【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
『セントラル病院前鎮圧完了!怪我人のトリアージと逮捕者の移送中!』
分断作戦、その数々の戦場より……次々と報せが届いて来た。
『奥渡島制圧完了!死傷者及び怪我人のヴィラン、ヒーロー達の本土到着までもうすぐです!』
『分断作戦決起点制圧完了!怪我人の救出継続中!』
『国立多古場競技場、戦闘終了!』
『Mr.スケプティック確保!移送中です!』
『避難システムによる士傑への避難完了!』
『蛇腔病院跡地制圧完了!黒霧、イレイザーヘッドとプレゼント・マイクと共に消息不明!』
その全てにおいて……ヒーロー側が差はあれど勝利、任務完了の報せを作戦本部へ次々、順次連絡が到着していく。
あとは……死柄木とAFO、この二人を止めるだけ。ようやくここまで、ヒーロー達は辿り着いた。
「疾い……!」
目の前に立っていた爆豪が、もう遥か先のAFOへ追いついた。瞬間的なスピードなら、かつての自分を上回ったかもしれないと、その速度にオールマイトは言葉を漏らす。
「あいつは死の間際…瞬間ではあったが、死柄木すら翻弄する動きを見せた……」
そのスピードの理由を、エッジショットが語る。緑谷が到着するまで、死柄木との戦いで爆豪は、何か新しい境地に至ったと。死を間際にして、何かを掴んだと。
地面が抉れ、爆風に叩き込まれたAFOを空中から見下ろして、爆豪は笑いながら今の自身に起きている肉体の変化、その新たな力をより自身の物にする為に動く。
身体中の痛み、手からだけだった爆破の汗、それが全身の汗腺から出ている。発動したら痛みが凄まじいが、その分更に自身はさっきより、早く、強くなれている!
この副作用を活かせ!もっと!もっとだ!!
「もう、いい……後にする」
対するAFOは、今の爆破により更に若くなっていき、予定を変更した。いや、変更せざるを得なくなった。
『いいさ、壊すだけだ、何度でも……更に』
そして、死柄木は緑谷を倒す、全てを破壊する好機を潰されたが余裕を見せた。どのみち全てを壊せばいい、ただ順番が変わっただけ。幾らでも、こちらに機会は回ってくると化け物となった死柄木のテレパスが、緑谷の頭に語りかける。
対する緑谷は、銀色の装甲があちこち剥がれ落ち始めていた。より筋繊維が曝け出され、再生を行わなくなりつつある。外付けの超回復や、再生の個性ではない……自身の治癒能力が元となっているのか、次に死柄木が触れてしまえば、崩壊は免れないだろう。
「次で……決める、倒す!!」
これが最後、ここで倒さなければ、もう手は無い。だが、気負うなと緑谷は自らに言い聞かせた。
緑谷と死柄木
爆豪とAFO
最初に動いたのは、AFOだった。
「ハッ、まだ……モブか…!」
爆豪に目もくれず、死柄木へ即座に飛んで向かった。
理由は単純、タイムリミットが近いから。群訝の戦い、オールマイトとの死闘により、巻き戻しが想像以上に進んでしまっていた。だから、爆豪は後回しにして、死柄木に自身を譲渡し完全体になるのが先だと。
先程は一撃くらったが、オールマイトや、群訝のヒーロー達ほどの圧力は無い、放っておいて構わないと、逃げに徹してまずは死柄木に自身を渡せば勝ちだと逃げるAFO。
だが!!
「っ痛!ははぁ!疾っすぎて、止まんねぇぇ〜〜!!」
爆豪が、体を建造物や地面にぶつけながらも、AFOへ即座に追いついたのだ。煌めく光を体から漏れさせた爆豪は、まだ操作に慣れてないらしい建物の中に入り込んでしまったが……ガラスのドアの向こうから手のひらをAFOに向けて、その爆破をAFOに浴びせ吹き飛ばす!
