は誰だ?)
死んだから肉体はないはずだよなと、意識はある様で宙を浮いた感覚に、トゥワイスはふと……俺は誰だったかとすら考える。
(俺は……そうだ、治崎廻……違うこれは、死穢八斎會の……いや、俺はヒーローの、ヴィランの……違う、これは……)
俺は分倍河原仁、そうである。ヴィラン名トゥワイス……忘れるはずがない。
しかして……治崎廻でもある……新たな俺だ。ヒーローの◯◯も俺、ヴィランの××も俺……。
そっか……俺だ、全部が俺なんだ。俺自身なんだ、全部に俺が、トゥワイスの意思が介入している。
トガちゃんはどうなった、荼毘は?スピナーは?死柄木は?……ああ、わからねぇ、なら分かるように、俺が駆けつけなきゃ。
行けよトゥワイス(俺たち)
走れオーバーホール(俺たち)
仲間が待っている、だから……行け!!死んでも俺たちは蘇り、また生まれ、走る!!
「お……おおお……おおOAAAaaaAaaーー!!」
多古場競技場の桃色の肉塊が、蠢き、形を変えていく。その肉塊が色つき……白と黒の見知った、巨大な姿へと変わっていく……ヒーローも、逃げ果たしたヴィラン達も、その姿を見てしまった者は絶句した。
何よりその有り様だ……一体の『巨人』が立ち上がったのではない。幾つもの人間の残骸が、生まれては死に行きようやく形を、色を作り上げていた。
『群体により作り出された、巨大なトゥワイス』が、呻くような咆哮を上げて、重々しく……しかし肉塊の時よりも確かな足取りで、歩み始めた。
・レギオン・オーバーホールR(第二形態)
レギオン・オーバーホールに取り込まれたトゥワイスが、自身の克服した自我崩壊のトラウマから完治した経験より、レギオン・オーバーホールの意思を乗っ取り、自身に括り付けた結果生まれた個性怪獣。
分裂した自身が本物か、偽物かも分からなかった悪党は、友のために痛みからそれを克服し、死を持って更なる強固な意思で再誕(生まれ変わった)した。この肉塊に巻き込まれたヒーローも、ヴィランも、全てが己であると自覚した。
レギオン・オーバーホール内に取り込んだヒーロー、ヴィランと情報を同期し、肉塊から自身の僕である『キメラトゥワイス』を生み出し操り、自身もまた巨大な肉体となり侵攻を開始する。
・キメラトゥワイス
レギオン・オーバーホールRの本体から生み出された分体。取り込んだヴィラン、ヒーローがそれぞれない混ぜになったような姿で、一体として同じ姿は恐らくない。
動きは緩慢かつ、個性もない混ぜにされて大体は使えないがパワーが強く、真正面から戦うのは得策ではない。しかも、あくまで個性を使えないのは『大体』であり、異形型が顕著に現れた個体はそれを操れるようだ。
そして……『倒して肉塊となっても、また別の形になって再生』してしまうという不死性を持ち、トゥワイスの『二倍』もまだ生きている為か、次々本体から湧き出てくる。
完全に倒すには、その肉片を完璧に消失させるか焼き殺す他無い。