※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

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361話 シュートスタイル……?

『戦況はしっかり伝えるよ、塚内くん』

 

 捜査本部に映し出された『最後の助っ人』であるオールマイトの映像に、今まで様々な事件でオールマイトと協力していた塚内、そして警官達も驚くしかなかった。個性を失い、戦う力を失ったオールマイトが、最後の防衛ラインとして自ら戦おうとしている事に。

 

「パワードスーツに、車はサポートアイテム!?」

 

 驚く者も居るが、塚内の顔は苦しく、歯を食いしばってその背中を見ていた。

 

「オールマイトvsAFOですってぇ!?配・信!!」

「あ!こら!!なんでもネットに流すな!卍解みたいにアップすな!?」

 

 各種システムを再起動、再構築していたラブラバもこれには嬉々として、オールマイト自身が撮影しているらしい映像を自身の使っていた生配信チャンネルへ即座に繋げて、全世界に生放送を開始する。

 

「……配信を……止めろ相場」

 

 その行為に、懇願の感情を込めて塚内は顔を手で覆って配信停止を指示した。辞めてくれと、お願いだから頼むと。

 

「これから映るのはーー緑谷出久(弟子)の戦いを邪魔させないために……AFOから数分…数秒奪うためだけに蹂躙される、元英雄の姿だ……!」

 

 勝てるわけがない、ましてや戦いになろうはずもないと塚内は断言した。個性を失ったただの無個性の、無力なかつての英雄。それが弟子の為に時間稼ぎをするだけにしかならない……決して勝てない戦いの果て、蹂躙されるのが目に見えているから。

 

 だからやめてくれと、塚内はラブラバに配信を切れと頼んだ。

 

 

 

 AFOは、荒れ果てた道路に佇むかつての敵を見下ろして思索する。オールマイト……自身の人生において、最も邪魔な存在であり、弄りがいのあった玩具。

 

 個性を緑谷出久(失敗作)に奪われ、力を失い、残火も消えた無力な、英雄だった存在。最早目をかける必要も無く、歯牙にかける必要もない男。

 

 そのはずだ、無視して通り過ぎれば終わる。

 

 そのはずなのに。

 

 

「フフフフフ……」

 

 不敵に笑ったその顔を見て、AFOの怒りの琴線が即座に切れた!!青筋を浮かべて右手から放電を開始して、その腹の立つ笑みを消し去りにかかる!

 

「何を……笑っている!!」

 

 オールマイトは、AFOがこちらに反応して攻撃に移ったのを目視にて読み、コンクリートの破片を巻き上げながら駆け出す。

 

「エルクレス!レッドライオット!!」

 

 走り出したオールマイトの周囲に、赤熱した装甲が、スポーツカーと自身の装備したパワードスーツから展開されて周囲を覆った!

 

 AFOから放たれるレーザーが、周囲のビルを切断しながらオールマイトも通過するも、外殻となった装甲が見事に防ぎ切り、オールマイトのスーツ背部スラスターが起動して空を飛んだ。

 

『エルクレスシールド、全体の52%を喪失、次はありません』

「上等ォオオ!!」

 

 向かってくる、真っ直ぐに!!煩わしいほど幾度この戦いかたを目にしたかとAFOの苛立ちはさらに高まった。

 

「避けずに猛進……その戦い方はーーOFAがあったからこそだろうがぁ!!」

 

 そうして真正面から向かって叩き潰す、小細工無しの戦いは『個性』があったからこそできた戦い方!無個性でサポートアイテム頼りのお前が、同じように戦えるわけがない!だからこそ腹立たしい!弁えろ!!

 

 そんな怒りと共に向かってきたAFOにオールマイトは両腕を向けて、その前腕の装甲が開くや、何かが射出された!

 

「!?」

 

 それだけではない!気づかなかった!!よく見れば、オールマイトの背後にいくつものドローンらしき僚機が浮遊し、それらも何かを射出してAFOに突き刺さった。

 

「スコーピオン・ハープーン……チャージズマ!!」

「ぐぉぁああ!!」

 

 放たれたのはワイヤーだった!そのワイヤーを伝って高圧電流が流れだした!!高圧電流が、再生の妨害をしてダメージ回復を許さない拘束のテーザーの役割を果たしていた!

