【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
拳が甲殻を殴り割る。
蹴りが鎧を蹴り砕く。
斬撃が袈裟に体を切り裂く。
頭突きが兜を打ち砕く。
互いの攻撃が当たる度に、生々しい音を響かせて血を撒き散らし、肉片に破片が飛び散っていく。
死闘
まさしくその二文字が浮かぶ、緑谷と死柄木の戦い。
「ふるぅえぁあ!!」
「ごぁあは!!」
緑谷の右の拳が、死柄木の顎関節を破砕するや、それでも死柄木は踏ん張って身体をのけぞりから戻し、さらに踏み込んで左のボディを叩き込む。
「がぁあ!」
「あぁぐ!!」
鎧が砕け、肋骨も3本は砕けた緑谷。しかし、そのめり込んだ左腕を両手で引っ張り、横に踏み込みながら、自らの胸板に思い切り死柄木の左肘を叩きつけた。
「だぁああら!!」
「あぁああ!?」
ボゴン!!破裂した音と共に甲殻を突き破り肘が折れて骨が飛び出て死柄木がよろける!しかし、肘の骨は肉と皮膚の中に取り込まれ再生する!
「くそがぁあ!!」
「うぁああ!?」
仕返しとばかりに、死柄木の踏みつける蹴りが緑谷の右膝を横にへし折り、鎧から骨を露出させた。だが倒れる間際、緑谷は左足だけで跳んで、身体を捻る。
「っしゃぁあ!!」
「ごぶふぅう!!」
錐揉みキックで爪先をこめかみに叩き込み、死柄木も頭蓋をまた割られ倒れ伏す。緑谷の右膝の骨も、体内に入り込み再生していき、互いに倒れたまま起きあがろうと手をついて、息を切らして互いに睨み合った。
「い……いい加減……諦めろよ、ヒィイロォオ!」
「こっちの…‥台詞だぁ……ヴィランがぁあ!」
互いによろけながら、悪態を互いに吐き立ち上がる。一歩も譲らない戦いの最中ーーその時はついに来た。
「うぐぁあ!?」
「!!」
緑谷の左腕の鎧が……弾け飛ぶかの様に破裂した。それどころじゃない……鎧がどんどん霧散して、元のヒーロースーツの姿に戻り、緑谷は両膝が地に着いた。
「緑谷!?」
左前腕の皮膚が裂け、ダラリと筋肉が垂れ下がっている。やはり『駆動』を使った時点で、例え肉体が耐えうる身体に進化をしていても、その先までは無理だったのだ。
相澤の声も虚しく届かず、浅い息をしながら弾けて骨すら見える無惨な自らの腕を虚に見る緑谷に、死柄木が見下ろしながら言う。
「限界が来たみたいだな……所詮は失敗さーーあぐ!?」
「えっ……」
だが、死柄木もまた異常をきたしていた。白い鎧となった甲殻が剥がれ落ちていき、元の死柄木の姿になるや、その首元から、また別の頭が……腫瘍のように発生して、がぱりと口を開き声を上げた。
『サッサトヲぉ!アケワタセェェエ!!トムラァアア!!』
「邪魔をすんなぁ、引っ込んでろぉ!!」
「はぁ……!?」
一体何が起こってる?目の前で、死柄木に新たな頭が生えて、喧嘩を始めた……何だこれはと呆ける緑谷だったが……その緑谷の見る景色を通して反応した者が居た。
『あれは……兄さんだ』
始まりの男、与一がそう言った。兄さん、つまりはAFOが姿を現して、そうだったと緑谷は思い出す。
蛇腔で、死柄木は自分と溶け合い一つになると言っていた。それが、剥がれようとしている?溶け合っていないのかと緑谷は死柄木の異常を目の当たりにして理解した。
それと同時に……戦況は更に動き出した。
手始めに、異常を察知したのが相澤であった。異音に気づいて、背後を見た。
「山田!!じゃあーー!?」
現れたのは黒色の靄……そこに現れた金色の眼差し…‥。そして山田とは、雄英教師であり同輩の『プレゼント・マイク』の本名。
セントラル病院に居た筈のマイクが、ここまで転送された事は即ち……セントラル病院の防衛が失敗し『黒霧』が解き放たれたと言う事実!
そしてーー
さらなる別の『ワープゲート』から、それらは現れた!
「何だ……ありゃあ……!?」
腕も、頭も、足も!全ての部品が継ぎ接ぎで縫い合わせいっしょくたになった化け物達が!雪崩のように相澤を、物間を、マニュアルを襲ったのだ!
……分断作戦は、失敗した。
緑谷が死柄木との戦いを始めた数分前……セントラル病院では、超常解放戦線の残党と、その思想と奮起に立ち上がった異形個性の民衆が、スピナーを旗頭にして侵攻。
その数……1万5千人。
対する残存警察隊、ヒーローは200人。
この戦い、スピナー達の目的はセントラル病院に拘束された『黒霧』の奪取である。
ヒーロー側は奮戦した結果……障子目蔵の声と、最後の砦となったセントラル病院の医師、看護師の人垣によって『民衆』の暴動は止まった。
だが……黒霧は、スピナーによって解き放たれてしまった。
試合には勝ったが、勝負には負けた。と言うやつである。
スピナーは……AFOより『ある物』を渡されており、それを黒霧に渡す事により再起動。黒霧が行動を開始した。
「……成る程、こうなったか……トガヒミコは捕まってしまったらしいが、まぁこちらでも十分だ」
群訝山荘跡地……若返るAFOと対峙するホークスとエンデヴァーの背後より、ワープゲートが展開されて…‥そこから身を焼くほどの熱が、蒼い炎を纏った焼け焦げた男が這い出るように現れる!
