【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
個性をかけ合わせ、一つとして行使する。死柄木弔とAFOが行っていた領域に、いよいよ緑谷出久も踏み込んだ。
因子の過剰変容により起こった突然変異により、緑谷出久の肉体は人の枠から外れ……同じ化け物となった死柄木弔との最後の戦いが始まった!
「死柄木ぃいいい!!」
「はっ……!」
個性か、それとも自身の肉体により空を飛んでいるのか?二人は上空で戦闘機のドッグファイトの如く衝突し、衝撃波が上空で伝播し、雨雲がクレーターのように所々吹き飛んで太陽の光が差込み始めた。
その光景を目撃している者が居た。
「……緑谷、だよな……」
降下していく天空の棺、その電力を担当していた上鳴電気である。先程まで、黒霧に転送されたキメラトゥワイスによって交戦していたが、そのキメラトゥワイスも崩壊して霧散し、後は降下着陸するだけの天空の棺から、上空でぶつかり合う異形の二人を見上げていたのだ。
この戦いの最後は、他の戦地の勝敗がどうなろうと、緑谷出久を信じる戦いになると、戦いが始まる前に幾度か聞いた。
上鳴電気から見て、緑谷出久というクラスメイトは、格の違いを突きつけられる存在だった。そして、頼りになる友人であった。
どんなに強いヴィランが相手でも、負ける姿が想像できない。対峙したヴィランが泣いて許しを乞う、その背中の後ろにいれば安心できるスーパーヒーロー……。
では、無かった。
自分と同じで普通に怪我をする、治りが早いだけ。
苦しくて膝をつく事もある、立ち直りが早いだけ。
無敵なわけじゃ無い、負けるけどリベンジして取り返す精神力が強いだけ。
夏の林間合宿で、骨が露出する大怪我を負った時、切断すらあり得たと聞いて、義手にするかとあっけらかんに彼は言って、上鳴は蛙吹と怒った事を思い出す。
強いけど、頼りになるけど……突然ふっと消えていなくなりそうな、儚げさすらある。命を賭けて、ヒーローを全うする緑谷出久を見る時、上鳴電気はやるせない気持ちになる。
そんな緑谷が、総大将が……化け物になってでも死柄木を止めようとして、上鳴はただ心配しかできなくて、歯を食いしばり涙を流した。
一方で、地上ではーーもう一つの戦いが繰り広げられていた。
エルクレス・パワードを着てAFOとの戦いを続けるオールマイトは、先程の徹底抗戦から打って変わって、撹乱に徹していた。
追加アーマーである触腕アーム『テンタコル』に、壁を掴み吸着する『フロッピー』によって、ビルの合間を縫うように移動してAFOを引き付けている。
先程、超酸『ピンキー』を打ち込み、それを体外に排出した際に自壊する威力の個性を使って、AFOの肉体はさらに若返った。ダメージで肉体がさらに若返り、寿命が加速するならば手はまだあると、オールマイトは考えた。
うってつけの『個性(兵器)』がある。それを使うには、アーマーの動力炉だけでは足りない、遠隔支援僚機『アニマ』に動力源となる物を輸送を指示して、オールマイトは時間稼ぎに奔走した。
「馬鹿笑いの次は逃げ隠れか?」
小路の出口に、AFOが先回りしてきた。
「キミの狙いはわかった、そのニヤケ面を苦悶に歪ませるのにーー大袈裟な力は要らない」
にいぃ、と嘲笑を浮かべて左右のビルに手を添え、指から血管のように壁を伝う黒い棘が、オールマイトをこの小路で串刺しにしようと襲いかかる!
「省エネで殺(い)くよ」
「上昇!!」
針の牢獄から上昇して飛び出したオールマイトだったが、それを見越してその先に置くように、巨大な顔面の化け物が待機していた!
「嘘つきめ!!下降!!」
「いいや?省エネだぜ?」
どこが省エネだ畜生と即座に加工して路地に追いやられるオールマイトに、針と化け物がビルを破砕して迫る!
「笑顔が消えてるぞ!それじゃあ臓腑の欠けたただの老骨だ!若者の"個性"を上っ面だけ模倣し、自身を介護させてるだけの!」
そのスピードは、ついにオールマイトをとらえ触腕アームテンタコルの一つを破壊した。後少しで大通りまで出られると必死に逃走するオールマイトに、AFOは煽る。
「いいのか!?撮ってるんだろ!?皆がみてるぞ!?平和の象徴が無力の象徴に堕ち、絶える様を!」
振り返るな、乗るな、機はまだだ……そうして大通りに飛び出したオールマイトを待っていたのはーー。
「法灯(のりのともしび)は消える」
ビルの壁を破砕して先回りした、AFOの無慈悲な一撃だった。腰部に叩きつけられ、地面のコンクリが砕ける力の一撃。終わった、仕留めた!鶏ガラの老骨には致命傷だろうと狂笑を浮かべたAFOーー。
「わかっちゃ……いないな!!親友!!」
「ごぼぉお!?」
否!終わってない!!
