【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
「全く気が滅入るぜぇ!!50も半ばを超えてぇ!幼気な青年の玉を蹴り潰すってなぁなぁ!!?」
「Ah!?WAO!!おぅう!?いやお!!NOo!?やめろ!!ぬおぁ!!あぁああぁあ!?」
雄英、天空の棺を目の前にした上空で、AFOはアーマーを装着したオールマイトにより、股間を幾度も蹴られながら後退していた。お前本当にそれでいいのか!?晩節を汚しまくりだぞ!?それでヒーローと呼べるのか!?と、金的の痛みに唸りながらAFOは後退せざるをえなかった。
オールマイト自身、わざわざこの様な手を使うのには理由があった。確かにクリーンな戦いを捨てざるを得ないのは事実だが、これもまた死柄木弔から自らに意識を釘付けにする為である。
ホークスからの戦闘情報によれば、AFOは巻き戻しにて若くなって行くごとに年齢によって積み重ねた精神的な成熟も失っている。より若々しくなれば、より粗暴に力を振い始め挑発にも反応を見せた。
全ては、OFAを手に入れ完全なる『魔王』になる為に、AFOは激しい怒りを宿した。
付け入るとする隙はそこだろう、散々邪魔をしてきた自身ならば決して無視はできないだろう、積み上げた縁が自身とAFOにはあり、それだけがこの戦いを成り立たせる!そしてAFOは金的に対してトラウマが刻まれている!教え子によって!恐らく!多分!メイビー!決して私怨は無い!!決して!!
「魔王が聞いて呆れるぜえ!無個性でも!やれる程度とはなぁ!?私から、目が離せないくらいに!夢中にさせてやるよぉ!!」
幾度と金玉を蹴り潰し続けたオールマイト、しかし痛みにはやはり慣れがくるらしい。いや、痛みの中でも練り上げたがこの場合正しいか。
AFOの左手が渦を巻くや、それをオールマイトの目の前にかざした瞬間ーー周囲のビルごと巻き込んだエネルギーの衝撃波がオールマイトに叩きつけられた!!
その衝撃波に吹き飛ばされ、マンションやビルを貫通して吹き飛ばされたオールマイトは、4つか5つ目のビルに激突してようやく止まった。
OFA無しの、無個性の肉体……まず助からない筈。オールマイトはぜぇぜぇと息を上げるも片膝を突いて笑みを崩さなかった。
無事であった理由は、そのマントにあった。
ユーティリティマント、オートガード『ツクヨミ』エルクレス・パワードのマントは、先ほど半分少しを失った装甲『レッドライオット』同様、攻撃に対し自動的な防御を可能としていた。それも今のでほとんど失ってしまったが。
今の衝撃波、幾つも個性を組んだ複合技だろうが精細に欠けていたなとオールマイトは分析する。雑に組んだ、兎に角消し飛ばすだけを考えた個性のコンボ……7年前の戦いはもっと洗練されて無駄が無かった。過去と比べてみても、精神は子どもに戻り煽りが効いているのがオールマイトにも分かった。
喋れ喋れ俊典、煽って釘付けにしてやれと次言うセリフを考える。
『マント損壊、左上腕骨骨折、鎖骨粉砕』
「動作補助マックス!!」
システムAIでもある『エルクレス』に、折れた骨を動かせる様に命じ、駆動音と共に圧迫が左上腕にかかる。
「戦えている?勘違いするな!!出涸らしのゴミクズがぁ!!」
睾丸を幾度も蹴り潰されて怒りも心頭だろう、AFOがこちらを見下ろしていた。
「ハリボテを着たら強くなれたと思ってるのかぁ?あぁ!?壊れて失うだけだ、それは限界を超えない!」
AFOが、さながら場末のチンピラじみた口調になっている。なんともおかしい、神野やタルタロスの余裕が消え失せているなと、オールマイトはクツクツ笑った。
言われてみればそうだ、道具に頼ったヒーロー達が、失った途端に力が発揮できなくなるなんて、幾度も見てきた。
「気が合うねぇ、親友!!」
地面を蹴り、スラスターを吹かせAFOの前まで接近して右手を振り抜いた。額に当たったが全くダメージなぞなく、嬉々としてAFOは宣う。
「君の時間稼ぎに釣られたわけじゃあない!ゴミ拾いできるほどゆとりがあるんだよ!僕には!!」
再び衝撃波がゼロ距離で放たれた、しかしオールマイトの笑みは崩れない!