 

「お師匠との戦いからずっと!まず雑に遠距離攻撃だよなぁ!?」

 

 オールマイトは言い放つ、その戦い方を何度見てきたと思っているのだと。

 

「弱らせてから個性を楽に奪うってなぁ!」

 

 毎度毎度、そうやって奪って強化してきた個性を押し付けて蹂躙して、弱らせてから個性を奪って勝つ。見飽きているんだよと嬉々としてオールマイトは叫ぶ。

 

「その戦い方は!個性があるやつとの戦い方だろうがぁ!!!」

 

 スポーツカーから放たれた追加パーツが、オールマイトの左足に向かって射出されて装着された!質量とブースターによる加速の蹴りが、AFOに向かう!!

 

「ビルドアップシュガーマン!!シュートスタイルーー!」

「くぅうう!?」

 

 それでも、電流にさらされながらもAFOは防御体勢を取って、その蹴りを防ごうとしてーー両足を刺し貫いたワイヤーが引っ張られて体勢を崩した!

 

「!?お、お前まさか!!おい待て!!」

 

 AFOは頭の中で決めつけていた。

 

『流石にお前は、それをしないだろうと』

 

 何故ってそれは、彼は平和の象徴、No.1ヒーローだったから。クリーンで、小細工に頼らない。

 

『弱点なんて突かず、強大な個性の力で捩じ伏せ、完全勝利する』のが彼(オールマイト)だから。それに友人たちも、自らもやられた。

 

 故に、その蹴りは命中した。

 

 追加の装甲により質量を持った、丸太のような脚部が……青年となったAFOの股座に吸い込まれるように振り抜かれ、めり込んだ。

 

 反撃の始まりの鐘の音とでも言うべきか……。

 

「シュートスタイル……ナッツパンチ!!」

「AAAAHHHAAAAAAAAAAAAAAAAAーーーーー!!!」

 

 アーマードオールマイトの丸太のような脚部スラスターを纏った足が、AFOの金玉を蹴り潰したのであった。

 

 

「……で、何が映るって?おまわりさブフォオア!?ご、ごめんなさい、すんごい顔してるわね……今の世界中にリプレイ流してやろ」

 

 映像に映された巨悪の絶叫に吹き出し、リプレイを編集するラブラバを他所に、塚内は……数秒前の自身を叱責したくなって呆然とした。

 

 俺は、何を見てきた?

 

 俺たちは、何に守られてきた?

 

 平和の象徴オールマイトを見てきた筈で、そして守ってもらっていた。

 

 何が蹂躙される姿だ……個性が有ろうが、無かろうが……オールマイトはオールマイトだった。決して過去の英雄なんかじゃあない、今もまだ彼は……平和の象徴そのものだった。

 

 

『エルクレス・パワード』

 

 元々は、アメリカで出会った友人であるデヴィット・シールドが、自身の研究成果『個性増幅装置』に各国政府からストップをかけられて研究を止められた果て……弟子であり教え子緑谷出久の父親、緑谷久との会合からアメリカ政府との契約を取り付け、パワードスーツに落とし込む研究によって作成された試作品『エルクレス』……それをオールマイトが、再設計とブラッシュアップ、改良を施したパワードスーツである。

 

 やがて来る戦いの為に……過去、AFOに敗北してアメリカへ逃亡を余儀なくされた、その地で出会った友人との縁。

 

 そして……AFOの戯れの果てに生まれた悪の個性を有し、運命に抗っていた少年の手を取って手に入れた新たな縁。

 

 その二つの縁が『エルクレス・パワード』を完成させたのだ!!

 

「長い付き合いだ!わかるだろ親友!!」

 

 股座に食い込んだ足を、再び引いて振りかぶるオールマイトに、AFOは冷や汗を垂らし唸りながら目を見開く!

 

「おぁああ……おう!?お、おい!!待て!!待てお前!?おい!!」

 

 無慈悲に、二度目の金的が、AFOの再生した金玉を再び蹴り潰した。

 

「AAAAHHHAAAAAAAAAAAAAAAAAーーーーー!!!」

「私は!過去一度たりとも!!負ける気で戦った事は無い!!」

 

 豪雨にさらされる廃墟の街に、巨悪の情けない絶叫が響き渡った!!

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