※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

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349話 阻む者達

 群訝山荘跡地の上空でも、受け入れがたい現実が突きつけられた。エンデヴァーとホークスの目の前で、光に包まれたAFOが、みるみる内にその炭化した肉体を再生させていった。

 

「前回の戦いでは防戦一辺倒で何もさせてもらえなかったと聞く……」

「オール・フォー・ワン……!」

 

 恨めしげに声を絞り出すホークス、その肉体は先程の顔を失った肉体では無い。恐らくは、オールマイト以外は初めて……AFOという男の『素顔』を見たのやもしれない。

 

「ヒーローとは禦ぐ者であり、ヴィランとは侵す者……僕らは夢に向かって……つき進む……!」

 

 それ即ち『肉体の全盛』

 

 AFOの肉体が……時を遡り、かつての黄金時代の姿で、エンデヴァー達の前に再臨したのであった!

 

 

『使えるのは一度きりじゃ、計画通り娑婆に戻った暁にはキミの夢の一助になるじゃろう……』

 

 AFOが、隠れ家として使っていた洞窟……腹心、殻木球大はそこに隠していた。

 

 死柄木弔が、死穢八斎會に助けられて傘下に加わり下働きをしていた時、ヒーローによって確保された護送車に証拠物件として押収された『個性因子破壊弾』は、死柄木弔本来の復活に合わせて量産する予定であった。

 

 だが同時に、殻木球大は『原材料』にも目をつけた。

 

 個性破壊弾の原材料となっていたのは、死穢八斎會組長の孫娘『エリ』であり、その個性は『巻き戻し』という、人智を超えた個性であった。

 

 殻木球大は、やがて個性が代を経て強力となり、人の手に余り制御を失い自滅するという『個性終末論』を提唱したが、まさしくエリの個性は『特異点』の一例であった。

 

 個性因子研究をしていた殻木にとって、個性を複製する事も訳なく、個性破壊弾も量産されていたが、蛇腔突入班のヒーロー達によって結局水泡に帰した。

 

 しかし……逆に『紐解く』事も殻木は考えた。もしも自分が捕まり、AFOが窮地に立たされた時のために、殻木はAFOに残していたのだ!

 

『巻き戻し』の個性因子を抽出した薬品!それを打ち込み、AFOは……かつての自身に、黄金時代の自身に肉体を巻き戻したのであった!

 

「誇れ、エンデヴァー!まさかキミ相手にこのカードを切るとは思っていなかった!」

「若返っていく……肉体の……全盛……!?」

 

 現れた絶望、全盛期の……AFO!彼はこの切り札を切らせたエンデヴァーを賞賛した。

 

「あれは……エリちゃんの個性!?」

 

 遠間から耳郎を抱えつつ見ていた常闇も、AFOが見せた復活が、エリちゃん由来であると見て理解した。そんなAFOが、ゆっくりと……地上へ降り立とうと降下していくーー。

 

「まずい!?」

 

 あまりにも自然に降りていくものだから、ホークスも反応が遅れた。AFOは、そのまま一つ息を吸うと、その肉体の変わりように歓喜の言葉が思わず漏れた。

 

「身体が絹のように軽い……!」

 

 そして、地面に降り立った瞬間ーーヒーロー達も身構えていた中、風と共に着地地点からAFOは姿を消した。

 

「え?ーーえ!?」

 

 そのうちの一人、女性ヒーローが、背後から首を鷲掴みにされた。

 

「えええ?個性がーー」

「ついでにマントもいただくよ?裸じゃ格好つかないや」

 

 女性ヒーローから個性、更にはマントまで奪い去るAFOに、遅れてホークスが大羽の太刀を振り抜き、救出ーーしかし個性はすでに奪われてしまっていた。

 

 背後に抜けたホークスに向けて、AFOは口端を笑みに吊り上げゆっくり語り出した。

 

「この巻き戻しは、使ったが最後最終的に僕は消えて無くなる……だが、夢のバトンは死柄木弔に引き継がれている……」

 

 用済みの肉体だからこそ、この巻き戻しを使えたのだと彼は語る。既に死柄木という次の肉体へバトンを渡したが故、この肉体は消えても意思は死柄木へ宿してあるからと。

 

「僕の残る役目は、キミ達のちょこざいな罠から、彼を救い出す事だ……行かせてもらうよ?」

 

 自滅すら勘定に入れた超強化を前に、ホークスは考える。つまりは、全盛に戻っているが無敵では無い、タイムリミットが存在する。

 

 ならば、エンデヴァーがもう一度、プロミネンスバーンを放つまで時間を稼げれば、まだ最悪は防げると考えながら、手始めの時間稼ぎとホークスは話しかけた。

 

「夢……ね?OFAを手に入れた先の話っすか?後学の為に聞かせてくださいよ」

 

 聞いてなかったな、悪の頂点であるAFOの夢とやら、聞かせてみせろよと笑って尋ねるホークスに、AFOは嬉々として、さながら夢語る少年の様に話し始めた。

 