何故だ、圧力も力も感じない、路傍の石としか思えないこの男が何故こうもと、AFOは苛立つ。そしてーーその眼差しに思い出し、叫んだ。
「お前のせいだ!駆藤!!」
思わず叫んだそれは、弟を連れ出し全てが始まった男の名前。OFA二代目の継承者の名であった。
「ボケが来たかよバァアカ!俺ァ爆豪のかっちゃんだ!」
誰と勘違いしてんだ、長く生きすぎて痴呆までは巻き戻しできなかったかよと爆豪は笑い飛ばして見せた。
「お前のせいだ駆藤!……と、思っていたが、もういい」
AFOは、いよいよもって……最後の賭けにでた。泥ワープも今の死柄木は拒否して使えない、それ程に意志も強固。辿り着いたとて争うのは必至。
今の自分が更に若返るのはまずい……ならば。
「お前を殺すのも、ゴールも譲渡も、一括だ」
全てを、一括で行う。全取りだ、ここで。
その肉体が、質量保存の法則すらを捻じ曲げ膨張し、強大で異様な集合体にまで巨大化する。この日まで、様々な個性を奪って来たのだろう、それらの元の持ち主の意思が現れるかのように、顔が、肉体が、口が、触腕が、全ての『個性』が剥き出しになり襲いかかる!!
『全因解放・全ては一つの目的のために(オール・フォー・ワン)』
「押し通る」
背後の建造物を灰燼に変えて、爆豪目掛けAFOが突貫してくる。その質量と推進力で全てを総取りするつもりかと、オールマイトは叫んだ。
「避けろ少年ン!!!」
その真正面にて、爆豪は迫り来るAFOを前にして呟いた。
「バカがテメェ、んなもん、勝てるわけねーだろ」
その突貫の衝撃にオールマイトとエッジショットも吹き飛ばされた。諦めから、そんなセリフが出たと思ったが違う。
幾つもの個性を奪い、崇拝する者から捧げられたAFO。その全てを使った一撃……爆豪は、この時ばかりは少し、自身の行動に対する結果を願っていた。
頼む
『爆ぜろ』
願う事なんて絶対しないと決めていた、生まれ持った個性と、自身の体一つで、憧れを超えてNo.1になると決めたから。そんな少年が、今回ばかりはと込めた願いは……叶った。
『!?』
強大な肉塊の中心、AFOの口が『爆破』した。
何が起こった?何をされた!?何も動きも挙動もなかったはずだと、自身の口が爆破され、推進が失われて突撃が止まってしまった。
「雨で威力落ちっからよぉ"コーティング"して飛ばしといた!爆発する汗粒を普通の汗粒でな!誘爆せず飛ばせて時間差で混ざって!他の刺激で起爆できっかなって!」
飛び上がって来た爆豪が、体を捻り光に包まれる。眩いほどの光が、やがて体を包む光弾となるや、AFOの元に勢い良く飛び込んで来た!
「センスだけは褒められて来たンでな、個性は一つありゃ充分だ!」
磨き上げて来た、たった一つの個性が、奪い去って来ただけの外付けに適うはずもないだろう。だから爆豪は言ったのだ。
『勝てるわけねーだろ』と
「ドケモブーー」
断末魔にしか取れない、叫びを上げ切る前に、その手のひらに乗せた一撃を爆豪は叩きつけた。
『榴弾砲着弾(ハウザー・インパクト)』
その爆破が、AFOの肉体を迸り、亀裂を産んでいく。そしてーー。
「んんだぁらぁああああああああああ!!!」
一撃ではたらないと、左右の手で連続で!爆破を叩き込みその亀裂を更に爆豪は拡めていった!
「るっせぇんだぁよぉおおぉおおおおお!!!」
エンデヴァーが、ホークスが、A組のクラスメイトが、プロヒーロー達が、オールマイトが、与えて来たダメージ。それらが積もり、繋がり、亀裂を生み……爆豪の必殺技をもってついに!!AFOの肉体を破砕したのだった!!
「俺一人で……勝てるワケねーーンだよ」