「おとうさん……!」
神野で捕縛された筈の荼毘が、群訝までワープゲートを使いエンデヴァーの下へ!そしてもう一つのワープゲートからは!
「ほぉおおくぅすぅううう!!ほぉぁくぅすぅうう!!」
「こ、れは…‥一体!?」
どさり、どさりと、継ぎ接ぎの化け物が次々落ちていく。数こそ少ないが、しかしゆっくりと、どんどん肉片が分たれて、数を増やし始める!
「もはや自分が何者か分からなくなったと思ったが、成る程裏切りの怨嗟とは自我を引き戻すらしいね?さぁ、どうする鷹見くん……キミへの恨みを抱えて、決して死なない、そして無限に増え続ける不死の軍団がやってくるぞ?」
レギオン・オーバーホール……飲み込まれ、その意思を乗っ取ったトゥワイスが放つ、不死なる肉塊の軍団……『キメラトゥワイス』が……黒霧のワープを使って。
天空の棺と群訝山荘跡地へ侵攻を始めたのであった。
同刻……多古場競技場では……。
「灰燼滅拳……業火蜷乱!!」
払いのけるような腕の振りにて放たれた紫色の呪われた炎が、雪崩のように襲いくるキメラトゥワイス達を一挙に焼き払い、灰へと変える。しかし、その鬼火を纏いながら、尚も超えてくるキメラトゥワイスを前に『怨龍』緑谷悠は、ため息を吐いた。
「やれ参ったな……追いつかん、この場を止めて焼くだけしかできんとは、蟻の群隊は時に象すら食い殺すとはこの事か……」
悠はこの化け物の生産速度に対して、自身の炎で焼き切って処理する事はできても無限に生まれ出ているが為にどうしようもないと判断した。数は力だなと再認識させられてしまったなと、超えてきたキメラトゥワイスを無造作に蹴飛ばしながら呟く。
「い、いや、けど凄えよあんた……俺らじゃ倒しきれねえ奴らをたった一人でこんな」
「ヒーローの面目、丸潰れだな……」
紫炎の障壁となった悠の背後で、ただ任せる事しかできないと砂藤や尾白が、止めてくれているだけでも助かる、ヒーローとして面目無いと息を切らして頼るしかない事を自責した。
「俺からすれば、ヒーローの権威も落ちた中で、学生ながら戦うキミらは十分すぎる働きをしていると思うがね?いずれ育ったら喰……後のヒーロー社会も安泰と思うが」
「リップサービスとして、受け取っとくっす」
流れの武道家からの称賛を、リップサービスとして瀬呂が受け取る。さて、ここからどうするかと、侵攻する肉塊が模る巨人を見上げた悠は、いかにして倒すかと考える。
必要なのは……火力だなと、悠は導き出した。
「ところで、ヒーローでも学生でもいいが……強大な火か、それに類する個性を持った者は居るか?」
悠は学生組に尋ねた、この場で強力な火に関係する個性を持ったヒーローは居ないかと、その質問に円場が答えた。
「すいません、多分ここに配置されたヒーローの中には…‥今空中や地上から攻撃している、遠距離の個性はどうですか?」
何か、この状況を打開できる考えがあって、彼はそう質問したのだろう。空中やビルの上から光線や遠距離攻撃で巨人を攻撃するヒーローを指し示すが、悠はあれらではどうにもならんなと考える。
「仕方ない……こうなれば地道に倒していくしかーー」
そう悠が呟く最中、悠の耳がインカムのノイズを捉えた。黄色のヒーロースーツを着た少年、砂藤のインカムだった。
「はい!?え?避難!?巨人の近くから出来るだけ離れろ?」
「他に戦っている者が居るのか?」
「えっと……あの巨人が向かう方角に、侵攻を止めるヒーロー達の本隊がーー」
この学生組とは別に、また違うヒーローの分隊が居ると知った矢先だったーー。
喧しい音と、建物の鏡を割砕く衝撃波を放ち、一条の光が巨人を貫いたのだった。
「どぉあぁあ!?」
「うひゃあぁあ!!」
「だぁああーー!」
「何事ぉ!?」
砂藤、尾白、瀬呂、円場は、一体何が起こったのかと驚いた。たった一撃の光が、巨人の胴体を貫き、周囲を焼き焦がして尚且つ停止させたのである!
「今の……轟か!?あいつ確か神野の筈じゃあ!?」
砂藤は、こんな炎を出せるのは轟くらいしか思い当たらないと叫ぶ。神野に居るはずが、何故ここにとなる中、悠はその光が放たれた射線の方角を見て、笑った。
「そこに居るのか……久……!」
悠は現れた行幸に歓喜し、そのまま跳躍だけで近場のビルへと跳び上がった。