【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
『レギオン・オーバーホール・トゥワイス』
第二次決戦後……戦況を綴った資料にて、その『因子怪獣』に付けられた名前だ。
以降日本及び、世界でたびたび現れる事になったそれら『怪獣』の、第一号としても資料に刻まれた。
元々は、死穢八斎會の若頭『治崎廻』が、自身が開発し部下や関係組織に卸していた個性強化薬の過剰摂取の果てに、肉体を失い個性暴走で周りの部下すら取り込んだ化け物。
死穢八斎會事件の後、タルタロスにて封じられていたのを、AFOが回収し、トゥワイスに切り札として渡した結果、近場のヒーローだけには飽き足らず、仲間のヴィラン達すら取り込み再臨した。
そして……トゥワイスも取り込まれて一体化した結果。意思と主導権を奪われて、肉塊から無限増殖する化け物となり、現れたのである。
AFOも、こうなるとは思わなかった。あくまでヒーロー達の撹乱にはなるかと思えば、なんと愉快な物が生まれた物だと渇いた笑みを浮かべた。
「土壁の裏へ避難して!皆一旦退いて、早く!!」
「捕らえたヴィラン達も移動させろ!焼け死んじまうぞ!」
ピクシーボブの土流により、キメラトゥワイスの侵攻と荼毘の熱を遮り何とか窮地を逃れるヒーロー達。シシドの声が戦場に響き渡る最中ーー。
「!?シシドさーー」
その背後から、土流を掻き分けて出てきた継ぎ接ぎの化け物、キメラトゥワイスが襲いかかり、長い爪を振り上げてーー声を上げたヒーローが一人、その爪に貫かれた。
「数が増えるどころか、一体一体が全く違うーー!?」
「肉片が更に増えて、うわぁあああ!?」
キメラトゥワイスは……取り込んだヒーロー、ヴィラン達を継ぎ接ぎに再現している為、個体差に強弱がある。
しかし……一度打ち倒しても肉塊から再生し、取り込んだヒーローやヴィランの形を再度作り変えて復活していく。そして!肉塊が分断されるように倒された場合……個体数が増えて襲いかかる!それだけでは無いーー!
「や、やめ!?いいやぁああーー!!」
一人の女性ヒーローが、囲まれてキメラトゥワイスに潰された。やがて、起き上がるキメラトゥワイス達の身体に、その女性ヒーローの部位が、それぞれにちぎられ、取り込まれたように生えてきたのだ。
それだけではない……仲間のヴィランすらも、まだ抵抗している仲間すらもキメラトゥワイスは襲いかかり捕食し、数を増やし始める!!
「こいつら……!食ってるのか!?ヒーローを!!」
「いや違う!見境が無い!ヴィランまでもーー!?」
「離れて戦え!!決して近づくなぁ!!」
敵も味方も、ヒーローもヴィランも関係無しに喰らう化け物。そして、荼毘の蒼炎により……群訝山荘跡地の戦況も混沌に陥った。
混沌とした戦場で、エンデヴァーもまたキメラトゥワイスを必死に追い払う。雨が降り始めたお陰か、多少の熱が引いて火を放てるくらいには熱が冷めたようで、迫り来るキメラトゥワイスを焼き払い引き剥がしながら、滞空する息子の荼毘……燈矢を見た。
胸に噴き上がる紫色の炎……それは、焦凍が到達した奥技『燐』である事をエンデヴァーは報されていた。それを……まさか荼毘までも出来るのかとエンデヴァーは驚くが、即座に声を上げ尋ねた。
「焦凍はどうした!燈矢あぁああーー!」
復讐の対象であるエンデヴァーの声は、この混迷極めた戦場においてもよく聞こえたらしい。荼毘こと燈矢は見下ろしながら、言い放つ。
「土産にしたかったけど……強かった……俺の夢はもう、完全には叶わない……」
すでに皮膚は炭化していて焦げている、触れたら崩れそうな肉体で、口から蒼炎を漏らす荼毘が、ギョロリと眼をエンデヴァーに向けた。