「単純だよ、コミックに影響されてね……その悪役は、世界中から恐れられていた……なんでだと思う?」

 

 コミックの中の悪役、それに影響されたと聞いて、単純な答えをホークスは返した。

 

「……悪い事、するから?」

「悪い事、とは?文化も価値観も無数に広がるこの世界で、誰もが顔を顰め嫌悪する行為……それは、思い描く未来を阻まれる事」

 

 正義も、悪も、時代や価値観の変遷、立場で変わる。しかしどちらであろうと、いかなる立場であろうと、嫌悪される行為……人の描く未来を阻む事こそ、真の悪事でありそれをコミックの悪役は行っていたと語る。

 

「だから僕はね?世界中の未来を阻みたい、ただそうありたいと、願っただけだ」

 

 自身の夢は、世界の未来を阻む事、悪意すら感じさせない声色、淡々と語る様ながら、悍ましい夢にホークスは苦笑した。

 

 

 

「駄目だ……侵攻が……止まらない!」

 

 空を羽ばたくリューキュウが、巨大なる群体のトゥワイスが歩く様を見て、そう吐いた。多古場競技場に当てられたヒーロー、学生組総動員による攻撃を叩き込むも、巨大トゥワイスの歩みは止まらなかった。

 

 緩慢ながら、しかし街を踏み潰している。そして剥がれた肉片が、異形のトゥワイスを生み出し、ヒーロー達へ無差別に襲いかかる!

 

「シュガァアアラッシュアァアア!!」

 

 砂藤の個性『シュガードープ』により強化した肉体から放たれたラッシュに、肉片となるも、その肉片はやがて散乱したまた別の肉片と繋がり、新たな形のトゥワイスに復活して、また襲いかかる!

 

「キリがない……復活するなんて!」

「縛り上げてもダメだ!こいつら、自分から肉片になって抜け出してくる!!」

 

 尾白は無限に増殖、復活するその様に息を切らし、瀬呂もテープで捕縛するが自ら肉片となって拘束から抜け出す知能があり、キリがないと呼吸が浅く早く、息を切らし始めた。

 

「タカカズさんも、13号さんも物量に押されて吸い込みきれてない!!このままじゃ……押し負ける!!」

 

 B組の円場も、空気凝固を使い異形トゥワイスの侵攻を阻み時間稼ぎをするが、それ以上にトゥワイスの波がこちらの攻撃を圧倒的に上回り、尚且つ蘇ってくる理不尽に弱音が込み上げてきた。

 

「かと言って、諦めれっかよぉ!?なぁ!!」

「ああ、復活するなら、しなくなるまで倒す!」

「瓦礫使ってでも侵攻ルートを制限すりゃあ!!」

 

 じゃあ諦めて降参なんて、できるかよと砂藤も、尾白も自らを鼓舞して限界を超えて戦い続ける。瀬呂も、テープで瓦礫を引き寄せ信仰するトゥワイスのルートを潰しにかかるがーー。

 

「瀬呂!?後ろぉ!!」

「あーー」

 

 円場が声を上げた、瓦礫の中から、バッタの足のトゥワイスが、飛びかかって襲いかかる。その腕は鋭利な刃物となっており、このタイミングでは最早、避けるのも間に合わなかった。

 

 死んだ……呆気ないなと、ゆっくりとなる景色の中で、数瞬の最中ここまでの自身の人生が頭に浮かび上がる……。

 

 走馬灯ってこれかぁ、ああでも、中々に頑張ったんじゃね?色々あったなと、刃は迫りーーそして。

 

 異形トゥワイスの頭部がひしゃげ、彼方瓦礫へ叩きつけられた。

 

「おわぁあ!?」

「大丈夫か、瀬呂!」

 

 円場により空気凝固の足場が宙に生成され、そこに着地した瀬呂。何があったのか、誰が自分を助けたのかと確認する中、その影は砂藤と尾白の前に降り立った。

 

「随分な化け物と、やり合っているなぁ……ヒーローの卵たち……」

 

 その声を、砂藤だけは知らなかった。聞いた事ある声だと認識したのは、瀬呂と尾白だけだった。

 

「あんたは……」

「どうしてここに!?」

 

 だから驚いた、何故ここに貴方が居るのかと。瀬呂と尾白の台詞に砂藤だけは一体何者だと二人に尋ねた。

 

「お、おい誰だこの人!ヒーローか!?」

 

 砂藤の言葉に、深緑のロングコートの男は首だけを向けて砂藤に言った。

 

「そうさな、どうって事ないーー」

 

 そして、飛び掛かってきた異形のトゥワイス達へ向き直るや、その一撃一撃の拳撃、蹴撃にて肉片へと変えて……肉片は紫色の炎に包まれ焼け爛れ灰となっていった。

 

「ただの、武道家だ」

 

 ヒーロー達の窮地、多古場競技場……その戦いの匂いに誘われたのか、はたまた歩く先がただ合戦の場であったのか……。

 

 AFOに並ぶ伝説のヴィランにして、武道家……。

 

 『怨龍』緑谷悠が、この戦場に出現したのであった。

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