テンタコルの触腕がAFOを拘束し、その口に熱戦銃"ショート"の銃口が捩じ込まれた!そのまま撃ち抜く為でなく、押し付け身動きを阻む為に!
「人は明滅するのだ!!私の灯が消えようとも!私の灯を受けた誰かが必ず照らす!そうして照らされた暗がりに……照らされ!わたしもまた瞬けるのだ!」
拘束されたAFO、その上空黒い影が見下ろしていた。遠隔僚機アニマに輸送された、エルクレス・パワードの一部であるヒーローモービルのスポーツカー、その天井が展開して砲台を形成してAFOとオールマイトに向けられていた!
「この名に、灼かれな!!」
自身諸共に、照射されたレーザーが二人を焼きにかかった、そのレーザー砲台の名は。
『CAN'T STOP TWINKLING⭐︎』
お前が脅迫し操ったヒーローの名の下に灼かれろと、オールマイトだけはそのレーザーの範囲から脱出した。
『エンジンガオーバーヒートシマス、バッテリーガモチマセン』
「緩めるな!這い出てくるぞ!!」
下半身のアーマーを脱いだオールマイトが、腰から下に力が入らないらしいフラフラと揺らしながらも、エルクレスのアナウンスに決して緩めるなと命じた。砲身が焼けつきバッテリーのオーバーヒートで砲台が爆発を始めようと、レーザーがAFOを押し留める!
「スターとビリーの戦いに倣う!レーザーで杭打ち拘束なんて芸当は出来んがな!だからぁ!!」
放たれたレーザーにコンクリの地面が溶解する中で、焼けこげた手が穴から出てきたのを見た瞬間、胸部アーマーを開いたオールマイト。そこから現れたスピーカーが、凄まじ位衝撃の音波を放ち、AFOがビームの範囲から脱出するのを徹底的に邪魔をした。
音響兵器、音波振動『イヤホン=ジャック』による、徹底的な妨害!!
先程のAFOが終わらせる為にはなった一撃、全てはこの状況を作る為に『わざと』オールマイトは喰らったのである。
テンタコルによる拘束、そしてレーザーの射出とともにパージで抜け出しこの状況を作り上げた。エルクレス・パワードには特殊光学樹脂『インビジブルガール』が塗布されており、レーザー熱を僅かながら軽減して自滅を回避した。
放たれた一撃を防いだのは、尾白の個性を模した『テイルマン』の腰部機械アーム。防いだが腰骨が折れ、オールマイトの下半身は感覚が無い……。
だが上等だと笑みを浮かべた。むしろ顔なら終わっていた、こちらの苦痛に歪む顔見たさに顔を狙わなかったからだ阿呆がとオールマイトは笑ってやった。
しかしーーそれでも、これだけ攻撃を叩き込んでも、AFOはまだ倒れない!!
レーザーから黒き棘が放たれて、オールマイトに命中し、アーマーは最早剥がれ、上半身と左腕と右腕のみしか残っていなかった。
これ以上は、一撃が命に関わる、防御と回避に徹するべきと、誰かが見ればそう言うだろう。
「アーマーモーフィング!クリエティ!!拘束弾……グレープジュース!!」
右腕装甲が剥がれ、球体を二つ作り上げ、オールマイトはレーザーの人影向けて投げつけた。アーマーの一部を、別の個性を模した兵器に補強、創造するシステム『クリエティ』により、拘束弾『グレープジュース』を作り上げ、AFOをビーム照射域へ拘束して出すまいとしたのだ。
この場にある全ての中で、最大火力は、レーザー砲台『CAN'T STOP TWINKLING⭐︎』である、そのまま出て来ず灼かれてしまえと、オールマイトは願う。
今この、人の役に立てていると言う喜びが……痛みを凌駕している内に。
そしてーー遂にオーバーヒートによって、砲台は爆散し、レーザーは止まった。土煙が舞う中、オールマイトは目を凝らす……今ある全てを注ぎ込んだ、最大火力である。
「言ったろう……道具(それ)は限界を超えないと」
AFOは、それでも倒れなかった。体を発光させて、より幼くなるも、まだ生きていたのだ。
「ジャリかよ!!」
「笑顔を忘れたな?親友」
最早兵装は無いだろう、耐え抜いたのはこちらだと踏み込むオールマイトに、肩の肉を盛り上がらせ巨大化した腕で殴り倒しにかかるAFO。
その肉体は……突如硬直して身動きを封じられた。
「血は……等しく赤い」
オールマイトは、その姿を見て驚き、失った笑みを取り戻した。この刹那、トドメを刺せとばかりにその男は、長い舌で破片に付着した血を舐め取り叫ぶ。
「征け‼︎!‼︎!オールマイト!!」
ヒーロー40人殺しのヴィラン……オールマイト以外のヒーローを偽物と言い認めぬ男『ステイン』が、最後の一撃の隙を作り出したのだった。