「取り繕ってんじゃあないよ!みっともない!!」
その言葉と共にスポーツカーより射出されたポットが、オールマイトの元に飛来してそれを掴むや、オールマイトは手にした注射器をAFOの腹部に突き刺した!
「超酸注入……ピンキー!!」
「ぐおぁぁあああ!?」
芦戸三奈の個性を模した、超酸性薬品の直接投与!!内側から溶解、腐食してAFOの肉体がそれを治癒する為にと必死に反応した!
「巻き戻った側から腐食し続けちゃうなぁ!?」
「オオルマイトォオアアア!!」
「ハリボテじゃあなかったっけぇ!!?」
さっきまでゴミ扱いしといて名前を呼ぶかと笑うオールマイトは、叫びを上げるAFOが放つ閃光に包まれ……先程よりも凄まじい勢いで吹き飛ぶや、幾つもの建物をぶち抜いてテナントの屋上に転がり、金網でようやくその身体は止まった。
『肋骨骨折……全身打撲……呼吸器に異常あり』
エルクレスのアナウンスが響き渡る……AFOがこちらに向かってきた。さっさと死柄木に行かないあたり、余程自分とケリをつけたいらしい。
いい傾向だなと、ぼやける視界の中でオールマイトは、AFOの姿を見て気づいた。
さっきよりも……若返っていると。
超酸を体外に排出する為に、自壊する規模の個性を使った……その結果、巻き戻しがさらに進行したのかと、オールマイトは思わず笑いが込み上げた。
「HA……はは……!HAーーーHAHAHAHAHAははははーーー!!」
歓喜には見えない、狂人の笑い声をあげてオールマイトは言い放つ!
「間断無く持ってこぉい!!エルクレス!!」
サポートアイテムが、スポーツカーのカタパルトより射出されてオールマイトへ向かう!破砕されたパーツを補い、新たな機構が組み上がっていき、最早ヒーローの姿とかけ離れた異形の、怪獣じみた様相に組み上がった。
「スラスター!ウラビティ!インゲニウム!出力全開!!」
がんばれ、頑張ろう!勝とうぜ……緑谷少年!!最早肉眼でも見えかねない場所で戦う教え子に、オールマイトは心の中で言い放った。
そしてーー。
「!!」
その気配を感じたか、OFAの継承者という繋がりからか、緑谷出久もまた感じ取っていた。
戦っている……オールマイトが、すぐそこで!AFOと!!
「鬱陶しいなぁ……お前のその、引っ張る個性」
緑谷と死柄木は今、宙に浮いていた。地面から緑谷が死柄木と自らを引き寄せ、空中に滞空させていたのだ。
『人形操りの糸』
エンデヴァー事務所で目覚めた引き寄せの新たな使い方。
それにより地面に死柄木が向かう事を防いでいた。理由はある、死柄木を地面に触れさせてはならない理由が。
故に、空中へ死柄木を留めておく必要があった。
「はっーー!」
腕を振るう死柄木、その所作だけで間合いを一気に詰めて緑谷に、その指で触れようとするが、緑谷は手首を弾き逸らして受け流す。
ビリビリとその膂力が痺れとなり伝わってくる。個性なしで肉体のパワーがオールマイト並なんだよなと改めて突きつけられる。
変身もすでに使えない……頼みの綱の『駆動』もすでに時間切れ……あとは自分の力だけで、この化け物に勝たなければならないというわけかと。集中している筈が呆けているようなと、意味のわからない自身の感覚に緑谷は陥っていた。
そうして、ほぼ防戦一方になりつつあった緑谷出久だったが……ある事に気付く。
「……あれ?」
今……自分、個性を使ってる……筈だよなと。
使っているから、死柄木を吊るす様に浮かせているわけで。
ならば、脳が焼け付く感覚も、穴という穴から出血もそろそろ起きる時間だ。使用限界時間はとっくに過ぎて……。
「いい加減……死ねよ!緑谷ぁあ!!」
凄まじいスピードで回り込む死柄木、目でもう追えない……はずなのに。『死の気配』すらも感じない程、疲弊している筈なのに!
『そこ』に、斜め後ろ上から手を振り下ろしてくるのを感じ取った緑谷はーー振り向きざまに死柄木の手首を掴み。
「えぇやぁあ!!」
「がはぁあ!?」
真正面から綺麗に、顔面を射抜くように殴り抜いた。