「だからせめて……お前の大切な物を……守ろうとする物…… 1つでも多く……」
怨嗟の蒼炎は、父を眼下に収める事で、より一層勢いを増そうとしていた。
その親子の会合を、少し離れた場所で眺めながら悦に浸るAFOは感じた。風は僕に吹いていると……黒霧のワープが発動したという事は、形は何であれスピナー……伊口くんは勝ったという事、事を成してくれた証。
黒霧は恐らく、死柄木の下へ行ったと思われる。こちらに来てくれたら自身の不完全なワープではない、ワープゲートで死柄木に合流して勝ちだったが……ほんの少しの差異だと心の中で頷く。
そして……肉塊の化け物となった分倍河原くん事トゥワイスも……こんな化け物に成り下がって場をかき乱してくれている……こうもあの肉塊が役に立つとは役得とはこの事だなと、阿鼻叫喚の戦場でただ一人AFOは落ち着き余裕すら持っていた。
がしかし……肉体は若返って行く、そしてやがて自分は有精卵と成り果て消えて行くだろう。時間が惜しい、死柄木と完全な一体化を果たすためにと、この混乱を利用してAFOは飛び立った。
「いぃんぎぃい!!」
その飛翔を阻むは、"元"早すぎる男ホークス。大羽の太刀を気合いと共に振り抜いたが、AFOの展開した障壁がその一太刀を阻み押し返した。
「ホークスぅ?分倍河原の意思に向き合ってやれよぉ?」
若さを取り戻したAFOが、余裕と嘲りを隠す事無く、歯を見せて笑いながらホークスに言ってやる。あんな化け物になってまでキミの名前を呼んでたのだ、付き合ってやれよと。
「……巻き戻しの都合とは言え、随分な急ぎようっすね……死柄木を信用してないんっすか?」
反発によって頭皮が切れたらしい、血が幕となって額に流れるホークスだったが、それでもAFOを煽った。随分な慌て様だなと、AFOから笑みが消えた……聡いなと彼は白状する。
「察しがいいね……そうさ、あれはまだ真の意味で完成していない、この僕が必要な理由がある」
そうして、白状してもここを切り抜けれる力と余裕がまだあるのだろう。何しろ目の前に居るAFOは黄金期の姿と力、時間経過で消え行くとは言えさっきまで自分たちが追い詰めた状態とは訳が違う。
止めねばならない、しかし……キメラトゥワイスも増えて強さを増して行く、何より完全に倒さなければ止まらないと来た。
そして荼毘も居る、この場にいるだけで蒼炎がヒーロー達を焼き尽くす。
ホークスは一度目を瞑り、開くやエンデヴァーに声を張り上げた!
「エンデヴァーさん!もう分断作戦はとっくに機能しなくなった!このままじゃ、熱で皆が戦えない!ここが全滅すれば、全てがイズクと死柄木に向かう!!燈矢を止めてください!!」
優先すべきは、人員の確保!この場でいちばんの障害は化け物となったトゥワイスより、荼毘こと燈矢にあると決断して、エンデヴァーに荼毘を止めるように頼んだ。
「うはははは酷いなぁ!片腕を失い意識朦朧の男に!」
なんて酷い指示を出すんだ!もう彼はボロボロになって戦うのもやっと、そんな彼に今度は息子を倒せと無慈悲な頼みを課すのかと嘲笑うAFO。
「それにキミが言っていたじゃあないか……僕を速やかに倒す事が彼の使命だと、職務放棄ーー」
「ぐちゃぐちゃうるせぇなぁ!!玉無しがぁ!!」
煽りに対して、答えを返すとばかりにホークスは声を荒げれば、最後の単語にAFOはピシリと青筋が額に浮かんだ。
「お前はもう、俺たちのNo.1に一度負けただろうが!!だから放棄じゃないか!!」
さっき一度負けて、切り札使っての復活野郎が調子に乗るな玉無しがと、およそホークスの積み上げたイメージから掛け離れた怒りを纏った悪口の返答に、AFOも言葉を返す。
「屁理屈を……それと、玉無しじゃあない!ちゃあんと巻き戻しで再生しているさぁ!!」